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76 ボートに乗ることになりました
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ちょっと離れたところから華やかな声がしました。
私がそばにいた白井さんや青木さんと話しをしていた時です。
「いいですね~!」
声のした方を見ると、うるうる目を潤ませた結城舞子さんが清徳さんや押村さんと話しています。ずいぶんウキウキした声ですよ。
それからちょっと赤くなった顔で舞子さんが、こちらにやってきました。
「今話していたんですけれど、ここって貸しボートがあるんですよね。皆さんで乗りませんか?」
舞子さんが指さしたのは、太陽に照らされてきらきらした湖面に浮かんでいる白鳥型のボートや二人乗りのボートでした。
「いいんじゃない? まだ時間があるし」
舞子さんが指さしたボートを見て白井さんも賛成しました。青木さんもうなづいています。お兄様やほかの方々もこちらにやってきました。舞子さんの話が聞こえたのでしょう。
「ボートでも乗るかい?」
お兄様が私を見て言ってきます。いいですね~。本当でしたらバーベキューをする予定でしたが、やめたので時間がありますね。ちらりとキッチンの方を見ればシェフの方々が一生懸命準備をしてくださっています。ちょっと離れたところにいた赤池さんが私たちの声が聞こえたのかこちらにやってきました。
「ボートに乗ってきてもいいかな?」
お兄様が赤池さんに聞いてくれます。
「どうぞ行ってきてください。ボート乗り場の方にはこちらから連絡をしておきますので」
「そうかい? じゃあお願いするよ」
赤池さんがすべて取り仕切ってくれているので、私たちはボートに乗ることになりました。昔乗ったことがありましたが、久しぶりですね。
それにしてもご自分でシェフを連れてきたのに、こちらに丸投げですね。清徳さんには困ったものです。私が清徳さんをにらみつけると、清徳さんとばっちり目が合ってしまいました。
そして何を勘違いしたのか、私に頓珍漢なことを言ってきました。
「確か子供のころ乗ったことがあったよな。前はうまく漕げなかったけれど、今日はうまく漕ぐよ」
彼の中では、まるで一緒に乗るのが前提のような発言です。私がにらみつけたのをなんだか勘違いしている気がします。私はそんな清徳さんを無視して、女性陣のところに飛んでいきました。
「皆さん、ここからボート乗り場は近いので歩いていきましょう」
「楽しみですわね」
「ほんと。舞子さんグッドアイデアですわ」
「そんな~。でも嬉しいですわ」
私たちは、すぐそばにあるボート乗り場まで歩いていくことにしました。庭から続く小道を抜けると、湖を一周できる遊歩道に出ることが出来るのです。私たち女性陣の後ろを男性陣も後に続いてきます。
遊歩道では、途中何人もの観光客の人たちとすれ違いました。
「ねえねえ、あの人達モデル? 何かの撮影にきたのかなあ?」
「ほんとほんと。もしかして芸能人?」
すれ違う人たちが、私たちの後ろを歩いている男性陣を見てそうささやいています。私が後ろを振り返ると、いつの間にか清徳さんや押村さん、そして青木さんまでサングラスをかけています。お兄様と白井さんはかけていませんが。五人とも身長があるし顔立ちも整っているので、本当にモデルの様です。私につられて隣を歩いている久子さんも後ろを振り返りました。
「まあ、ほんとに芸能人みたいですわね」
久子さんの声にほかの三人も振り返ります。私たちが次々に振り返ったせいでしょうか。お兄様や白井さんが手を振ってくれます。その様子もなんだか芸能人の様に素敵です。
「せっかくだから男女で乗りません?」
ボートに乗ることを提案した舞子さんが私に話しかけてきました。
「賛成! 男女五人ずつだからちょうどいいですわよね~」
「どうやって相手を決めます?」
「くじ引きかしら」
舞子さんの話を聞いた京香さんや花蓮さんが手を上げて賛成してます。私が何か言う前に、三人はどうやって相手を決めるか話し合いを始めています。
「久子さん、いいですか?」
私は隣にいる久子さんを見ました。久子さんは三人の話し合いに参加していません。もしかしたら苦手な方がいるかもしれませんしね。苦手といえば私がいるんでした。誰とは言いませんけれど。
「男性がいた方が、楽ですわ。昔妹とボートに乗ったことがあったんですけれど、見た目より大変でしたもの」
久子さんは現実的でした。確かに見た目と違って体力がいりますよね。先ほど清徳さんも言っていましたが、まだ清徳さんと仲が良かった頃、ボートに一緒に乗ったことがありました。でもその時はうまく漕げなかった記憶があります。ボート乗り場からちょっと出ただけで疲れ果ててすぐに戻った覚えがあります。
そうしている間にボート乗り場に着きました。私たちを見た係りの人が笑顔で迎えてくれました。
「赤池さんから聞いております。どうぞこちらへ」
そういって案内されたのは、白鳥型のボートが二つと普通の二人乗り用のボートが三つでした。
私がお兄様に聞きに行こうとした時です。私の前を舞子さんが勢いよくお兄様のところへ走っていきました。その後ろを京香さんと花蓮さんが続いています。
「舞子さんたち、はりきっているわね」
久子さんが舞子さんたちの様子を見て苦笑いしています。私と久子さんは、つい顔を見合わせてしまいました。さあ誰と乗るのでしょう。せめてあの方とだけは乗りたくないのですが。
私がそばにいた白井さんや青木さんと話しをしていた時です。
「いいですね~!」
声のした方を見ると、うるうる目を潤ませた結城舞子さんが清徳さんや押村さんと話しています。ずいぶんウキウキした声ですよ。
それからちょっと赤くなった顔で舞子さんが、こちらにやってきました。
「今話していたんですけれど、ここって貸しボートがあるんですよね。皆さんで乗りませんか?」
舞子さんが指さしたのは、太陽に照らされてきらきらした湖面に浮かんでいる白鳥型のボートや二人乗りのボートでした。
「いいんじゃない? まだ時間があるし」
舞子さんが指さしたボートを見て白井さんも賛成しました。青木さんもうなづいています。お兄様やほかの方々もこちらにやってきました。舞子さんの話が聞こえたのでしょう。
「ボートでも乗るかい?」
お兄様が私を見て言ってきます。いいですね~。本当でしたらバーベキューをする予定でしたが、やめたので時間がありますね。ちらりとキッチンの方を見ればシェフの方々が一生懸命準備をしてくださっています。ちょっと離れたところにいた赤池さんが私たちの声が聞こえたのかこちらにやってきました。
「ボートに乗ってきてもいいかな?」
お兄様が赤池さんに聞いてくれます。
「どうぞ行ってきてください。ボート乗り場の方にはこちらから連絡をしておきますので」
「そうかい? じゃあお願いするよ」
赤池さんがすべて取り仕切ってくれているので、私たちはボートに乗ることになりました。昔乗ったことがありましたが、久しぶりですね。
それにしてもご自分でシェフを連れてきたのに、こちらに丸投げですね。清徳さんには困ったものです。私が清徳さんをにらみつけると、清徳さんとばっちり目が合ってしまいました。
そして何を勘違いしたのか、私に頓珍漢なことを言ってきました。
「確か子供のころ乗ったことがあったよな。前はうまく漕げなかったけれど、今日はうまく漕ぐよ」
彼の中では、まるで一緒に乗るのが前提のような発言です。私がにらみつけたのをなんだか勘違いしている気がします。私はそんな清徳さんを無視して、女性陣のところに飛んでいきました。
「皆さん、ここからボート乗り場は近いので歩いていきましょう」
「楽しみですわね」
「ほんと。舞子さんグッドアイデアですわ」
「そんな~。でも嬉しいですわ」
私たちは、すぐそばにあるボート乗り場まで歩いていくことにしました。庭から続く小道を抜けると、湖を一周できる遊歩道に出ることが出来るのです。私たち女性陣の後ろを男性陣も後に続いてきます。
遊歩道では、途中何人もの観光客の人たちとすれ違いました。
「ねえねえ、あの人達モデル? 何かの撮影にきたのかなあ?」
「ほんとほんと。もしかして芸能人?」
すれ違う人たちが、私たちの後ろを歩いている男性陣を見てそうささやいています。私が後ろを振り返ると、いつの間にか清徳さんや押村さん、そして青木さんまでサングラスをかけています。お兄様と白井さんはかけていませんが。五人とも身長があるし顔立ちも整っているので、本当にモデルの様です。私につられて隣を歩いている久子さんも後ろを振り返りました。
「まあ、ほんとに芸能人みたいですわね」
久子さんの声にほかの三人も振り返ります。私たちが次々に振り返ったせいでしょうか。お兄様や白井さんが手を振ってくれます。その様子もなんだか芸能人の様に素敵です。
「せっかくだから男女で乗りません?」
ボートに乗ることを提案した舞子さんが私に話しかけてきました。
「賛成! 男女五人ずつだからちょうどいいですわよね~」
「どうやって相手を決めます?」
「くじ引きかしら」
舞子さんの話を聞いた京香さんや花蓮さんが手を上げて賛成してます。私が何か言う前に、三人はどうやって相手を決めるか話し合いを始めています。
「久子さん、いいですか?」
私は隣にいる久子さんを見ました。久子さんは三人の話し合いに参加していません。もしかしたら苦手な方がいるかもしれませんしね。苦手といえば私がいるんでした。誰とは言いませんけれど。
「男性がいた方が、楽ですわ。昔妹とボートに乗ったことがあったんですけれど、見た目より大変でしたもの」
久子さんは現実的でした。確かに見た目と違って体力がいりますよね。先ほど清徳さんも言っていましたが、まだ清徳さんと仲が良かった頃、ボートに一緒に乗ったことがありました。でもその時はうまく漕げなかった記憶があります。ボート乗り場からちょっと出ただけで疲れ果ててすぐに戻った覚えがあります。
そうしている間にボート乗り場に着きました。私たちを見た係りの人が笑顔で迎えてくれました。
「赤池さんから聞いております。どうぞこちらへ」
そういって案内されたのは、白鳥型のボートが二つと普通の二人乗り用のボートが三つでした。
私がお兄様に聞きに行こうとした時です。私の前を舞子さんが勢いよくお兄様のところへ走っていきました。その後ろを京香さんと花蓮さんが続いています。
「舞子さんたち、はりきっているわね」
久子さんが舞子さんたちの様子を見て苦笑いしています。私と久子さんは、つい顔を見合わせてしまいました。さあ誰と乗るのでしょう。せめてあの方とだけは乗りたくないのですが。
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