上 下
120 / 141
上条賃貸ハウジングの事件簿

仲直り

しおりを挟む
 狩屋との居酒屋で一緒に飲んだ日から数日が経過した。

 今日、百合子は子供の学校行事がある為休みである。大西も遠方の物件の調査で外出中であった。

 店の中は俺と益留の二人きりであった。あの旅行以来、なぜか彼女は距離を取っているのか前のように頻繁に話しかけて来なくなった。

「なあ益留ちゃん、この前の来店客の追客だけど……」

「キチンと連絡取っています。明日、案内の予定です」

「それじゃぁ、ネット反響の……」

「そのお客様にも資料を送ってアポイント取りをしています」なんだか険があるよう感じるのは気のせいだろうか。

「あの……、なんか怒ってる?」上条は小さな声で聞いた。

「はーん!なんで私が怒るんですか!!」益留はあからさまに怒っている様子であった。あの一応俺って社長なんですが……。上条は心の中で呟いた。

 少しの沈黙が続く。

「あのさ、益留ちゃん」ちょっとビクビクした様子で上条は声をかける。

「まだ、なんかあるんですか!?」まだ険がある様子である。

「今度の休みさぁ、一緒にユニバーサルスタジオ行かないか?」

「えっ?」一気に乙女の顔に変わったようである。

「お得意さんにチケット二枚貰ったんだけど行く相手がいなくてさ。もし君良ければ……あっそれとも友達と行くならこのチケットあげる……」

「行きます!絶対行きます!!」間一髪入れずに彼女は大きな声で意思表示した。その声で上条は驚いた。

「そ、そうか、それじゃあ今度の休みに一緒に行こうか……、それと……」

「なんですか?」益留の鼓動はドキドキと激しく脈を打っていた。

「こんな本当に俺みたいなオッサンでいいのか?」

「……はい、私……、上条さんがいいんです。あなたが好きなんです」彼女は真剣な顔をして、そして想いを乗せてその言葉を口にした。

「えっ、いや、その……俺みたいなオッサンと一緒に行っていいのかって意味だったんだけど……」

「えっ……、やだ!私ったら!!」彼女は顔を真っ赤にしてあたふたしている。

 益留のその様子を見て上条もなんだか緊張してしまう。

 少しの沈黙のあと、思い切って思いの丈を口にする。

「そ、それじゃあ、男の俺から……、えーと、恭子さん結婚を前提に付き合ってください」

「えっ!!」突然のプロポーズに益留は硬直してしまった。

「だ、駄目か……?」

「い、いいえ、喜んで……お願いします」益留は深々と頭をさげた。

「こちらこそお願いします」
 
 まあ、色々あったけれど最後はこういう終わり方でいかがでしょうか?

                
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

我慢できないっ

滴石雫
大衆娯楽
我慢できないショートなお話

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...