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バーニング・エンジェルズ・アライブ(ヒーロー編)
ナオミと直美
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直美は俯き加減で一人、マンションを目指していた。岬樹に本当の事を告げるべきか迷っていたからだ。
彼は、ほかのバーニ達の事を自分と同じ人間だと思っている。しかし、それは違うのだ。
ミサキの他のバーニ達は言ってみれば試作品。
本当のバーニを生み出すために、北島博士と組織によって作られた人造人間なのである。記憶こそ幼い頃からの思い出が存在するが、それは移植されたものであって、直美にもそれが本物なのかどうなのかは解からないのだ。
その事を考えると急に気が滅入ってしまった。
何故か急に、狩屋の顔を見たくなって、なんとなくバーニの姿のまま飛び出した。
考えてみれば、狩屋と過ごした日々、時間はバーニ・ナオミとしての時間であり、直美の存在を彼は知らない。
結局、自分は本当の自分を狩屋には見せた事が無かった。彼の事は、人間だった頃の分身である大久保美穂に譲り自分は身を引き、一度は諦めた存在なのだ。
「狩屋さん・・・・・・」ナオミは仕事を終えた狩屋の姿を見つけて声をかける。
「ナオミさん」狩屋は驚いたように彼女の顔を見た。
「ちょっと、話したくなったので・・・・・・迷惑でしたか?」ナオミは少しモジモジしながらその言葉を口にした。
「いや、光栄だな、君みたいなスーパーレディーと話せるなんて」何気なく言った言葉であろうが、その言葉にナオミは少し傷ついた。
「私だって、普通の女の子なのに・・・・・・」言いながら、それは自分がそう思っているだけで、実際はそうではない事は解かっている。
「どうしたの?」
「いいえ、私転校してから、有紀さんとか、美穂は元気なのかなと思って」以前ナオミは彼女達と同じ学校でクラスメイトであった。
「ああ、二人とも元気だよ、どうも二人共、自衛官になるのは諦めたみたいだけど」彼は微笑みながら近況を報告した。
「そうなんですか、やっぱり普通にお嫁さんとかになるほうが良いですよね」
「そうだね、ナオミさんも素敵なお嫁さんになりそうだよね。男の人は大変そうだけれども・・・・・・・」
「どういう意味ですか?」
「いや、スーパーレディーの旦那さんは、スーパーマンじゃないと駄目なのかなと思ってさ」言いながら彼は大笑いした。
「ごめんなさい、私帰ります」狩屋の言葉にナオミは少し傷ついたようであった。
「どうしたの・・・・・・?」彼にはナオミの気持ちが解からなかったようだ。
ナオミは狩屋の言葉を無視してその場を後にした。
彼女のその瞳には一筋の涙が流れていた。
彼は、ほかのバーニ達の事を自分と同じ人間だと思っている。しかし、それは違うのだ。
ミサキの他のバーニ達は言ってみれば試作品。
本当のバーニを生み出すために、北島博士と組織によって作られた人造人間なのである。記憶こそ幼い頃からの思い出が存在するが、それは移植されたものであって、直美にもそれが本物なのかどうなのかは解からないのだ。
その事を考えると急に気が滅入ってしまった。
何故か急に、狩屋の顔を見たくなって、なんとなくバーニの姿のまま飛び出した。
考えてみれば、狩屋と過ごした日々、時間はバーニ・ナオミとしての時間であり、直美の存在を彼は知らない。
結局、自分は本当の自分を狩屋には見せた事が無かった。彼の事は、人間だった頃の分身である大久保美穂に譲り自分は身を引き、一度は諦めた存在なのだ。
「狩屋さん・・・・・・」ナオミは仕事を終えた狩屋の姿を見つけて声をかける。
「ナオミさん」狩屋は驚いたように彼女の顔を見た。
「ちょっと、話したくなったので・・・・・・迷惑でしたか?」ナオミは少しモジモジしながらその言葉を口にした。
「いや、光栄だな、君みたいなスーパーレディーと話せるなんて」何気なく言った言葉であろうが、その言葉にナオミは少し傷ついた。
「私だって、普通の女の子なのに・・・・・・」言いながら、それは自分がそう思っているだけで、実際はそうではない事は解かっている。
「どうしたの?」
「いいえ、私転校してから、有紀さんとか、美穂は元気なのかなと思って」以前ナオミは彼女達と同じ学校でクラスメイトであった。
「ああ、二人とも元気だよ、どうも二人共、自衛官になるのは諦めたみたいだけど」彼は微笑みながら近況を報告した。
「そうなんですか、やっぱり普通にお嫁さんとかになるほうが良いですよね」
「そうだね、ナオミさんも素敵なお嫁さんになりそうだよね。男の人は大変そうだけれども・・・・・・・」
「どういう意味ですか?」
「いや、スーパーレディーの旦那さんは、スーパーマンじゃないと駄目なのかなと思ってさ」言いながら彼は大笑いした。
「ごめんなさい、私帰ります」狩屋の言葉にナオミは少し傷ついたようであった。
「どうしたの・・・・・・?」彼にはナオミの気持ちが解からなかったようだ。
ナオミは狩屋の言葉を無視してその場を後にした。
彼女のその瞳には一筋の涙が流れていた。
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