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10-01 非番の逢瀬(一)**
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軍営の娼館。それはデルメルが設営を指導したとされる、兵士たちの楽園、だけのものではない。
当然そこで働く高級娼婦も居るのだが、そこは娼館であると同時に王国の要人などの逢引の場でもあるのだ。なんでも、かつては王と女騎士の逢引があったとかなんとか。
セーリスが非番の前日の夜には、二人して王城を抜け出してその娼館へと向かった。いつしかそれが当たり前に思えてくるのは、どこか不思議な心地だった。
「んー」
言葉にならない唸り声をあげながらヘニルは彼女にぎゅうぎゅうと抱きついてくる。絶頂の余韻を感じながら頭を撫でてやれば、物欲しそうに唇が触れ合う。
発熱しているようにも思える厚い舌が開いた口から入ってきて、いつものように舌先を合わせゆっくりと互いを扱きあうように絡めていく。同時に柔らかな唇の感触を味わうかのように食んで、弱々しく吸い付く。
覆い被さっているヘニルの目が情欲に濡れて、未だ重なったままの下腹部に、慣れきった感触が広がっていく。もう結構したというのに、やはりヘニルの性欲は神族故に規格外だ。
ちなみに、この逢瀬は長いと非番を丸々消費するくらい続く。交わっては休憩して、目が覚めたらまたして、のような感じにだ。セーリスとしては、本当に自分が色狂いにでもなった気がして、毎週は流石に勘弁して欲しいところだが。
「んっ……は、ぁ……もう一回?」
「……いいですか?」
控え目に彼はそう問いかけてくる。以前節度を持ちなさいと叱ったのが大きいのだろう、非番の逢瀬にはよくこうしてセーリスの身体を気遣っていた。
「遠慮しなくていいって。おいで」
セーリスが強めに彼を抱きしめて頬にキスをすれば、ヘニルはかぷりと耳に甘噛みしてくる。そのままぺろぺろと舌を這わせ、敏感に反応を示す彼女の中からゆっくりと自身を引き抜きかける。
「んぅ、もうこんな、おっきくして……」
「くっ……今のやばかったです」
「? 何が……?」
一気に興奮が増したように息を荒げ、彼は再び剛直を最奥まで埋めると、ゆっくりとセーリスを抱き抱え自分の膝に跨らせる。
「セーリス様が“おっきくして”なんて……はぁ……はぁー!」
彼女の首筋に顔を埋めヘニルは悶える。今度は首筋に舌を這わせ、既につけられたキスマークを更に増やしていく。
「かわいい、ほんと、堪らないです……」
「うぅ、耳元で言わないで……」
「言いたくなるんです。俺の心の中覗いたら、きっとセーリス様、びっくりすると思いますよ」
大きな手が臀部を這う。最近ようやく動かせるようになった右手も、柔らかいその感触を味わうかのように尻肉に指を埋める。
ぐっと腰を上げ下腹部に力を入れながらセーリスは自分から動いてやる。ぬちゅ、とぬかるんだ身体の奥から音が響いてきて、散々吐き出されたものが抽挿の度に溢れてくる。べたべたと肌に張り付くそれも、それほど愛し合ったのだと思えば興奮が増すばかりだった。
「きもちいです、っ、セーリス様……、へへ」
無邪気な笑みを浮かべ、ヘニルは彼女の頬にキスを落とす。自分もまた腰を優しく突き上げ、絡みつくその身体に酔っていく。
「もっとぎゅって、してください……」
「……ん」
じわりと頬を赤くし、セーリスは請われるままヘニルを強く抱きしめる。次第に激しく最奥を穿たれ、喘ぎ声を漏らしながら彼女は彼にすり寄る。
下腹部が重い。けれどもっと彼の精が欲しくて、赤くなった彼の耳元に口を寄せ、呟く。
「ちょうだい、ヘニル……」
「っ……、ほんと、俺を煽るのがお上手でっ」
「んぁ、んんっ、へにる、ヘニル……っ」
「好きです、セーリス様……」
しっかりとお互いを見つめあって、高く昇っていく感覚に身を委ねる。愛おしさのままに名前を呼び合って、腕を絡ませ合う。あと少しと思った時には快楽の波が押し寄せてきて、セーリスは甘い声を漏らしながらびくりと身体を震わせた。
「ふ……ん、セーリスさま」
くちゅくちゅと音を立てて中をかき回しながら、ヘニルはいつも吐精後そうするように小刻みに腰を揺する。それに反応して膣内が締まりうごめくのが分かって、彼女は軽く彼の肩口を噛む。
「甘噛みですか? ほんと、何しててもかわいいですね……」
「ヘニルががぶがぶ噛むからお返し」
「美味しそうに見えるんですよぉ」
ぐらりと視界が揺れたかと思えばヘニルはセーリスを抱えたまま再度ベッドに倒れ込む。名残惜しそうに柔くなった自身を引き抜くと、大きく息を吐いた。
「そろそろ、ですかね」
僅かに震えた右手がセーリスの頬を撫でる。
ヘニルと無事に再会できてからそろそろ三ヶ月になる。右腕以外の傷はすっかり完治し、医者からは曖昧な返答しかされなかった右腕も、腕を持ち上げたりできるようになったところから始まり、今や普通に動かす分には問題は無い。ただ痺れが残っており、更に握力は常人の半分くらいしか無いらしく、そこだけ妙に非力になってしまったと彼は笑っていた。
「結構順調だし、もしかしたらもっと回復するかもね」
「まぁ、そうかもしれないですけどぉ」
すり、とヘニルはセーリスに頬を寄せる。こういう関係になってからは、自由奔放な彼らしく人目も憚らず甘えてくることがぐっと増えた。彼女としては嬉しいやら、恥ずかしいやらなのだが。
「俺は確かに待てのできるお利口さんですけど、でも待つのが辛くないわけじゃないんですよ」
「ん?」
唐突に話が噛み合わなくなった気がしてセーリスは首を傾げる。それにヘニルは瞬時にセーリスの鈍感ムーブを察知して眉根を寄せる。
当然そこで働く高級娼婦も居るのだが、そこは娼館であると同時に王国の要人などの逢引の場でもあるのだ。なんでも、かつては王と女騎士の逢引があったとかなんとか。
セーリスが非番の前日の夜には、二人して王城を抜け出してその娼館へと向かった。いつしかそれが当たり前に思えてくるのは、どこか不思議な心地だった。
「んー」
言葉にならない唸り声をあげながらヘニルは彼女にぎゅうぎゅうと抱きついてくる。絶頂の余韻を感じながら頭を撫でてやれば、物欲しそうに唇が触れ合う。
発熱しているようにも思える厚い舌が開いた口から入ってきて、いつものように舌先を合わせゆっくりと互いを扱きあうように絡めていく。同時に柔らかな唇の感触を味わうかのように食んで、弱々しく吸い付く。
覆い被さっているヘニルの目が情欲に濡れて、未だ重なったままの下腹部に、慣れきった感触が広がっていく。もう結構したというのに、やはりヘニルの性欲は神族故に規格外だ。
ちなみに、この逢瀬は長いと非番を丸々消費するくらい続く。交わっては休憩して、目が覚めたらまたして、のような感じにだ。セーリスとしては、本当に自分が色狂いにでもなった気がして、毎週は流石に勘弁して欲しいところだが。
「んっ……は、ぁ……もう一回?」
「……いいですか?」
控え目に彼はそう問いかけてくる。以前節度を持ちなさいと叱ったのが大きいのだろう、非番の逢瀬にはよくこうしてセーリスの身体を気遣っていた。
「遠慮しなくていいって。おいで」
セーリスが強めに彼を抱きしめて頬にキスをすれば、ヘニルはかぷりと耳に甘噛みしてくる。そのままぺろぺろと舌を這わせ、敏感に反応を示す彼女の中からゆっくりと自身を引き抜きかける。
「んぅ、もうこんな、おっきくして……」
「くっ……今のやばかったです」
「? 何が……?」
一気に興奮が増したように息を荒げ、彼は再び剛直を最奥まで埋めると、ゆっくりとセーリスを抱き抱え自分の膝に跨らせる。
「セーリス様が“おっきくして”なんて……はぁ……はぁー!」
彼女の首筋に顔を埋めヘニルは悶える。今度は首筋に舌を這わせ、既につけられたキスマークを更に増やしていく。
「かわいい、ほんと、堪らないです……」
「うぅ、耳元で言わないで……」
「言いたくなるんです。俺の心の中覗いたら、きっとセーリス様、びっくりすると思いますよ」
大きな手が臀部を這う。最近ようやく動かせるようになった右手も、柔らかいその感触を味わうかのように尻肉に指を埋める。
ぐっと腰を上げ下腹部に力を入れながらセーリスは自分から動いてやる。ぬちゅ、とぬかるんだ身体の奥から音が響いてきて、散々吐き出されたものが抽挿の度に溢れてくる。べたべたと肌に張り付くそれも、それほど愛し合ったのだと思えば興奮が増すばかりだった。
「きもちいです、っ、セーリス様……、へへ」
無邪気な笑みを浮かべ、ヘニルは彼女の頬にキスを落とす。自分もまた腰を優しく突き上げ、絡みつくその身体に酔っていく。
「もっとぎゅって、してください……」
「……ん」
じわりと頬を赤くし、セーリスは請われるままヘニルを強く抱きしめる。次第に激しく最奥を穿たれ、喘ぎ声を漏らしながら彼女は彼にすり寄る。
下腹部が重い。けれどもっと彼の精が欲しくて、赤くなった彼の耳元に口を寄せ、呟く。
「ちょうだい、ヘニル……」
「っ……、ほんと、俺を煽るのがお上手でっ」
「んぁ、んんっ、へにる、ヘニル……っ」
「好きです、セーリス様……」
しっかりとお互いを見つめあって、高く昇っていく感覚に身を委ねる。愛おしさのままに名前を呼び合って、腕を絡ませ合う。あと少しと思った時には快楽の波が押し寄せてきて、セーリスは甘い声を漏らしながらびくりと身体を震わせた。
「ふ……ん、セーリスさま」
くちゅくちゅと音を立てて中をかき回しながら、ヘニルはいつも吐精後そうするように小刻みに腰を揺する。それに反応して膣内が締まりうごめくのが分かって、彼女は軽く彼の肩口を噛む。
「甘噛みですか? ほんと、何しててもかわいいですね……」
「ヘニルががぶがぶ噛むからお返し」
「美味しそうに見えるんですよぉ」
ぐらりと視界が揺れたかと思えばヘニルはセーリスを抱えたまま再度ベッドに倒れ込む。名残惜しそうに柔くなった自身を引き抜くと、大きく息を吐いた。
「そろそろ、ですかね」
僅かに震えた右手がセーリスの頬を撫でる。
ヘニルと無事に再会できてからそろそろ三ヶ月になる。右腕以外の傷はすっかり完治し、医者からは曖昧な返答しかされなかった右腕も、腕を持ち上げたりできるようになったところから始まり、今や普通に動かす分には問題は無い。ただ痺れが残っており、更に握力は常人の半分くらいしか無いらしく、そこだけ妙に非力になってしまったと彼は笑っていた。
「結構順調だし、もしかしたらもっと回復するかもね」
「まぁ、そうかもしれないですけどぉ」
すり、とヘニルはセーリスに頬を寄せる。こういう関係になってからは、自由奔放な彼らしく人目も憚らず甘えてくることがぐっと増えた。彼女としては嬉しいやら、恥ずかしいやらなのだが。
「俺は確かに待てのできるお利口さんですけど、でも待つのが辛くないわけじゃないんですよ」
「ん?」
唐突に話が噛み合わなくなった気がしてセーリスは首を傾げる。それにヘニルは瞬時にセーリスの鈍感ムーブを察知して眉根を寄せる。
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