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34 コンビニに寄ります
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「青木さん、すみません。和久田さんの家に行く前にコンビニに寄っていいですか?」
「ああ。ちょうどあそこにあるけど、あそこでいい?」
「はい。ありがとうございます」
青木さんがコンビニに行ってくれました。青木さんも中に入るというので、一緒にコンビニに行きました。私は、急いでかごの中にめぼしいものを入れていきました。
青木さんは、お菓子と飲み物を買っていました。
車に戻ると青木さんが、私が抱えているレジ袋を興味深そうに見ています。結構買ってしまいましたしね。
「それって、もしかして和久田さんに?」
「はい。お子さんが風邪だと聞いたので、のど越しの良いものをと思って。あとご自分の食事もままならないでしょうから、少しだけ買いました」
そうなんです。お子さんが風邪だと買い物ひとつ行くのにも大変なんですよね~。見ていてくれる方がいらっしゃるならともかく。そう思ってゼリーやら飲み物やら、ちょっとだけサンドイッチやおにぎりも買いました。あとは、デザートですね。少しでも気分が上向きになればと思ったからです。いくら自分の子どもとはいえ、一日中看病はさすがに疲れますからね。甘いものでほっこりしてもらえたらいいなと思いました。
和久田さんの家は、こぎれいな戸建てのお宅でした。玄関わきにお花の鉢植えもあって、いつもお手入れされているのがわかります。私が玄関のチャイムを鳴らしました。
「はい」
「こんにちは! 柳です。鈴木課長から電話があったと思いますが、検針の機械を取りに来ました」
「あっ、ありがとうございます」
そういって和久田さんは、急いで玄関のドアを開けてくれました。
「すみません。子どもが風邪をひいてしまって。よろしくお願いします」
和久田さんはとても恐縮しながら、機械を渡してきました。申し訳ないという気持ちがありありと出ています。
「いえいえ。じゃあもらっていきます。それとこれ、差し入れです。よかったらどうぞ」
私が先ほど買ったビニール袋を渡すと、和久田さんは一瞬びっくりしながらも受け取ってくれました。そして中をちらりと見ます。
「ありがとうございます。なかなか買い物に行けなくて困っていたんです。子どもがほしがっていて」
どうやら袋に入っているゼリーの事みたいです。そうですよね。熱があると、あまりご飯が食べられないし機嫌が悪いし。でも何か食べさせないといけないし。買い置きなんてそうしていないですしね。ゼリーはつるりんと入りますから、風邪の時にはもってこいなんですよね。気に入っていただけて良かったです。
「では、失礼します。和久田さんもお体に気を付けてくださいね」
「本当にありがとうございます」
和久田さんは、静かに私の後ろに控えていた青木さんにもお礼を言って頭を下げました。
機械を受け取った私たちは、さっそくエリアに向かいました。二か所ありますので、今日と明日でやってしまわないといけませんね。
あいにく雨が降っていたので、車の中でカッパを着込みます。
「地図だと今日は、ここからここまでだな。二つに分かれてやろうか」
「そうですね。でもここは、住宅が集まっていますので、少しは楽そうですね」
「そうだな」
持ってきた地図をポケットに入れて、車を出ました。先ほどより雨がひどくなっています。カッパに打ち付ける雨の音が耳に響きます。
さっそく機械が濡れないように注意しながら検針を始めます。何軒かで植木鉢がボックスの上に置いてある家がありました。丁寧にどかします。またあるお宅では、ボックスまでのところに草がいっぱい生えていました。かえってカッパを着ていてよかったと思うほどでした。またあるお宅では、車のタイヤがボックスの上にのっていました。仕方ありません。家のチャイムを鳴らします。
「水道の検針に伺いました。申し訳ありませんが、ボックスの上に車のタイヤがのっていますので、どかしていただいてもよろしいでしょうか?」
「悪かったわね~」
そういって快くどかしていただけるおうちがほとんどですが、中には舌打ちをされて、ほんの少しだけしかどかしてくれないおうちもあります。これじゃあボックスの扉が開けませんよ。もう少しだけすみませんがとお願いすると、また舌打ちされました。それでもどかしてくれたのはほんの少しだけでしたので、体を這いつくばらせてやっとのことで数字を打ちました。
そんなことが何軒かあって、いろいろな疲れが出てきた時です。
「こんにちは」
あるお宅に検針に入った時です。ちょうど出かけるのか車に乗り込む女性がいました。
「ご苦労様。あらっ、いつもの人じゃあないのね」
「はい。今回だけ代わりに来ました」
「そうなの。よかったわ。あの方とても親切なのよね。前に荷物をいっぱい持っていたら一緒に持ってくれて、玄関まで運んでくれたのよ。あの時には本当に助かったわ~。また待ってるからといっておいてね」
「はい」
私は、とても嬉しくなりました。こういうことがあると検針が楽しくなりそうですね。ほかのお宅でも何軒かの方に言われて、和久田さんの丁寧な仕事ぶりを感じることが出来て私もうれしくなりました。
午前中のノルマが終わって車に戻ると、ちょうど青木さんも戻ってくるところでした。
「今日は、疲れたな」
「はい。そうですね」
カッパを脱いで、車に乗り込みます。青木さんも私同様疲れがにじみ出ています。今からお昼を食べて英気を養いましょうね。
「ああ。ちょうどあそこにあるけど、あそこでいい?」
「はい。ありがとうございます」
青木さんがコンビニに行ってくれました。青木さんも中に入るというので、一緒にコンビニに行きました。私は、急いでかごの中にめぼしいものを入れていきました。
青木さんは、お菓子と飲み物を買っていました。
車に戻ると青木さんが、私が抱えているレジ袋を興味深そうに見ています。結構買ってしまいましたしね。
「それって、もしかして和久田さんに?」
「はい。お子さんが風邪だと聞いたので、のど越しの良いものをと思って。あとご自分の食事もままならないでしょうから、少しだけ買いました」
そうなんです。お子さんが風邪だと買い物ひとつ行くのにも大変なんですよね~。見ていてくれる方がいらっしゃるならともかく。そう思ってゼリーやら飲み物やら、ちょっとだけサンドイッチやおにぎりも買いました。あとは、デザートですね。少しでも気分が上向きになればと思ったからです。いくら自分の子どもとはいえ、一日中看病はさすがに疲れますからね。甘いものでほっこりしてもらえたらいいなと思いました。
和久田さんの家は、こぎれいな戸建てのお宅でした。玄関わきにお花の鉢植えもあって、いつもお手入れされているのがわかります。私が玄関のチャイムを鳴らしました。
「はい」
「こんにちは! 柳です。鈴木課長から電話があったと思いますが、検針の機械を取りに来ました」
「あっ、ありがとうございます」
そういって和久田さんは、急いで玄関のドアを開けてくれました。
「すみません。子どもが風邪をひいてしまって。よろしくお願いします」
和久田さんはとても恐縮しながら、機械を渡してきました。申し訳ないという気持ちがありありと出ています。
「いえいえ。じゃあもらっていきます。それとこれ、差し入れです。よかったらどうぞ」
私が先ほど買ったビニール袋を渡すと、和久田さんは一瞬びっくりしながらも受け取ってくれました。そして中をちらりと見ます。
「ありがとうございます。なかなか買い物に行けなくて困っていたんです。子どもがほしがっていて」
どうやら袋に入っているゼリーの事みたいです。そうですよね。熱があると、あまりご飯が食べられないし機嫌が悪いし。でも何か食べさせないといけないし。買い置きなんてそうしていないですしね。ゼリーはつるりんと入りますから、風邪の時にはもってこいなんですよね。気に入っていただけて良かったです。
「では、失礼します。和久田さんもお体に気を付けてくださいね」
「本当にありがとうございます」
和久田さんは、静かに私の後ろに控えていた青木さんにもお礼を言って頭を下げました。
機械を受け取った私たちは、さっそくエリアに向かいました。二か所ありますので、今日と明日でやってしまわないといけませんね。
あいにく雨が降っていたので、車の中でカッパを着込みます。
「地図だと今日は、ここからここまでだな。二つに分かれてやろうか」
「そうですね。でもここは、住宅が集まっていますので、少しは楽そうですね」
「そうだな」
持ってきた地図をポケットに入れて、車を出ました。先ほどより雨がひどくなっています。カッパに打ち付ける雨の音が耳に響きます。
さっそく機械が濡れないように注意しながら検針を始めます。何軒かで植木鉢がボックスの上に置いてある家がありました。丁寧にどかします。またあるお宅では、ボックスまでのところに草がいっぱい生えていました。かえってカッパを着ていてよかったと思うほどでした。またあるお宅では、車のタイヤがボックスの上にのっていました。仕方ありません。家のチャイムを鳴らします。
「水道の検針に伺いました。申し訳ありませんが、ボックスの上に車のタイヤがのっていますので、どかしていただいてもよろしいでしょうか?」
「悪かったわね~」
そういって快くどかしていただけるおうちがほとんどですが、中には舌打ちをされて、ほんの少しだけしかどかしてくれないおうちもあります。これじゃあボックスの扉が開けませんよ。もう少しだけすみませんがとお願いすると、また舌打ちされました。それでもどかしてくれたのはほんの少しだけでしたので、体を這いつくばらせてやっとのことで数字を打ちました。
そんなことが何軒かあって、いろいろな疲れが出てきた時です。
「こんにちは」
あるお宅に検針に入った時です。ちょうど出かけるのか車に乗り込む女性がいました。
「ご苦労様。あらっ、いつもの人じゃあないのね」
「はい。今回だけ代わりに来ました」
「そうなの。よかったわ。あの方とても親切なのよね。前に荷物をいっぱい持っていたら一緒に持ってくれて、玄関まで運んでくれたのよ。あの時には本当に助かったわ~。また待ってるからといっておいてね」
「はい」
私は、とても嬉しくなりました。こういうことがあると検針が楽しくなりそうですね。ほかのお宅でも何軒かの方に言われて、和久田さんの丁寧な仕事ぶりを感じることが出来て私もうれしくなりました。
午前中のノルマが終わって車に戻ると、ちょうど青木さんも戻ってくるところでした。
「今日は、疲れたな」
「はい。そうですね」
カッパを脱いで、車に乗り込みます。青木さんも私同様疲れがにじみ出ています。今からお昼を食べて英気を養いましょうね。
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