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人格崩壊

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「ママ~、あのドラッグもっとくれよ~」彼は、ふらついた足取りで、レッド・ブラッドのドアを開いた。

 片山の目は完全に正気を逸していた。壁で体を支えながら、なんとかカウンターの席に座る。

「片山ちゃん……、あなた、あの薬を全部自分で飲んだの?これ以上、服用すれば本当に廃人になるわよ」ママは、前のめり気味で煙草を燻らせた。片山の目の前に、ママの胸の谷間がさらされる。片山の視線に入るように角度を調整している。年齢にそぐわない張りのある乳房。かなりのメンテナンスをしているようだった。

「あはは!」片山は、右手をプルプルと痙攣させたように、右手を伸ばした。まるで、禁断の果実をもぎ取ろうとするアダムとイブのように……。ママは、片山のその手を軽く払った。

「うふふふ、お預けよ」言葉とは裏腹で満更でもない様子である。

 ママと片山は、あれから何度が情事を重ねている様子であった。

前まで、一緒につるんでいたサングラスの男とは、完全に疎遠になったようだ。

「頼むから、薬を……、ドラッグをくれよ……、気が狂いそうだ」片山は懇願するように、要求した。

「私の言うことを、もっと聞いてくれる?」言いながら、店の看板をクローズに変えて、ドアの鍵を締めた。

「聞く!聞くから!なんでもするから!」とうとう片山は、店の床に土下座するような格好になった。

「うふふふふ」ママ、土下座する片山の目の前に、茶色い封筒を放り投げる。片山は、震えながら両手で拾い上げ封を破った。そして、中から出てきた薬の包みも乱暴に破ると、上を向き水と一緒に粉末を飲み込んだ。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」少しずつ、落ち着きを取り戻している様子。

「具合良くなってきたみたいね。それじゃぁ……、約束守ってよね」いいながら、彼女はブラウスのボタンに指をかけながら、店の明かりを消した。
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