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II.停戦期間が終わる
宣誓の言葉1
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アスタリカ政府とエルサ教会が手を取り合うという記事より数週間後のことだ。
歩み寄りに歓喜した人たちも、そうで無い人たちも、次の発表には震撼しただろう。
僕の身の回りだけで起こったことと言えば、行きつけにしていたカフェが店を閉じた。最後にマスターを見た日が、ちょうどラジオで速報ニュースが流れた時だった。番組の途中に組み込まれたアナウンサーの低い声。ロウェルディ大臣からの文章を読み上げますと始めた。
「吉日。ついにこの地の英雄を決定する戦いを行う」
出だしはこんな感じ。だから大体の人は、何のことだろう? と、首を傾げたと思う。何かスポーツ大会でも催すのかなと、胸を踊らせて続きを聞こうとした人も大勢いたかもしれない。でも、僕だけが違うと予想した。
ケーキをすくっている場合じゃない。カフェのボックス席でたむろしていた若者が面白がって「ボリュームを上げてくれ」と伝える。マスターはその通り音量のつまみを回した。
「アスタリカ帝国、セルジオ王国、そしてエシュ神都。この三つの柱はまるで世界が異なる。我々は共に歩む道を模索し120年間の期間を過ごしたが、残念ながらそれは叶わないと判断した。よって次の日時に、三国は再戦の宣誓を交わすことにする」
これにて「以上です」と、アナウンサーの言葉で締めくくられた。当然カフェは静かだった。
評論家の意見を聞く前に、アナウンサーはもう一度内容を繰り返し伝えると言う。同じ文言を聞かされてマスターはカップを持ったまま。拭くも仕舞うも忘れていた。
……そして次の日にはカフェは閉店。マスターと会うことは叶わない。それどころか街の様子も当たり前だけど一変してしまう。
テレビとラジオは、ドラマもバラエティーも取り上げて毎日ニュース速報だ。新しい情報が次々に明るみになりアスタリカ住民は混乱していた。
そして僕も情報の餌食になったひとり。この話題は、電車に乗っても、外食をしても、道を歩いているだけでも誰かのポケットラジオが嫌でも教えてくれる。
「セルジオ王国は、あの最悪の化学者スティラン・トリスを兵器開発の責任者に付けた。なお、スティラン・トリスを開発部に推薦したのは、かつて鋼とも言われたやり手のエリート軍兵、マーカス・トワイラーンである。近日に死亡したセルジオ王国元王ラルフエッドを手に掛けたのも、彼が主犯では無いかと論争が未だ絶えない。何故なら彼の分野が殺害と暗殺に長けているからだ」
恐ろしいことを毎日耳にする。だけど真実がどうなのか分かるすべも無いわけで。
だとすると僕らに出来ることは戦争を止めることになるだろう。重たいプラカードを持って行進するだけで、どれくらいの思いがロウェルディ大臣に届くのかは正直分からないけど。でも祈っているだけじゃ確実に伝わらない。
「あれが、みりつのおりー?」
好奇心で声を出す子供は、たちまち親にすくい上げられてこの場を離れた。アスタリカの大きな病院。その空調の効いたロビーにて、大型スクリーンの前に多くの人が集まっていた。画面ではちょうど三立の檻が紹介されている。
街に被害を出したくないと、軍人同士の争いは三立の檻で行われる。三立の檻とは、かなり昔に利用していた関所の門跡だ。エシュ神都、カイロニア王国、ベンブルク王国という、かつて栄えていた三つの国の門だったそう。
三つが互いに向かい合っている姿は奇抜で観光地として人気がある。だけどその歴史はかなり暗いものだ。
三国にはびこっていた荒くれ者を追放し、そこに小国を作った。荒くれ者を見放したことで好き勝手やってくれと言っているみたいだけど、実際は王族さんたちが物流の制限をかけるとか、税金を高く設定するとかで、相当苦労させていたみたい。
小国は数年そこらで衰退した。酷い話だとは思うけど、当時の人間からするともっと地獄だっただろうね。そんな暗い経験がある場所だったから、この再戦の地に選ばれたわけだ。
「先生。……先生?」
それが僕に声をかけられているなんて気が付かなくて、肩を叩かれることで僕は振り返る。若い内科の先生だった。
アスタリカに渡ったすぐに生活品販売員として僕がアルバイトをし、当時から親しくされていた人だ。謎に一緒に寒空の下を帰ったことがある。
……あと。何度も言っている。僕のことは「先生」と呼ばれるけど、この病院で医師として働けたことは一回も無い。
「ああ、どうも」
「ついにこの日が来てしまいましたね!」
「は、はあ」
内科先生は何やら試合観戦をするかのような熱気をまとっていた。僕はその温度には合わせられないので、極力目線も外すように心がけていた。
でも一応内科先生は、自分の感情が場違いであることは認識しているみたい。だからこれ以上は僕に耳打ちするようにして話しかけている。
「先生はどの国が勝つと思いますか?」
「えっ。いや、どうかな……」
「予想ですよ。予想。アスタリカって大きな国ですけど、やっぱり鉄壁の国セルジオが戦力ありそうじゃないですか? でもエシュも秘密が多いですよね。なんか、とんでもない未知の武装とかしてきそうじゃないですか?」
不謹慎な話題に困ってしまう。まさか話が聞こえてしまったのか、ご婦人が怪訝そうな顔でこっちを振り返ってきたりした。
「あの、君さ。ちょっと謹んだ方が良いかも」
「あっ! 先生、ロウェルディさんですよ!」
話は聞いてくれなくて。それにしても……大臣のことを「さん」呼び。
カメラに映されているのは、きっちりと髪を撫で付けたロウェルディ大臣。この日はダブルスーツじゃなくアスタリカの軍服を着こなしていた。それとセルジオの新しい王の険しい表情も映された。
エシュの指揮は軍の指揮官が行うのだと報道者が伝えている。なのでトップの顔を見ることはここでも叶わない。
「エシュはまた逃げたんだな」
ロビーにいた人が口々に話すのを小耳に挟んだ。あんまり知らないけどエシュという人は小心者なのかな。
「間もなく三国による宣誓の言葉が始まる時刻になります。そして、私たちが映像をお届けできるのはここまでです!」
報道者は興奮気味に告げた。彼らがルールなんて律儀に守るつもりがあるんだろうか。とは、僕以外の人でも思っているし、実際野次のようなものをモニターに投げつけていた。
撮影はおそらくアスタリカ国土のどこか高い場所から撮っているんだろう。三立の檻がきちんと画面内に全ておさまっていて、言ってしまえば絶景に近かった。ちゃんと三つの門でひとつの区間を分けているのだとよく分かった。
そして三つの門には今、それぞれ国の旗が掲げてある。報道者がその説明をして時間稼ぎをしていると、ついに時間になった。
テレビの中はバックミュージックが消えた。ロビーはそれよりもっと静かになる。
(((次話は明日17時に投稿します
Twitter →kusakabe_write
Instagram →kusakabe_natsuho
歩み寄りに歓喜した人たちも、そうで無い人たちも、次の発表には震撼しただろう。
僕の身の回りだけで起こったことと言えば、行きつけにしていたカフェが店を閉じた。最後にマスターを見た日が、ちょうどラジオで速報ニュースが流れた時だった。番組の途中に組み込まれたアナウンサーの低い声。ロウェルディ大臣からの文章を読み上げますと始めた。
「吉日。ついにこの地の英雄を決定する戦いを行う」
出だしはこんな感じ。だから大体の人は、何のことだろう? と、首を傾げたと思う。何かスポーツ大会でも催すのかなと、胸を踊らせて続きを聞こうとした人も大勢いたかもしれない。でも、僕だけが違うと予想した。
ケーキをすくっている場合じゃない。カフェのボックス席でたむろしていた若者が面白がって「ボリュームを上げてくれ」と伝える。マスターはその通り音量のつまみを回した。
「アスタリカ帝国、セルジオ王国、そしてエシュ神都。この三つの柱はまるで世界が異なる。我々は共に歩む道を模索し120年間の期間を過ごしたが、残念ながらそれは叶わないと判断した。よって次の日時に、三国は再戦の宣誓を交わすことにする」
これにて「以上です」と、アナウンサーの言葉で締めくくられた。当然カフェは静かだった。
評論家の意見を聞く前に、アナウンサーはもう一度内容を繰り返し伝えると言う。同じ文言を聞かされてマスターはカップを持ったまま。拭くも仕舞うも忘れていた。
……そして次の日にはカフェは閉店。マスターと会うことは叶わない。それどころか街の様子も当たり前だけど一変してしまう。
テレビとラジオは、ドラマもバラエティーも取り上げて毎日ニュース速報だ。新しい情報が次々に明るみになりアスタリカ住民は混乱していた。
そして僕も情報の餌食になったひとり。この話題は、電車に乗っても、外食をしても、道を歩いているだけでも誰かのポケットラジオが嫌でも教えてくれる。
「セルジオ王国は、あの最悪の化学者スティラン・トリスを兵器開発の責任者に付けた。なお、スティラン・トリスを開発部に推薦したのは、かつて鋼とも言われたやり手のエリート軍兵、マーカス・トワイラーンである。近日に死亡したセルジオ王国元王ラルフエッドを手に掛けたのも、彼が主犯では無いかと論争が未だ絶えない。何故なら彼の分野が殺害と暗殺に長けているからだ」
恐ろしいことを毎日耳にする。だけど真実がどうなのか分かるすべも無いわけで。
だとすると僕らに出来ることは戦争を止めることになるだろう。重たいプラカードを持って行進するだけで、どれくらいの思いがロウェルディ大臣に届くのかは正直分からないけど。でも祈っているだけじゃ確実に伝わらない。
「あれが、みりつのおりー?」
好奇心で声を出す子供は、たちまち親にすくい上げられてこの場を離れた。アスタリカの大きな病院。その空調の効いたロビーにて、大型スクリーンの前に多くの人が集まっていた。画面ではちょうど三立の檻が紹介されている。
街に被害を出したくないと、軍人同士の争いは三立の檻で行われる。三立の檻とは、かなり昔に利用していた関所の門跡だ。エシュ神都、カイロニア王国、ベンブルク王国という、かつて栄えていた三つの国の門だったそう。
三つが互いに向かい合っている姿は奇抜で観光地として人気がある。だけどその歴史はかなり暗いものだ。
三国にはびこっていた荒くれ者を追放し、そこに小国を作った。荒くれ者を見放したことで好き勝手やってくれと言っているみたいだけど、実際は王族さんたちが物流の制限をかけるとか、税金を高く設定するとかで、相当苦労させていたみたい。
小国は数年そこらで衰退した。酷い話だとは思うけど、当時の人間からするともっと地獄だっただろうね。そんな暗い経験がある場所だったから、この再戦の地に選ばれたわけだ。
「先生。……先生?」
それが僕に声をかけられているなんて気が付かなくて、肩を叩かれることで僕は振り返る。若い内科の先生だった。
アスタリカに渡ったすぐに生活品販売員として僕がアルバイトをし、当時から親しくされていた人だ。謎に一緒に寒空の下を帰ったことがある。
……あと。何度も言っている。僕のことは「先生」と呼ばれるけど、この病院で医師として働けたことは一回も無い。
「ああ、どうも」
「ついにこの日が来てしまいましたね!」
「は、はあ」
内科先生は何やら試合観戦をするかのような熱気をまとっていた。僕はその温度には合わせられないので、極力目線も外すように心がけていた。
でも一応内科先生は、自分の感情が場違いであることは認識しているみたい。だからこれ以上は僕に耳打ちするようにして話しかけている。
「先生はどの国が勝つと思いますか?」
「えっ。いや、どうかな……」
「予想ですよ。予想。アスタリカって大きな国ですけど、やっぱり鉄壁の国セルジオが戦力ありそうじゃないですか? でもエシュも秘密が多いですよね。なんか、とんでもない未知の武装とかしてきそうじゃないですか?」
不謹慎な話題に困ってしまう。まさか話が聞こえてしまったのか、ご婦人が怪訝そうな顔でこっちを振り返ってきたりした。
「あの、君さ。ちょっと謹んだ方が良いかも」
「あっ! 先生、ロウェルディさんですよ!」
話は聞いてくれなくて。それにしても……大臣のことを「さん」呼び。
カメラに映されているのは、きっちりと髪を撫で付けたロウェルディ大臣。この日はダブルスーツじゃなくアスタリカの軍服を着こなしていた。それとセルジオの新しい王の険しい表情も映された。
エシュの指揮は軍の指揮官が行うのだと報道者が伝えている。なのでトップの顔を見ることはここでも叶わない。
「エシュはまた逃げたんだな」
ロビーにいた人が口々に話すのを小耳に挟んだ。あんまり知らないけどエシュという人は小心者なのかな。
「間もなく三国による宣誓の言葉が始まる時刻になります。そして、私たちが映像をお届けできるのはここまでです!」
報道者は興奮気味に告げた。彼らがルールなんて律儀に守るつもりがあるんだろうか。とは、僕以外の人でも思っているし、実際野次のようなものをモニターに投げつけていた。
撮影はおそらくアスタリカ国土のどこか高い場所から撮っているんだろう。三立の檻がきちんと画面内に全ておさまっていて、言ってしまえば絶景に近かった。ちゃんと三つの門でひとつの区間を分けているのだとよく分かった。
そして三つの門には今、それぞれ国の旗が掲げてある。報道者がその説明をして時間稼ぎをしていると、ついに時間になった。
テレビの中はバックミュージックが消えた。ロビーはそれよりもっと静かになる。
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