【完結作品】どうして僕達は出会ってしまったのだろう。二転三転していく三角関係。どんなに想っても、君は僕の……。『ほのかなひかり』

再 婚

「アハハハハ」高級フランスレストランの店内を男性の笑い声が響き渡る。店内の客は一様に声の方向に目をやる。

「ちょっとお父さん……」穂乃花は恥ずかしそうに父親を窘める。

「いやいや、すまん。しかし光君も来れば良かったのにな。本物に会えるのに、アハハハハ！」思い出したように笑う。

「もう、お父さんたら……」彼女は呆れて溜め息をついた。

「きっと恥ずかしいのよ穂乃花ちゃんと会うのが、年頃だもんね」光の母真由美は光の気持ちには全く気がついていない様子である。

「ひなは、おにいたんと会いたかったよ……」ひなは楽しみにしていたようで、悲しそうな顔をした。

「ごめんねひなちゃん。今度はおばさんの家に遊びにおいで。お兄ちゃんもいるから、なんならお泊まりしていったらいいわ」真由美はひなの頭をなでた。

「えー！ホントにいいの！ひな行きたい！」満面の笑みで喜びを表現する。

「もちろんいいわよ！なんなら穂乃花ちゃんも一緒にどう？光も大喜びするわ」真由美は来てほしそうな顔をする。

「い、いえ、私はちょっと……」自分の母親ではあるが空気を読まない人だなと穂乃花は少し減なりとした。

「今日、本当は光君にも聞いて欲しかったんだけれど大事な話があるんだ」直人は突然切り出した。真由美も顔を引き締める。

「俺と真由美さんは再婚しようと思っている」直人は芝居かかった物言いで切り出した。その言葉を聞いた穂乃花は特に無反応であった。ひなは訳が解らないようで穂乃花と直人の顔を交互に見ていた。

「うん、解った」穂乃花に特に目立った反応は無かった。驚かれると思っていたのだが……。

「驚いたり、反対したりしないのか？」直人は目を大きく見開きながら穂乃花を見つめた。

「なんで驚くのよ。元々夫婦で私は血がつながっているんだから問題ないわ」穂乃花はキョトンとしている。

「じゃ、じゃあ、ひなはどうなんだ！」直人はひなの気持ちを確認する。

「よく解らないけれど、おばちゃんもおにいたんも大好きだからひなもいいよ」ひなは嬉しそうに叫ぶ。

「ありがとう！ひなちゃん！おばちゃんもひなちゃん大好き！」真由美はひなを抱き締めた。

「そうか、良かった……、あとは光君だけか……」落ち着いたのか直人は目の前のワインをゴクリと一口飲んだ。

「あの子は大丈夫よ。穂乃花ちゃんと家族になるって言ったら大喜びするわよ」真由美は無責任に言いはなった。


「ハックション！おお、誰か噂してんな」光は一人カップラーメンを啜っていた。