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永遠の命
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辺りが騒がしくなってきた。
屋上での騒動に気がついた教師達が駆けつけてきたようだ。
「あの・・・・・・黒ノ柄が消えたから結界も消える。早くこの場から逃げるぞ!」静香は言うと、赤い少女の尻を蹴飛ばして屋上から裏庭に突き落とした。
「「な、なにっ?!」」少女は裏庭の花壇の中に落下した。赤い少女は校舎の下から屋上を見上げて、ブルブル震えた。
静香がすぐ隣で華麗な着地を披露した。
「「あんたねぇ!死んだらどうするのよ!」」赤い少女の頭には、大量の植物の葉が絡まっていた。
「いいから、行くぞ!」静香はそう言うと、勢いよく駆け出した。
「「ちょっと、待ちなさいよ!」」赤い少女は、静香の後を追いかけた。
学校の近くを流れる河川、そこに大きな橋があった。二人はその下に身を隠した。
「「一体、どういうこと?」」少女は静香に尋ねた。
「言っただろう。 その男に関わるなと・・・・・・」静香は少し呆れた口調で答える。
「「その男って?」」少女が自分の周りを見渡すが、不動はおろか男の姿は見えない。
「紅といったな。 お前と響樹の体は一体となりその姿になった。 その男は普通の男ではないのだ」
「「普通じゃないって・・・・・・?」」
「特定の乙女が、その男と接吻を交わすと特殊な力を得ることが出来る。それと、死ぬことのできない体になってしまう。所謂、不老不死になってしまうのだ」
「「不老不死?」」
「そうだ、その男は憶えていないようだが・・・・・・私と響介・・・・・・いや、その男は恋仲であった。 私も、その男と接吻を交わしたのだ。 ・・・・・・そう、あれは百年ほど前だ」静香は遠くを見るように話した。
「「百年・・・・・・、でも、そんな」」少女は、静香の体を改めて観察した。 どう見ても彼女は十五歳程度の少女の姿にしか見えない。
「たちが悪いのは、毎度、毎度その男が記憶を消している事だ。 先ほどの黒ノ柄 嵐子、そして私、その他にも同じ境遇の乙女がいるかもしれない。 ・・・・・・・そして新たに、紅という乙女が仲間入りした・・・・・・ということだ」静香は少女を指差した。
「「えっ、私が・・・・・・!」」少女は目を見開いて、身を乗り出した。
「そうだ、その男は『超人製造機』のようなものだ。関わった乙女は超人的な力を手に入れた。 昔からその男を捕らえて研究しようと、様々な組織が狙っていた。 しかし、そやつは毎度毎度、記憶を消しては行方をくらませるのだ」
「「どうして、嵐子って女は攻撃してくるの?」」先ほどまで戦っていた、黒ノ柄 嵐子という女が響樹の命を狙う理由が解らなかった。
「あの女は、私より更に昔、その男と契りを交わした。男が行方をくらませた後、失望した嵐子は、命を絶とうと試みたが死ねなかった。その苦しみを救ってくれたのが一人の普通の男だった。 嵐子はその男と結ばれ、男の子を宿した。・・・・・・だが、数年経ち夫や息子は年を重ねて年老いていくが、嵐子は何年経っても同じ姿のままだったそうだ。 そして年老いた息子を看取った時、自分の運命を呪い・・・・・・、その男を殺す事を心に誓った・・・・・・・そうだ」
「「そんな・・・・・・」」少女は両手で口を覆った。
「永遠の命を終了させるには・・・・・・・、その男を抹殺するしか方法が無いらしい。 百年前も私とその男は嵐子と戦い続けた。 その男を嵐子から守る為に・・・・・・」
「「・・・・・・」」少女には言葉が見つからなかった。
「嵐子は、強力な後援者を味方につけたらしい・・・・・・。その全容はよく解らないが・・・・・・」
「「後援者?」」
「ところで、いつまでその姿でいるつもりだ。いい加減元に戻れ」静香が訝しげに言った。
「「え、戻るってどうやって・・・・・・?」」少女は元に戻る方法が解らなかった。
川辺を心地よい風が流れていた。
屋上での騒動に気がついた教師達が駆けつけてきたようだ。
「あの・・・・・・黒ノ柄が消えたから結界も消える。早くこの場から逃げるぞ!」静香は言うと、赤い少女の尻を蹴飛ばして屋上から裏庭に突き落とした。
「「な、なにっ?!」」少女は裏庭の花壇の中に落下した。赤い少女は校舎の下から屋上を見上げて、ブルブル震えた。
静香がすぐ隣で華麗な着地を披露した。
「「あんたねぇ!死んだらどうするのよ!」」赤い少女の頭には、大量の植物の葉が絡まっていた。
「いいから、行くぞ!」静香はそう言うと、勢いよく駆け出した。
「「ちょっと、待ちなさいよ!」」赤い少女は、静香の後を追いかけた。
学校の近くを流れる河川、そこに大きな橋があった。二人はその下に身を隠した。
「「一体、どういうこと?」」少女は静香に尋ねた。
「言っただろう。 その男に関わるなと・・・・・・」静香は少し呆れた口調で答える。
「「その男って?」」少女が自分の周りを見渡すが、不動はおろか男の姿は見えない。
「紅といったな。 お前と響樹の体は一体となりその姿になった。 その男は普通の男ではないのだ」
「「普通じゃないって・・・・・・?」」
「特定の乙女が、その男と接吻を交わすと特殊な力を得ることが出来る。それと、死ぬことのできない体になってしまう。所謂、不老不死になってしまうのだ」
「「不老不死?」」
「そうだ、その男は憶えていないようだが・・・・・・私と響介・・・・・・いや、その男は恋仲であった。 私も、その男と接吻を交わしたのだ。 ・・・・・・そう、あれは百年ほど前だ」静香は遠くを見るように話した。
「「百年・・・・・・、でも、そんな」」少女は、静香の体を改めて観察した。 どう見ても彼女は十五歳程度の少女の姿にしか見えない。
「たちが悪いのは、毎度、毎度その男が記憶を消している事だ。 先ほどの黒ノ柄 嵐子、そして私、その他にも同じ境遇の乙女がいるかもしれない。 ・・・・・・・そして新たに、紅という乙女が仲間入りした・・・・・・ということだ」静香は少女を指差した。
「「えっ、私が・・・・・・!」」少女は目を見開いて、身を乗り出した。
「そうだ、その男は『超人製造機』のようなものだ。関わった乙女は超人的な力を手に入れた。 昔からその男を捕らえて研究しようと、様々な組織が狙っていた。 しかし、そやつは毎度毎度、記憶を消しては行方をくらませるのだ」
「「どうして、嵐子って女は攻撃してくるの?」」先ほどまで戦っていた、黒ノ柄 嵐子という女が響樹の命を狙う理由が解らなかった。
「あの女は、私より更に昔、その男と契りを交わした。男が行方をくらませた後、失望した嵐子は、命を絶とうと試みたが死ねなかった。その苦しみを救ってくれたのが一人の普通の男だった。 嵐子はその男と結ばれ、男の子を宿した。・・・・・・だが、数年経ち夫や息子は年を重ねて年老いていくが、嵐子は何年経っても同じ姿のままだったそうだ。 そして年老いた息子を看取った時、自分の運命を呪い・・・・・・、その男を殺す事を心に誓った・・・・・・・そうだ」
「「そんな・・・・・・」」少女は両手で口を覆った。
「永遠の命を終了させるには・・・・・・・、その男を抹殺するしか方法が無いらしい。 百年前も私とその男は嵐子と戦い続けた。 その男を嵐子から守る為に・・・・・・」
「「・・・・・・」」少女には言葉が見つからなかった。
「嵐子は、強力な後援者を味方につけたらしい・・・・・・。その全容はよく解らないが・・・・・・」
「「後援者?」」
「ところで、いつまでその姿でいるつもりだ。いい加減元に戻れ」静香が訝しげに言った。
「「え、戻るってどうやって・・・・・・?」」少女は元に戻る方法が解らなかった。
川辺を心地よい風が流れていた。
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