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強制退去
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「と、突然ですが、このマンションを追い出される事になりました」近隣の部屋から騒音が煩いとの苦情が殺到しているとのことであった。
「えっ、まさか・・・・・・・私達のせい・・・・・・?」勇希は冷や汗を流しながら聞いた。 静香とシンディは気にも留めない様子で、テレビゲームで対戦している。
シンディの引越しは終了して、住居は確保出来たはずなのだが、何故か寝泊りを響樹の部屋で繰り返していた。 宿無しの静香もこの部屋を拠点としている。
そして、勇希も彼女達の存在が気になり、何かしら理由をつけては響樹の部屋に入り浸っていた。
思春期満開の男子達の住むマンションでは、妬みひがみ以外の何物でもなかった。
静香は、響樹の部屋で生まれて初めてテレビゲームに触れた。
格闘ゲームの刃を持ったキャラクターが気に入ったようで、対戦ゲームにのめり込んでいる。 同じくシンディはブーメランを持ったキャラクターで応戦する。二人の罵声にも似た声は、部屋中を響き渡っていた。
「ええ、・・・・・・い、いいえそういう訳では・・・・・・」響樹は誤魔化そうとしたが、バレバレであった。
「いつまで、ここに住めるの?」
「えっと、一ヶ月です。 来月末日までに出て行くようにと言われまして・・・・・・」どうやら、男子学生向け単身マンションに、女を連れ込んだ事による契約違反のようであった。
「ど、どうするの? 」勇希は心配そうに響樹の顔を見つめる。
「いい考えがあるわ!」シンディがコントローラーをこねくり回しながら呟く。
「本当か?!」響樹の顔がほころぶ。どんな打開策が提案されるのか期待した。 その横で、どんなとんでもない話が飛び出すのか勇希は呆れていた。
「私の家で同棲すればいいじゃない」シンディが可愛らしく微笑んだ。
「ど、同棲ってシンディ、何を言っているのよ? それでも貴方、先生なの?!」勇希は顔を赤くして目を見開いた。
「どうせい? なんだ、それは旨いのか?」静香はコントローラーを叩きながら興味を示した。
「良いじゃないの。ちょうど私の家は部屋が余っているから、それに静香の部屋も用意できるわ。 この狭い部屋で三つ巴の生活を続けるよりは、よっぽど健全でしょ」シンディはニヤリと笑った。シンディは引越ししてからも、響樹の家に入り浸り状態であった。
「で、でも・・・・・・」勇希は少し不安そうな顔をして響樹を見た。
「シンディ! 本当にいいの! いやー助かるよ!」響樹は手放しで喜んでいる。
先日の引越しを手伝った時にシンディの家は確認している。 確かに一人で住むには広すぎる一戸建ての住居であった。
二階建て、トイレは二ヵ所。ベッドルームにはシャワー完備であった。部屋数も結構余裕があったことを勇希は思い出していた。
「任せといて、これで決まりね!」シンディが胸を叩きながら言った。
「ドウセイか、それは何時食べるのだ?」静香がまた見当はずれの質問をしていた。
「で、でも・・・・・・」勇希は唇をアヒルのように尖らせた。
「勇希先輩どうかしましたか?」響樹は勇希が拗ねている意味が解らなかった。
「も、もう、知らない!」言いながら勇希は背を向けた。
ひとまず、このマンションを追い出されても住むところを確保出来た事に、響樹は安堵した。
勇希が何に怒っているのかは解らないが、触らぬ神に祟りなしということでそっとしておくことにした。
「えっ、まさか・・・・・・・私達のせい・・・・・・?」勇希は冷や汗を流しながら聞いた。 静香とシンディは気にも留めない様子で、テレビゲームで対戦している。
シンディの引越しは終了して、住居は確保出来たはずなのだが、何故か寝泊りを響樹の部屋で繰り返していた。 宿無しの静香もこの部屋を拠点としている。
そして、勇希も彼女達の存在が気になり、何かしら理由をつけては響樹の部屋に入り浸っていた。
思春期満開の男子達の住むマンションでは、妬みひがみ以外の何物でもなかった。
静香は、響樹の部屋で生まれて初めてテレビゲームに触れた。
格闘ゲームの刃を持ったキャラクターが気に入ったようで、対戦ゲームにのめり込んでいる。 同じくシンディはブーメランを持ったキャラクターで応戦する。二人の罵声にも似た声は、部屋中を響き渡っていた。
「ええ、・・・・・・い、いいえそういう訳では・・・・・・」響樹は誤魔化そうとしたが、バレバレであった。
「いつまで、ここに住めるの?」
「えっと、一ヶ月です。 来月末日までに出て行くようにと言われまして・・・・・・」どうやら、男子学生向け単身マンションに、女を連れ込んだ事による契約違反のようであった。
「ど、どうするの? 」勇希は心配そうに響樹の顔を見つめる。
「いい考えがあるわ!」シンディがコントローラーをこねくり回しながら呟く。
「本当か?!」響樹の顔がほころぶ。どんな打開策が提案されるのか期待した。 その横で、どんなとんでもない話が飛び出すのか勇希は呆れていた。
「私の家で同棲すればいいじゃない」シンディが可愛らしく微笑んだ。
「ど、同棲ってシンディ、何を言っているのよ? それでも貴方、先生なの?!」勇希は顔を赤くして目を見開いた。
「どうせい? なんだ、それは旨いのか?」静香はコントローラーを叩きながら興味を示した。
「良いじゃないの。ちょうど私の家は部屋が余っているから、それに静香の部屋も用意できるわ。 この狭い部屋で三つ巴の生活を続けるよりは、よっぽど健全でしょ」シンディはニヤリと笑った。シンディは引越ししてからも、響樹の家に入り浸り状態であった。
「で、でも・・・・・・」勇希は少し不安そうな顔をして響樹を見た。
「シンディ! 本当にいいの! いやー助かるよ!」響樹は手放しで喜んでいる。
先日の引越しを手伝った時にシンディの家は確認している。 確かに一人で住むには広すぎる一戸建ての住居であった。
二階建て、トイレは二ヵ所。ベッドルームにはシャワー完備であった。部屋数も結構余裕があったことを勇希は思い出していた。
「任せといて、これで決まりね!」シンディが胸を叩きながら言った。
「ドウセイか、それは何時食べるのだ?」静香がまた見当はずれの質問をしていた。
「で、でも・・・・・・」勇希は唇をアヒルのように尖らせた。
「勇希先輩どうかしましたか?」響樹は勇希が拗ねている意味が解らなかった。
「も、もう、知らない!」言いながら勇希は背を向けた。
ひとまず、このマンションを追い出されても住むところを確保出来た事に、響樹は安堵した。
勇希が何に怒っているのかは解らないが、触らぬ神に祟りなしということでそっとしておくことにした。
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