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97 久しぶりに会えますね
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会社に挨拶に行った次の日から私は、またミニチュアハウスを作り始めました。駄菓子屋さんを作ってしまったので、今度は昔ながらの八百屋さんを作ります。
本当は仕事に行きたかったのだけれど、今の立場ではそう簡単に勤めに行くことはできません。自分の会社に行こうものなら、他の社員の方々が気を遣うだろうし、全く関係ない会社に行ったとしてもいずれ身分がばれてしまった時には、なんとなく後味が悪い気がします。今回の件でつくづくそう感じました。
まあこの前ずっと家にいた時に、気持ちよく生活できるようにと整えてくれたトレーニングルームもシアタールームもあるし、この際時間だけはたっぷりあるので将来の事をゆっくり考えてみようと思います。
ミニチュアハウスを作る傍ら、やりたいことを書きだしてみることにしました。たとえ今すぐは無理でもとにかくやってみたいことをノートにどんどん書いていきます。
そうしてなんとなく形として思い浮かんできたころです。
「パーティの招待状が届きました。どうされますか?」
久美ちゃんが私に渡してきてくれたその招待状を見ると、久子さんのご実家が主催するパーティーでした。家に籠っていた時に何かと励ましてくれた皆さんにお会いしたかったので、さっそく参加させていただくことにします。
パーティーの当日になりました。久美ちゃんやお母様からは、この前の一件で「パーティーでは、注目の的になってしまうわね」と言われ、念入りにエステを受けたりドレスもデザインから吟味されてこの日を迎えました。おかげで今日の私は馬子にも衣装といわれるぐらい、お肌はつやつやそしてドレスのおかげで1.5倍増しのスタイルの良さになっています。鏡を見て自分でものけぞってしまうほどの出来栄えです。
「今日はいつもに増してかわいいね」
「今日はお姫様の様だよ」
私を見るなりお兄様やお父様がそう感想を言ってくれました。今日は久美ちゃんや婚約者の航さんも一緒に行きます。日ごろ久美ちゃん以外には、ほめることのない航さんまで「今日はかわいいね!」といってくれました。辛口の航さんに褒められて私もまんざらではないと少し顔がほころびました。
パーティー会場に着くなりいつもの皆さんに取り囲まれました。
「大変だったわね」
「今日の千代子さん綺麗~」
「ほんとに輝いているようよ」
久子さんは私の顔を見るなり心配してくれます。久子さんに続いて花蓮さんや京香さんが私の姿を見るなりほめてくれます。
「そのドレスも素敵ね。千代子さんによく似合ってるわ」
アパレル会社の社長令嬢である舞子さんが、真剣に私のドレス姿を見ています。日ごろからファッションに精通している舞子さんに言われると少し照れますね。
「久しぶり~」
そういってやってきたのは、青木さんでした。会社に行っていたころは、毎日のように顔を合わせていたので青木さんの言葉通り久しぶりな気がします。青木さんも会社を退職したと連絡を受けていました。もともと私の見張り役としてあの会社にいたので、私がいなくなった後は残るつもりもなかったようです。今は、自分の会社に戻って働いているということも聞いていました。
「大変だったな」
私も青木さんと久しぶりに話そうと思った時です。声がしてそちらを見れば、いつの間にか私のすぐ横に立っていたのは清徳さんでした。後ろに押村さんも見えます。その後ろにはちょうどお兄様も白井さんもやってくるのが見えました。
「この前はいろいろご尽力していただいたようで、本当にありがとうございました」
ちょうど皆さんがそろったので、私は皆さんにお礼を言いました。お礼の連絡はしていたのですが、やはり直接会って自分の口で言いたかったんですよね。
「それにしてもよかったね。みんな心配していたんだよ」
皆を代表したように白井さんが言葉をかけてくれます。
「中でも一番慌てていたのは、彼と彼だけどね」
白井さんがそういってお茶目に指さしたのは、清徳さんと青木さんでした。青木さんはちょっと照れたようになりましたが、清徳さんは自慢げに少し胸をそらしています。
「今回はよく頑張ったよ。自分で自分をほめてあげたいぐらいだ」
清徳さんが胸を張って言い切るので、ほかの皆さんが苦笑いしています。自分で言うものでしょうかね。まあ清徳さんらしいといえばそうなのですが。
「今日は素敵だね」
清徳さんがひとり自慢顔をしているその横で、青木さんが私を見ています。そして嬉しい言葉を言ってくれました。私はつい顔を赤くしてしまいます。
「なんだ! 今日のドレスは、私とまるでおそろいみたいだな」
私が顔を赤くしていると、清徳さんはそういって自分のネクタイと私のドレスを見比べています。そして嬉しそうにネクタイを指さしています。
「ほんとね。たまたま偶然だけれど、同じスカイブルーね」
にやついている清徳さんを牽制するかのように久子さんが言ったので、皆から笑いが漏れました。それからしばらくは、皆が私の様子を聞きたがっていたので、私が家に籠っていた間何をしていたか話すことにしました。
私がミニチュアハウスの話を始めると、やはりというべきか興味津々な顔つきをしたのは女性陣です。男性陣は最初こそ話を聞いてくれていましたが、いつのまにやらちょっと離れたところで別の話を始めたようです。
「それってどのくらいでできますの?」
「私手先が器用ではないのですけれど、私にも作れるのかしら?」
「ほかにはどのようなシリーズがありますの?」
皆さん私に質問攻めです。私も答えられる範囲で答えていきます。特に興味を持ったのは、花蓮さんでした。
「私はカフェを作ってみたいわ。あとおしゃれなスイーツのお店もいいわね」
自分で想像して顔がほころび始めていますよ。はまる人にははまるんですよね~。
私たちが和やかにおしゃべりをしているときでした。
「お話し中すみません」
そういってきたのは、久美ちゃんでした。なんだか少し焦っていません?
本当は仕事に行きたかったのだけれど、今の立場ではそう簡単に勤めに行くことはできません。自分の会社に行こうものなら、他の社員の方々が気を遣うだろうし、全く関係ない会社に行ったとしてもいずれ身分がばれてしまった時には、なんとなく後味が悪い気がします。今回の件でつくづくそう感じました。
まあこの前ずっと家にいた時に、気持ちよく生活できるようにと整えてくれたトレーニングルームもシアタールームもあるし、この際時間だけはたっぷりあるので将来の事をゆっくり考えてみようと思います。
ミニチュアハウスを作る傍ら、やりたいことを書きだしてみることにしました。たとえ今すぐは無理でもとにかくやってみたいことをノートにどんどん書いていきます。
そうしてなんとなく形として思い浮かんできたころです。
「パーティの招待状が届きました。どうされますか?」
久美ちゃんが私に渡してきてくれたその招待状を見ると、久子さんのご実家が主催するパーティーでした。家に籠っていた時に何かと励ましてくれた皆さんにお会いしたかったので、さっそく参加させていただくことにします。
パーティーの当日になりました。久美ちゃんやお母様からは、この前の一件で「パーティーでは、注目の的になってしまうわね」と言われ、念入りにエステを受けたりドレスもデザインから吟味されてこの日を迎えました。おかげで今日の私は馬子にも衣装といわれるぐらい、お肌はつやつやそしてドレスのおかげで1.5倍増しのスタイルの良さになっています。鏡を見て自分でものけぞってしまうほどの出来栄えです。
「今日はいつもに増してかわいいね」
「今日はお姫様の様だよ」
私を見るなりお兄様やお父様がそう感想を言ってくれました。今日は久美ちゃんや婚約者の航さんも一緒に行きます。日ごろ久美ちゃん以外には、ほめることのない航さんまで「今日はかわいいね!」といってくれました。辛口の航さんに褒められて私もまんざらではないと少し顔がほころびました。
パーティー会場に着くなりいつもの皆さんに取り囲まれました。
「大変だったわね」
「今日の千代子さん綺麗~」
「ほんとに輝いているようよ」
久子さんは私の顔を見るなり心配してくれます。久子さんに続いて花蓮さんや京香さんが私の姿を見るなりほめてくれます。
「そのドレスも素敵ね。千代子さんによく似合ってるわ」
アパレル会社の社長令嬢である舞子さんが、真剣に私のドレス姿を見ています。日ごろからファッションに精通している舞子さんに言われると少し照れますね。
「久しぶり~」
そういってやってきたのは、青木さんでした。会社に行っていたころは、毎日のように顔を合わせていたので青木さんの言葉通り久しぶりな気がします。青木さんも会社を退職したと連絡を受けていました。もともと私の見張り役としてあの会社にいたので、私がいなくなった後は残るつもりもなかったようです。今は、自分の会社に戻って働いているということも聞いていました。
「大変だったな」
私も青木さんと久しぶりに話そうと思った時です。声がしてそちらを見れば、いつの間にか私のすぐ横に立っていたのは清徳さんでした。後ろに押村さんも見えます。その後ろにはちょうどお兄様も白井さんもやってくるのが見えました。
「この前はいろいろご尽力していただいたようで、本当にありがとうございました」
ちょうど皆さんがそろったので、私は皆さんにお礼を言いました。お礼の連絡はしていたのですが、やはり直接会って自分の口で言いたかったんですよね。
「それにしてもよかったね。みんな心配していたんだよ」
皆を代表したように白井さんが言葉をかけてくれます。
「中でも一番慌てていたのは、彼と彼だけどね」
白井さんがそういってお茶目に指さしたのは、清徳さんと青木さんでした。青木さんはちょっと照れたようになりましたが、清徳さんは自慢げに少し胸をそらしています。
「今回はよく頑張ったよ。自分で自分をほめてあげたいぐらいだ」
清徳さんが胸を張って言い切るので、ほかの皆さんが苦笑いしています。自分で言うものでしょうかね。まあ清徳さんらしいといえばそうなのですが。
「今日は素敵だね」
清徳さんがひとり自慢顔をしているその横で、青木さんが私を見ています。そして嬉しい言葉を言ってくれました。私はつい顔を赤くしてしまいます。
「なんだ! 今日のドレスは、私とまるでおそろいみたいだな」
私が顔を赤くしていると、清徳さんはそういって自分のネクタイと私のドレスを見比べています。そして嬉しそうにネクタイを指さしています。
「ほんとね。たまたま偶然だけれど、同じスカイブルーね」
にやついている清徳さんを牽制するかのように久子さんが言ったので、皆から笑いが漏れました。それからしばらくは、皆が私の様子を聞きたがっていたので、私が家に籠っていた間何をしていたか話すことにしました。
私がミニチュアハウスの話を始めると、やはりというべきか興味津々な顔つきをしたのは女性陣です。男性陣は最初こそ話を聞いてくれていましたが、いつのまにやらちょっと離れたところで別の話を始めたようです。
「それってどのくらいでできますの?」
「私手先が器用ではないのですけれど、私にも作れるのかしら?」
「ほかにはどのようなシリーズがありますの?」
皆さん私に質問攻めです。私も答えられる範囲で答えていきます。特に興味を持ったのは、花蓮さんでした。
「私はカフェを作ってみたいわ。あとおしゃれなスイーツのお店もいいわね」
自分で想像して顔がほころび始めていますよ。はまる人にははまるんですよね~。
私たちが和やかにおしゃべりをしているときでした。
「お話し中すみません」
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