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08-01 穏やかで自由な日々*
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太陽が昇り、鳥の囀りが聞こえてくる朗らかな朝。いつもの時間に目が覚めたセレフィアは、未だにぐっすり眠りについている夫の姿を微笑まし気に見つめていた。
彼の不眠に対して、彼女が提案した夜の運動は効果てきめんだった。といっても、既にかなり睡眠時間が足りていない状態で、性欲を発散させた解放感のようなものがあわさっただけなような気もする。そのあたりは、今後もこの方法が効くかどうかを地道に確認する必要があるだろう。
「(でも、ということは……)」
ジノがまた眠れるようにと、昨夜のように何度か身体を重ねるというわけで。
これから事あるごとに、そんな未来を想像してセレフィアはじわりと顔を赤くした。だがもしも剣のように耐性が出てきてしまったら、そんな不安もある。
「……お仕事の時間までに、起きる?」
安らかな寝顔を眺めながら、彼女はぼそりと呟いた。
未だにジノは起きる気配がない。もしかしたらこのまま夕方まで寝てしまうのではないか。だとしたら、やはりそうなる前に起こすべきなのだろうか。
でも久しぶりにこんなにぐっすり眠っている彼の邪魔をしたくない。矛盾した思いに悶々とセレフィアが悩んでいると、彼女は股座あたりに何かが当たる感触に気付く。
「? ……、っ!」
被っていたシーツの中を覗き込んで、セレフィアは顔を真っ赤にした。
再度ジノの顔を確認してみるも、狸寝入りという様子ではない。しかし見事に屹立しているそれは、部屋が明るいせいか夜に見たものよりもよりはっきり見えてしまう。
「(お、男の人ってこういうことがある……? 苦しく、ないのかな)」
なんとなく宥めてやった方がいいような気がして、セレフィアはそっと彼のものに手で触れてみた。
人肌よりも熱いそれはしっとりとしていて、そして硬さがあって。先端から何か滲んでいるのか、濡れているようだった。
どんな風に触ればいいのか分からず、彼女はなんとなく優しく撫でつける。そうしていると、まだ眠ったままのジノが小さく息を吐きだした。
「ん、……」
色気のあるその声に、セレフィアは敏感に反応してしまう。昨夜の行為が頭にちらつき始めて、なんだか今もその続きを自分がねだっているように思えてしまった。
やっぱりやめるか、そう考えていると、彼の手がセレフィアの手の上に重なる。そしてゆったりと、自分のそれを扱くように動き始める。
「……ふ、……っセレフィア、……ま」
起こしてしまったかと一瞬焦るも、どうやらまだ眠っているようだった。彼の顔を見れば頬は僅かに紅潮していて、時折艶めかしい喘ぎ声を零している。
そしてひどく恋しそうに彼女の名前を呼んでいる。それが余計に落ち着かない。
すりすりとセレフィアに頬を寄せながら、ジノはその行為に夢中になっているようだった。どうやら気持ちがいいらしい。
「セレ、フィア、さま……んっ、はぁ……好き、すきです……」
いつの間にか彼の口調は出会った当初のころに戻っている。まるでその呼び方が板についてしまっているかのようだ。
不思議に思いながらも、もっと彼をよくしてあげたいと思ったセレフィアは、もう片方の手も添えてひどく濡れそぼった先端の方を指先で撫でまわす。そうすればジノはもどかしそうに身じろぎをして、より一層セレフィアにすり寄ってくる。
「ずっと、お慕い、して……っ、セレフィア様……、どうか、お傍に……っ」
うわごとのように、彼は傍に居て欲しいと呟く。そこからは彼の抱える何か、孤独のようなものが見えた気がした。
何に対しても完璧で、優れた人だと思っていた。だがそれは違うのかもしれないと、セレフィアは思い始める。
「大丈夫。ずっとお傍にいます」
「んっ、セレフィアさま……」
「あなたが私に言ってくださったように、私もあなたの想いを守りますから」
優しく口づけを落とせば、すぐにジノは縋ってくる。慰める手はそのままに、自分を求めてくる唇と舌を受け入れ、甘く交わらせた。
「ふ……ん、んんっ、んっく……!」
ふるりと触れていた剛直が震え、彼女の掌と腹部に熱いものが迸る。ひどく粘つくそれを指先で遊びながら小さく息を吐けば、セレフィアは赤い瞳が薄っすらと見えていることに気付いた。
「あ、お、おはようございます、ジノ様」
「セレフィア、様……?」
まだ寝ぼけた様子で瞬きを繰り返す彼は、しかしすぐに自分の手の違和感に気付いたのだろう。セレフィアの手と重なっているそれは、更に自分の男根を慰めるように添えられていたからだ。
「えっ!? あ、ああ、も、申し訳ありませんセレフィア様!」
慌ててセレフィアの手を解放しジノは身体を起こした。だがその拍子にはらりと被っていたシーツが舞い上がって、自分が吐き出した白濁に塗れたセレフィアの裸体が露になってしまう。それも、明るい室内で。
「あっ……」
目に毒ともいえるその光景を見つめごくりと息を呑んだジノは、すぐさま片手で赤くなった顔を覆って視線を逸らした。
「本当に、申し訳ないのですが……服を着て、頂いても」
「あ、ご、ごめんなさい」
どう処理したものかとセレフィアは頭を悩ませるも、とにかく汚れた身体を簡単にぬぐい、脱ぎ捨てていた夜着と下着を身に着けた。
「すいません、後処理もまともにできなくて……」
「いいえ、大丈夫です。それよりジノ様、また敬称と敬語、ついちゃってますよ」
そう指摘してやれば、同じように軽く着替えを済ませた彼ははっとなった顔でセレフィアの方を見た。
「も、もしかして寝ている間、何かおかしなことを口に、していなかったか……?」
「えっと……」
彼の不眠に対して、彼女が提案した夜の運動は効果てきめんだった。といっても、既にかなり睡眠時間が足りていない状態で、性欲を発散させた解放感のようなものがあわさっただけなような気もする。そのあたりは、今後もこの方法が効くかどうかを地道に確認する必要があるだろう。
「(でも、ということは……)」
ジノがまた眠れるようにと、昨夜のように何度か身体を重ねるというわけで。
これから事あるごとに、そんな未来を想像してセレフィアはじわりと顔を赤くした。だがもしも剣のように耐性が出てきてしまったら、そんな不安もある。
「……お仕事の時間までに、起きる?」
安らかな寝顔を眺めながら、彼女はぼそりと呟いた。
未だにジノは起きる気配がない。もしかしたらこのまま夕方まで寝てしまうのではないか。だとしたら、やはりそうなる前に起こすべきなのだろうか。
でも久しぶりにこんなにぐっすり眠っている彼の邪魔をしたくない。矛盾した思いに悶々とセレフィアが悩んでいると、彼女は股座あたりに何かが当たる感触に気付く。
「? ……、っ!」
被っていたシーツの中を覗き込んで、セレフィアは顔を真っ赤にした。
再度ジノの顔を確認してみるも、狸寝入りという様子ではない。しかし見事に屹立しているそれは、部屋が明るいせいか夜に見たものよりもよりはっきり見えてしまう。
「(お、男の人ってこういうことがある……? 苦しく、ないのかな)」
なんとなく宥めてやった方がいいような気がして、セレフィアはそっと彼のものに手で触れてみた。
人肌よりも熱いそれはしっとりとしていて、そして硬さがあって。先端から何か滲んでいるのか、濡れているようだった。
どんな風に触ればいいのか分からず、彼女はなんとなく優しく撫でつける。そうしていると、まだ眠ったままのジノが小さく息を吐きだした。
「ん、……」
色気のあるその声に、セレフィアは敏感に反応してしまう。昨夜の行為が頭にちらつき始めて、なんだか今もその続きを自分がねだっているように思えてしまった。
やっぱりやめるか、そう考えていると、彼の手がセレフィアの手の上に重なる。そしてゆったりと、自分のそれを扱くように動き始める。
「……ふ、……っセレフィア、……ま」
起こしてしまったかと一瞬焦るも、どうやらまだ眠っているようだった。彼の顔を見れば頬は僅かに紅潮していて、時折艶めかしい喘ぎ声を零している。
そしてひどく恋しそうに彼女の名前を呼んでいる。それが余計に落ち着かない。
すりすりとセレフィアに頬を寄せながら、ジノはその行為に夢中になっているようだった。どうやら気持ちがいいらしい。
「セレ、フィア、さま……んっ、はぁ……好き、すきです……」
いつの間にか彼の口調は出会った当初のころに戻っている。まるでその呼び方が板についてしまっているかのようだ。
不思議に思いながらも、もっと彼をよくしてあげたいと思ったセレフィアは、もう片方の手も添えてひどく濡れそぼった先端の方を指先で撫でまわす。そうすればジノはもどかしそうに身じろぎをして、より一層セレフィアにすり寄ってくる。
「ずっと、お慕い、して……っ、セレフィア様……、どうか、お傍に……っ」
うわごとのように、彼は傍に居て欲しいと呟く。そこからは彼の抱える何か、孤独のようなものが見えた気がした。
何に対しても完璧で、優れた人だと思っていた。だがそれは違うのかもしれないと、セレフィアは思い始める。
「大丈夫。ずっとお傍にいます」
「んっ、セレフィアさま……」
「あなたが私に言ってくださったように、私もあなたの想いを守りますから」
優しく口づけを落とせば、すぐにジノは縋ってくる。慰める手はそのままに、自分を求めてくる唇と舌を受け入れ、甘く交わらせた。
「ふ……ん、んんっ、んっく……!」
ふるりと触れていた剛直が震え、彼女の掌と腹部に熱いものが迸る。ひどく粘つくそれを指先で遊びながら小さく息を吐けば、セレフィアは赤い瞳が薄っすらと見えていることに気付いた。
「あ、お、おはようございます、ジノ様」
「セレフィア、様……?」
まだ寝ぼけた様子で瞬きを繰り返す彼は、しかしすぐに自分の手の違和感に気付いたのだろう。セレフィアの手と重なっているそれは、更に自分の男根を慰めるように添えられていたからだ。
「えっ!? あ、ああ、も、申し訳ありませんセレフィア様!」
慌ててセレフィアの手を解放しジノは身体を起こした。だがその拍子にはらりと被っていたシーツが舞い上がって、自分が吐き出した白濁に塗れたセレフィアの裸体が露になってしまう。それも、明るい室内で。
「あっ……」
目に毒ともいえるその光景を見つめごくりと息を呑んだジノは、すぐさま片手で赤くなった顔を覆って視線を逸らした。
「本当に、申し訳ないのですが……服を着て、頂いても」
「あ、ご、ごめんなさい」
どう処理したものかとセレフィアは頭を悩ませるも、とにかく汚れた身体を簡単にぬぐい、脱ぎ捨てていた夜着と下着を身に着けた。
「すいません、後処理もまともにできなくて……」
「いいえ、大丈夫です。それよりジノ様、また敬称と敬語、ついちゃってますよ」
そう指摘してやれば、同じように軽く着替えを済ませた彼ははっとなった顔でセレフィアの方を見た。
「も、もしかして寝ている間、何かおかしなことを口に、していなかったか……?」
「えっと……」
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