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Ⅱ.拓かれる秘境国
不在者の研究室
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裏地の陰った場所にある大きめの建物の前で足を止めた。
このあたりは家屋が密着して細長くなっているが、この家だけが二件分の幅を効かせていた。
カーテンはピッタリ締め切られているし、何かしらの物音も全く聞こえない。
道の上を見回しても人気もないし、ここだけ陽が差さずにひんやりしているので、まるでゴーストタウンだなと俺は思っていた。
そんなところの建物をロマナがノックする。
錆びた金属でキィと音を立ててドアが開かれた。そこから幽霊が現れるかと思ったら違う。
「あっ。ロマナさんだ」
そう明るい顔をして言う女性であった。
「届け物を持ってきたけど、入っていいかい?」
「ええ、もちろんです。すみません、お手間をかけてさせてしまって」
「じゃあ失礼するよ。君たち、中に入りたまえ」
ロマナに続いて俺も監視役も家の中に入った。
中は薄ら暗くて、灯りが間に合っていないような印象である。
ぽつりぽつりと置かれたロウソクの火を辿って廊下を奥まで進み、その先の部屋では何やら多くの人間がこちらを見ている。
白衣を着た研究員。男女が二十人くらいだろうか。
「ロマナさん」
「やっぱりロマナさんだ」
口々にロマナの名が呼ばれた。それも和気あいあいとした空気感で驚く。
「後ろのお方……バル王子ではありませんか?」
「えっ。バル様が!?」
しかし俺のことがバレると一瞬で周りはどよめきが起こる。
和気あいあいとした空気もすぐに違うものに変わってしまった。
俺の後ろにいる監視役については、もはや「誰?」としか声が上がらん。その上研究員たちは若干怯えている。
そんな彼らを見てロマナは盛大に笑っていた。
だが俺としては呆れて笑うことも出来ない。
「お前ら、また怪しい研究でもしてるだろ」
俺から言い、キッと睨んでみると研究員たちは顔を歪ませながらへらへら笑ったりなどしていた。
「何人かで身を寄せ合っていても、後ろに何かを隠しているのはバレているのだからな」
机がありそうな場所に告げてみると、そこらへんの者がドキリとした。
どこからか勇気ある研究員が声を出す。
「い、いやあ……ちょっとまだ企画段階なのでお見せするところまでは来ていない案件ですので……ね、ねえ?」
苦笑いで周りに助けを求め、何人かが「そうだそうだ」と頷いている。
「そうか。じゃあ俺が後でアドバイスでもしてやろう」
そう言うと勇気ある研究員は涙目になった。
とりあえず持ってきた荷物を使っていない部屋の机に置くことになった。
包み紙を開けているところを見ると、やはり中身は本や冊子ばかりだ。とある優秀な医学者が放置しまくった部下の報告書やらが集められていた。
「エーデンさんがここに戻ってきたと思ったら急に早朝旅立つと言うので、絶対ロマナさんが来るって私達予想していたんですよ」
先程の女性研究員が話している。
「なーんだ。じゃあまた会えず仕舞いじゃないか」
ロマナは少しガッカリしているような言い方をした。
「エーデンさんってどうしてかロマナさんをいつも避けていますよね。何か理由でもあるんですか?」
「おそらくだが、エーデンは私のことが好きなんだろう」
二人はそれで笑い合っている。
俺はこの女性同士の会話に耳を貸したのが間違いだったと反省した。
その横で緊張感を切らさない男がいたので、俺はそいつの肩をつっついてみた。
荷物運びに徹していた監視役だ。彼はビクリと肩を震わせた。
「大丈夫か?」
「……ここは何なんです?」
初めてこの兵士が言葉を話したので俺は驚愕した。
だが気を取り直して説明をする。
このまま触れないという方がかえって怪しまれると思い、ちゃんと説明をすることにした。
「エーデン・ロヴェルトという変わり者の男がいてな。一応は偉い医学者で研究員のまとめ役なのだが、真面目に働かないというのを美徳にしている」
「名だけは聞いたことがあるような」
「だろう? 有名なのだ。世間では割とな」
そう言いつつ俺は監視役を連れて階段を降りていた。その足で先程の研究員が集う大部屋に来ている。
俺が現れると研究員皆の顔はひきつった。
何やらさっきより物が片付けられているようだが、今更小細工をしても誤魔化しは効かん。
「で、企画段階の話を聞きに来たが? まさか俺に言えんようなものを作ってるのでは無いだろう。逆に、もしそうならお前ら分かっているだろうな?」
脅しのようなものを掛けると研究員たちは速やかに動いて、一旦は木箱や棚に仕舞ったものを再び出してくるのである。
俺は誰かの席からイスをぶんどってきて、そこにどっかり座った。
インクの滲みが新しい文章から読んでいくことにする。
監視役がいる前で、城を出た時のロマナの冗談話が本物にならなければ良いが。
「……」
「ど、どうでしょう……?」
この企画の担当の者なんだろう。額の汗を拭いながら覗いてきた。
内容は新しい薬の開発であるが、特に違法のものを使っているわけでもない。だがしかしだ。
「予算も出していないのに順調に進んでいるのだな」
ペラリと紙をかざして当人に見せてやると、そいつの顔はみるみる青白くなった。
研究員は上手く説明をしたいと口をもごもごさせているが、残念なことに運が無かったらしい。
「研究長! 蕾が出来ていました!」
嬉しそうに駆け込んでくる新米研究員であった。
その一声を聞けば全員が固唾を飲んでいる。
「おお、そうか。なら俺にも見させてくれ。案内しろ」
「バ、バル様! はい! ご案内します!!」
まだ悪状況であることも知らぬ未熟な新人は、嬉しそうに俺を連れて部屋を出ていくのである。
建物の反対側には裏庭があった。
そこは日当たりが比較的良く、隣接する住宅は一段下がったところにあるからして、風も入ってくるようだ。
ここではその蕾とやらを見せてもらい、新人からはどういう研究結果が出ているのかを聞き出した。
「怪我をしたネズミに与えると一時的に痛みが和らぐようです。それに動きも格段に良くなるみたいで、おそらく神経に聞いているのではと研究長が」
「単に麻痺しているだけじゃないのか」
「そうかもしれません!」
得意気に……実にふわっとした言葉で締めくくられた。
企画書には「万病に効く」など大げさに書かれていたが、そんな便利なものが作られるわけがない。
まあ、俺には。というだけで、あの優秀な脳が正常に働いてくれさえすれば可能性かもしれないがな。
俺はその場でうんと背中を伸ばした。
「ちゃんと城に報告書を出しておけよ」
「は、はい!」
脱力すると難しい顔をしたままの監視係と目が合う。
「大丈夫だ。上手く出来ればベンブルクにも売ってやる」
嫌味で言ってやっても監視役は特に動じないのであった。
懐中時計を見ると時間がかなり押していた。
この足でトンネル工事の方にも顔を出さなければいけないので、そろそろここらで俺は出ていこうと思う。
「エーデンのヤツにも遊んでないで仕事をするよう言っておけ」
それを別れの挨拶に、俺はまた屋内へと引き返そうとした。
だがその時である。
ふと視界の端にふわりとゆれる物が見えた。それは女性の髪であり、彼女はうしろを向いていた。
白衣を着ているから誰が誰かなど分かりようが無い。ただし、だらりと下ろした髪の跳ね方がとても似ている。
俺は声をかけようか迷い、まさかこんなところにいるはずが無いとも思い留まった。
しかしその女性が「あの」と、先ほどの新米研究員に声をかけると別人だと分かる。
露骨に肩を落とした俺は、肩凝りと偽って過ごし建物から出た。
エセルは長らく戻って来ない。
いったいネザリアで何をしているのであろうか……。
日陰で薄暗い路地を黙って歩き、ただひたすらに自分の役目に専念しようと歯を食いしばる。
このあたりは家屋が密着して細長くなっているが、この家だけが二件分の幅を効かせていた。
カーテンはピッタリ締め切られているし、何かしらの物音も全く聞こえない。
道の上を見回しても人気もないし、ここだけ陽が差さずにひんやりしているので、まるでゴーストタウンだなと俺は思っていた。
そんなところの建物をロマナがノックする。
錆びた金属でキィと音を立ててドアが開かれた。そこから幽霊が現れるかと思ったら違う。
「あっ。ロマナさんだ」
そう明るい顔をして言う女性であった。
「届け物を持ってきたけど、入っていいかい?」
「ええ、もちろんです。すみません、お手間をかけてさせてしまって」
「じゃあ失礼するよ。君たち、中に入りたまえ」
ロマナに続いて俺も監視役も家の中に入った。
中は薄ら暗くて、灯りが間に合っていないような印象である。
ぽつりぽつりと置かれたロウソクの火を辿って廊下を奥まで進み、その先の部屋では何やら多くの人間がこちらを見ている。
白衣を着た研究員。男女が二十人くらいだろうか。
「ロマナさん」
「やっぱりロマナさんだ」
口々にロマナの名が呼ばれた。それも和気あいあいとした空気感で驚く。
「後ろのお方……バル王子ではありませんか?」
「えっ。バル様が!?」
しかし俺のことがバレると一瞬で周りはどよめきが起こる。
和気あいあいとした空気もすぐに違うものに変わってしまった。
俺の後ろにいる監視役については、もはや「誰?」としか声が上がらん。その上研究員たちは若干怯えている。
そんな彼らを見てロマナは盛大に笑っていた。
だが俺としては呆れて笑うことも出来ない。
「お前ら、また怪しい研究でもしてるだろ」
俺から言い、キッと睨んでみると研究員たちは顔を歪ませながらへらへら笑ったりなどしていた。
「何人かで身を寄せ合っていても、後ろに何かを隠しているのはバレているのだからな」
机がありそうな場所に告げてみると、そこらへんの者がドキリとした。
どこからか勇気ある研究員が声を出す。
「い、いやあ……ちょっとまだ企画段階なのでお見せするところまでは来ていない案件ですので……ね、ねえ?」
苦笑いで周りに助けを求め、何人かが「そうだそうだ」と頷いている。
「そうか。じゃあ俺が後でアドバイスでもしてやろう」
そう言うと勇気ある研究員は涙目になった。
とりあえず持ってきた荷物を使っていない部屋の机に置くことになった。
包み紙を開けているところを見ると、やはり中身は本や冊子ばかりだ。とある優秀な医学者が放置しまくった部下の報告書やらが集められていた。
「エーデンさんがここに戻ってきたと思ったら急に早朝旅立つと言うので、絶対ロマナさんが来るって私達予想していたんですよ」
先程の女性研究員が話している。
「なーんだ。じゃあまた会えず仕舞いじゃないか」
ロマナは少しガッカリしているような言い方をした。
「エーデンさんってどうしてかロマナさんをいつも避けていますよね。何か理由でもあるんですか?」
「おそらくだが、エーデンは私のことが好きなんだろう」
二人はそれで笑い合っている。
俺はこの女性同士の会話に耳を貸したのが間違いだったと反省した。
その横で緊張感を切らさない男がいたので、俺はそいつの肩をつっついてみた。
荷物運びに徹していた監視役だ。彼はビクリと肩を震わせた。
「大丈夫か?」
「……ここは何なんです?」
初めてこの兵士が言葉を話したので俺は驚愕した。
だが気を取り直して説明をする。
このまま触れないという方がかえって怪しまれると思い、ちゃんと説明をすることにした。
「エーデン・ロヴェルトという変わり者の男がいてな。一応は偉い医学者で研究員のまとめ役なのだが、真面目に働かないというのを美徳にしている」
「名だけは聞いたことがあるような」
「だろう? 有名なのだ。世間では割とな」
そう言いつつ俺は監視役を連れて階段を降りていた。その足で先程の研究員が集う大部屋に来ている。
俺が現れると研究員皆の顔はひきつった。
何やらさっきより物が片付けられているようだが、今更小細工をしても誤魔化しは効かん。
「で、企画段階の話を聞きに来たが? まさか俺に言えんようなものを作ってるのでは無いだろう。逆に、もしそうならお前ら分かっているだろうな?」
脅しのようなものを掛けると研究員たちは速やかに動いて、一旦は木箱や棚に仕舞ったものを再び出してくるのである。
俺は誰かの席からイスをぶんどってきて、そこにどっかり座った。
インクの滲みが新しい文章から読んでいくことにする。
監視役がいる前で、城を出た時のロマナの冗談話が本物にならなければ良いが。
「……」
「ど、どうでしょう……?」
この企画の担当の者なんだろう。額の汗を拭いながら覗いてきた。
内容は新しい薬の開発であるが、特に違法のものを使っているわけでもない。だがしかしだ。
「予算も出していないのに順調に進んでいるのだな」
ペラリと紙をかざして当人に見せてやると、そいつの顔はみるみる青白くなった。
研究員は上手く説明をしたいと口をもごもごさせているが、残念なことに運が無かったらしい。
「研究長! 蕾が出来ていました!」
嬉しそうに駆け込んでくる新米研究員であった。
その一声を聞けば全員が固唾を飲んでいる。
「おお、そうか。なら俺にも見させてくれ。案内しろ」
「バ、バル様! はい! ご案内します!!」
まだ悪状況であることも知らぬ未熟な新人は、嬉しそうに俺を連れて部屋を出ていくのである。
建物の反対側には裏庭があった。
そこは日当たりが比較的良く、隣接する住宅は一段下がったところにあるからして、風も入ってくるようだ。
ここではその蕾とやらを見せてもらい、新人からはどういう研究結果が出ているのかを聞き出した。
「怪我をしたネズミに与えると一時的に痛みが和らぐようです。それに動きも格段に良くなるみたいで、おそらく神経に聞いているのではと研究長が」
「単に麻痺しているだけじゃないのか」
「そうかもしれません!」
得意気に……実にふわっとした言葉で締めくくられた。
企画書には「万病に効く」など大げさに書かれていたが、そんな便利なものが作られるわけがない。
まあ、俺には。というだけで、あの優秀な脳が正常に働いてくれさえすれば可能性かもしれないがな。
俺はその場でうんと背中を伸ばした。
「ちゃんと城に報告書を出しておけよ」
「は、はい!」
脱力すると難しい顔をしたままの監視係と目が合う。
「大丈夫だ。上手く出来ればベンブルクにも売ってやる」
嫌味で言ってやっても監視役は特に動じないのであった。
懐中時計を見ると時間がかなり押していた。
この足でトンネル工事の方にも顔を出さなければいけないので、そろそろここらで俺は出ていこうと思う。
「エーデンのヤツにも遊んでないで仕事をするよう言っておけ」
それを別れの挨拶に、俺はまた屋内へと引き返そうとした。
だがその時である。
ふと視界の端にふわりとゆれる物が見えた。それは女性の髪であり、彼女はうしろを向いていた。
白衣を着ているから誰が誰かなど分かりようが無い。ただし、だらりと下ろした髪の跳ね方がとても似ている。
俺は声をかけようか迷い、まさかこんなところにいるはずが無いとも思い留まった。
しかしその女性が「あの」と、先ほどの新米研究員に声をかけると別人だと分かる。
露骨に肩を落とした俺は、肩凝りと偽って過ごし建物から出た。
エセルは長らく戻って来ない。
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