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嫉 妬

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「わー!!」夜中に突然目を覚ます。時計を見るとまだ夜中の三時であった。

「ゆ、夢か……」電車の中で、穂乃花に口づけされる夢を見た。しかし、えらくリアルな夢であった。唇にかすかな余韻が残っているような気がする。
 
 まさか、電車の中で・・・・・・、ましてや周りに乗客もたくさん乗車している車両で、女の子からキスをしてくるなんて妄想としか思えない。

 こんな夢を見てしまうなんて、よっぽど欲求不満なのかなと自分の事ながら呆れてしまった。夢の中でこんなことをされているなんて、穂乃果も思いもよらないであろう。

 穂乃果の事を考えていると段々と胸の鼓動が激しくなって、眠れなくなっていた。

 すっかり目が覚めてしまったのでトイレに行ってから少しテレビをつけてみる。俺の好きな深夜アニメがやっている。録画はしてあるがリアルタイムで視聴しだすとやはり見てしまう。ついでに拝借してきた大瓶のコカ・コーラをコップに注ぎ喉に流し込む。
 深夜の炭酸飲料は肥満の元であるとは思うが、そんな事は学生の俺が知った事ではない。

 番組の途中であの清涼飲料水のCMが流れる。俺は、断然コーラが好きだとでも言いたいように更にコップの継ぎ足した。

 アニーズの白川と穂乃花が俺の家のテレビの中を戯れる。二人が川辺を走り、穂乃花の背後から白川が抱き着く。これは幻のノーカットバージョンと言われる奴であった。

 その時間が異常に長く感じてしまう。

 俺の中で急激に嫉妬心がムクムクと激しく頭を持ち上げてくる。

 しかし、それは考えても仕方が無いことであった。自分がその一部に代役として出ているとはいえ、やはり二人が画面いっぱいに映っている映像を見てもいい気はしない。

 番組の途中ではあったがリモコンを使ってテレビの電源を落とした。

「はあ・・・・・・、もう一眠りしよう・・・・・・・」俺はもう一度ベッドの中に潜り込んだ。

 翌日確認したら、間違ってDVDデッキの電源を落としていて、深夜アニメは最後まで録画されていなかった。まさに踏んだり蹴ったりとはこのことかとリモコンをベッドの上に投げつけた。


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