上 下
15 / 120

02-09 パワハラ代(四)**

しおりを挟む

「んぁ、も、もう終わり……」
「えー? 俺とするの気持ちいいでしょ? まだしましょうよ」


 そう言いながらヘニルはセーリスを抱き上げ、そそり勃った怒張を精液が垂れ流されているそこへと向ける。


「だめっ、しない」
「いいんですか、姫様?」


 彼女の耳元に口を寄せ囁く。それにセーリスは僅かに眉を寄せ、困ったような顔をする。


「……それでいいなら、やめますよ。でもそれが嫌なら、自分から挿れてください」


 彼に言われるがまま、一瞬だけ逡巡するもセーリスは剛直を柔く掴み、先端を蜜壺へと埋めていく。ずぶ、ずぷと小さな音が立つのを聞きながら、ゆっくりと腰を下ろす。自分からそんなことをしていると思えば恥ずかしくなって、彼女は真っ赤になった顔を隠すように俯いた。


「……、……」


 はぁ、とヘニルのため息が聞こえる。完全に彼の腰に座り込んだ形になれば、その細く長い指が彼女の頬を撫でる。


「姫様」


 ぎゅっと抱き締められたかと思えば、中に入っていたものの質量が増す。興奮したような息遣いがすぐ側で聞こえてきて、彼に快楽を与え続けられた彼女の身体は反応し、甘くきゅうきゅうとそれを締め上げる。


「どこまでいけるか、試してもいいですか」
「なに、それ……」
「ん……、姫様のそういう顔見てると、ほんとに、収まらないんですよ」


 可愛らしいですね、なんて言葉が耳のすぐ側で聞こえてきて、セーリスは耳まで真っ赤になってしまう。それにくすくすと彼の笑い声が漏れ聞こえて、優しく頭を撫でられる。
 ゆっくりと律動が始まって、セーリスは彼に縋り付く。頭の中でどうやって言うことを聞かせるかを必死に考えながら、また身体を侵し始める快楽に耐える。


「んぁっ、……していい、収まるまで、して、いいから」
「ふ……っ、さすが、姫様、話が分かる」
「でも、ん、あっ、中に出すのはだめ、わか、った……?」


 ヘニルの両頬に手をあて、言い聞かせるようにセーリスは言う。それに一瞬面食らったような顔をしたヘニルだったが、すぐにいつもの軽薄な笑みを浮かべて見せた。


「大丈夫ですって、妊娠なんてしませんよ、俺を信じてください」
「っ、なに、言って……!」
「もしも姫様が俺のこと信じて身を預けてくれるのなら……俺は俺の全てを、貴方に捧げます」


 ちゅ、と頬に口付けて、セーリスの柔らかな臀部をがっしり掴んだまま、貪欲に腰を揺らす。ぺしぺしと抗議するように肩を叩いても、ヘニルは声を上げて笑うばかりで取り合ってくれない。


「どうしても言うこと聞かせたいなら、姫様の懇願を絶対に断れないくらい、俺を魅了してみてください……姫様ならできますよ」
「なに、それっ、んやっ、あぅ」
「俺を御するのは大変ですよ……っ、ちゃんと面倒見てくださいね、姫様」


 また深く口付けを交わして、彼は笑う。

 それは酷く長い夜だった。




02 宮宰のパワハラに耐える代 了
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

お嬢様の執事は、夜だけ男の顔を見せる

hiro
恋愛
正統派執事様×意地っ張りお嬢様 「最後に、お嬢様に 《男》というものを お教えして差し上げましょう」 禁断の身分差… もし執事に 叶わぬ恋をしてしまったら… 愛することを諦められますか? それとも――…? ※過去作品をリライトしながら投稿します。 過去のタイトル「お嬢様の犬」

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...