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レベルアップの方法

10:魔女の黄昏

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 えっちな事といえば、優しい言葉をかけてもらったりぎゅっと抱き合って……
 等はなく突然後ろからの指。

 困惑しながらも快楽に意識が飛びそうになってどうにか
堪えながらも小さい悲鳴を上げては何度か果てる。
 エノク同様彼もまるでりんごを熟知しているかのように的確。

 手で激しく攻めるけれど耐える彼女を見ているだけなのは違うが。
それで最後は彼自身が来る…事は無くて大人しく引っ込んだ。

「……へえ。エノクは本当に器用だな」
「はあ…は…ぁ…あの……」

 ぺろっと自分の手を舐めてご満悦のキトラ。
 りんごは腰をふるふるしながも後ろを振り返り。

「まあ、要するに俺は頼ってもしょうがないって事だから」
「じゃあせめて散ってしまった雑草を一緒に」
「続きはまた今度」

 にこっと笑って去っていった。りんごの目の前にはせっかく抜いて
集めたのに汚く散ってしまった雑草。やったのは自分。
 快楽で体が震えてしまってそれで。

「……も、もう」

 でも邪魔をしたのはキトラなのだから少しは手伝ってほしかった。


やっと畑の作業を終えて最後の片付けをしている所にサターヌが帰ってきた。
 顔中引っかき傷だらけ。

 本人曰くちょっとした兄弟喧嘩だというけれど。りんごは急いで
倉庫から取り出した薬草を煎じて彼女の傷を癒やした。
 両腕に包帯を巻かれながらも食事の準備をするサターヌ。

「私が居ない間は皆この世界でも平和に暮らしていたんでしょう?
いっそ何処か違う場所に住んだほうがいいのかも」

 この世界も少しは慣れエノクの陣地内ならば魔物も少ない。
互いに適切な距離を保つのは悪いことじゃないかも。このまま喧嘩が
増えて兄弟が険悪になってしまったら辛いから。
 特に心は違ったとしてもサターヌの体は女。傷はみたくない。

「本当に記憶がないの?あの頃と同じことばっかり言う」
「こんなに大事にしてもらっているんだから普通に考えつくことだと思う」
「キトラ兄はあれで冷めてて厳しい所あるからそうするべきだって言うだろう。
でも、私もエノクもりんごと離れるのは嫌だ」
「……」

 りんご自身も離れたくはない。

「実は我慢できなくて魔水晶って道具使ってお前の転生した先を見てた。
それでお前と同じ言葉を覚えたし文明の用語も覚えたんだ。馬鹿だろ?
そんな事してもお前にまた会える訳ないのに…」
「……」
「エノクを責めたけど内心は嬉しかったんだ。またお前に会えて。
もう失いたくない。大人しくするから何処へも行かないで」
「……、過去の私はなんて答えました?」
「分かったって言ったよ」
「じゃあ敢えて逆を行って出ていきますばいばいっ」
「り、りんご!?」
「あ、あの。冗談なので。そんな悲しい顔しないでください」

 この世の終わりが来たらこんな顔をしそうな絶望でいっぱいの顔。
慌てて撤回して話題を変える。もうこの話題はやめた方が良い。
 皆が仲良くして欲しいけれどそれは難しいのかも。

 人間に転生する前の自分は彼らに厚く守られていたけれど
同時に関係も持っていたようだし。でも兄妹で、複雑。
 各々とどう接していたのか知りたい。

「魔術攻撃は私に任せてりんごは回復と防御に特化してもらう」
「回復アイテムはいっぱい作ってるから何時でも使えますっ」
「エノクは適当に血を吸えば回復するしキトラ兄は本気じゃ戦わない。
りんごが持てる量を持てばいいからね」
「はい」

 話は代わり魔王との戦いについて。同じ魔女として作戦会議をするのは
楽しいしワクワクする。いつも自分だけ退けられてきたから余計に。
 この世界の用語も魔女の事も分かってきたから話もスムーズ。

「防御といっても種類は多い。毒、精神、肉体、憑依…全てを網羅しようとしたら
全身を岩で固めるくらいのガッチガチの鎧が必要になるから諦めた」
「そんな重い鎧私の体で支えられるかな」
「だから軽くて矢を弾くほどの強度を誇るヒドリの鱗を使った服を作る」
「それってあの川とかに居る小さいワニさん?え。でも何匹いるんですか」

 りんごの記憶が正しければその魔物1匹から恐らく靴下も出来ないサイズ。
 今から採りに行って間に合う?

「過剰に護りすぎては本人の危機管理が甘くなると言われたことがある」
「私もそう思います。旅には危険はつきものですよ。特にここは魔物の世界。
殴られるくらいなら痛い箇所避ける方法しってますから」
「そんな言葉は私には必要ないんだ。私は絶対にヒドリを狩る。何百匹に
なったっていい。どうせまたすぐ湧くんだから…りんごは私が守る」

 機嫌悪そうに食事を終えた皿を持って台所へ去っていくサターヌ。
 守ってくれる気持ちは嬉しいけれど。

「攻撃の魔術も出来るようにならなきゃ」

 自分はどう言い繕おうと吹けば飛ぶレベルで弱い木偶人形。
サターヌが周囲が見えなくなるほどに心配するのもしょうがない。
 兄であるキトラがそれを危惧するのも分からないでもない。

 となればやはりここは基礎から自分を鍛えなければ。

 鍛えるというとエノクの元へ行く事も考えたけれどまずは自力で。
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