110 / 141
上条賃貸ハウジングの事件簿
宅建士のお仕事
しおりを挟む
「ただいま・・・・・・」狩屋との昼食を終えて店に戻る。
「おかえりなさい!トンテキの店はいかがでしたか?」益留が笑顔で聞いてくる。気が付けば俺はトンテキを一口も口にしていなかった。
「ああ、美味しかったよ」
「今度、私も連れて行ってくださいね」彼女は軽く頬を染めておねだりをする。
「了解」俺は軽く目の前で手刀を切った。
「だから!それは入居者の負担だって!!」大西が大きな声で電話の受話器に叫んでいる。
「なにかあったのか?」電話の向こうの相手に聞こえないように聞いてみる。
「入居者が部屋のエアコンが壊れたって言うんですけど、その設置されているエアコンは前の入居者の残置物なんですよ」大西は受話器の口の部分を手で塞いだ。
賃貸借物件の中の設備には、機器が故障した場合の責任負担を重要事項説明書と契約書で明確にしている。まず給湯器や備え付けのガスコンロなどは基本的に故障した場合の費用負担は貸主、エアコンなど所有権を貸主が放棄したものは残置物といって、修理・取替・撤去・処分費などの費用は借主負担とする場合がある。この場合、退去する時にその機器が無くなっていたとしても、貸主は文句を言う事は出来ない。
この設備の責任負担を明確にしておかないで契約をするとトラブルになることが多い。今、大西が対応しているエアコンの故障などは典型的なものだ。契約の時に契約書・重要事項説明書の説明をキチンと聞いていない入居者によくある事である。
ただ、不動産業者にも問題がある事も多々ある。
37条書面(契約書)への記名・押印、重要事項説明書の記名・押印と説明は、国家資格の宅地建物取引士の資格を持った者の独占業務である。それ以外の者がこの業務を行うと宅建業法違反の対象となり罰金の支払いが必要になる場合もある。それを、押印だけ宅建主任士にさせて無資格者が説明を行う業者もいるようである。
特に、人の出入りの多い賃貸不動産会社には、無資格の営業マンが多いのが現実である。
当、上条賃貸ハウジングの営業マン、大西・益留そしてもちろん俺も有資格者であることをここで言っておく。
「やっと納得してくれました・・・・・・」大西が疲れ切った顔をして受話器を置いた。
「いいか、大西。感情を声に出してはダメだぞ。受話器の向こう側では、お前が思っている何倍にも相手は感じているものなんだよ。とにかく腹が立っても冷静に対応する練習をするんだ。いいな」たまには、社長らしく従業員を指導する。
「はい、解かりました」大西が返答をする。こちらの言ったことを素直に受け止められるところが彼の良い所だ。
俺は契約書の保存している棚の前に移動して、メゾン・ド・リープ 203号室の前入居者の契約資料を手に取った。
「ミイラ・・・・・・、干物・・・・・・、如月遥・・・・・・か」入居時に提出された如月遥の写真が可愛く微笑んでいた。
「おかえりなさい!トンテキの店はいかがでしたか?」益留が笑顔で聞いてくる。気が付けば俺はトンテキを一口も口にしていなかった。
「ああ、美味しかったよ」
「今度、私も連れて行ってくださいね」彼女は軽く頬を染めておねだりをする。
「了解」俺は軽く目の前で手刀を切った。
「だから!それは入居者の負担だって!!」大西が大きな声で電話の受話器に叫んでいる。
「なにかあったのか?」電話の向こうの相手に聞こえないように聞いてみる。
「入居者が部屋のエアコンが壊れたって言うんですけど、その設置されているエアコンは前の入居者の残置物なんですよ」大西は受話器の口の部分を手で塞いだ。
賃貸借物件の中の設備には、機器が故障した場合の責任負担を重要事項説明書と契約書で明確にしている。まず給湯器や備え付けのガスコンロなどは基本的に故障した場合の費用負担は貸主、エアコンなど所有権を貸主が放棄したものは残置物といって、修理・取替・撤去・処分費などの費用は借主負担とする場合がある。この場合、退去する時にその機器が無くなっていたとしても、貸主は文句を言う事は出来ない。
この設備の責任負担を明確にしておかないで契約をするとトラブルになることが多い。今、大西が対応しているエアコンの故障などは典型的なものだ。契約の時に契約書・重要事項説明書の説明をキチンと聞いていない入居者によくある事である。
ただ、不動産業者にも問題がある事も多々ある。
37条書面(契約書)への記名・押印、重要事項説明書の記名・押印と説明は、国家資格の宅地建物取引士の資格を持った者の独占業務である。それ以外の者がこの業務を行うと宅建業法違反の対象となり罰金の支払いが必要になる場合もある。それを、押印だけ宅建主任士にさせて無資格者が説明を行う業者もいるようである。
特に、人の出入りの多い賃貸不動産会社には、無資格の営業マンが多いのが現実である。
当、上条賃貸ハウジングの営業マン、大西・益留そしてもちろん俺も有資格者であることをここで言っておく。
「やっと納得してくれました・・・・・・」大西が疲れ切った顔をして受話器を置いた。
「いいか、大西。感情を声に出してはダメだぞ。受話器の向こう側では、お前が思っている何倍にも相手は感じているものなんだよ。とにかく腹が立っても冷静に対応する練習をするんだ。いいな」たまには、社長らしく従業員を指導する。
「はい、解かりました」大西が返答をする。こちらの言ったことを素直に受け止められるところが彼の良い所だ。
俺は契約書の保存している棚の前に移動して、メゾン・ド・リープ 203号室の前入居者の契約資料を手に取った。
「ミイラ・・・・・・、干物・・・・・・、如月遥・・・・・・か」入居時に提出された如月遥の写真が可愛く微笑んでいた。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる