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61 大変です
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私と青木さんは、鈴木課長の爆弾発言に思わず顔を見合わせました。隣では、近藤さんと小田係長が固まったままです。
「というわけだから、柳さんと青木さん悪いけど一緒に検針業務をお願いできるかな?」
完全復活した鈴木課長が私たちを見ました。どう見ても目が語っています。お願いだから断らないでねと。いつも検針業務をやっている方々には迷惑をかけたくないでしょうしね。どうみてもあの清徳さんが出来るとは思えませんよね。
「課長、検針業務に来るのはあの御曹司さんだけなんですか?」
いつの間にか復活した近藤さんが鈴木課長に聞いてくれています。
「ああ、そうなんだよ。この前うちに見学に来た人たちも一緒にやるのかと思って確認したんだけど、一人だけだって言ってたよ」
鈴木課長は少し戸惑っているようです。
「そういえば青木君、今度来る方とはお知り合いなの?」
鈴木課長が思い出したかのように青木さんに聞いてきました。近藤さんは、やっとこちらに戻ってきた小田係長と一緒に青木さんを凝視しています。
もう~、清徳さんは何て言ったのでしょうね。青木さんが困ってしまいますよね。あれっ、青木さん全然困った顔をしていませんよ。
「あの方の秘書をやっている者と同級生なんです。たぶん聞いているんでしょうね。以前こちらにお見えになった時にも一緒に来ていたそうなんです。ついこの前、話のついでにちょうどその話題が出たんですよ」
「そうだったんだ。だからか。検針の時には青木君に教えてほしいと言っていたそうだから」
「じゃあ、柳さんはどうしましょう? ねえ柳さんも御曹司と一緒に行動する? そういえば柳さん、あの御曹司の顔を見てないでしょ? 見るだけなら目の保養になりそうだけど。まあ仕事はどうかしらね?」
近藤さんが、鈴木課長に問いながらも私に聞いてきました。きっと私の希望を聞いてくれているんですね。
「でもさ、あの御曹司と一緒じゃあ仕事がはかどりそうもないよね。だって屋外の仕事っていうだけで、ばてそうだよ」
「そうよねえ。しかも8月の検針は暑くてきついのよねえ。今年猛暑だし。でも厚着のほうが虫対策とかで安心だしねえ...」
小田係長が近藤さんと話しています。お二人なんだかやけに嬉しそうですよね。
「その日は柳さんは休んでおく? 御曹司さんに頑張ってもらって楽しなくちゃあね」
そういって近藤さんは、私の方を見てきました。
「そうだなあ。どうしようか? その日の検針は、青木君とあの方二人で回ってもらうとするかな。青木君、柳さんはその日は検針業務お休みでいいよね」
「はい。わかりました」
鈴木課長が青木さんに確認しています。いいんですか? まあ私としても清徳さんと特に会いたくないですし、近藤さんや小田係長が言ってたように仕事がはかどりそうにもないですしね。青木さん、よろしくお願いしますね。
鈴木課長は、青木さんに確認をとったところでもう一度部屋を出ていきました。たぶん報告をしに行ったのでしょうね。
もう一件落着とばかりに鈴木課長を除く私たち四人は、まったりとコーヒーを楽しむことにしました。
「青木君、子守も大変ね。頑張ってね」
「いろいろ仕事させてあげればいいんだよ。なんなら一番大変そうなところを回ったらどう?」
「そうですね」
近藤さんは青木さんをねぎらっていますが、小田係長はアドバイスというよりも半分面白がっていますね。青木さんもまんざらではなさそうですよ。
私たちが笑いあっていると、鈴木課長が息を切らせて部屋に戻ってきました。
「悪い。検針には、杉さんも行くことになったから、柳さん悪いけど検針業務一緒にお願いできるかな?」
「杉さんもですか? これまたどうして?」
鈴木課長の口から杉さんという言葉が出て私たちはびっくりしました。近藤さんも思わずといった風で鈴木課長に聞いています。
「先方が言ってきたそうなんだよ。杉さんに確認をとったら、本人も検針業務をやるってことになってね。なんでだろうねえ」
鈴木課長が、またまた深いため息をついています。
「杉さんも一緒なんて、また大変ねえ。その日は検針業務がはかどりそうもないわね。柳さんファイト!」
近藤さんが、私に少し憐みのまなざしを向けて励ましてくれました。確かにあの二人が参加なら、四人で一緒に回るより二人ずつ組んで回った方が効率がいいですよね。でもまだやってもいないのになんだか疲れてきました。青木さんも同じ思いだったのか、なんだかぐったりしています。
「どうして杉さんが出てきたんだろうね」
小田係長は、げんなりした顔をしている私と青木さんの方を見て不思議な顔をしています。
「まあ杉さんもお嬢様だから、御曹司がやるって聞いてやりたくなったんじゃあない?」
「いやあ、先方からの要望だそうだよ」
「鈴木課長、そうなんですか? じゃあ御曹司は杉さんに会いたいがために来るのかしら。そして検針業務を一緒にやることで愛をはぐくもうとしているのかしら?」
鈴木課長の話を聞いて、近藤さんが鼻息も荒く一人妄想にふけっています。
「もしそうならあの御曹司見る目ないよな」
小田係長がぽろっといった発言に鈴木課長が小さくうなづいています。青木さんはなぜかこちらを見ています。違いますよ。私は、清徳さんに何も言っていませんからね。それに私はもう清徳さんのこと何とも思っていませんからね。
それにしても杉さんと清徳さんはどこで知り合ったんでしょうね。世の中は思ったよりも狭いですね。
「というわけだから、柳さんと青木さん悪いけど一緒に検針業務をお願いできるかな?」
完全復活した鈴木課長が私たちを見ました。どう見ても目が語っています。お願いだから断らないでねと。いつも検針業務をやっている方々には迷惑をかけたくないでしょうしね。どうみてもあの清徳さんが出来るとは思えませんよね。
「課長、検針業務に来るのはあの御曹司さんだけなんですか?」
いつの間にか復活した近藤さんが鈴木課長に聞いてくれています。
「ああ、そうなんだよ。この前うちに見学に来た人たちも一緒にやるのかと思って確認したんだけど、一人だけだって言ってたよ」
鈴木課長は少し戸惑っているようです。
「そういえば青木君、今度来る方とはお知り合いなの?」
鈴木課長が思い出したかのように青木さんに聞いてきました。近藤さんは、やっとこちらに戻ってきた小田係長と一緒に青木さんを凝視しています。
もう~、清徳さんは何て言ったのでしょうね。青木さんが困ってしまいますよね。あれっ、青木さん全然困った顔をしていませんよ。
「あの方の秘書をやっている者と同級生なんです。たぶん聞いているんでしょうね。以前こちらにお見えになった時にも一緒に来ていたそうなんです。ついこの前、話のついでにちょうどその話題が出たんですよ」
「そうだったんだ。だからか。検針の時には青木君に教えてほしいと言っていたそうだから」
「じゃあ、柳さんはどうしましょう? ねえ柳さんも御曹司と一緒に行動する? そういえば柳さん、あの御曹司の顔を見てないでしょ? 見るだけなら目の保養になりそうだけど。まあ仕事はどうかしらね?」
近藤さんが、鈴木課長に問いながらも私に聞いてきました。きっと私の希望を聞いてくれているんですね。
「でもさ、あの御曹司と一緒じゃあ仕事がはかどりそうもないよね。だって屋外の仕事っていうだけで、ばてそうだよ」
「そうよねえ。しかも8月の検針は暑くてきついのよねえ。今年猛暑だし。でも厚着のほうが虫対策とかで安心だしねえ...」
小田係長が近藤さんと話しています。お二人なんだかやけに嬉しそうですよね。
「その日は柳さんは休んでおく? 御曹司さんに頑張ってもらって楽しなくちゃあね」
そういって近藤さんは、私の方を見てきました。
「そうだなあ。どうしようか? その日の検針は、青木君とあの方二人で回ってもらうとするかな。青木君、柳さんはその日は検針業務お休みでいいよね」
「はい。わかりました」
鈴木課長が青木さんに確認しています。いいんですか? まあ私としても清徳さんと特に会いたくないですし、近藤さんや小田係長が言ってたように仕事がはかどりそうにもないですしね。青木さん、よろしくお願いしますね。
鈴木課長は、青木さんに確認をとったところでもう一度部屋を出ていきました。たぶん報告をしに行ったのでしょうね。
もう一件落着とばかりに鈴木課長を除く私たち四人は、まったりとコーヒーを楽しむことにしました。
「青木君、子守も大変ね。頑張ってね」
「いろいろ仕事させてあげればいいんだよ。なんなら一番大変そうなところを回ったらどう?」
「そうですね」
近藤さんは青木さんをねぎらっていますが、小田係長はアドバイスというよりも半分面白がっていますね。青木さんもまんざらではなさそうですよ。
私たちが笑いあっていると、鈴木課長が息を切らせて部屋に戻ってきました。
「悪い。検針には、杉さんも行くことになったから、柳さん悪いけど検針業務一緒にお願いできるかな?」
「杉さんもですか? これまたどうして?」
鈴木課長の口から杉さんという言葉が出て私たちはびっくりしました。近藤さんも思わずといった風で鈴木課長に聞いています。
「先方が言ってきたそうなんだよ。杉さんに確認をとったら、本人も検針業務をやるってことになってね。なんでだろうねえ」
鈴木課長が、またまた深いため息をついています。
「杉さんも一緒なんて、また大変ねえ。その日は検針業務がはかどりそうもないわね。柳さんファイト!」
近藤さんが、私に少し憐みのまなざしを向けて励ましてくれました。確かにあの二人が参加なら、四人で一緒に回るより二人ずつ組んで回った方が効率がいいですよね。でもまだやってもいないのになんだか疲れてきました。青木さんも同じ思いだったのか、なんだかぐったりしています。
「どうして杉さんが出てきたんだろうね」
小田係長は、げんなりした顔をしている私と青木さんの方を見て不思議な顔をしています。
「まあ杉さんもお嬢様だから、御曹司がやるって聞いてやりたくなったんじゃあない?」
「いやあ、先方からの要望だそうだよ」
「鈴木課長、そうなんですか? じゃあ御曹司は杉さんに会いたいがために来るのかしら。そして検針業務を一緒にやることで愛をはぐくもうとしているのかしら?」
鈴木課長の話を聞いて、近藤さんが鼻息も荒く一人妄想にふけっています。
「もしそうならあの御曹司見る目ないよな」
小田係長がぽろっといった発言に鈴木課長が小さくうなづいています。青木さんはなぜかこちらを見ています。違いますよ。私は、清徳さんに何も言っていませんからね。それに私はもう清徳さんのこと何とも思っていませんからね。
それにしても杉さんと清徳さんはどこで知り合ったんでしょうね。世の中は思ったよりも狭いですね。
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