二度目の転生は最弱木偶人形!?魔物の世界でも溺愛過保護生活で生き残ります!

堂島うり子

文字の大きさ
上 下
14 / 41
戦いに向けて

13:獣人と鎧

しおりを挟む
 この世界で生きるには悪役魔女でなければいけないのは理解した。

 りんごに出来るかは別として。


 翌日の朝早くから部屋にこもって作業をする彼女の邪魔をしないように外に出て
庭の手入れや魔術書を読んで過ごすことにした。
 攻撃魔術は実験こそ禁止されたけれど知識を持つことは止められなかったから。

「水の魔術も強そう。使いこなせるようになったら格好いいだろうなぁ」

 目を閉じ魔術を駆使して凛々しく戦う自分を想像するりんご。
暴力で物事を解決するは嫌いだけど弱者を守るヒーローには憧れる。
 その為にはレベルをどれほど上げれば良いのだろう。

 10くらい?もっと?何年かかる?

「ついに出来た!ヒドリの皮を使った鎧!」
「ついに!鎧……え?」

 サターヌの声に振り返ったら思ったのと違うものを持って出てきた。
りんごが想像していたのはゲームに出てくるような戦士のゴツい装備。
 でもそこにあったのは素材がゴツくて硬そうなワンピース?

 それにしては丈が短くヘタをしたら下半身丸見え。

「よ…鎧…の、……第1段階が!」
「そ。そっか。第1段階なんだ!」
「待ってて第2段階に向けてまた狩りに行ってくる!」
「そんな急がなくても。ずっと仕事しっぱなしで疲れてるはず」
「魔王討伐の日は近い。1日も早く完成させたくなって。
べ、べつに全然いかがわしい妄想なんかしてないからね!ほんとだよ!」

 りんごでも嘘だと分かるくらいには怪しい顔でニヤニヤしているサターヌ。
視線から逃げるように第1段階の鎧を家の中に設置した専用のカカシに着せて
 再び狩りに出ていった。

「思ってたよりは普通の服に近いんだなぁ」

 特にすることもなくなって興味本位でそれを眺めていると玄関をノックする音。


「君1人?」
「はい。サターヌになにか用事ですか?今素材を狩りに行って戻るのは遅いかも」

 扉を開けると両手に重そうな荷物を持ったキトラが居た。
 その荷物をテーブルの上に置いてキョロキョロと何かを探している。

「そうか。あいつに頼まれていた素材を運んできたんだけど。
ここまで持ってくるのには骨が折れた。何か飲み物をくれないかな」
「すぐに用意します」

 りんごは小走りで台所に向かうとお客様用のカップにお茶を作って注いだ。
もうすっかり黄緑色でも何の違和感も持たない。
 美味しそうな色にすら見える。

「これがサターヌが言ってた君の鎧……と、いうか。服?」
「まだ第1段階ですけど」

 お茶セットを持って戻ってくる鎧を付けているカカシを眺めているキトラ。
 だが、あまり興味を持たない様子で椅子に戻ってお茶を飲み始めた。

「そんなソワソワしなくても良いのに。やること無いなら座ったら?」
「は、はい」

 席を外したら悪いだろうか。でも何を話そう。

 一緒に暮らすサターヌや何かと関わりを持つエノクとは違い、
たまに顔を出すくらいの距離感である相手。
 嫌われているかどうかというと微妙な返事が帰ってきたし。

 りんごとしてはもっと近づきたいような。でも申し訳ない気もする。
 なのに見てしまう男の魅力のようなものを感じているけれど。

「短時間でここまで作り上げるのは大変だったろうなぁ」
「ずっと部屋にこもってました。エノクさんといい2人は器用で集中力が凄い」
「義務感や他者への配慮に欠けた弟たちだけどそれ以上に有能だから。
この世界でも君のために領土を手に入れ魔王と戦う準備に勤しんでる」
「……はい。すみません」
「前世とは違うとエノクは言うけどこれじゃ……なんでそんな小さくなってるの?
あ。俺がお説教してると思ってる?嫌だな。小うるさいつもりはないのに」
「す、すみませんっ」

 エノクとサターヌを動かしているのはりんごとの生活のため。
それはよく分かるからこんなにもキトラの言葉が心苦しいのだと思う。

 責められているような気さえしてくる。

 彼はただ事実を言っているだけなのに。

「俺が話し始めると弟たちはすぐに逃げていったっけね。そういう未熟さも可愛いと
思っていたけど、このままいけばエノクは君の言う”魔王”になるかもしれない」
「まさか。エノクさんは私の体を強くするために調べてくれているだけです」
「君がいると弟たちはあっという間に最下層まで堕落するだろう」

 怒ってる?どうしよう。

 やっぱり荷物をまとめて今のうちにここを去ったほうが良いのか。
黙って悩んでいるとふんわりモフモフが頬を撫でる。
 視線を向けるとそれはお気に入りのしっぽ。

「もふもふ…」

 つい撫でて堪能してしまう。落ち込んだ気持ちも復活するモフモフパワー。

「真面目だね。あ。そういえば。俺に手でイかされたって報告はした?」
「し、してません。そんな話…出来ないです」
「知っていればサターヌは俺を家に呼んだりしなかったか。はは」
「キトラさ」

 あれ?と気づいたら既に体がしっぽに絡め取られていて。
強い手に引き寄せられキトラの膝に座り胸に収まっているりんご。
 あっという間の出来事にキョトンとしていると彼は視線をカカシに向ける。

「体は女になってもあいつは子どもっぽい欲望の塊だ」
「欲望って……っなにっ」

 キトラが自分の足でりんごの股を広げたままで固定し指がそっと
彼女の下腹部へと近づいていく。

「そうだろ?ここが守られてないなんて危険すぎる」

 わざとらしく耳元で言うと下着の横から中へ手を入れギュッと左右に強く肉体を
引っ張られると粘り気のある水っぽい音と共にパックリと開かれた。

 音が聞こえたかもと恥ずかしいけれど。まだそれだけ。
 肝心な場所は手つかずで勝手にビクビクしてしまっている。

「だ、……だ、第1弾だから…です…あのままじゃ…ないですから」
「だといいね」
「一緒に来てくれるんですよね」
「3人の方がいい?」
「ううん。4人がいい。です」
「そうか。では今回は正面から頂こうかな」

 キトラに明るい声で言われると嫌な予感がしてゾワっとするようになった。

慌てて獣の檻から逃れようとするもびくともしない。
 2人の弟に比べても一番成熟した男の体。獣人だから筋肉が発達しているのかも。

 どちらにしろ非力なりんごは誰かに見られたら言い逃れできない卑猥な姿で固定されて逃れられない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

記憶を失くした代わりに攻略対象の婚約者だったことを思い出しました

冬野月子
恋愛
ある日目覚めると記憶をなくしていた伯爵令嬢のアレクシア。 家族の事も思い出せず、けれどアレクシアではない別の人物らしき記憶がうっすらと残っている。 過保護な弟と仲が悪かったはずの婚約者に大事にされながら、やがて戻った学園である少女と出会い、ここが前世で遊んでいた「乙女ゲーム」の世界だと思い出し、自分は攻略対象の婚約者でありながらゲームにはほとんど出てこないモブだと知る。 関係のないはずのゲームとの関わり、そして自身への疑問。 記憶と共に隠された真実とは——— ※小説家になろうでも投稿しています。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

憐れな妻は龍の夫から逃れられない

向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...