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バーニング・エンジェルズ・アライブ(ヒーロー編)
二人きりの個室
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繁華街の中に飛び込み、 たどり着いたのは、二人きりの個室。
薄暗い照明、照明の照度を下げたのは直美様であった。
張り巡らされた鏡。 外に声が聞こえないように防音の壁が張り巡らされている。
「な、なんだか・・・・・・落ち着かないですね・・・・・・」俺は緊張のあまりゴクリと唾を飲み込む。
「そうですか?」直美さんは平然とした顔で答えた。俺は、女の子と二人でこんな所に来たのは初めてだった。
「ワンドリンク制ですので、とりあえずご注文をお願いいたします」店員が注文を促す。
「私は、クリームメロンで・・・・・・、榊さんは?」彼女はメニューを差し出してきた。
「俺、コーラで・・・・・・」未成年が注文する飲み物など、そんなにバラエティーに富んだものなど存在しない。たいていの場合、俺はコーラをお願いする事が多いと思う。
「承りました」店員はそういうとお辞儀をして、部屋から退出していった。
「すいません、私。 カラオケボックスって初めてで・・・・・・」直美様が少し顔を赤らめて言った。 その手には、すでに入力用の端末が握られていた。
「何か、歌いますか?」直美様の歌声も天使のように美しいので、期待を込めて聞いた。
「いいえ、それはまだ、ちょっと・・・・・・・」直美様は、端末を机の上にそっと置いた。 そのまま、持っていた鞄の中から黒い箱を取り出した。
「それは、なんですか?」俺は体を少し乗り出して、黒い箱を指差した。
「これは、検査キットです。 榊さんの血液を少し採取させて欲しいのです」直美様は黒い箱を開けると、中から注射器のようなものを取り出した。
「血・・・・・・ですか? 一体どうして、って言うか看護師でもないのに、注射器なんて使って大丈夫なんですか?」俺は椅子の背もたれに体重をかけて、少し後ろに逃げる形となった。
「大丈夫です。 これは腕の上に置くと自動で採決してくれる機械です。消毒も自動でしてくれるのです」彼女は、また天使の微笑みを見せた。俺の頭の中に、ナース姿の直美様が浮かんだ。 採血される前に、鼻血が出るのではと思った。
「なぜ、俺の血を・・・・・・?」まさか、直美様とお付き合いするのに血の検査が必要なのだろうか。 もしかして、遺伝子の検査、優秀な子供を残す為、そんな訳は無いだろうが・・・・・・。
「駄目・・・・・・ですか?」少し潤んだ瞳を見せて俺の血をねだって来る。 今度は子猫のような表情であった。俺には、断る術はすでに無かった。
「どうぞ! お好きなだけお取りください!」俺は勢いに任せて右手を出した。
「有難うございます!」そう言うと、直美様は俺の右腕に注射器のような機械を当てた。 ひんやりとした感覚のあとに、チクリと針が刺さる感覚がする。 ただ、今まで経験してきた注射器と比較すると全くといって良いほど、痛みは感じなかった。機械に設置されたモニターに『採取終了』の文字が表示された。
「有難うございます。 採取出来たようです」またまた、天使の微笑みで直美様は首を軽く傾けた。次は、ぜひナース服でお願いします。
「いいえ・・・・・・、でも俺の血を調べてどうするのですか?」注射の痕を確認した。 針の刺された痕跡は全く無かった。
「そうですね・・・・・・今は、まだ・ひ・み・つです」直美様は悪戯っぽい感じで言った。 小悪魔にもなれるのですか貴方は・・・・・・!
「折角ですから、榊さん、何か歌ってください」そう言うと直美様はマイクを俺に差し出した。
薄暗い照明、照明の照度を下げたのは直美様であった。
張り巡らされた鏡。 外に声が聞こえないように防音の壁が張り巡らされている。
「な、なんだか・・・・・・落ち着かないですね・・・・・・」俺は緊張のあまりゴクリと唾を飲み込む。
「そうですか?」直美さんは平然とした顔で答えた。俺は、女の子と二人でこんな所に来たのは初めてだった。
「ワンドリンク制ですので、とりあえずご注文をお願いいたします」店員が注文を促す。
「私は、クリームメロンで・・・・・・、榊さんは?」彼女はメニューを差し出してきた。
「俺、コーラで・・・・・・」未成年が注文する飲み物など、そんなにバラエティーに富んだものなど存在しない。たいていの場合、俺はコーラをお願いする事が多いと思う。
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「すいません、私。 カラオケボックスって初めてで・・・・・・」直美様が少し顔を赤らめて言った。 その手には、すでに入力用の端末が握られていた。
「何か、歌いますか?」直美様の歌声も天使のように美しいので、期待を込めて聞いた。
「いいえ、それはまだ、ちょっと・・・・・・・」直美様は、端末を机の上にそっと置いた。 そのまま、持っていた鞄の中から黒い箱を取り出した。
「それは、なんですか?」俺は体を少し乗り出して、黒い箱を指差した。
「これは、検査キットです。 榊さんの血液を少し採取させて欲しいのです」直美様は黒い箱を開けると、中から注射器のようなものを取り出した。
「血・・・・・・ですか? 一体どうして、って言うか看護師でもないのに、注射器なんて使って大丈夫なんですか?」俺は椅子の背もたれに体重をかけて、少し後ろに逃げる形となった。
「大丈夫です。 これは腕の上に置くと自動で採決してくれる機械です。消毒も自動でしてくれるのです」彼女は、また天使の微笑みを見せた。俺の頭の中に、ナース姿の直美様が浮かんだ。 採血される前に、鼻血が出るのではと思った。
「なぜ、俺の血を・・・・・・?」まさか、直美様とお付き合いするのに血の検査が必要なのだろうか。 もしかして、遺伝子の検査、優秀な子供を残す為、そんな訳は無いだろうが・・・・・・。
「駄目・・・・・・ですか?」少し潤んだ瞳を見せて俺の血をねだって来る。 今度は子猫のような表情であった。俺には、断る術はすでに無かった。
「どうぞ! お好きなだけお取りください!」俺は勢いに任せて右手を出した。
「有難うございます!」そう言うと、直美様は俺の右腕に注射器のような機械を当てた。 ひんやりとした感覚のあとに、チクリと針が刺さる感覚がする。 ただ、今まで経験してきた注射器と比較すると全くといって良いほど、痛みは感じなかった。機械に設置されたモニターに『採取終了』の文字が表示された。
「有難うございます。 採取出来たようです」またまた、天使の微笑みで直美様は首を軽く傾けた。次は、ぜひナース服でお願いします。
「いいえ・・・・・・、でも俺の血を調べてどうするのですか?」注射の痕を確認した。 針の刺された痕跡は全く無かった。
「そうですね・・・・・・今は、まだ・ひ・み・つです」直美様は悪戯っぽい感じで言った。 小悪魔にもなれるのですか貴方は・・・・・・!
「折角ですから、榊さん、何か歌ってください」そう言うと直美様はマイクを俺に差し出した。
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