鈍感王女は狂犬騎士を従わせる

りりっと

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10-10 慰め(二)*

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「分かりました。じゃあ、こうしましょう。私も何かひとつ、ヘニルが不満に思ってそうなことを解決してみる。それで、おあいこってことで」
「えっ、俺はセーリス様に不満なんてありません!」
「そこ言い切っちゃうんだ……でも、なんかフェアじゃないでしょ。ヘニルがそう言うなら、私だってヘニルに対する不満なんてないし、その……ヘニルは誰よりもかっこいい、私の自慢の騎士様だって、いつも思ってるのよ?」


 恥じらいながらもそう告げるも、嘘だとでも言いたげな顔をするヘニルの頬をセーリスは抓ってやる。けれどすぐに手を離して、くすくすと笑みを溢してながら彼を優しく抱きしめる。


「思えばちゃんと口にしてなかったかも。あの時ちゃんとするって言ったのにね……だから、その」


 セーリスは片手を彼の頬に伸ばし、そっと撫ぜる。そのまま首筋を、鎖骨を通り過ぎ胸元から更に下へと下ろしていく。
 未だに熱をもったそこに触れて、彼女は自分から彼の服に手をかける。最初に初々しい反応がいいとヘニルが言っていたこともあって、積極的になることにどこか恐怖のようなものがあったセーリスだが、ここまで来たならば最早躊躇わなかった。

 覆っていた布が全て暴かれ、彼女の手が直に触れる頃にはそれはまた最大まで膨れ上がっており、優しく愛撫してやれば鈴口からとろりと透明な液体が溢れる。それを見たセーリスは意を決して、ゆっくりとそこに顔を近付ける。


「っ、だ、だめです……!」


 がっと肩を掴まれ、セーリスは顔を上げさせられる。何をする、と視線で訴えれば、ヘニルは必死になって首を横に振る。


「駄目です、セーリス様にそんなことさせられません」
「前から嫌がるよね、口でするの」


 ヘニルはなぜかセーリスに口淫してもらうのを嫌がるのだ。なんでも恐れ多いとか、セーリスにさせるようなことじゃない、というのが理由らしい。
 だがそれでセーリスが何度も納得できるはずもなく、彼女は肩に置かれたヘニルの手を取ると言い聞かせるように自分の両頬に添えさせる。


「やらせなさい、ヘニル。今日ばっかりは引かないわよ」
「なんで、そんな強情なんですか……」
「だっていつも愛情表現って言っても、ヘニルにされるがままなことの方が多いし」


 だらだらと垂れ流される先走りを手で引き伸ばし、緩くそれを扱き始める。悩ましげに表情を歪めるヘニルに、彼女は幸せそうに微笑む。


「ちゃんと貴方を、愛でさせて」
「……、分かりました。でもその、するなら、……覚悟してください」
「え? なんで?」


 意味が分からず聞き返せば、彼は恥ずかしそうに目を伏せる。


「その、……かなり刺激が強いっていうか、抑え切れるか分からないし、最悪セーリス様を襲います」
「そんなに」


 ということは今まで断り続けてきたのは自制が効かなくなりそうだったから、というのが一番の理由なのだろう。相変わらず本当に思っていることは口にしない人だと、そう心中で彼女は呟く。


「やったことないから気持ちいか分からないけど……じゃあ、するよ」


 やりやすい場所でということでヘニルにはベッドの縁に座ってもらい、セーリスは地べたに座り込む。それに対して何かヘニルは何か言いたげな顔をしていたが触れないでおく。

 汚れないように肌着になるまで服を脱ぐと、セーリスは再度そこに手を這わせる。そしてそっと男根の先端に口付けを落とす。熱いと思うほどの体温に驚きながら、薄く開けた口から舌を突き出し、恐る恐るそれを舐め上げる。
 口の中に広がる形容し難い味と臭いに思わず顔をしかめそうになる。しかし嫌そうな顔をすればヘニルもやはりやめようなどと言うかもしれないと思い、意を決してそれを口に咥えこむ。


「は、……やばい、……っ」


 頭上で何か声が聞こえるが、気にせずセーリスは口内に入った先端を舌で舐め回す。流石に奥まで咥えるのは無理だと思い、根本はいつもするように手できつく扱いていく。そうすれば頭上から降ってくるヘニルの息遣いが乱れて、彼の大きな手が彼女の髪を撫でる。


「ん、ふ……ぁ、きもちいい……って」


 どんな感じか聞こうと視線を上げれば、ヘニルはばっちり目を閉じている。


「何目閉じてるの」
「視覚への暴力が半端ないんで勘弁してもらっていいですか」
「だーめ! ちゃんと見なさい。……初めてやるんだから」
「うっ」


 初めて、という単語に更に反応してヘニルは赤面して項垂れる。
 思えばこんなにも初々しい彼の表情を見るのは初めてだと、そんなことを思ってセーリスは嬉しくなる。いつも夜の間は自分を翻弄してばかりのヘニルが、今や口淫されることにこんなにも戸惑っているだなんて。

 少しだけいい気になってセーリスは一層奉仕を激しくしていく。舌で執拗に鈴口を舐め、ちゅうっと先走りを吸い上げるように唇を寄せる。その間、くびれた場所を何度も指の輪で擦っては空いた方の手で優しく睾丸を揉んでいく。


「んぅっ、ちょっと、それ、……ぁ、駄目です、セーリスさま、ほんとに……!」
「んんふ」
「咥えながらっ、喋るのもだめです……! ぅあっ、吸わないで、出る、出ちゃいますから……っ」


 視覚に強烈に訴えかけてくるその光景にヘニルは既に限界に近かった。口淫自体は拙いながらも、毎晩のように手淫はしているわけで、触り方は彼の弱い場所を的確に責めている。その上敏感な亀頭を執拗に舐られ、必死に堪えているものの今にもはちきれそうだった。


「離して、んっ、セーリス、さま……っ」


 制止の声にもやめず、セーリスは深くそれを咥えこむ。早く吐き出してしまえと、きつく大きく手を動かして剛直を扱いて、絶え間なくじゅるじゅると音を立てて吸い上げる。


「セーリス様、うっ、んんっ……!」


 ヘニルの呻き声と共に、口内に収めていたそれは震え、勢いよく精を吐き出す。熱く粘るそれの味に驚いて、セーリスもくぐもった呻き声を上げるも、全てを受け入れるように咥え続ける。きちんと全部出し切れるように手は動かし続け、口内に溜まる精液をゆっくりと喉へと押し込む。


「え、ちょっとセーリス様、飲んで……!?」
「ん、んんっ……んっく」


 白濁に塗れた場所を綺麗に舐め回し、まだ少し滲んでいる鈴口をちろちろと突く。もう一度きつく吸い付けば、どろりとそこから残った精が出てきて、それもまた飲み込んだ。
 顎や舌の痺れを感じながら、セーリスはようやくそこから口を離す。彼女の唾液に塗れたそれは艶かしく光沢を放ち、先端と舌先を繋がっていた糸もいやらしく伸びてぷつりと切れる。


「……どうだった?」
「“どうだった”、じゃないですよ」


 見上げた先に映ったヘニルの表情は興奮しているように見える。彼はセーリスを抱き上げると、再度ベッドの上に下ろす。そして荒々しく自分の服を脱ぎ捨てていく。


「あんなにやらしく俺の咥えて……はぁっ、だから嫌だったんです、あんなの絶対、収まらなくなるに決まってる、じゃないですか……!」


 同様に彼はセーリスの肌着を脱がす。完全に我慢の限界らしく、剥ぎ取るように下着をずり下ろせば、とろりと溢れる愛液にヘニルは息を呑む。


「あんなことして、濡らしてるなんて」
「私のせいじゃないわ。ヘニルがこんな身体にしたんでしょ」


 恥じらいつつも煽るようなセーリスの言葉にヘニルは顔を赤くして黙り込む。彼女を優しく押し倒して深く口付けを交わせば、酷い男の臭いに咽せそうになる。精液自体口にするのも初めてだったというのに、よくも飲み込めたものだと感心してしまうほどだ。


「責任とって、いっぱい愛して」
「こういうときばっか大胆なんですから」


 触ってもいないというのにぬかるんだ秘裂に男根を突き立てる。恋しそうに指を絡めて、快楽を伴う交わりに二人は甘い息を吐く。


「言われずとも、絶対に俺から離れないくらい、ひたすらに愛を捧げます。俺の、セーリス様……」
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