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lll.クランクビスト
二人‐甘い時間は続かない‐
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じんわり汗の滲んだ額を拭っている。
難解なエセルの後頭部との決着がとうとう付けられたのである。
「うーん……」
しかし残念ながら俺の期待していたものとは少し違っていた。
「くくっていたせいですよ。ちょっと癖がついて広がってしまうんです」
「そうだったのか。まあ、仕方がない」
下ろしたエセルの髪には、あの“だらり感“が無く、クリームのようにふわっと膨らんでいたのだ。
仕方がないとは言っておきながら、実はなかなか立ち直れたものではない。
エセルの髪を摘んで軽く下へ引っ張って離してみても、またビヨンッと跳ねて大ぶりな曲線を描いてしまう。
「あれが好きだったのに……」
前のエセルに戻ったはずなのに少し違うのである。
横顔にかかるふんわり髪を眺めていたらエセルが急にこちらを向いた。
丸くした目で見つめられ、思わず顔が近いと驚いて俺の背筋が真上に伸びる。
「なんだ。俺は髪は結えないぞ?」
微妙に離した距離もエセルは意図的に詰めてきた。
その瞳でひたすらに俺の目の中を覗かれている。
「な、なんだよ」
エセルが核心を付いたように言う。
「本物のバル様に戻りましたね!」
「……はあ?」
それが嬉しくてエセルは俺に抱きついて来た。
衝撃でつい受け止めて手を回してしまった。しかし、いやいや待てよとこの身から引き剥がして理由を問う。
「何て言ったか? 本物に戻った!?」
エセルは嬉しそうに、はしゃいでいる。
「はい! ずっとバル様がバル様で無いような気がして辛かったんです。でも、今はようやく本物に戻られたみたいです!」
それを聞いても俺は頷けん。
「俺を別の誰かだと思っていたのか?」
「そうじゃ無くて!」
「じゃあ何なんだ」
問えばエセルは少し考えた。そして両手で自分の眉間を持ち上げ、目を釣り上げた変顔を見せてくる。
「ずっとこんな顔でしたよ」
「……それは。怒り顔って言いたいのか」
俺の察しが悪いと拗ねたエセルであったが、すぐに立ち直ったようだ。もう何でも良いとエセルは立ち上がって踊った。
もう俺からどう手を付けていいのか分からん。一緒に踊るかと聞かれたがそれは結構だと断った。だからエセルが一人でクルクル回って踊っている。
「バル様、大好きですよっ」
回りながら投げキッスまでされる始末である。意味は不明だが、しかしだんだんと面白く思えてきた。
踊りとは言えない、ただ回っているだけのエセルを見て「ぜんまい人形みたいだ」と茶化していたりもする。
ハハハ、と笑っていれば、俺の心にポッと灯る暖かな火を見つけた気がした。
ずっと感じていなかった心持ちだ。
懐かしさとともに、すごく安心感がある。
どうやら俺はエセルと居ることで思い出すことが出来たらしい。
「俺もお前が好きだ。お前の前ではいつも本物の俺で居たい」
俺はポツリと呟いている。
エセルには聞こえていない。それはまた帰ってからでもゆっくり伝えるとしよう。
「おい、一応人目もあるかもしれないから、そろそろやめておけ」
夜であっても宿の前だ。客人があってもおかしくはない。
その通りに馬の駆けて来る音が背後で聞こえてきた。
「ほら。人に見られるぞ」
エセルの腕を引き、椅子に連れ戻そうとした。
しかしその馬が急変を起こす事になる。
「伏せーい!!」
突然放たれた叫び声であった。
よく訓練された兵士であれば、これを聞いただけで勝手に身が動いて地面に伏せるというものだ。
俺もその兵士と同じ訓練を受けている。エセルを地面に押し倒して身を低くした。
「すまん。痛かっただろう」
「す、少しだけ」
背後から駆けて来た馬は、暴れ馬のごとく土を鳴らしている。そしてよく聞けば、金属のぶつかる音も時々紛れていた。
「二人は中へ!!」
先ほど令をかけた人物が声を大にして言う。
二人と言うからには俺たちのことなのか。それはどうか分からないが、とにかく屋内へ急ぎで戻ることにする。
エントランスに戻る最中で俺がふとベンチを振り返って見れば、数本の矢が地面とベンチの背もたれに刺さっていた。
「……急ぐぞ!」
俺たちは狙われていたのだ。
それを誰かが助けてくれた。
エントランスでは、あの冷え固まっていた燭台に火が灯されている。どうやら先ほどの声や音で宿主が起きて来たらしい。
キースと数人の兵士もそこには居た。
「敵襲ですか!」
事態の把握がまだで待機の状態であった。となれば、助けてくれたのはキースでは無かったのか。
敵が弓矢を持っていることを伝えると、キースは兵士たちに注意喚起を促している。エセルは安全な部屋に移動させようと宿主と合意した。
「何者だ!!」
騒々しくなる中、暗がりに何か見つけて問う兵の声が響いた。それで皆の足も止まってそちらを振り向いたのだ。
訓練兵は一列に並んで銃口を向けていた。
暗がりで動く者は命知らずであるのか真っ直ぐ向かってきた。
「……待った。銃を納めてください」
キースが言うと兵士らはその通りに動く。
ガス燈に照らされ姿が露わになった男はベンブルクの敵兵では無い。周りの人間には動じず、一目散に俺の目の前にやって来る。
「遅くなり申し訳ありません。バル様」
懐かしい声である。しばらくぶりだが何も変わらぬカイセイだった。
顔の汗をそのままに俺の前でひざまづいていた。乱れる呼吸が苦しそうで背中を上下させている。
ここでカイセイと出会えたことは偶然以外にあり得ない。
だが、再会を喜んでいる場合ではない。
「母上はどうした……」
嫌な予感だけがあった。それで恐る恐る問いかけたのだ。
カイセイは胸の動悸をどうにか抑えて顔を上げた。
「ご無事です。ベルガモが付いております」
揺るぎない瞳を見れば嘘などひとつもないと分かる。俺がひとまず安心したのも一瞬で「いち大事です」とカイセイの続きの口から言われた。
「クランクビストが敗北宣言を渡すことになりました」
その言葉は吹雪を起こしたかのようにこのエントランス中を駆け巡った。そして周りの人間を氷漬けにした。ガス燈も燭台の火も暖かさを失う。
クランクビストの敗北。それはメルチ、パニエラ、セルジオがいくら後押ししても変えられない事実となる。
まさに希望は潰えたのだ。
「まだ間に合うか?」
即答はもらえずにカイセイの呼吸だけが鳴っている。
俺からの言葉が意外で驚いたのかもしれん。それでもカイセイは出来る男で間違いない。その速く回る頭ではもうすでに答えが出ていた。
「あなたが賭けて下さるなら!」
そして突然立ち上がる。額の汗も自身のハンカチで拭った。
「さあ行きましょう!」
「何を嬉しそうに……」
「そりゃあ嬉しいですよ!」
急にやる気を出す男に嫌味を塗り付けてやれば、そいつが素直な男であったことを思い出した。
しかしそれは思い掛けず、俺や周りの人間にも気力を分けてくれるようだ。
「バル君、僕たちはベンブルクに向かいます! 書類さえ渡らなければ敗北にはなりません!」
同じく気を入れ直したキースが兵士らを集めている。
ベンブルクへ南下する部隊と、リトゥをセルジオ城へ護衛する部隊とで指揮するようだ。
カイセイと俺は馬を借りた。そして側には部屋に戻らなかったエセルが居る。
「エセル様もご一緒に?」
「置いて行ってもたぶん付いて来るからな」
それに対してエセルは生真面目に頷いていた。ここで初めてカイセイが若干目を泳がせているのが面白い。
とはいえ彼女を説得している時間も無いことだ。「わかりました」と、あらゆることを咀嚼無しに飲み込んだカイセイが、俺に馬の手綱を持たせてくれた。
難解なエセルの後頭部との決着がとうとう付けられたのである。
「うーん……」
しかし残念ながら俺の期待していたものとは少し違っていた。
「くくっていたせいですよ。ちょっと癖がついて広がってしまうんです」
「そうだったのか。まあ、仕方がない」
下ろしたエセルの髪には、あの“だらり感“が無く、クリームのようにふわっと膨らんでいたのだ。
仕方がないとは言っておきながら、実はなかなか立ち直れたものではない。
エセルの髪を摘んで軽く下へ引っ張って離してみても、またビヨンッと跳ねて大ぶりな曲線を描いてしまう。
「あれが好きだったのに……」
前のエセルに戻ったはずなのに少し違うのである。
横顔にかかるふんわり髪を眺めていたらエセルが急にこちらを向いた。
丸くした目で見つめられ、思わず顔が近いと驚いて俺の背筋が真上に伸びる。
「なんだ。俺は髪は結えないぞ?」
微妙に離した距離もエセルは意図的に詰めてきた。
その瞳でひたすらに俺の目の中を覗かれている。
「な、なんだよ」
エセルが核心を付いたように言う。
「本物のバル様に戻りましたね!」
「……はあ?」
それが嬉しくてエセルは俺に抱きついて来た。
衝撃でつい受け止めて手を回してしまった。しかし、いやいや待てよとこの身から引き剥がして理由を問う。
「何て言ったか? 本物に戻った!?」
エセルは嬉しそうに、はしゃいでいる。
「はい! ずっとバル様がバル様で無いような気がして辛かったんです。でも、今はようやく本物に戻られたみたいです!」
それを聞いても俺は頷けん。
「俺を別の誰かだと思っていたのか?」
「そうじゃ無くて!」
「じゃあ何なんだ」
問えばエセルは少し考えた。そして両手で自分の眉間を持ち上げ、目を釣り上げた変顔を見せてくる。
「ずっとこんな顔でしたよ」
「……それは。怒り顔って言いたいのか」
俺の察しが悪いと拗ねたエセルであったが、すぐに立ち直ったようだ。もう何でも良いとエセルは立ち上がって踊った。
もう俺からどう手を付けていいのか分からん。一緒に踊るかと聞かれたがそれは結構だと断った。だからエセルが一人でクルクル回って踊っている。
「バル様、大好きですよっ」
回りながら投げキッスまでされる始末である。意味は不明だが、しかしだんだんと面白く思えてきた。
踊りとは言えない、ただ回っているだけのエセルを見て「ぜんまい人形みたいだ」と茶化していたりもする。
ハハハ、と笑っていれば、俺の心にポッと灯る暖かな火を見つけた気がした。
ずっと感じていなかった心持ちだ。
懐かしさとともに、すごく安心感がある。
どうやら俺はエセルと居ることで思い出すことが出来たらしい。
「俺もお前が好きだ。お前の前ではいつも本物の俺で居たい」
俺はポツリと呟いている。
エセルには聞こえていない。それはまた帰ってからでもゆっくり伝えるとしよう。
「おい、一応人目もあるかもしれないから、そろそろやめておけ」
夜であっても宿の前だ。客人があってもおかしくはない。
その通りに馬の駆けて来る音が背後で聞こえてきた。
「ほら。人に見られるぞ」
エセルの腕を引き、椅子に連れ戻そうとした。
しかしその馬が急変を起こす事になる。
「伏せーい!!」
突然放たれた叫び声であった。
よく訓練された兵士であれば、これを聞いただけで勝手に身が動いて地面に伏せるというものだ。
俺もその兵士と同じ訓練を受けている。エセルを地面に押し倒して身を低くした。
「すまん。痛かっただろう」
「す、少しだけ」
背後から駆けて来た馬は、暴れ馬のごとく土を鳴らしている。そしてよく聞けば、金属のぶつかる音も時々紛れていた。
「二人は中へ!!」
先ほど令をかけた人物が声を大にして言う。
二人と言うからには俺たちのことなのか。それはどうか分からないが、とにかく屋内へ急ぎで戻ることにする。
エントランスに戻る最中で俺がふとベンチを振り返って見れば、数本の矢が地面とベンチの背もたれに刺さっていた。
「……急ぐぞ!」
俺たちは狙われていたのだ。
それを誰かが助けてくれた。
エントランスでは、あの冷え固まっていた燭台に火が灯されている。どうやら先ほどの声や音で宿主が起きて来たらしい。
キースと数人の兵士もそこには居た。
「敵襲ですか!」
事態の把握がまだで待機の状態であった。となれば、助けてくれたのはキースでは無かったのか。
敵が弓矢を持っていることを伝えると、キースは兵士たちに注意喚起を促している。エセルは安全な部屋に移動させようと宿主と合意した。
「何者だ!!」
騒々しくなる中、暗がりに何か見つけて問う兵の声が響いた。それで皆の足も止まってそちらを振り向いたのだ。
訓練兵は一列に並んで銃口を向けていた。
暗がりで動く者は命知らずであるのか真っ直ぐ向かってきた。
「……待った。銃を納めてください」
キースが言うと兵士らはその通りに動く。
ガス燈に照らされ姿が露わになった男はベンブルクの敵兵では無い。周りの人間には動じず、一目散に俺の目の前にやって来る。
「遅くなり申し訳ありません。バル様」
懐かしい声である。しばらくぶりだが何も変わらぬカイセイだった。
顔の汗をそのままに俺の前でひざまづいていた。乱れる呼吸が苦しそうで背中を上下させている。
ここでカイセイと出会えたことは偶然以外にあり得ない。
だが、再会を喜んでいる場合ではない。
「母上はどうした……」
嫌な予感だけがあった。それで恐る恐る問いかけたのだ。
カイセイは胸の動悸をどうにか抑えて顔を上げた。
「ご無事です。ベルガモが付いております」
揺るぎない瞳を見れば嘘などひとつもないと分かる。俺がひとまず安心したのも一瞬で「いち大事です」とカイセイの続きの口から言われた。
「クランクビストが敗北宣言を渡すことになりました」
その言葉は吹雪を起こしたかのようにこのエントランス中を駆け巡った。そして周りの人間を氷漬けにした。ガス燈も燭台の火も暖かさを失う。
クランクビストの敗北。それはメルチ、パニエラ、セルジオがいくら後押ししても変えられない事実となる。
まさに希望は潰えたのだ。
「まだ間に合うか?」
即答はもらえずにカイセイの呼吸だけが鳴っている。
俺からの言葉が意外で驚いたのかもしれん。それでもカイセイは出来る男で間違いない。その速く回る頭ではもうすでに答えが出ていた。
「あなたが賭けて下さるなら!」
そして突然立ち上がる。額の汗も自身のハンカチで拭った。
「さあ行きましょう!」
「何を嬉しそうに……」
「そりゃあ嬉しいですよ!」
急にやる気を出す男に嫌味を塗り付けてやれば、そいつが素直な男であったことを思い出した。
しかしそれは思い掛けず、俺や周りの人間にも気力を分けてくれるようだ。
「バル君、僕たちはベンブルクに向かいます! 書類さえ渡らなければ敗北にはなりません!」
同じく気を入れ直したキースが兵士らを集めている。
ベンブルクへ南下する部隊と、リトゥをセルジオ城へ護衛する部隊とで指揮するようだ。
カイセイと俺は馬を借りた。そして側には部屋に戻らなかったエセルが居る。
「エセル様もご一緒に?」
「置いて行ってもたぶん付いて来るからな」
それに対してエセルは生真面目に頷いていた。ここで初めてカイセイが若干目を泳がせているのが面白い。
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