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66 お昼も大変です
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不機嫌顔の清徳さんを無視して、私たちは軽自動車に乗り込みました。
「暑いな。エアコンが全然効いてない」
清徳さんがぶつぶつと文句を言い始めました。朝に比べて明らかに不機嫌です。きっと暑いせいですね。確かに車内は暑いですが、これから涼しくなりますよ。
「エアコンかけてるんだろうな」
「清徳さんがいつも乗られるお車は、清徳さんが快適でいられるように車内の温度もちゃんと管理されているのかもしれませんけど、この車は社用車です」
私は、後部座席でふんぞり返っていう清徳さんをミラー越しにちらりと見ていってやりました。青木さんは疲れているのに、運転をしてくれているんですからね。
「そういう君だって、いつもそういう車に...」
清徳さんが杉さんのいる前で変なことを言い始めましたので、きっとにらみつけてやりました。私と目が合った清徳さんは、さすがにこの状況を理解したようで慌てて口を閉ざしました。でもその様子を杉さんにばっちりみられていました。
「柳さんと清徳さんてお知合いですか?」
杉さんは、どうやら私と清徳さんのやり取りに疑問を持ったようです。こわごわ清徳さんの方を向いて聞きました。私に聞くんじゃないんですね。杉さん。
「いえ。ぜんぜん初対面です。そうですよね?」
「...ああ。そうだ」
清徳さんが私の声の中に怒りを感じたのか、杉さんに答えました。でもどう見てもミラーを通して私の顔色を窺っていませんか? そんな時です。
「コンビニに着きましたよ」
気が付けばコンビニの駐車場に着いていました。私と青木さんは、時間がもったいないとばかりに車から降りコンビニに向かいました。後ろからは、杉さんと清徳さんも私たちに遅れまいとばかりに急いでやってきます。
私と青木さんは、いつものようにさっさと選んでレジに向かいました。そのあとを杉さんも追ってきました。
私たちが会計をし終わって出口に向かう時にちらりと店内を見れば、かごを持ってじっと棚を食い入るように見つめている清徳さんの姿がありました。
私と青木さんはつい顔を見合わせてしまいました。
「もしかしてコンビニって初めてじゃない?」
清徳さんの様子を見た杉さんがつぶやきました。確かに清徳さんがコンビニ行きつけとは思えませんね。
「荷物持ってるよ」
青木さんはそういって手を出し、私が買ったコンビニの袋を預かってくれました。
私は急いで清徳さんのところに向かいます。
「決まりました?」
まだ棚をじっと見つめている清徳さんに声をかけました。ちなみに清徳さんがじっと見ていたのは、カップラーメンの棚です。
「今日は暑いですから、カップラーメンはちょっと」
「これお湯を入れるんだろう? 確かに今日は暑いな」
清徳さんは知ってるぞとばかりにどや顔で私に言ってきました。あなた、今から食べる昼食を選んでるんじゃあなかったんですか? 興味本位で見ていたんですね。
「お昼はパンにしますか? それともお弁当ですか?」
「そうだなあ。パンがいいかな。塩味の利いた生ハムがサンドされた...」
「じゃあこちらです」
私は話し始めた清徳さんの話をぶった切って売り場に案内しました。途中で話を折られた清徳さんは、ちょっとむっとしていましたが、私が「時間がありませんので」いったせいかしぶしぶ従いました。
「ここです。何にしますか?」
「そうだなあ...」
先ほどの棚の時と同様、清徳さんはまた棚を眺め始めました。これではお昼休みが終わってしまいそうです。
「ではサンドイッチでいいですね」
私は先ほどの清徳さんの「パンがいい」発言を思い出して、サンドイッチとそれだけでは足りないといけないので勝手におにぎりを一つ選びました。
「デザートはどうします?」
「そうだなあ...」
デザートの棚に案内するとまた眺めるだけでしたので、私は勝手にアイスコーナーに行ってアイスを人数分買いました。アイスといってもそのままドリンクの様に飲むタイプなので、楽ですよね。それにお金持ちだからアイスぐらいおごってくださいね。
「では会計をお願いします」
私はそういって、かごを清徳さんに押し付けてレジに向かわせました。私はその様子を少し離れたところから見守ることにしました。
清徳さんは、素直にレジに向かいましたが、財布からカードを出して店員さんに向けています。
私は慌てて飛んで行って、カードを奪い取ってついでに清徳さんの財布も奪い取り、薄い財布からお札を出しました。お札は大きいお札しかありませんでしたので、おつりがジャラジャラ戻ってきました。
私は、丁寧にその硬貨をすべて財布の中に入れてあげました。薄いおしゃれな財布がおつりの硬貨でパンパンに膨らんだのを見て、少しだけ愉快な気分になってしまいました。かっこいい薄型財布の影も形もありません。
「あんなところで、ブラックカードは出さないほうがいいですよ」
硬貨でパンパンになった財布を受け取った清徳さんの顔が、苦虫をつぶしたような顔になった時には、これ以上ないほど愉快な気分になりました。ついでにアドバイスもしておきました。
清徳さんは、先ほどレジでブラックカードを出していたんです。さすがにコンビニで出すカードではありませんよね。
「おまたせしました」
出口で待っていた青木さんと杉さんにお詫びを言ってコンビニを出ました。私たちは車で公園に向かいました。清徳さんはといえば、車内で私が勝手に買った袋に入った商品を興味深そうに眺めていました。
やっとお昼ご飯を食べられそうです。
「暑いな。エアコンが全然効いてない」
清徳さんがぶつぶつと文句を言い始めました。朝に比べて明らかに不機嫌です。きっと暑いせいですね。確かに車内は暑いですが、これから涼しくなりますよ。
「エアコンかけてるんだろうな」
「清徳さんがいつも乗られるお車は、清徳さんが快適でいられるように車内の温度もちゃんと管理されているのかもしれませんけど、この車は社用車です」
私は、後部座席でふんぞり返っていう清徳さんをミラー越しにちらりと見ていってやりました。青木さんは疲れているのに、運転をしてくれているんですからね。
「そういう君だって、いつもそういう車に...」
清徳さんが杉さんのいる前で変なことを言い始めましたので、きっとにらみつけてやりました。私と目が合った清徳さんは、さすがにこの状況を理解したようで慌てて口を閉ざしました。でもその様子を杉さんにばっちりみられていました。
「柳さんと清徳さんてお知合いですか?」
杉さんは、どうやら私と清徳さんのやり取りに疑問を持ったようです。こわごわ清徳さんの方を向いて聞きました。私に聞くんじゃないんですね。杉さん。
「いえ。ぜんぜん初対面です。そうですよね?」
「...ああ。そうだ」
清徳さんが私の声の中に怒りを感じたのか、杉さんに答えました。でもどう見てもミラーを通して私の顔色を窺っていませんか? そんな時です。
「コンビニに着きましたよ」
気が付けばコンビニの駐車場に着いていました。私と青木さんは、時間がもったいないとばかりに車から降りコンビニに向かいました。後ろからは、杉さんと清徳さんも私たちに遅れまいとばかりに急いでやってきます。
私と青木さんは、いつものようにさっさと選んでレジに向かいました。そのあとを杉さんも追ってきました。
私たちが会計をし終わって出口に向かう時にちらりと店内を見れば、かごを持ってじっと棚を食い入るように見つめている清徳さんの姿がありました。
私と青木さんはつい顔を見合わせてしまいました。
「もしかしてコンビニって初めてじゃない?」
清徳さんの様子を見た杉さんがつぶやきました。確かに清徳さんがコンビニ行きつけとは思えませんね。
「荷物持ってるよ」
青木さんはそういって手を出し、私が買ったコンビニの袋を預かってくれました。
私は急いで清徳さんのところに向かいます。
「決まりました?」
まだ棚をじっと見つめている清徳さんに声をかけました。ちなみに清徳さんがじっと見ていたのは、カップラーメンの棚です。
「今日は暑いですから、カップラーメンはちょっと」
「これお湯を入れるんだろう? 確かに今日は暑いな」
清徳さんは知ってるぞとばかりにどや顔で私に言ってきました。あなた、今から食べる昼食を選んでるんじゃあなかったんですか? 興味本位で見ていたんですね。
「お昼はパンにしますか? それともお弁当ですか?」
「そうだなあ。パンがいいかな。塩味の利いた生ハムがサンドされた...」
「じゃあこちらです」
私は話し始めた清徳さんの話をぶった切って売り場に案内しました。途中で話を折られた清徳さんは、ちょっとむっとしていましたが、私が「時間がありませんので」いったせいかしぶしぶ従いました。
「ここです。何にしますか?」
「そうだなあ...」
先ほどの棚の時と同様、清徳さんはまた棚を眺め始めました。これではお昼休みが終わってしまいそうです。
「ではサンドイッチでいいですね」
私は先ほどの清徳さんの「パンがいい」発言を思い出して、サンドイッチとそれだけでは足りないといけないので勝手におにぎりを一つ選びました。
「デザートはどうします?」
「そうだなあ...」
デザートの棚に案内するとまた眺めるだけでしたので、私は勝手にアイスコーナーに行ってアイスを人数分買いました。アイスといってもそのままドリンクの様に飲むタイプなので、楽ですよね。それにお金持ちだからアイスぐらいおごってくださいね。
「では会計をお願いします」
私はそういって、かごを清徳さんに押し付けてレジに向かわせました。私はその様子を少し離れたところから見守ることにしました。
清徳さんは、素直にレジに向かいましたが、財布からカードを出して店員さんに向けています。
私は慌てて飛んで行って、カードを奪い取ってついでに清徳さんの財布も奪い取り、薄い財布からお札を出しました。お札は大きいお札しかありませんでしたので、おつりがジャラジャラ戻ってきました。
私は、丁寧にその硬貨をすべて財布の中に入れてあげました。薄いおしゃれな財布がおつりの硬貨でパンパンに膨らんだのを見て、少しだけ愉快な気分になってしまいました。かっこいい薄型財布の影も形もありません。
「あんなところで、ブラックカードは出さないほうがいいですよ」
硬貨でパンパンになった財布を受け取った清徳さんの顔が、苦虫をつぶしたような顔になった時には、これ以上ないほど愉快な気分になりました。ついでにアドバイスもしておきました。
清徳さんは、先ほどレジでブラックカードを出していたんです。さすがにコンビニで出すカードではありませんよね。
「おまたせしました」
出口で待っていた青木さんと杉さんにお詫びを言ってコンビニを出ました。私たちは車で公園に向かいました。清徳さんはといえば、車内で私が勝手に買った袋に入った商品を興味深そうに眺めていました。
やっとお昼ご飯を食べられそうです。
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