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タイム・リープ
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まどかは、頭にひどい頭痛を感じていた。
思いっきり泣いた事も要因であろうが、それだけではないような気がする。体には少し火傷のような痛みもある。
重い瞼を開くと、古い民間のような天井が見えた。
「こ、ここは……」まどかは少し眠っていたようだった。
なぜか、見知らぬ部屋で布団の中に横たわっていた。
ケガでもしていたのだろうか、体には所々包帯と絆創膏が貼られている。着ていた服も着替えさせられている。少し大きめの男性用体操服のようだった。
「やあ、目が覚めたようだね」聞いた事のある声が聞こえる。
懐かしいその声は、まどかがずっと聞きたかった声であった。
声の主を見て、まどかの両目は見開いた。
「む、睦樹さん……?」まどかの、視線の先には死んだ筈の睦樹の姿があった。
息をするのを忘れるほどの衝動、強烈な高揚感で彼女の胸は張り裂けそうになる。
あわや、もう一度気を失いそうな位の衝撃だった。
布団から飛び出したかと思うと、彼女は大粒の涙を浮かべながら睦樹の胸に抱きついた。
「睦樹さん!会いたかった!夢じゃ、夢じゃないのよね!やっと、会えた!!」まどかは、睦樹の身体に顔を埋め大泣きした。
「い、いや、違う……!人違いだ!僕は、僕は……違う!」睦樹によく似た男は、まどかの両肩を掴みその身体を引き離した。
男の顔は真っ赤に染まっていた。
改めて見た睦樹に似たその男の顔は、まどかの知っている彼よりもかなり若そうに見えた。
思いっきり泣いた事も要因であろうが、それだけではないような気がする。体には少し火傷のような痛みもある。
重い瞼を開くと、古い民間のような天井が見えた。
「こ、ここは……」まどかは少し眠っていたようだった。
なぜか、見知らぬ部屋で布団の中に横たわっていた。
ケガでもしていたのだろうか、体には所々包帯と絆創膏が貼られている。着ていた服も着替えさせられている。少し大きめの男性用体操服のようだった。
「やあ、目が覚めたようだね」聞いた事のある声が聞こえる。
懐かしいその声は、まどかがずっと聞きたかった声であった。
声の主を見て、まどかの両目は見開いた。
「む、睦樹さん……?」まどかの、視線の先には死んだ筈の睦樹の姿があった。
息をするのを忘れるほどの衝動、強烈な高揚感で彼女の胸は張り裂けそうになる。
あわや、もう一度気を失いそうな位の衝撃だった。
布団から飛び出したかと思うと、彼女は大粒の涙を浮かべながら睦樹の胸に抱きついた。
「睦樹さん!会いたかった!夢じゃ、夢じゃないのよね!やっと、会えた!!」まどかは、睦樹の身体に顔を埋め大泣きした。
「い、いや、違う……!人違いだ!僕は、僕は……違う!」睦樹によく似た男は、まどかの両肩を掴みその身体を引き離した。
男の顔は真っ赤に染まっていた。
改めて見た睦樹に似たその男の顔は、まどかの知っている彼よりもかなり若そうに見えた。
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