20 / 29
リン参戦!モンキーバースト!
しおりを挟む
「さあ、美鈴ちゃん。リンの番だよ」一回戦の中盤、リンの試合が近づいてきた。俺はサポーターとして、一緒に会場に連れ添う。
試合に参加しているオルナスだが、半数はオーナーがチューニングして特殊なスタイルや、武器を持った物。あとの半数は、販売されているオルナスをそのまま参加させている感じであった。やはり、オリジナルのオルナスの性能はノーマルを圧倒していて、全く歯が立たないというのが俺の印象であった。
ただ、美鈴のリンを除いての話である。
リンを肩に乗せた美鈴が会場に現れると響めきが聞こえる。彼女の奇抜なファッションのせいもあるが、それはリンに注がれた物でもあった。
「おい!あれ2001のプレミアじゃないのか!?」オルナスオタクの男子が立ち上がった。
「本当だ!こんな大会にプレミアを出すなんて頭、可笑しいんじゃないのか!」会場の一部がざわめいている。
このバトルカーニバルは、文字通り殴り合いの戦いが繰り広げられる大会である。そんな大会にオルナスの高級機を投入するなんて酔狂に思えるのであろう。
「さあ、第9試合です!白 パンモンキー!マスターは、猿田彦摩呂!!」スタジアムの向こう側に、さきほど猿が目に入る。彼の肩からパンモンキーがジャンプして、舞台に飛び移った。それはまるで本当の猿のように身軽なものであった。
「続きまして、赤 ビューティー・リン!マスター ビューティー・ハート!!」何、そのリングネーム……、俺は頭を抱える。
「リン!行くわよ!!」美鈴が合図するとリンは美しい孤を描いて宙を舞った。その瞬間、再び響めきが起こった。
「奇麗!」「格好いい!!」「可愛い!!!」それはリンの姿を賛美するものであった。この一瞬で美鈴とリンは会場の観客を味方にしのだった。
「さあ、両雄が舞台に降り立ちました!この6分間、我々に何を見せてくれるのでしょう!!」
カウントダウンが始まる。
3・2・1!
リンは再び舞い上がると、パンモンキーめがけ強烈な飛びけりを喰らわそうとする。しかしパンモンキーは、更にリンの上空にジャンプ、それはオルナスの飛び上がれる高さではなかった。
「アイツ、口だけじゃないぞ!」俺は思わず口にしてしまう。
「解ってるわ、そうじゃなきゃ燃えないわ!」リンは蹴り足で着地するとそのまま身を翻して、場所を移動した。
パンモンキーは、独特のフットワークで距離を縮めてくる。リンが逃げようとすると、パンモンキーの右手が飛び出して彼女の首元を掴んだ。
「しまった!!」美鈴は拳を握りしめる。
飛び出したパンモンキーの腕はワイヤーで繋がっており、それを回収するかのように胴体が強烈な勢いでリンの体に体当たりする。
「どや!これがワシらの必殺技モンキーバーストや!!」猿田がほくそ笑む。
「リン!」リンの体が舞台間際まで飛ばされる。下に落ちると失格である。彼女はかろうじて踏み止まると、体制を整える。
「あーあ、やっぱり見かけ倒しかよ」観客の声が聞こえる。その観客を俺は睨み付ける。その視線に気がついたのか、声の主は目をそらした。
「さあ、ビューティー・リン!ピンチです!切り抜けられるか!!」
「もういっちょ行くで!」猿田の声。パンモンキーが再び、パンチを繰り出す。
「同じ手には引っ掛からないわよ!」リンは、飛んできた腕を右手で払うとパンモンキーと距離を詰める。
「おっ、やるやんか!」猿田は感心したような声を上げた。パンモンキーは、腕を回収すると大きくジャンプして、距離を開ける。
「卑怯者!なんで逃げるのよ!!」美鈴が地団駄を踏む。
「なに言うとんねん!戦術や阿呆!」
「阿呆!、阿呆ですって!?……阿呆!言う人が阿呆よ!」だんだん本性が出てくる。
「ほれ!もういっちょ行くで!」また同じ攻撃。
「だから、通じないって!」また、上手くかわしたが、今度は反対腕が来た。もう一度かわそうとするが、次は指先が四散してリンの体に纏わりついて身動きが取れなくなった。
「あんなの有り!?」美鈴は俺の腕を強くにぎった。
「これでジ・エンドや!モンキーバースト!!」パンモンキーが再び凄い勢いでリンに襲いかかる。その瞬間、リンの負けが確定したと誰もが思った。
試合に参加しているオルナスだが、半数はオーナーがチューニングして特殊なスタイルや、武器を持った物。あとの半数は、販売されているオルナスをそのまま参加させている感じであった。やはり、オリジナルのオルナスの性能はノーマルを圧倒していて、全く歯が立たないというのが俺の印象であった。
ただ、美鈴のリンを除いての話である。
リンを肩に乗せた美鈴が会場に現れると響めきが聞こえる。彼女の奇抜なファッションのせいもあるが、それはリンに注がれた物でもあった。
「おい!あれ2001のプレミアじゃないのか!?」オルナスオタクの男子が立ち上がった。
「本当だ!こんな大会にプレミアを出すなんて頭、可笑しいんじゃないのか!」会場の一部がざわめいている。
このバトルカーニバルは、文字通り殴り合いの戦いが繰り広げられる大会である。そんな大会にオルナスの高級機を投入するなんて酔狂に思えるのであろう。
「さあ、第9試合です!白 パンモンキー!マスターは、猿田彦摩呂!!」スタジアムの向こう側に、さきほど猿が目に入る。彼の肩からパンモンキーがジャンプして、舞台に飛び移った。それはまるで本当の猿のように身軽なものであった。
「続きまして、赤 ビューティー・リン!マスター ビューティー・ハート!!」何、そのリングネーム……、俺は頭を抱える。
「リン!行くわよ!!」美鈴が合図するとリンは美しい孤を描いて宙を舞った。その瞬間、再び響めきが起こった。
「奇麗!」「格好いい!!」「可愛い!!!」それはリンの姿を賛美するものであった。この一瞬で美鈴とリンは会場の観客を味方にしのだった。
「さあ、両雄が舞台に降り立ちました!この6分間、我々に何を見せてくれるのでしょう!!」
カウントダウンが始まる。
3・2・1!
リンは再び舞い上がると、パンモンキーめがけ強烈な飛びけりを喰らわそうとする。しかしパンモンキーは、更にリンの上空にジャンプ、それはオルナスの飛び上がれる高さではなかった。
「アイツ、口だけじゃないぞ!」俺は思わず口にしてしまう。
「解ってるわ、そうじゃなきゃ燃えないわ!」リンは蹴り足で着地するとそのまま身を翻して、場所を移動した。
パンモンキーは、独特のフットワークで距離を縮めてくる。リンが逃げようとすると、パンモンキーの右手が飛び出して彼女の首元を掴んだ。
「しまった!!」美鈴は拳を握りしめる。
飛び出したパンモンキーの腕はワイヤーで繋がっており、それを回収するかのように胴体が強烈な勢いでリンの体に体当たりする。
「どや!これがワシらの必殺技モンキーバーストや!!」猿田がほくそ笑む。
「リン!」リンの体が舞台間際まで飛ばされる。下に落ちると失格である。彼女はかろうじて踏み止まると、体制を整える。
「あーあ、やっぱり見かけ倒しかよ」観客の声が聞こえる。その観客を俺は睨み付ける。その視線に気がついたのか、声の主は目をそらした。
「さあ、ビューティー・リン!ピンチです!切り抜けられるか!!」
「もういっちょ行くで!」猿田の声。パンモンキーが再び、パンチを繰り出す。
「同じ手には引っ掛からないわよ!」リンは、飛んできた腕を右手で払うとパンモンキーと距離を詰める。
「おっ、やるやんか!」猿田は感心したような声を上げた。パンモンキーは、腕を回収すると大きくジャンプして、距離を開ける。
「卑怯者!なんで逃げるのよ!!」美鈴が地団駄を踏む。
「なに言うとんねん!戦術や阿呆!」
「阿呆!、阿呆ですって!?……阿呆!言う人が阿呆よ!」だんだん本性が出てくる。
「ほれ!もういっちょ行くで!」また同じ攻撃。
「だから、通じないって!」また、上手くかわしたが、今度は反対腕が来た。もう一度かわそうとするが、次は指先が四散してリンの体に纏わりついて身動きが取れなくなった。
「あんなの有り!?」美鈴は俺の腕を強くにぎった。
「これでジ・エンドや!モンキーバースト!!」パンモンキーが再び凄い勢いでリンに襲いかかる。その瞬間、リンの負けが確定したと誰もが思った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる