上 下
20 / 60

08-01 初めての甘い一夜*

しおりを挟む

 聖宮に戻った後。今日は休日だからと、先に食事を済ませてしまうことになった。

 普段は自室で食事をするしいらだったが、その日はナシラが側から離れなかったため、普段は使わないという広々とした一室で食事をした。前までは英雄と聖女、他には司祭なんかが来た際に食事を一緒にとる場所だったとか何とか。
 その最中もしいらはナシラの謎の視線に晒され続けた。妙に熱っぽい、というか間違いなく性的欲求を向けられているその感覚に、あまり食事が喉を通らなかった。

 夕食の後はいつものように塔の最上階に向かって、ナシラの見てる前で軽く身体を拭いたり着替えたりして、その後。


「あの……ナシラ……?」


 人間の姿では広すぎるベッドに背を預け、大の字に寝そべっていたしいら。その上にナシラは居る。
 穴が開きそうなほどじっとしいらの顔を見つめ、手で口や頰をぺたぺたと触る様は、何かの儀式のようだ。
 そこで初めてしいらは彼の隠れた右目を見る。左目とは違うその金の瞳は、瞳孔が縦に割れていて、まるで人のものではないようだった。


「今、何考えてる?」


 彼の白い髪に触れ、金の瞳を覗き込みながらしいらは尋ねた。


「しーら」
「私のこと、考えてるの?」
「ん……」


 長いまつ毛がその瞳にかかって、影を作る。それに思わず見惚れていると、彼はおもむろに着ている服を脱いだ。


「やっぱ、そうなりますよね……」


 服を引っ張るナシラに、しいらも身体を起こして彼に身を任せる。ワンピース一枚だった彼女はすぐに裸になって、それを見た彼が興奮した様子で熱い息を吐き出した。
 いつものようにすぐに彼の手が秘処に触れるかと思いきや、珍しくも胸元を触られる。不思議そうに胸を弱い力で揉んでいた彼は、そこに顔を近付けると硬くなりつつある乳首を口に含んだ。


「ふぇ」


 口の中で熱い舌が肌に絡みついてくる感触がする。絶えず敏感な突起をざらついた舌で舐められ、強めに吸いつかれれば、ぴりりと甘い感覚が走る。今まで大雑把ながらも、異形のナシラに愛でられていたそこは敏感だった。


「めず、らしい……人間のときにそっち、興味持つなんて……んぁ」


 気持ちよさに声をあげれば、ナシラはより執拗に舌を乳頭に絡みつけ、擦り付けてくる。その感触に下腹部がぞわぞわして、もどかしそうに太ももを擦り合わせていると、彼の空いている方の手が滑り込んでくる。


「ひ、ぁんっ」


 いつものように彼のしなやかな指が秘裂を撫でて、そのまま僅かに濡れた中へと入り込んでくる。ぐちゅぐちゅと愛液をかき混ぜながら、敏感な一点をぐいぐいと押し上げ、容赦なく彼女の身を果てさせようとしてくる。


「ん、んっ、ふあ、あっ、んぁ」


 口を離したナシラは、もう片方の乳房に触れると同じように吸い付いて、ねっとりとした愛撫をする。中で感じる気持ちよさも相まって、すぐさましいらの身体は絶頂に溶けていく。


「ナシラ……っあ、んんんっ」


 びくりと身体が跳ねて、激しい快感と共にきつく中が締まっていく。前よりもずっと簡単に身体は果ててしまうようになって、まるで自分が淫らになった気がした。


「しーら、気持ちいい?」


 顔を上げたナシラはそんなことを聞いてくる。今まで気持ちいいかなんて聞いたことどころか、きっと気にしたことなどないはずなのに。


「ん、気持ちいい、よ」


 その返事を聞いたナシラは頷く。そしてゆっくりと、その口角を上げた。


「(わ、笑った……!!)」


 感動的な瞬間に、しいらはなぜか涙が出てきそうになる。まるで子供の成長を見守る親の気持ちだった。
 最初に出会った頃と比べれば、随分と懐かれたものだ。触るな、なんて言われていた頃が懐かしい。そう思えるほどに。


「(なんか癒されるなぁ……)」
「しーら」
「え、ん、んっ!?」


 和んでいた彼女の口に、何かが当たる。柔らかいそれは、目の前に広がる美しいナシラの顔を見ればすぐに分かることで、けれど混乱した彼女は一瞬頭が真っ白になった。
 触れている。唇と、唇が。


「んぅ、ふぁ」


 むぐむぐと舌を食まれたかと思えば、隙間からぬるりと舌が伸びてくる。それに驚いている内にしいらは舌を絡め取られ、しつこいほどに舐め回されてしまう。


「んんぅっ、んぁ、あっ」


 口の中だけで翻弄されていると、股の間に熱いものが触れる。そしてあっという間に秘処を割り入って、一気に奥深く入り込んでくる。


「ふ、んんっ、んぁ、ぁう、んっく」


 しっかり口と舌を封じられたまま、いつものような激しい抽挿が始まってしまう。彼女の内側全てを味わうように、貪欲に彼の屹立は大きく動き回って、中をめちゃくちゃに抉ってくる。
 その快感に悶えながら、敏感な口内も同時に侵される。長いナシラの舌は絶えず彼女の舌を扱くように絡みついてきて、唇も味わうようにねっとりと交わり続けている。
 上手く呼吸ができなくて、その苦しさが余計に口と中で感じる快感に拍車をかけていく。


「んん、ぅ……!」


 あっという間に絶頂を迎えた中が収縮し、彼のものを強く締め付ける。それにナシラも顔を上げると気持ち良さげに喘いで、それに悶えるようにしいらに頰を擦り寄せてくる。


「しーら、に……ん、こうしてぎゅってされるの」


 また唇が触れ合う。それはすぐに離れて、呆然としたままの彼女の視界に、また微笑んだ彼の顔が映った。


「好き」
「ナ、シラ……」
「もっと、ぎゅってして」


 そう言うと再び彼は激しい抽挿を始め、まだ絶頂後の収縮が弱々しく続く膣内を侵していく。


「んぁ、あっ、はやいぃ、ひゃぅ、やぁっ」
「イったあと、しーら、すごく気持ち、良さそう……っ」
「んんっ、だめ、よすぎ、てっ、あんっ、すぐ、とんじゃ、う」


 果てたばかりで敏感になった中を何度も愛でられ、びりびりと身体の芯を激しい快感が駆け抜けていく。それが止まらずに、ただ悶え続けることしかできない彼女は弱々しく彼の背に縋った。


「しーらのここ、はぁ……っ、くっついて、くる」
「あ、そこ、は、ぁ」


 とんとんと最奥を叩きながら、ナシラは彼女の頬を撫でる。そこが一番悦い場所だと分かっているのだろう、大きな抽挿を止め浅く男根を動かすと、今度は胎の口ばかりを責めるように腰を押し込んでくる。


「ひぁ、あっ、あんっ、そこだめ、いっぱいついた、らっ」
「ふ、ぁ……早く、出したい、しーらの中に……んぅ」


 確実に彼女の胎の中へ精を注げるように、何度も鈴口と胎の口が艶かしく交わる。もう限界が近いらしく、ナシラも切なそうに眉根を寄せてしいらを強く抱きしめてくる。


「ここでも全部、飲んで」
「んぇ、あ、んん……!?」
「前みたいに……は、んっ、しーら……溢さずに、中で、僕の全部、受け止めて……」


 柔らかな笑みとともに、また深い口付けが降ってくる。ねっとりと舌が絡みつく感触と共に、また快楽の波が全身を飲み込んだ。


「んぅ、んんぁ……っ!」


 強く彼が腰を押し込んできて、最奥まで挿入された男根がふるりと震えた。そしてしっかりと胎の中へと、堪えていた欲望を吐き出していく。


「ん、っぐ……しーら、んっ、ふ」


 最後まで残さず注ぎ込もうとするかのように、ナシラは小刻みに腰を揺すってくる。射精が終われば抜くかと思えば、彼女との深いキスを味わったまま、まるで栓をするかのように中に収め続ける。


「ふぁ……んぇ、んっ」


 舐められすぎて舌も唇も痺れてくる。それでも敏感な皮膚が擦れ合う快感は薄まらず、絶頂の余韻に震えながら彼の熱烈な口づけを受け続ける。


「……ん“、……なか、大きく、んんっ」


 長い口付けでまた興奮してきたのか、中に収まったままの男根がゆっくりと質量を取り戻していく。ナシラもそれを感じ取ったのか、次第にもどかしそうに腰を揺らし始め、また初めのような大きな抽挿を始めてしまう。


「もう一回、しーら」
「む、むりぃ……っ」
「もっとしーらと、気持ちいいこと、したい」


 その夜は今までで、一番長い夜になったという。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

憧れだった騎士団長に特別な特訓を受ける女騎士ちゃんのお話

下菊みこと
恋愛
珍しく一切病んでないむっつりヒーロー。 流されるアホの子ヒロイン。 書きたいところだけ書いたSS。 ムーンライトノベルズ 様でも投稿しています。

【R18】魔法使いの弟子が師匠に魔法のオナホで疑似挿入されちゃう話

紅茶丸
恋愛
魔法のオナホは、リンクさせた女性に快感だけを伝えます♡ 超高価な素材を使った魔法薬作りに失敗してしまったお弟子さん。強面で大柄な師匠に怒られ、罰としてオナホを使った実験に付き合わされることに───。というコメディ系の短編です。 ※エロシーンでは「♡」、濁音喘ぎを使用しています。処女のまま快楽を教え込まれるというシチュエーションです。挿入はありませんがエロはおそらく濃いめです。 キャラクター名がないタイプの小説です。人物描写もあえて少なくしているので、好きな姿で想像してみてください。Ci-enにて先行公開したものを修正して投稿しています。(Ci-enでは縦書きで公開しています。) ムーンライトノベルズ・pixivでも掲載しています。

気付いたら異世界の娼館に売られていたけど、なんだかんだ美男子に救われる話。

sorato
恋愛
20歳女、東京出身。親も彼氏もおらずブラック企業で働く日和は、ある日突然異世界へと転移していた。それも、気を失っている内に。 気付いたときには既に娼館に売られた後。娼館の店主にお薦め客候補の姿絵を見せられるが、どの客も生理的に受け付けない男ばかり。そんな中、日和が目をつけたのは絶世の美男子であるヨルクという男で――……。 ※男は太っていて脂ぎっている方がより素晴らしいとされ、女は細く印象の薄い方がより美しいとされる美醜逆転的な概念の異世界でのお話です。 !直接的な行為の描写はありませんが、そういうことを匂わす言葉はたくさん出てきますのでR15指定しています。苦手な方はバックしてください。 ※小説家になろうさんでも投稿しています。

伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】

ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。 「……っ!!?」 気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

中でトントンってして、ビューってしても、赤ちゃんはできません!

いちのにか
恋愛
はいもちろん嘘です。「ってことは、チューしちゃったら赤ちゃんできちゃうよねっ?」っていう、……つまりとても頭悪いお話です。 含み有りの嘘つき従者に溺愛される、騙され貴族令嬢モノになります。 ♡多用、言葉責め有り、効果音付きの濃いめです。従者君、軽薄です。 ★ハッピーエイプリルフール★ 他サイトのエイプリルフール企画に投稿した作品です。期間終了したため、こちらに掲載します。 以下のキーワードをご確認の上、ご自愛ください。 ◆近況ボードの同作品の投稿報告記事に蛇補足を追加しました。作品設定の記載(短め)のみですが、もしよろしければ٩( ᐛ )و

媚薬を飲まされたので、好きな人の部屋に行きました。

入海月子
恋愛
女騎士エリカは同僚のダンケルトのことが好きなのに素直になれない。あるとき、媚薬を飲まされて襲われそうになったエリカは返り討ちにして、ダンケルトの部屋に逃げ込んだ。二人は──。

騎士団専属医という美味しいポジションを利用して健康診断をすると嘘をつき、悪戯しようと呼び出した団長にあっという間に逆襲された私の言い訳。

待鳥園子
恋愛
自分にとって、とても美味しい仕事である騎士団専属医になった騎士好きの女医が、皆の憧れ騎士の中の騎士といっても過言ではない美形騎士団長の身体を好き放題したいと嘘をついたら逆襲されて食べられちゃった話。 ※他サイトにも掲載あります。

処理中です...