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今夜、迎えに行きます……。黒猫のモグ、僕の友達。
今夜、迎えに行きます……。
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家への帰り道。
家の前に差し掛かった所で急に背筋が寒くなって振り返る。
そこには人の影。その人物を認識した瞬間、表現出来ない絶望感が僕の胸を締め付ける。
「きっ、君は!?」目の前には大倉敦子ことあっちゃんの姿があった。
「最近、病院に会いに来てくれなくなったわね」彼女の声が耳に入った瞬間身震いがする。
「え、えーと……」答える事が出来ない。
「覚えていて?今日は約束の8月15日よ。ちゃんと来てくれるわね」うっすらと笑いを浮かべて僕の顔を見てくる。以前までは愛いとしく思っていた彼女の顔が今は恐怖の対象でしかなかった。
「い、いや、僕は行けないんだ!今晩は用事があって……」口から出任せを言った。
「そう、私との約束を破るのね……」少しだけ悲しそうな顔を見せる。
彼女の言葉を合図にしたようにモグが肩から飛び降りたかと思うと、あのお兄さんが突然目の前に現れた。
「この間言うたやろ!坊主には手を出すなって!俺が絶対に守ったるからな!」お兄さんは僕の前で両手を大きく開いて守る姿勢をした。
「ふん!貴方に守れるかしら……、今夜が楽しみね」手の甲を唇に当てニヤリと微笑んだ。
「もう坊主の事は諦めろ!」
「嫌よ、そう言い忘れていたけれど私がゆうちゃんに拘る理由がもうひとつあるのよ……」彼女の顔から笑顔が消える。
「なんや!もうひとつの理由って!?」お兄さんは腰の位置を少し落として身構える。
「ゆうちゃんのお母さんが、ゆうちゃんにとても優しいと言うこと……、正直、妬ねたましかった。あのお母さんの悲しむ姿・顔……、楽しみだわ」また笑いだした。
「ぬかせ!!」彼は右手の指を立て、まるで猫が獲物を襲うように飛びかかった。しかし、彼女の姿は霧のように薄くなっていった。
「焦らないで、今夜、ゆうちゃんを迎えに行きます……フフフフフフ!」その笑い声を残してあっちゃんは姿を消した。
「畜生ちくしょう!逃げんな!」彼は空を見上げて叫んだ。
「お兄さん……、もしかしてモグなの……?」僕は恐る恐る聞いた。
「……ホンマは人間に正体をバラすのはご法度なんやけどな。そうや俺はモグや。お母はんが付けた名前やけどな」モグは人間の姿になっても首には赤いスカーフを巻いている。そしてやはり彼からはお母さんと同じ匂いがする。
「お兄さんがモグだったなんて、僕モグが不幸を運んでくるなんて……、やっぱり僕を守ってくれてたんだ!」僕は思わず彼に抱きついた。彼は照れ臭そうな顔をしている。
「とにかく今晩に備えて作戦や。家に帰るで!」そう言うとまた黒猫の姿に変わり僕の肩の上にチョコンと座った。
「うん!」僕は頼もしい見方がいることで少しだけ元気になった。
家の前に差し掛かった所で急に背筋が寒くなって振り返る。
そこには人の影。その人物を認識した瞬間、表現出来ない絶望感が僕の胸を締め付ける。
「きっ、君は!?」目の前には大倉敦子ことあっちゃんの姿があった。
「最近、病院に会いに来てくれなくなったわね」彼女の声が耳に入った瞬間身震いがする。
「え、えーと……」答える事が出来ない。
「覚えていて?今日は約束の8月15日よ。ちゃんと来てくれるわね」うっすらと笑いを浮かべて僕の顔を見てくる。以前までは愛いとしく思っていた彼女の顔が今は恐怖の対象でしかなかった。
「い、いや、僕は行けないんだ!今晩は用事があって……」口から出任せを言った。
「そう、私との約束を破るのね……」少しだけ悲しそうな顔を見せる。
彼女の言葉を合図にしたようにモグが肩から飛び降りたかと思うと、あのお兄さんが突然目の前に現れた。
「この間言うたやろ!坊主には手を出すなって!俺が絶対に守ったるからな!」お兄さんは僕の前で両手を大きく開いて守る姿勢をした。
「ふん!貴方に守れるかしら……、今夜が楽しみね」手の甲を唇に当てニヤリと微笑んだ。
「もう坊主の事は諦めろ!」
「嫌よ、そう言い忘れていたけれど私がゆうちゃんに拘る理由がもうひとつあるのよ……」彼女の顔から笑顔が消える。
「なんや!もうひとつの理由って!?」お兄さんは腰の位置を少し落として身構える。
「ゆうちゃんのお母さんが、ゆうちゃんにとても優しいと言うこと……、正直、妬ねたましかった。あのお母さんの悲しむ姿・顔……、楽しみだわ」また笑いだした。
「ぬかせ!!」彼は右手の指を立て、まるで猫が獲物を襲うように飛びかかった。しかし、彼女の姿は霧のように薄くなっていった。
「焦らないで、今夜、ゆうちゃんを迎えに行きます……フフフフフフ!」その笑い声を残してあっちゃんは姿を消した。
「畜生ちくしょう!逃げんな!」彼は空を見上げて叫んだ。
「お兄さん……、もしかしてモグなの……?」僕は恐る恐る聞いた。
「……ホンマは人間に正体をバラすのはご法度なんやけどな。そうや俺はモグや。お母はんが付けた名前やけどな」モグは人間の姿になっても首には赤いスカーフを巻いている。そしてやはり彼からはお母さんと同じ匂いがする。
「お兄さんがモグだったなんて、僕モグが不幸を運んでくるなんて……、やっぱり僕を守ってくれてたんだ!」僕は思わず彼に抱きついた。彼は照れ臭そうな顔をしている。
「とにかく今晩に備えて作戦や。家に帰るで!」そう言うとまた黒猫の姿に変わり僕の肩の上にチョコンと座った。
「うん!」僕は頼もしい見方がいることで少しだけ元気になった。
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