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血液型

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 病院に到着すると真由美と穂乃花は車を飛び降りて病院の中に駆け込んでいった。

「あっー、ひなも!」ひなのその声は二人には聞こえなかった。

「ひなは、お父さんと一緒に行こうな」直人はひなを宥めるように言い聞かせ、車を駐車場まで移動させた。

「今日搬送された光!渡辺光くんはどこですか!?」真由美は息を切らせながらナースセンターに飛び込んだ。

「渡辺さんは、現在集中処置室にいます。こちらです。」看護師の女性が二人を案内をする。

「集中処置室って、光君の容態はかなり酷いのですか!」穂乃花が泣きそうな顔をしながら口を開いた。

「そうですね。出血が酷くてたくさんの輸血が必要なんですが、たまたま彼の血液型が足りないのです。ご家族の方であれば一致する肩がおいででしょう。念の為、皆さんの血液型の検査をさせて頂きますのでご協力お願いします」看護師の話を聞いて二人は頷く。

 採血を終えた真由美と直人達は治療室の前の長椅子で待っている。穂乃花《ほのか》は茫然として天井の蛍光灯を見つめていた。

「この病院って、穂乃花と光君が生まれた病院だよな」直人が雰囲気を少しでも和らげようと思ったのか話題を切り出した。

「そうね、ここで出産したわ。貴方は忙しくて立ち会ってくれなかったけれど・・・・・・」真由美は下を向いたままであった。直人は話題の選択を間違えたと反省していた。

「お兄たんは大丈夫なの・・・・・・」ひなが心配そうに聞く。

「うん、きっと大丈夫だよ・・・・・・」確かな確信はないがそれをひなに言ったがところでどうにも成らないことを穂乃花も知っている。

「貴方の血液型は確かB型だったわよね」真由美は記憶を手繰り寄せながら聞いた。

「君は・・・・・・、A型だった・・・・・・よな・・・・・・」自信が無さそうであった。

「やっぱり貴方らしい・・・・・・、覚えていないのよね。私の事は・・・・・・」こんな時ではあったが真由美は少しだけ微笑んだ。

「私も貴方と同じB型よ。ちなみに、光《ひかり》はO型よ。申し訳ないのだけれど穂乃花《ほのか》ちゃんにお願いするしかないのよね。穂乃花《ほのか》ちゃんもたしか光と同じO型だったわよね」真由美は申し訳無さそうに穂乃花の顔を見た。

「えっ!?」真由美の申し出を聞いて穂乃花は戸惑いの表情を見せた。

「どうしたの?」穂乃花の表情を読み取った真由美はその理由を確認した。

「お待たせいたしました」血液検査の結果を看護師の女性が告げにきた。「残念ですが、光さんに適合される血液型はご家族にはおられません」

「えっ……、そんな」真由美は困惑しているようである。

 「俺も真由美、君の血液型を聞いて驚いたんだが……、穂乃花の血液型はA型なんだ」直人も魂でも抜かれたような顔をしていた。

「どういう事なの、そもそもB型とB型の男女の間にA型の子供が生まれる訳がないわ。生まれてくるのはB型かO型だけのはず……、それなら私は一体?」穂乃花の顔から血の気が引いていく。

 ひなは大人達の話している意味が理解できずに退屈そうにしていた。
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