振り返るといつもの君がいたような気がした。僕が助けた少女は有名なシンガーソングライターだった。『君の歌と僕の夢……。』

君とお遊びのような生活

「ねえ、亮介さん。出かけませんか？」美桜は俺に気を使うかのように誘ってきた。

「･･･････えっ、･･･････あの･･･････」本当の気持ちを言ってしまうと、家に引きこもっていたいのが本音であった・

「行っておいで、気晴らしになるだろう。MIONも歌のヒントが出るかも知れないし」綾はそういうと、まるで準備でもしていたように何かのチケットを二枚差し出してきた。「この間、知り合いに貰ったんだが、私は行く暇がないから二人で行っておいで」それはユニバーサル・スタジオの入場券であった。

「やった！行きましょうよ亮介さん！いいでしょ？」彼女の嬉しそうな笑顔を見ていると断るという選択は無くなっていた。

「そうだね、行こうか」俺は気持ちを切り替えるように、両手で自分の太腿を叩いた。

「それじゃあ、私出かける準備をしてきます」美桜は飛び上がるように立ち上がると、自分の使った食器をキッチンで鼻歌を歌いながら洗ってから、階段を駆け上がって行った。

「亮介君･･･････、いつまでもこんなお遊びのような生活は続かないんだよ。どこかで答えを出さないといけない。きっと近い日にな･･･････」綾もそう言い残すと階段を上がっていった。「私を選んでくれても構わないんだよ」階段の上でウインクをすると、なんだか悪戯な笑顔を残すと彼女は姿を消した。彼女の言葉の意味を俺は半分も理解出来ていなかったのかもしれない。

　俺も自分の食べた朝食の後かたずけをそてから自分の部屋に戻った。