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lll.騒がしさは終わらない
速報1
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試験に向けて長い道のりを走り出した僕だ。大人になってから勉強するのは思ったよりも大変。昔と同じように勉強しているつもりでも、翌日になったら大概のことを忘れている。
参考書は一冊に留まらず。机の上に載せると気が重いから、机の横に紙袋のままで置いてあるんだ。それでもチラッと見るだけで、無理だよ……ってなった。
机に突っ伏して、いけないと思いつつも目を閉じる僕だ。アルゼレアとあんな話やこんな話をして楽しかったなぁと、夢でもみているみたいに幸せに浸れた。欲を言えばもうちょっと距離が近づけたらいいな。
決して過度じゃない男の妄想に胸が苦しくなった。
ベルが鳴る。ハッと意識が戻った時、自分が寝てしまっていたんだと気付いた。玄関の方を気にかけるも静かだ。ベルが鳴ったのも夢の中だったのか、と思った時にまたベルは鳴らされた。
「……ジャッジか」
こうなれば無視を決め込もうと、ペンを持ち直して参考書を覗き込む。しかしその間にもベルは数回鳴らされた。
何度目かにして、ジャッジじゃ無いなと思った。しつこく鳴らして来るのはアイツらしいけど、それにしては強引さが足りない。一応は節度というものを持っていそう。……だとしてもうるさいけど。
「はーい。ちょっと待ってください」
大家さんかな? だいぶ遅れたけど扉を開ける。すると……。
「フォルクス・ティナーさんですよね!?」
「わたくし、こういうものです」
「僕の名刺もぜひ!」
大盛り上がりの来客で扉が詰まった。
「うわあっ!? な、なんですか!?」
スーツ姿の男女が大勢。差し出される名刺。向けられるマイクとカメラもある。フラッシュを焚かれるとたちまち目が眩んだ。それでも僕に名刺を受け取って欲しいと懸命に腕を伸ばされていた。
名刺の社名はどれも有名な新聞社やテレビ局。ここだけの騒ぎかと思ったら、玄関に入りきれない人たちがまだ外にも居そうだ。
「フォルクスさん。ベル・アルゼレアさんとの関係があると伺ったのですが」
「え? か、関係!?」
ごった返す中から誰が言葉を投げているのか、もはや分からない。
「以前、六番街のテロ事件で白銀の妙獣との交流を匂わせましたよね!? あの時、妙獣が叫んだ「フォルクス」という名は、あなたで間違いありませんね!?」
「あー。ああ……」
ジャッジが勘違いを起こしていて、助けを求めるために報道陣の前で堂々と僕の名前を叫んでくれた時のことか。その時カメラが僕の顔を一斉に捉えただろう。過去の映像から写真を取り出して今、こうして突きつけられている。
「えーっと。これは僕じゃ……」
「オソードに関しての情報はこちらと一致していますか!?」
弁解もさせる隙が無い。ひとりの男性がすかさず僕に紙を手渡してきた。自然の流れで僕がそれを受け取ったら、彼はチャンスだと思ったのか、ずいっとマイクをあごにぶつけてきた。
「ロウェルディ大臣とアルゼレア氏の関係について感想をお願いします!」
「感想……?」
僕が答えにくいと、別の人が質問を変えてくる。
「白銀の妙獣がアルゼレア氏であるというのは真実でしょうか!」
「ええっ?」
どうなんですか。どうなんですか。どうなんですか。僕への質問は止まらない。ちょっと一旦落ち着いて下さいと叫んだってダメだ。我先に情報を掴みたいと全員鬼のように目を光らせていた。
「ちょ、ちょっと待って下さい! 火……火を付けっぱなしなので消して来ますから!」
玄関でぎゅうぎゅうになっていた人達を一旦外へと追いやった。扉は閉めようにも、カメラマンの足で頑丈に押さえつけられていたから無理だった。
とにかく僕はキッチンの影に身を潜める。さすがに家の中にまでは入ってこないみたいだ。……しかし、なんだ? 何があったっていうんだ。咄嗟に思いついた嘘だから、あんまり待たせておくのも出来ないんだけど。
……窓から逃げる。って言っても結構高層階にある。もちろん扉はひとつなわけで、何をしようにもあそこを通らないと。
考え事をしていたらベルが鳴らされた。「フォルクスさんー」とも呼ばれた。中に入ってこられたら嫌だから、観念して彼らの元へ戻った。
「あ、あの。とにかく、ここで大声を出されると近所にご迷惑なので。一旦下に降りましょう。僕も何のことか分かっていないので、出来たら詳しく教えて頂けたら嬉しいです」
ひとまず通して下さいと、多くの人の間をすり抜けて通る。懸念していた通りに、隣や向かいや上下の階の住人まで、僕の家の騒動に扉を開けていた。その度そちらの人達に対しても「すみません」と頭を下げなくちゃならない。
ようやく階段を降り終えてアスファルトに着地した時。僕は全てを振り切る勢いで駆け出した。
「逃げたぞ!! 追え!!」
なんだかデジャヴみたいだ。僕が逃げるのはもう何度目なんだろう。しかし今回の相手は相当の凄腕。アスタリカ警察よりもしつこくて数が多い。彼らは連携していない分、独自のルートや隠れ場所を持っているらしい。
行くところ行くところで報道者と遭遇し、その度に逃げまくった僕。そうして振り切れたかどうかは謎のまま、ひとつのビルの中に入れた時には相当疲労していた。
僕は厳重な扉をノックするのも忘れて、そのまま社員かのように押し開けて入った。
これで僕は助かったと思ったんだ。だけど予想に反して、この知り合いの出版社は忙しく稼働しているらしい。パーティションの向こうにお客が来たことも気づかないくらいに、電話の対応や社員同士の口論のような会話が止まらない。
しかし外に戻るのも出来なくて。僕はどうしようかと戸惑っていたところ。偶然なのか彼女の通り道だったのか、ここで社長と呼ばれる丸メガネの女性に見つかった。
「あっ」
これは僕の声。そして相手は叫んだ。
「あああああ!!」
怒っているとは言うまでもなく。スリッパでずかずかとやってきたら、僕より小さい背丈でもグッと胸ぐらを掴んで持ち上げる。持ち上がるわけがないけど、それくらいのすごい迫力だ。
「やってくれましたね!! 独占情報だったのに!!」
歯を剥き出して言いつけられた。
「えっ。……えっ?」
睨んでいた社長。だけどさすが彼女は人の嘘と真実を見抜くのが上手かったのか。僕のことを責めまくらないで、それより「来て!!」と、腕を強引に引く。僕はテレビ画面の前に座らされた。
テレビでは速報ニュースが流れていた。
「繰り返しお知らせします。先ほどロウェルディ大臣とベル・アルゼレア氏による緊急会見が行われました。今回のオソードの騒動および数々の珍事件は、全てベル・アルゼレアの計画であることが語られました。さらには一部事件にロウェルディ大臣の関与も認めるということです。送検はこれから行われるものとし、数々の事件は重要性の高い内容も含むことから、二人の有罪はかなり有効であると専門家は述べております。白銀の妙獣の正体が、このベル・アルゼレア氏であるという情報に関しては『お答え出来ない』とあり未だ不明です」
震撼する僕だった。けど、すかさずニュースは別の新しい内容も伝えた。
「ただいま別の速報が入ってまいりました。ベル・アルゼレア氏と共に共謀したとして、次の男を捜索中とのことです。リンガーベル・ジャッジ。推定無職。エリシュの鍵を所持しているとアスタリカ警察は情報を出しました。なお、鍵についてのロウェルディ大臣の発言はまだありません」
繰り返しお知らせします……。と、続く。
アルゼレアの計画? いったい何のことを言っているんだ? 白銀の妙獣は、アルゼレアもロウェルディ大臣もそれぞれ出会っているはずだろう。なのにどうして二人が有罪になるんだよ。
(((次話は明日17時に投稿します
Threads → kusakabe_natsuho
Instagram → kusakabe_natsuho
参考書は一冊に留まらず。机の上に載せると気が重いから、机の横に紙袋のままで置いてあるんだ。それでもチラッと見るだけで、無理だよ……ってなった。
机に突っ伏して、いけないと思いつつも目を閉じる僕だ。アルゼレアとあんな話やこんな話をして楽しかったなぁと、夢でもみているみたいに幸せに浸れた。欲を言えばもうちょっと距離が近づけたらいいな。
決して過度じゃない男の妄想に胸が苦しくなった。
ベルが鳴る。ハッと意識が戻った時、自分が寝てしまっていたんだと気付いた。玄関の方を気にかけるも静かだ。ベルが鳴ったのも夢の中だったのか、と思った時にまたベルは鳴らされた。
「……ジャッジか」
こうなれば無視を決め込もうと、ペンを持ち直して参考書を覗き込む。しかしその間にもベルは数回鳴らされた。
何度目かにして、ジャッジじゃ無いなと思った。しつこく鳴らして来るのはアイツらしいけど、それにしては強引さが足りない。一応は節度というものを持っていそう。……だとしてもうるさいけど。
「はーい。ちょっと待ってください」
大家さんかな? だいぶ遅れたけど扉を開ける。すると……。
「フォルクス・ティナーさんですよね!?」
「わたくし、こういうものです」
「僕の名刺もぜひ!」
大盛り上がりの来客で扉が詰まった。
「うわあっ!? な、なんですか!?」
スーツ姿の男女が大勢。差し出される名刺。向けられるマイクとカメラもある。フラッシュを焚かれるとたちまち目が眩んだ。それでも僕に名刺を受け取って欲しいと懸命に腕を伸ばされていた。
名刺の社名はどれも有名な新聞社やテレビ局。ここだけの騒ぎかと思ったら、玄関に入りきれない人たちがまだ外にも居そうだ。
「フォルクスさん。ベル・アルゼレアさんとの関係があると伺ったのですが」
「え? か、関係!?」
ごった返す中から誰が言葉を投げているのか、もはや分からない。
「以前、六番街のテロ事件で白銀の妙獣との交流を匂わせましたよね!? あの時、妙獣が叫んだ「フォルクス」という名は、あなたで間違いありませんね!?」
「あー。ああ……」
ジャッジが勘違いを起こしていて、助けを求めるために報道陣の前で堂々と僕の名前を叫んでくれた時のことか。その時カメラが僕の顔を一斉に捉えただろう。過去の映像から写真を取り出して今、こうして突きつけられている。
「えーっと。これは僕じゃ……」
「オソードに関しての情報はこちらと一致していますか!?」
弁解もさせる隙が無い。ひとりの男性がすかさず僕に紙を手渡してきた。自然の流れで僕がそれを受け取ったら、彼はチャンスだと思ったのか、ずいっとマイクをあごにぶつけてきた。
「ロウェルディ大臣とアルゼレア氏の関係について感想をお願いします!」
「感想……?」
僕が答えにくいと、別の人が質問を変えてくる。
「白銀の妙獣がアルゼレア氏であるというのは真実でしょうか!」
「ええっ?」
どうなんですか。どうなんですか。どうなんですか。僕への質問は止まらない。ちょっと一旦落ち着いて下さいと叫んだってダメだ。我先に情報を掴みたいと全員鬼のように目を光らせていた。
「ちょ、ちょっと待って下さい! 火……火を付けっぱなしなので消して来ますから!」
玄関でぎゅうぎゅうになっていた人達を一旦外へと追いやった。扉は閉めようにも、カメラマンの足で頑丈に押さえつけられていたから無理だった。
とにかく僕はキッチンの影に身を潜める。さすがに家の中にまでは入ってこないみたいだ。……しかし、なんだ? 何があったっていうんだ。咄嗟に思いついた嘘だから、あんまり待たせておくのも出来ないんだけど。
……窓から逃げる。って言っても結構高層階にある。もちろん扉はひとつなわけで、何をしようにもあそこを通らないと。
考え事をしていたらベルが鳴らされた。「フォルクスさんー」とも呼ばれた。中に入ってこられたら嫌だから、観念して彼らの元へ戻った。
「あ、あの。とにかく、ここで大声を出されると近所にご迷惑なので。一旦下に降りましょう。僕も何のことか分かっていないので、出来たら詳しく教えて頂けたら嬉しいです」
ひとまず通して下さいと、多くの人の間をすり抜けて通る。懸念していた通りに、隣や向かいや上下の階の住人まで、僕の家の騒動に扉を開けていた。その度そちらの人達に対しても「すみません」と頭を下げなくちゃならない。
ようやく階段を降り終えてアスファルトに着地した時。僕は全てを振り切る勢いで駆け出した。
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「あっ」
これは僕の声。そして相手は叫んだ。
「あああああ!!」
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テレビでは速報ニュースが流れていた。
「繰り返しお知らせします。先ほどロウェルディ大臣とベル・アルゼレア氏による緊急会見が行われました。今回のオソードの騒動および数々の珍事件は、全てベル・アルゼレアの計画であることが語られました。さらには一部事件にロウェルディ大臣の関与も認めるということです。送検はこれから行われるものとし、数々の事件は重要性の高い内容も含むことから、二人の有罪はかなり有効であると専門家は述べております。白銀の妙獣の正体が、このベル・アルゼレア氏であるという情報に関しては『お答え出来ない』とあり未だ不明です」
震撼する僕だった。けど、すかさずニュースは別の新しい内容も伝えた。
「ただいま別の速報が入ってまいりました。ベル・アルゼレア氏と共に共謀したとして、次の男を捜索中とのことです。リンガーベル・ジャッジ。推定無職。エリシュの鍵を所持しているとアスタリカ警察は情報を出しました。なお、鍵についてのロウェルディ大臣の発言はまだありません」
繰り返しお知らせします……。と、続く。
アルゼレアの計画? いったい何のことを言っているんだ? 白銀の妙獣は、アルゼレアもロウェルディ大臣もそれぞれ出会っているはずだろう。なのにどうして二人が有罪になるんだよ。
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