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44 おいしくいただきました
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急遽しつらえられたミニバイキング会場で、私と青木さんはスイーツをいただきました。もちろん座ったままです。前世でのバイキングは、取りに行った気がするのですが不思議ですね。
ここでは指で示すだけであ~ら不思議、目の前のお皿にすぐにスイーツがやってきます。当初の予定のように青木さんとスイーツを半分こ計画はできそうにありません。
パンケーキは、目の前ですぐに焼いていただきました。フルーツやアイスクリームのトッピング付きですよ。焼きたてはおいしいですね~。アイスクリームもコクがありますよ。
甘いもの好きな青木さんですが、見ただけでお腹一杯になってしまったのでしょうか。ケーキよりサンドイッチに夢中です。サンドイッチもバリエーショにとんでいます。ビーフサンドやカツサンドもありますね。がっつり好きな青木さんは、嬉しそうです。
ひとしきり食べた後、飲み物をお願いしました。二人ともコーヒーをいただきます。途中、紅茶などもいただきましたが、やっぱり締めはおいしいコーヒーですよね。
いつの間にか現れたサイフォンで淹れたコーヒーは、手間をかけた分よりおいしく感じました。
「おかわりが必要でしたらすぐに申し付けくださいませ。私共あちらにおりますので」
係りの人がそういって、カートを押して出ていきました。見ると、少し離れたところに待機してくれていますね。でも私は、もうお腹がパンパンでもう飲めそうにありません。青木さんは飲んでくださいね。
「青木さん、昨日のお借りしたお金です。ありがとうございました」
係りの人が目の前にいなくなったので、さっそく昨日お借りした分のお金を入れた封筒を、青木さんに渡しました。
「いや。いつでもよかったのに」
「いえ。昨日は本当に助かりました」
私は、そういいながらもさっきまでのちょっと不思議なスイーツバイキングについて、なんて説明しようかと考えていました。きっと聞かれますよね。あんなスイーツバイキングなんてなかなかありませんもんね。わたしは、つい身構えてしまいました。ところがです。
「今日は、サンドイッチがおいしかったよ。ケーキはどれがおいしかった?」
「そうですね~。やっぱり焼きたてのパンケーキは最高でした。アツアツのパンケーキの上に冷たいアイスクリーム。新鮮なフルーツもすべてがマッチしていました!」
青木さんは、先ほどの摩訶不思議なスイーツバイキングについて何も聞いてきません。それどころか、食べたスイーツについて聞いてきました。私は少し負い目があるせいか、まるで食べ物を紹介する番組のナレーターになったかのようにしゃべりまくりました。私がにまにまして話したのがおかしかったのか、青木さんも顔を少し崩しています。
ひとしきり私が感想を話してしまった後です。
「いつもは、休みの日って何しているの?」
「仕事を始めてからは、だらだらしちゃってます」
そうなのです。仕事を始めてからは休日は予定がない限りだらだらしています。予定といってもあるのは、家がらみのパーティーだけですが。前世の記憶が戻る前は、よくエステとか、エステとか行っていました。行っていたのは、自分を磨くためのエステだけでしたね。まあ磨くといっても外側だけでしたが。ちゃんと中身もいろいろな意味で磨いておくべきでしたね。ああ、今からでも遅くないですね。休日だらだらしていてばかりじゃあいけません。私が心の中でうだうだ考えていた時です。聞いてきた割には、黙り込んでいた青木さんが急に真顔になりました。
「今からこの後予定ある?」
「えっ、ないです」
ないですよ。さっきも言った通り、最近いつも休みの日にはだらだらしていましたからね。
「じゃあ、今から美術館に行かない? ちょうどもらった企画展の券があるんだ」
「いいですね~。どこですか?」
青木さんは、企画展の券を私に見せてくれました。二枚ありますね。ちょうど中身を磨くのにいいですね。しかもこのホテルから近いです。歩いても行けそうです。私の顔が思わずほころんだのを見たからでしょう。青木さんもさっきまでの真顔が急に破顔しました。
「じゃあ行こうか」
「はい」
二人勢いよく席を立ちました。席には何も置いてありませんね。会計は名前を言えばいいのでしょうか。まあ行ってみればいいですね。
私が先に立って、会計のカウンターに向かいます。
受付の方は、まだ私の顔を覚えていてくださいました。
「柳様ですね」
「はい」
受付の方が、金額の書かれた注文票を出してくれました。あらっ、摩訶不思議なバイキングでしたが、ずいぶんお安いですよ。普通のバイキング料金ではないですか? 私がお財布を出すと、後ろにいたはずの青木さんが、さっと私の横に並んでカードを出しました。
「これでお願いします」
「青木さん。ここは私が」
「いや。いいよ。お願いします」
「はい。かしこまりました」
受付の方は、私と青木さんの顔を見比べていましたが、青木さんの了承を得てカードを手に取りました。結局青木さんに出させてしまいました。
「「「「ありがとうございました」」」」
会計が済むと、いつの間にかやってきていた係りの方々にお見送りされてしまいました。その中の係りの一人の方が、エレベーターの前まで来てくださいました。恥ずかしいですね。私も青木さんも二人でお辞儀をしてエレベーターに乗り込みました。青木さんは普通にしてくれていますが、やっぱり何か話したほうがいいでしょうか。あまりに変ですよね。でもどんな理由を言えばいいですかね。
それよりまずごちそうになったお礼を言わないといけません。
「ありがとうございました」
「いや、いいよ」
私が一人心の中で悶々と言葉を考えている間に、エレベーターは一階のロビーについてしまいました。
「青木さん、ちょっと失礼しますね」
「ああ、座って待っているね」
青木さんは、ロビーの椅子に腰かけて待っていてくれるようです。私は急いで、化粧室に向かいました。
化粧も少しだけお直しして、座っている青木さんのところに向かった時です。
「拓弥じゃないか」
そういって青木さんのところに歩いて行ったのは、私のよく知っている人物でした。
ここでは指で示すだけであ~ら不思議、目の前のお皿にすぐにスイーツがやってきます。当初の予定のように青木さんとスイーツを半分こ計画はできそうにありません。
パンケーキは、目の前ですぐに焼いていただきました。フルーツやアイスクリームのトッピング付きですよ。焼きたてはおいしいですね~。アイスクリームもコクがありますよ。
甘いもの好きな青木さんですが、見ただけでお腹一杯になってしまったのでしょうか。ケーキよりサンドイッチに夢中です。サンドイッチもバリエーショにとんでいます。ビーフサンドやカツサンドもありますね。がっつり好きな青木さんは、嬉しそうです。
ひとしきり食べた後、飲み物をお願いしました。二人ともコーヒーをいただきます。途中、紅茶などもいただきましたが、やっぱり締めはおいしいコーヒーですよね。
いつの間にか現れたサイフォンで淹れたコーヒーは、手間をかけた分よりおいしく感じました。
「おかわりが必要でしたらすぐに申し付けくださいませ。私共あちらにおりますので」
係りの人がそういって、カートを押して出ていきました。見ると、少し離れたところに待機してくれていますね。でも私は、もうお腹がパンパンでもう飲めそうにありません。青木さんは飲んでくださいね。
「青木さん、昨日のお借りしたお金です。ありがとうございました」
係りの人が目の前にいなくなったので、さっそく昨日お借りした分のお金を入れた封筒を、青木さんに渡しました。
「いや。いつでもよかったのに」
「いえ。昨日は本当に助かりました」
私は、そういいながらもさっきまでのちょっと不思議なスイーツバイキングについて、なんて説明しようかと考えていました。きっと聞かれますよね。あんなスイーツバイキングなんてなかなかありませんもんね。わたしは、つい身構えてしまいました。ところがです。
「今日は、サンドイッチがおいしかったよ。ケーキはどれがおいしかった?」
「そうですね~。やっぱり焼きたてのパンケーキは最高でした。アツアツのパンケーキの上に冷たいアイスクリーム。新鮮なフルーツもすべてがマッチしていました!」
青木さんは、先ほどの摩訶不思議なスイーツバイキングについて何も聞いてきません。それどころか、食べたスイーツについて聞いてきました。私は少し負い目があるせいか、まるで食べ物を紹介する番組のナレーターになったかのようにしゃべりまくりました。私がにまにまして話したのがおかしかったのか、青木さんも顔を少し崩しています。
ひとしきり私が感想を話してしまった後です。
「いつもは、休みの日って何しているの?」
「仕事を始めてからは、だらだらしちゃってます」
そうなのです。仕事を始めてからは休日は予定がない限りだらだらしています。予定といってもあるのは、家がらみのパーティーだけですが。前世の記憶が戻る前は、よくエステとか、エステとか行っていました。行っていたのは、自分を磨くためのエステだけでしたね。まあ磨くといっても外側だけでしたが。ちゃんと中身もいろいろな意味で磨いておくべきでしたね。ああ、今からでも遅くないですね。休日だらだらしていてばかりじゃあいけません。私が心の中でうだうだ考えていた時です。聞いてきた割には、黙り込んでいた青木さんが急に真顔になりました。
「今からこの後予定ある?」
「えっ、ないです」
ないですよ。さっきも言った通り、最近いつも休みの日にはだらだらしていましたからね。
「じゃあ、今から美術館に行かない? ちょうどもらった企画展の券があるんだ」
「いいですね~。どこですか?」
青木さんは、企画展の券を私に見せてくれました。二枚ありますね。ちょうど中身を磨くのにいいですね。しかもこのホテルから近いです。歩いても行けそうです。私の顔が思わずほころんだのを見たからでしょう。青木さんもさっきまでの真顔が急に破顔しました。
「じゃあ行こうか」
「はい」
二人勢いよく席を立ちました。席には何も置いてありませんね。会計は名前を言えばいいのでしょうか。まあ行ってみればいいですね。
私が先に立って、会計のカウンターに向かいます。
受付の方は、まだ私の顔を覚えていてくださいました。
「柳様ですね」
「はい」
受付の方が、金額の書かれた注文票を出してくれました。あらっ、摩訶不思議なバイキングでしたが、ずいぶんお安いですよ。普通のバイキング料金ではないですか? 私がお財布を出すと、後ろにいたはずの青木さんが、さっと私の横に並んでカードを出しました。
「これでお願いします」
「青木さん。ここは私が」
「いや。いいよ。お願いします」
「はい。かしこまりました」
受付の方は、私と青木さんの顔を見比べていましたが、青木さんの了承を得てカードを手に取りました。結局青木さんに出させてしまいました。
「「「「ありがとうございました」」」」
会計が済むと、いつの間にかやってきていた係りの方々にお見送りされてしまいました。その中の係りの一人の方が、エレベーターの前まで来てくださいました。恥ずかしいですね。私も青木さんも二人でお辞儀をしてエレベーターに乗り込みました。青木さんは普通にしてくれていますが、やっぱり何か話したほうがいいでしょうか。あまりに変ですよね。でもどんな理由を言えばいいですかね。
それよりまずごちそうになったお礼を言わないといけません。
「ありがとうございました」
「いや、いいよ」
私が一人心の中で悶々と言葉を考えている間に、エレベーターは一階のロビーについてしまいました。
「青木さん、ちょっと失礼しますね」
「ああ、座って待っているね」
青木さんは、ロビーの椅子に腰かけて待っていてくれるようです。私は急いで、化粧室に向かいました。
化粧も少しだけお直しして、座っている青木さんのところに向かった時です。
「拓弥じゃないか」
そういって青木さんのところに歩いて行ったのは、私のよく知っている人物でした。
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