鈍感王女は狂犬騎士を従わせる

りりっと

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09-11 褒賞(一)*

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 連れ立って部屋に戻ってきたセーリスとヘニルに、サーシィは真顔で応対する。その様は相変わらずで、不思議とセーリスは笑みが溢れた。


「ヘニル様、くれぐれも姫さまに無茶をさせないよう! ただでさえ魔術師の業務に加え、以前の魔術の影響で倒れられることも増えたのですから」
「善処しまぁす」


 ぎゅうっとセーリスを背後から抱きしめたままヘニルは言う。全く変わらないその軽薄な様にサーシィは眉を寄せる。が、諸々の支度は済ませたと言って扉の前に立つ。


「朝のお食事は一応ヘニル様の分もご用意させて頂きます」
「おー、ありがとなぁ!」
「ですから、朝食の時間までには起きられる程度に留めてください。いいですね?」
「はーい」


 それでは、と言って早々に退散していくサーシィを見送る。遠ざかる足音を聞きながらこうやって部屋で二人きりになるのは久しぶりだと思い、不思議と心臓が煩いほどに鳴るのを感じてしまう。


「それで、事情って?」
「それなんですけどね。本当に、随分面会を断ってすいませんでした。ほんとはもう姫様に会いたくて会いたくて仕方なかったんですけど、臭いとか……後はまぁ」


 軽く片腕でセーリスを抱き上げると、彼はそっとベッドの上に下ろした。


「実は長く血を見過ぎたせいか、ちょっとおかしくなっちまいまして。なんつーか、もっと血が見たいなぁ、ってな感じで凶暴化? しちゃったみたいな?」
「なにそれ」
「神族には破壊衝動って奴があるらしいんです。んで、普段はそれを性欲として発散してたみたいなんですけど……ま、簡単に言えばめっちゃ溜まってます」
「思いっきりぶっちゃけた」


 途中から説明するのが面倒くさくなったとでも言うかのようにヘニルは軽く片付けてしまう。とにかく戦場での高揚が消えないとか、そういう類だとセーリスは理解しておいた。
 説明を終えた彼は、ベッドの上に座るセーリスにすり寄るように顔を近づける。彼女の手を取って指をからめれば、その頬がじんわりと赤く染まっていく。


「ただ、できるだけ我慢しますけど、ちょっと手荒くなる可能性がありまして」
「なるほどね。いつも以上に狂犬だと」
「はい。ご主人様に愛でられなさすぎて、牙の仕舞い方を忘れちゃったんです」


 ゆっくりと顔を近付け、そのままつんと唇を触れ合わせる。額、次は頬を寄せ合って、まるで猫のようにじゃれあう。


「だから正しい発散の仕方を、姫様に思い出させてもらおうかと。俺も血を見るようなことするより、ずっと姫様とイチャイチャしてる方が好きなんで」
「はいはい。じゃあ、よくがんばりましたっていうことで」


 大戦果を挙げたのだからと、ヘニルの頭を撫でながらセーリスは頷く。褒賞を与えるという約束もしたし、当然の流れだろう。
 了承を得られたヘニルは早速セーリスの服を脱がそうとする、のだが左手しか使えないせいで今までのように器用にとはいかない。


「自分で脱ごうか?」
「脱がすのが興奮するんですよー……」
「仕方ないでしょ。それに、私だって、その、早くしたいし」


 自分の服を自分で脱ぎながら、彼女は小さく呟く。ヘニルの目の前で自分から脱ぐなど、それだけで羞恥心に苛まれ、身体が熱くなるような気がした。
 セーリスの小さな呟きを聞いたヘニルは真顔になる。目はギラついて、いやらしく彼女を睨めつける。


「え? そんなに俺に抱かれたいんですか? めっちゃはりきりますよ?」
「か、加減してよ……?」


 じっと自分の脱衣に集中するヘニルの視線を受けながら、そのまま彼女は下着も自分で外す。最後に恥じらいながらも彼に秘処が見えるようにショーツをずり下ろす。この状況に身体が昂っているせいか、ショーツに染みた愛液が糸を引く。


「ふ……え、ちょっと」


 いきなり左足を掴まれ、ぐいっと足を広げられる。完全に露わになる秘処に、ギラついた目をしたヘニルはすぐさまかぶりつく。


「こ、こらっ、んっ、おちつけ……!」


 外気に触れてひくつくそこに舌を捻じ込まれ、じゅるじゅると音を立てて愛液を啜られる。がっつくなと、頭を軽く抑えつけて抵抗するものの、相変わらずの馬鹿力を前に無意味だと思い出す。


「んっ、……ぁ、んや、あんっ……」
「……は、まだ何もしてないってのに、こんなに濡らして、はぁ……っ、姫様、もう、我慢できません」


 荒々しく下衣を乱し、既に勃ち上がりきった剛直をぬかるんだ秘裂へとあてがう。先程までの余裕がありそうな言動から一転、呼吸を乱し牙を剥いて彼はセーリスに覆い被さる。


「うぅ、待て! ヘニル、待て!!」


 ぺしぺしと顔面を軽く掌で抑えつける。そうすればギリギリ理性が繋がったのか、ヘニルは停止する。その様を見たセーリスは躾中の犬かと、そうツッコミを入れそうになる。


「汚れるからちゃんと服脱いでから、んっ、先に脱ぐの、我慢できないのは分かったから、舐めないで……」


 待てをしている最中も物欲しそうに頬や首筋を舐められ、手はいやらしく胸元を這う。その最中になんとかヘニルの服を引っ張って脱がしていく。
 露わになった右腕は傷跡をセーリスの目に見せないためか綺麗に包帯が巻かれていた。腹部にあった傷の方は跡形もなく消えていたのに彼女は驚く。

 その最中もぐいぐいと股座に押しつけられる剛直を太腿で挟んで回避していると、上衣を脱ぎ切った彼は構わず膝裏を左手だけで縛り付けるとそれを滑らせ始める。


「ヘニル……っ、んぅ、これ、擦れてっ、あっ」
「は、これも……ふっ、イイですよ、姫様の身体はどこも、俺を惑わせるんですから……」


 先走りと愛液で程よく濡れているからか、か細い水音を立てながら剛直が太腿の間に抽挿される。その際にぴんと張り詰めた陰核をごりごりと刺激して、その甘い感触にセーリスは身体を震わせる。


「ん……ぁ、うぅ、んやっ、まって、もう……んんんっ!」
「こんなんでもう、イっちゃったんですか…‥? 姫様の身体はほんと、淫乱ですねぇ……!」
「誰のせい、だと……ぁあ、だめ、いったん止めて、ひゃ、あぅっ」


 はぁ、と荒い息がヘニルの口から漏れる。顔のすぐそばにある彼女の脹脛を舌で舐め回して、そのまま吸い付く。くっきりとついた赤い跡に興奮したのか、がぶりとそこに噛み付いた。


「んぅ……っ」
「全部、俺のせいですよね、はぁ……っ、責任はちゃんと取ります、俺が姫様に教えたんですから……最後まで、いっぱい、んっ、愛でて差し上げますよ」


 太腿の肉を押し広げる熱が身体に伝わって、燃え上がっているのではないかと思うほどに浮かされていく。先走りをだらだらと垂れ流し続けるそれが動く度に、下腹部から臍までが透明な液体で汚される。


「んぁあ、ヘニル、やっ、んぅ、またイく、ぅあっ……んんぅ、むりっ、もうそこでイきたくないっ」
「そうですか、じゃあ……」


 膝裏を縛っていた手が彼女の足を開かせる。じんわりと愛液で濡れたそこに剛直をすり寄せ、雄を求めて蠢くそこに亀頭を押し当てる。


「一つになりましょう、セーリス様」
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