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05-07 愛しい一夜
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「勝手に会いに来ないで」
命令は僅かに予想を外れていた。それも、結構厳しい内容の方に。
「……つまり、会いに来るなと」
「そこまでは言ってないけど、頻繁に会いに来るのはやめて。分かった?」
「まぁ……、いいでしょう」
夜。部屋で二人きりになって、すぐに押し倒し交わりたい欲求を抑えながらヘニルは頷いた。
後は好きにしろとでも言うかのようにベッドに座るセーリスに、すぐさま追い縋る。貪るように口付けをすれば、彼女は僅かに肩を震わせる。
「んんっ、んぁ……ふ」
今までで一番長くお預けを喰らっていたヘニルは、すぐさま彼女の下着に手をかけ、ずり下ろす。慣れた手つきでセーリスが悦ぶように陰核を嬲れば、彼女は声を上げる。
「や、ちょっと、がっつきすぎ……!」
「最後にしてからどんくらい経つと思ってるんですか、半月ですよ半月」
「? ……娼館とか、行かなかったの?」
「は……」
あまりの爆弾発言にヘニルは絶句し、手を止める。
もしかしてセーリスは今まで、自分がセーリス以外の女性にも手を出していたと思っていたのか。
「(絶対めちゃくちゃヤってやる……朝まで……)」
「何そんな怖い顔して……」
「娼館なんて行ってませんー、そもそも金は酒代で消えるので女買う金もないですー」
が、この言い方が不味かった。女を買う金が無いから自分を抱いているのだと、そう理解したセーリスは一気に顔をしかめる。
「何よ、私はタダで抱ける体のいい女だってこと……!?」
体のいいどころか本命だというのに、勘違いもいいところのセーリスの発言にヘニルは怒ったように眉を寄せる。
「はぁ!? そんなこと一言も言ってねぇし、大体姫様があんな顔他の奴に向けるから俺はヤケ酒す……」
二人の間に沈黙が流れる。
とんでもない失言をしかけたヘニルはセーリスの首筋に顔を埋め項垂れる。ぎゅっと彼女を強く抱きしめれば、セーリスの手が背中を撫でてくる。
「やっぱりまたお酒飲んでるんじゃない」
「いいじゃないですか別に……」
突っ込むとことはそこなのかと、自分が嫉妬していることに気付いてくれないことを残念に思いながらも、慰めるような優しい手に縋る。
「酔わないのに?」
「酔えないから浴びるほど飲んで、酔った気になるんですよ」
ちゅ、と彼女の首筋にキスをして、ゆっくりと夜着を脱がしていく。抵抗する様子もなく彼女もそれを受けいれ、じわりと始まる愛撫に甘い息を吐き出す。
「ひめさま……」
「な、何」
すっかり元気を無くしたように見えるヘニルに、セーリスは眉を下げる。浅い胸の谷間に頬を寄せ、片手で乳房を弄り、もう片方は器用に秘裂を撫でながら、彼はずっと聞きたかった問いを口にする。
「今日会ってた男、誰ですか」
「え」
「そいつのこと…………、好き、なんですか」
そんな問いがヘニルから発せられるとは思っていなかったのだろう。セーリスは驚いたように目を丸くしていた。
「……なんであんたにそんなこと言わないといけないのよ」
予想通りの返しだが、ヘニルはそれにきちんと対策を用意していた。
「姫様の処女貰った立場ですから、想い人だったら悪いことしたなって、思うでしょ」
ちなみにそんなこと微塵も思っていない。
だがセーリスはその言葉を疑わず、逡巡するように目を伏せる。小さく息をついて、ヘニルの腕から逃れるように身体を起こした。
命令は僅かに予想を外れていた。それも、結構厳しい内容の方に。
「……つまり、会いに来るなと」
「そこまでは言ってないけど、頻繁に会いに来るのはやめて。分かった?」
「まぁ……、いいでしょう」
夜。部屋で二人きりになって、すぐに押し倒し交わりたい欲求を抑えながらヘニルは頷いた。
後は好きにしろとでも言うかのようにベッドに座るセーリスに、すぐさま追い縋る。貪るように口付けをすれば、彼女は僅かに肩を震わせる。
「んんっ、んぁ……ふ」
今までで一番長くお預けを喰らっていたヘニルは、すぐさま彼女の下着に手をかけ、ずり下ろす。慣れた手つきでセーリスが悦ぶように陰核を嬲れば、彼女は声を上げる。
「や、ちょっと、がっつきすぎ……!」
「最後にしてからどんくらい経つと思ってるんですか、半月ですよ半月」
「? ……娼館とか、行かなかったの?」
「は……」
あまりの爆弾発言にヘニルは絶句し、手を止める。
もしかしてセーリスは今まで、自分がセーリス以外の女性にも手を出していたと思っていたのか。
「(絶対めちゃくちゃヤってやる……朝まで……)」
「何そんな怖い顔して……」
「娼館なんて行ってませんー、そもそも金は酒代で消えるので女買う金もないですー」
が、この言い方が不味かった。女を買う金が無いから自分を抱いているのだと、そう理解したセーリスは一気に顔をしかめる。
「何よ、私はタダで抱ける体のいい女だってこと……!?」
体のいいどころか本命だというのに、勘違いもいいところのセーリスの発言にヘニルは怒ったように眉を寄せる。
「はぁ!? そんなこと一言も言ってねぇし、大体姫様があんな顔他の奴に向けるから俺はヤケ酒す……」
二人の間に沈黙が流れる。
とんでもない失言をしかけたヘニルはセーリスの首筋に顔を埋め項垂れる。ぎゅっと彼女を強く抱きしめれば、セーリスの手が背中を撫でてくる。
「やっぱりまたお酒飲んでるんじゃない」
「いいじゃないですか別に……」
突っ込むとことはそこなのかと、自分が嫉妬していることに気付いてくれないことを残念に思いながらも、慰めるような優しい手に縋る。
「酔わないのに?」
「酔えないから浴びるほど飲んで、酔った気になるんですよ」
ちゅ、と彼女の首筋にキスをして、ゆっくりと夜着を脱がしていく。抵抗する様子もなく彼女もそれを受けいれ、じわりと始まる愛撫に甘い息を吐き出す。
「ひめさま……」
「な、何」
すっかり元気を無くしたように見えるヘニルに、セーリスは眉を下げる。浅い胸の谷間に頬を寄せ、片手で乳房を弄り、もう片方は器用に秘裂を撫でながら、彼はずっと聞きたかった問いを口にする。
「今日会ってた男、誰ですか」
「え」
「そいつのこと…………、好き、なんですか」
そんな問いがヘニルから発せられるとは思っていなかったのだろう。セーリスは驚いたように目を丸くしていた。
「……なんであんたにそんなこと言わないといけないのよ」
予想通りの返しだが、ヘニルはそれにきちんと対策を用意していた。
「姫様の処女貰った立場ですから、想い人だったら悪いことしたなって、思うでしょ」
ちなみにそんなこと微塵も思っていない。
だがセーリスはその言葉を疑わず、逡巡するように目を伏せる。小さく息をついて、ヘニルの腕から逃れるように身体を起こした。
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