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心 配
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まどかは、ぼんやりとしながら夕食を食べている。
その目が宙を泳いでいるようだった。先日、会った睦樹はなぜか、いつもと雰囲気が違っていたような気がした。あのあとも、特に会話をする事もなく別れたのだが、昌子と何かあったのかなと勘ぐったりもした。
『まさか、昌子ちゃんも睦樹さんを……』まどかは、昌子が相手では勝ち目がないなと思った。自分が男だったのなら、絶対に昌子を選ぶ自信がある。そう思うと、自然と項垂れた状態になり、食欲も減退する。
あれこれ考えるうちに、唐突に自分が発してしまった言葉を思い出してしまった。
『私、睦樹さんの事、おじさんなんて思っていませんから!』なぜ、あんなことを言ったんだろうか……。思い出すと顔から火が吹き出しそうになるくらい恥ずかしくなる。
『あれって、好きですって、言っているようなもんだよね……、あー恥ずかしい、次から睦樹さんの前で、どんな顔をすればいいんだろ』まどかは、急にニヤニヤと微笑み出した。落ち込んだり、喜んだり変化が激しい。
そんなまどかの様子を見ながら、母は自分の娘に春がやって来たのだなと感じた。
「なんか嬉しいことでもあったの?その様子、さてはボーイフレンドでもできたの?」
ギクッ!まどかが一瞬硬直したようになった。本当に考えている事が、すぐに顔に出る子だと母は呆れ顔を見せた。
「別にいいんだけどね。そういえば、この間、公園で一緒にいた男の人だけど……」まどかの母は、先日公園で、まどかと睦樹が二人、雨の中でなにやら話をしていたことが気になるようだった。
「え、ああ、あの人……、ちょっとした知り合いよ。たまたま、あそこで一緒にいただけよ」まどかは少し誤魔化すように返した。
誤魔化すのも下手な子だなと、母は思った。
「そうなの、ただの知り合いなの……」意味あり気に母は呟く。
「どうかしたの?」まどかは、今まで見たことの無い母の動揺したような顔を覗きこむ。
「別にいいのだけれど……、どこかで見覚えがあるのよね、あの人……。結構、まどかよりも年上の人みたいだけど、いくつなのあの人?簡単に男の人について行ったりしては駄目よ。男は狼なのよ……」母は手で狼の牙を表現するように爪を立てた。
「またそれ、狼だって!あはは……面白い!」まどかは、ケラケラと笑った。
「本当に、この子は大丈夫かしら……」母は本当に心配そうに、まどかの顔をみた。
「大丈夫、大丈夫!」母の心配を茶化すようにまどかはVサインをした。
それを見た母は深いため息をついた。
『そういえば睦樹さん、何歳《いくつ》なのだろう……』まどかは、次の機会に聞いてみようと思った。
その目が宙を泳いでいるようだった。先日、会った睦樹はなぜか、いつもと雰囲気が違っていたような気がした。あのあとも、特に会話をする事もなく別れたのだが、昌子と何かあったのかなと勘ぐったりもした。
『まさか、昌子ちゃんも睦樹さんを……』まどかは、昌子が相手では勝ち目がないなと思った。自分が男だったのなら、絶対に昌子を選ぶ自信がある。そう思うと、自然と項垂れた状態になり、食欲も減退する。
あれこれ考えるうちに、唐突に自分が発してしまった言葉を思い出してしまった。
『私、睦樹さんの事、おじさんなんて思っていませんから!』なぜ、あんなことを言ったんだろうか……。思い出すと顔から火が吹き出しそうになるくらい恥ずかしくなる。
『あれって、好きですって、言っているようなもんだよね……、あー恥ずかしい、次から睦樹さんの前で、どんな顔をすればいいんだろ』まどかは、急にニヤニヤと微笑み出した。落ち込んだり、喜んだり変化が激しい。
そんなまどかの様子を見ながら、母は自分の娘に春がやって来たのだなと感じた。
「なんか嬉しいことでもあったの?その様子、さてはボーイフレンドでもできたの?」
ギクッ!まどかが一瞬硬直したようになった。本当に考えている事が、すぐに顔に出る子だと母は呆れ顔を見せた。
「別にいいんだけどね。そういえば、この間、公園で一緒にいた男の人だけど……」まどかの母は、先日公園で、まどかと睦樹が二人、雨の中でなにやら話をしていたことが気になるようだった。
「え、ああ、あの人……、ちょっとした知り合いよ。たまたま、あそこで一緒にいただけよ」まどかは少し誤魔化すように返した。
誤魔化すのも下手な子だなと、母は思った。
「そうなの、ただの知り合いなの……」意味あり気に母は呟く。
「どうかしたの?」まどかは、今まで見たことの無い母の動揺したような顔を覗きこむ。
「別にいいのだけれど……、どこかで見覚えがあるのよね、あの人……。結構、まどかよりも年上の人みたいだけど、いくつなのあの人?簡単に男の人について行ったりしては駄目よ。男は狼なのよ……」母は手で狼の牙を表現するように爪を立てた。
「またそれ、狼だって!あはは……面白い!」まどかは、ケラケラと笑った。
「本当に、この子は大丈夫かしら……」母は本当に心配そうに、まどかの顔をみた。
「大丈夫、大丈夫!」母の心配を茶化すようにまどかはVサインをした。
それを見た母は深いため息をついた。
『そういえば睦樹さん、何歳《いくつ》なのだろう……』まどかは、次の機会に聞いてみようと思った。
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