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後ろから……

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「そうなんですか、で後ろから押されたっていうのは確かですか?」警察官がメモを取りながら聞いてくる。

「ええ、でも・・・・・・、押した人の顔は見えませんでした・・・・・・」愛美は赤信号が変わるのを待っていて前しか見ていなかった。

「でも、通勤の時間に誰かが後ろから押したのなら目撃者がいないのは・・・・・・・」

「俺は、彼女が後ろから押されたのを見たよ」先ほどまで眠っていた刈谷が目を開けていた。どうらら気が付いたようだ。

「刈谷・・・・・・・、お前、またどうして、そんなところにいたんだ?」刑事が呆れたようにため息をついた。

「いや・・・・・・・、ちょっと仕事で・・・・・・・」言いながら彼は愛美の顔をチラッと見た。その視線の理由が、愛美には解らなかった。

「彼女が押されたのを見たっていうのは本当なのか?」刑事が気を取り直したように真剣な顔をして聞いた。

「野沢さん・・・・・・・、だから俺は彼女を助けに飛び出して助ける事ができたんですよ・・・・・・・。顔も覚えていますよ・・・・・・・、たぶん」刈谷は半身を起こすと顎に掌を当てて、頬杖を突くような仕草をした。愛美はその仕草を見て、少し胸がキュンとしたような気がした。

「愛美!大丈夫!!」昌子が部屋に飛び込んできた。

「あっ、お姉ちゃん・・・・・・」突然の昌子の登場に愛美は驚く。

「あれっ!お巡りさん!?」昌子はベッドを囲んで座っている妹と、警察官を見て驚いた。なぜか両人差し指を立てて横にしてポーズを取った。

「今日は、お疲れでしょうから刈谷と・・・・・・、えーと、篠原さんでしたよね。明日の正午で結構ですので署の方にお越し願えますか?」

「はい、わかりました」「ええ・・・・・・」刈谷に続き愛美も返答をする。なぜか、明日も彼に会えるのかと思うと、彼女の頬が少し赤く染まった。その様子を見て昌子は何かに感づいたようにニヤニヤしている。

 その返答を確認してから、野沢という刑事は軽く会釈会釈をすると、巡査と一緒に病室から出て行った。
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