闘え！オルナス・バトルカーニバル！

キングフェニックス

(……)ギルの思考が流れ込んでくる。

(ギル、さっきのキングフェニックスって……まさか……)俺はリングを通してギルに語りかける。

(ああ、アキトも気がついたか。あれは、他のオルナスとは違う。もしかすると、私と同じ……)それは自立思考型AIが搭載されているオルナスではないかということであった。

(でも、そんなオルナスは販売されていないよな……)

(あのオルナスから感じた感覚は、リングを通した思考ではなかった。リングからの反応はオーナーからの命令実行に、少しタイムラグがあるものだ。しかしあのキングフェニックスは、オルナス自身が考えて行動しているような……)ギルには答えが道に出されなかったようだ。

「ちょっと、何一人でブツブツ言っているの？」美鈴が訝し気な顔をして覗き込む。

「あっ、いや、別に……」唐突に声をかけられて返答に困った。ギルは不動のままであった。

「きゃ！！」美鈴の悲鳴。

「おお、姉ちゃん尻が柔らかい……」どうやらこの男が美鈴のお尻を触ったらしい。「ウゲッ！！」その男の言葉が終わらないうちに彼女の足刀が男に腹部にめり込んだ。

「なんなのよ、一体！？」彼女はスカートの裾を抑える。俺は唖然としながらその様子を眺めている。

「えらい挨拶やな。ワシは猿や。猿田ゆうねん」猿田は蹴られた腹を押さえながら名乗った。

「その猿がなんのようなのよ！？」かなり怒っている。

「ワシのパンモンキーの相手が、アンタやって聞いて挨拶にきたんや」猿田の側に、サルのようなオルナスが座っていた。

「お猿さん？」少し美鈴の顔が歪む。

「キーッ」パンモンキーはリンを調整している机に飛び乗ると、リンの尻を触った。

「なに！コイツ主人とやること一緒じゃないの！！」美鈴が払いのけようと手を挙げると、素早くそれをかわした。

「まあ、堪忍してえな！それと優勝すんのは、ワシとパンモンキーや！せいぜい頑張りや」猿田は少しいやらしい顔を見せた。

「もう、オルナスのマスターって変なヤツばっかりなの！？」そういう貴女もそうですけど……、と俺は心で呟いてみた。