君と会う日はいつもの雨。雨の日に巻き起こる不思議な出会い。時を越えてあなたに会いに行きます。『晴れの日、あなたに会いたい……。』

上条 樹

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冷たい雨

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 冷たい雨の粒が俺の頬に当たる。

 俺は体を駆け抜ける痛みを堪えながら一握の願いを込めて空を見上げた。やはりいつも通り天気は雨だった。

 雨の中に温かい雫が混ざっている。

 涙……。

 あなたは俺の為に泣いてくれているのか?

 意のままに動かない体に命令しあなたの頬に触れる。その頬から暖かいぬくもりが伝わってくる。柔らかい肌に少しだけ苦しみが緩和されるような気がする。

 あなたと会う時は一度も青空を見たことが無かった。
 そういつも空からは冷たい雨が降っていた。出会いから別れまで全て雨であった。
 それを忘れさせるようなあなたの笑顔。

 いつもそれが俺にはたまらなく眩しかった。俺にとってあなたの笑顔が安らぎだった。

 苦しい時も、悲しい時もあなたの笑顔は悲しい出来事を全て忘れさせてくれた。かけがえの無い宝ものであったような気がする。

 もしかすると雨はあなたに会わせてくれるように神様が用意した代償だったのかもしれない。

 雨は俺にとってあなたと出会えるしるしに変わった。

 あなたと出会ったあの雨の日から俺の運命は全く違う方向に変わったのだ。

 もし、あの雨の日あなたと二人出会わなければ、きっとこんな安らぎを俺は手に入れる事は出来なかったであろう。きっと今も苦しみの中で藻掻いていただろう。

 藻掻き足掻き続けて自滅への道へ突き進んでいたかもしれない。

 今ならきっと自分の気持ちに素直になれる。ありのままの自分の言葉であなたに思いを伝える事もできるような気がする。

 俺はあなたの事を愛している。きっと世界中のだれよりも深く、深く愛している。それはもしかすると俺が生まれた時、いや生まれる前からすでに決められた運命だったのかもしれない。

 あなたの事を愛する為に俺は生まれ、あなたの命を守る為に俺は生きていたような気さえする。

 だから悲しまないで、これが俺の幸せだから・・・・・・・。あなたの為にこの命を消耗する事が出来ることが至福の喜びなのだ。

 俺の体は熱い血潮があふれ出るように脈打っている。愛するあなたの腕の中で消えていく気持ちを噛み締めながら。

 もうすぐお別れかもしれない。やはり雨・・・・・・、でも俺はいつの日かあなたと再び出会える日が必ずまた来るような気がする。

 いやきっと会える。

 会ってみせる。

 時を超えてあなたに会いに行く。

 その時は、晴れの日・・・・・・、あなたに会いたい。思いっきり快晴の空の下であなたの笑顔を見つめてみたい。太陽に向かって大きな花を開くひまわりのようなあなたの笑顔を・・・・・・。

「晴れの日、あなたに会いたい……。」
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