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誰もそんな事言ってないわよ!
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委員会の会議が行われている。
議長は生徒会長でもある桂川が務めている。
「この前の臨海学校の事故について、生徒会が主催した胆試しで事故が発生しました。一人負傷者が出ましたが、幸い打撲程度という事でしたので・・・・・・」桂川による臨海学校の総括が続く。
友伽里《ゆかり》は心此処にあらずという感じで窓の外を見つめている。
あの臨海学校以来、光との距離間が遠くなったような気がする。以前なら少しくらい彼に悪態をつかれても笑って返せる自分がいた。でも、今日の自分は違う。
接骨院に行くと言った彼の言葉を聞いた時、渡辺穂乃果とどこかへ行くつもりなのかと勘ぐってしまう。どうせ、いつもの委員会をサボタージュする為の口実であるとは思うのだがどうしても不安になってしまう。
話題になっている穂乃果のCMを友伽里《ゆかり》も見た。あのCMの中で見せる穂乃果の笑顔は同性の友伽里《ゆかり》が見ても可愛いと感じる。同年代の男子生徒があの笑顔を見たらきっと一度に好きになってしまうであろう。
友伽里《ゆかり》は、噂の通り穂乃果とアイドル事務所アニーズの白川純一と恋人になってくれればいいのにと本気で思っていた。
ただでさえ、あの臨海学校の胆試し以来、光と穂乃果の距離間が接近しているように思えてヤキモキしている。あの笑顔が光に向けられたらと思うと、ゾッとした。
「ちょっと、友伽里《ゆかり》!聞いてるの?」桂川がボーっと外を眺める友伽里《ゆかり》を一喝する。本当に緩急が激しいのが彼女の長所でもあり、短所でもある。
「あ、あ、ごめんなさい。なん話だっけ?」友伽里《ゆかり》は突然名前を呼ばれて飛び上がる。
「秋にある文化祭の件を話しているんでしょう!まったく・・・・・・、どこに貴方の心は行っているのかしら」何か意味深な言い方をする。
「わ、私、光君の事なんか考えていないわよ!」友伽里《ゆかり》は机を力いっぱい叩いた。委員会のメンバーの顔が硬直する。
「誰もそんなこと言ってないわよ・・・・・・」桂川はあきれ顔でなだめる。
「ああ・・・・・・」友伽里《ゆかり》は顔を真っ赤に染める。
「その思い人、今日は何処へ行かれているの?」桂川は体育委員の座るべき席を見つめる。そこには、だれも座っていない椅子が一脚寂しそうに置かれていた。
「足の検査で接骨医院にいくそうよ」友伽里《ゆかり》はなぜか形見が狭い思いをする。
「ふーん、一度とっちめてやらないと駄目ね」深くため息をついてから腰に両こぶしを当てて桂川はもう一度席を睨みつけた。
議長は生徒会長でもある桂川が務めている。
「この前の臨海学校の事故について、生徒会が主催した胆試しで事故が発生しました。一人負傷者が出ましたが、幸い打撲程度という事でしたので・・・・・・」桂川による臨海学校の総括が続く。
友伽里《ゆかり》は心此処にあらずという感じで窓の外を見つめている。
あの臨海学校以来、光との距離間が遠くなったような気がする。以前なら少しくらい彼に悪態をつかれても笑って返せる自分がいた。でも、今日の自分は違う。
接骨院に行くと言った彼の言葉を聞いた時、渡辺穂乃果とどこかへ行くつもりなのかと勘ぐってしまう。どうせ、いつもの委員会をサボタージュする為の口実であるとは思うのだがどうしても不安になってしまう。
話題になっている穂乃果のCMを友伽里《ゆかり》も見た。あのCMの中で見せる穂乃果の笑顔は同性の友伽里《ゆかり》が見ても可愛いと感じる。同年代の男子生徒があの笑顔を見たらきっと一度に好きになってしまうであろう。
友伽里《ゆかり》は、噂の通り穂乃果とアイドル事務所アニーズの白川純一と恋人になってくれればいいのにと本気で思っていた。
ただでさえ、あの臨海学校の胆試し以来、光と穂乃果の距離間が接近しているように思えてヤキモキしている。あの笑顔が光に向けられたらと思うと、ゾッとした。
「ちょっと、友伽里《ゆかり》!聞いてるの?」桂川がボーっと外を眺める友伽里《ゆかり》を一喝する。本当に緩急が激しいのが彼女の長所でもあり、短所でもある。
「あ、あ、ごめんなさい。なん話だっけ?」友伽里《ゆかり》は突然名前を呼ばれて飛び上がる。
「秋にある文化祭の件を話しているんでしょう!まったく・・・・・・、どこに貴方の心は行っているのかしら」何か意味深な言い方をする。
「わ、私、光君の事なんか考えていないわよ!」友伽里《ゆかり》は机を力いっぱい叩いた。委員会のメンバーの顔が硬直する。
「誰もそんなこと言ってないわよ・・・・・・」桂川はあきれ顔でなだめる。
「ああ・・・・・・」友伽里《ゆかり》は顔を真っ赤に染める。
「その思い人、今日は何処へ行かれているの?」桂川は体育委員の座るべき席を見つめる。そこには、だれも座っていない椅子が一脚寂しそうに置かれていた。
「足の検査で接骨医院にいくそうよ」友伽里《ゆかり》はなぜか形見が狭い思いをする。
「ふーん、一度とっちめてやらないと駄目ね」深くため息をついてから腰に両こぶしを当てて桂川はもう一度席を睨みつけた。
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