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私とじゃ嫌だった?
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帰宅の為に電車に乗る為に駅に向かう。
駅の改札を抜けると人身事故のアナウンスがあった。
すでに遅延は解消はされているようではあったが、駅は電車に乗車しようとする学生やサラリーマンなどでごった返しになっていた。
「凄い人だな乗れるかな?」あまりの人の多さに目が点になる。
「でも、これで帰らないとひなのお迎えに間に合わないわ」元々教室を出るのが遅くなっていたところを、白川というアイドルの分けの解らない障害により更に時間は遅くなってしまっていた。
俺達の乗るべき電車がホームの中に侵入してきた。ガラス越しに見る車内も人で一杯であった。
「女性専用車両じゃなくていいのか?」一応聞いてみる。
「女の人だらけの場所は臭《にお》いがきついのよ。頭が痛くなっちゃうから……」オッサンの加齢臭も大概だと思うが……。
目の前に電車が到着しドアが開く。正直いうととても乗れる状況ではないような感じである。しかし、ひなのお迎えを考えると無理やりにでも乗るしかなかった。
「ヨッシャ!」俺は気合いを入れて人混みの中に乗り込む、そしてなんとか穂乃花の乗れるスペースを確保した。反動で押し返されそうになるが穂乃花に負担がかからないように踏ん張って堪える。電車が出発のアナウンスがありドアがゆっくりと閉まる。まさに車内は差詰《すしづめ》状態であった。
「く、苦しい……」穂乃花の顔が苦痛で歪む。周りの男性達と比べて穂乃花》は背が低い為に乗車客の中に埋もれたような状態になる。
「こっちに……」穂乃花の体をドアの横のスペースに移動させて彼女に圧がかからないように両腕で壁を押さえて空間を作る。
「ありがとう……、でも大丈夫?」彼女が心配そうな顔をする。
「だ、大丈夫だ、任せておけよ」少し手がぶるぶると震える。わざと押している奴がいるのではないかと思わせるほどの力が俺の両腕に負担となる。
ぎゅうぎゅう詰めの車内で背中をグイグイと押され、穂乃花の体に覆い被さりそうになる。
車内が暑いのか穂乃花の頬が真っ赤に染まっている。
「大丈夫か?」穂乃花の体を心配する。
「うん……、大丈夫よ」電車が激しく揺れる。彼女と顔の距離が急接近する。もう鼻がぶつかりそうな間合いであった。
「畜生、いつになったら駅に……」突然に穂乃花《ほのか》の唇が俺の唇に触れる。その瞬間、体の中を激しい電気が駆け抜け力が抜けてしまい、俺は彼女の体を抱き締めるような形になってしまう。
「な、なにを……?」彼女の耳元でその行動の意味を訊ねる。
「……」しかし彼女は顔を横に反らして無言のままであった。その耳の辺りが真っ赤になっている事を俺は見逃さなかった。
電車が駅のホームに到着しドアが開く。俺達は押し出されるように電車の外に出た。
少しの間、何を話していいのか解らずに沈黙の時間が続く。自動改札機に定期券を翳して改札の外に出て二人で歩いていく。
「さっきのは……、ゴメン、俺が背中を押されてお前の唇に……」あの電車が揺れた時に俺の体がバランスを崩した事が原因なのかと思っていた。事故とはいえ、女の子の唇にキスししてしまうなんてとんでもない事をしてしまったと思った。これは、蹴飛ばされるだけでは済まないのではないだろうか。
「お前っていうな……」なにやら少し恥ずかしそうにハニカミながら言っている。
「ゴメン……」一体何に対して謝っているのかも解らなくなってきた。
「謝らなくていいわよ。光君……、女の子もね……、好きな人にキスしたくなる時があるんだよ。それとも私とキスするのは嫌だった?」彼女は、あのCMの中と同じ笑顔で笑った。
駅の改札を抜けると人身事故のアナウンスがあった。
すでに遅延は解消はされているようではあったが、駅は電車に乗車しようとする学生やサラリーマンなどでごった返しになっていた。
「凄い人だな乗れるかな?」あまりの人の多さに目が点になる。
「でも、これで帰らないとひなのお迎えに間に合わないわ」元々教室を出るのが遅くなっていたところを、白川というアイドルの分けの解らない障害により更に時間は遅くなってしまっていた。
俺達の乗るべき電車がホームの中に侵入してきた。ガラス越しに見る車内も人で一杯であった。
「女性専用車両じゃなくていいのか?」一応聞いてみる。
「女の人だらけの場所は臭《にお》いがきついのよ。頭が痛くなっちゃうから……」オッサンの加齢臭も大概だと思うが……。
目の前に電車が到着しドアが開く。正直いうととても乗れる状況ではないような感じである。しかし、ひなのお迎えを考えると無理やりにでも乗るしかなかった。
「ヨッシャ!」俺は気合いを入れて人混みの中に乗り込む、そしてなんとか穂乃花の乗れるスペースを確保した。反動で押し返されそうになるが穂乃花に負担がかからないように踏ん張って堪える。電車が出発のアナウンスがありドアがゆっくりと閉まる。まさに車内は差詰《すしづめ》状態であった。
「く、苦しい……」穂乃花の顔が苦痛で歪む。周りの男性達と比べて穂乃花》は背が低い為に乗車客の中に埋もれたような状態になる。
「こっちに……」穂乃花の体をドアの横のスペースに移動させて彼女に圧がかからないように両腕で壁を押さえて空間を作る。
「ありがとう……、でも大丈夫?」彼女が心配そうな顔をする。
「だ、大丈夫だ、任せておけよ」少し手がぶるぶると震える。わざと押している奴がいるのではないかと思わせるほどの力が俺の両腕に負担となる。
ぎゅうぎゅう詰めの車内で背中をグイグイと押され、穂乃花の体に覆い被さりそうになる。
車内が暑いのか穂乃花の頬が真っ赤に染まっている。
「大丈夫か?」穂乃花の体を心配する。
「うん……、大丈夫よ」電車が激しく揺れる。彼女と顔の距離が急接近する。もう鼻がぶつかりそうな間合いであった。
「畜生、いつになったら駅に……」突然に穂乃花《ほのか》の唇が俺の唇に触れる。その瞬間、体の中を激しい電気が駆け抜け力が抜けてしまい、俺は彼女の体を抱き締めるような形になってしまう。
「な、なにを……?」彼女の耳元でその行動の意味を訊ねる。
「……」しかし彼女は顔を横に反らして無言のままであった。その耳の辺りが真っ赤になっている事を俺は見逃さなかった。
電車が駅のホームに到着しドアが開く。俺達は押し出されるように電車の外に出た。
少しの間、何を話していいのか解らずに沈黙の時間が続く。自動改札機に定期券を翳して改札の外に出て二人で歩いていく。
「さっきのは……、ゴメン、俺が背中を押されてお前の唇に……」あの電車が揺れた時に俺の体がバランスを崩した事が原因なのかと思っていた。事故とはいえ、女の子の唇にキスししてしまうなんてとんでもない事をしてしまったと思った。これは、蹴飛ばされるだけでは済まないのではないだろうか。
「お前っていうな……」なにやら少し恥ずかしそうにハニカミながら言っている。
「ゴメン……」一体何に対して謝っているのかも解らなくなってきた。
「謝らなくていいわよ。光君……、女の子もね……、好きな人にキスしたくなる時があるんだよ。それとも私とキスするのは嫌だった?」彼女は、あのCMの中と同じ笑顔で笑った。
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