魔法使いだからって、女の子になるのは理不尽じゃねぇ?

上条 樹

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敬 語

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 気がついた神戸を家まで送った。

 彼女には当然家族は居ない人間界に来てからずっと一人暮らしをしているそうだ。
 俺に譲った魔法の力が無くなり今後はしばらくの間、普通の女子高生として人間界で生活をすることになるそうだ。
 彼女は人間界での生活が大変気に入ったらしく、飽きるまではこの生活をエンジョイしたいということであった。

「幸太郎・・・・・・力が強力になったようだな」ファムは俺の顔を見るなり驚いたような顔を見せた。さすがに魔界の王ということもあり、一目で相手の力量が解るらしい。

「神戸・・・・・・いや、エリザの特訓のおかげです」

「そうか・・・・・・しかし強力すぎる力は身を滅ぼす場合もある。エリザの思いを無駄にせぬようにモンゴリーと対峙するのだぞ」珍しくファムが真剣な顔で口を開いた。

「解りました」俺は覚悟を決めて返答をした。

「それから、いい加減にその敬語をやめろ。私は人間界では王ではない。・・・・・・・ただの女として接してくれたほうが嬉しいぞ」言いながらファムは抱きついてきた。思いのほか大きな胸が俺の体に当たる。

「ちょ、ちょっと!」俺は動揺した。じゃれつくファムの顔は可愛い女の子の顔であった。なんだかその顔を見て少し気が安らいだ。

「お盛んね・・・・・・・」振り返ると直美がいた。

「な、直美!い、いやこれは・・・・・・・げほっ!」再びボディーブローが綺麗に決まった。

「なんじゃ、直美! ワシと幸太郎に焼きもちか?!」ファムは両手を腰に当て偉そうな顔で見ている。

「だ、誰が焼きもちなんて、み、幸太郎君が・・・・・・分別無しに女の子に手をだすから・・・・・・それだけよ!」直美はプイッと顔を背けると、階段を駆け上がっていった。

「そ、そんな俺は・・・・・・」俺の言い訳は彼女に届かない。

「かわゆいのう。直美は」ファムが微笑みながら呟く。

「えっ、どういうことですか?」俺はファムの言葉の意味がわからずに聞いてみた。

「本当に、お前は乙女心が解らん奴じゃな・・・・・・・それから、敬語はやめろと言ったであろうが、愚か者め!」ファムは俺の頭を一発叩いた。

「はい、いや・・・・・・・うん」俺はとりあえず言葉をつくろった。

「そうじゃ、それでいいのじゃ」ファムはなんだか少し満足気であった。

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