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貴族たちがグラディスとの婚約、そして結婚を望んでいることはウェブスターも知っている。
このタイミングで国王から呼び出されれば関係性があると考えるのは当然であり、いよいよ結婚を許されるのかと期待してしまった。

「長い間待たせてしまってすまなかったな」
「いえ。父上のことですから何かお考えがあってのことでしょう」
「そうだとも。お前も最近のハンセル公爵家の評判は知っているな? それと他の貴族たちの評判も」
「はい、存じています」
「これでもう他人に邪魔されないだろう。グラディスとの結婚を許す」
「ありがとうございます! 父上!」

自分への罰ではなく、外堀を埋めてくれたことを理解したウェブスターは父親の偉大さと配慮に心を打たれた。

「用件は以上だ。早く伝えるべき相手がいるだろう? もう下がれ」
「はい!」

ウェブスターが下がった後、国王は一人つぶやく。

「まったくグラディスのことになると冷静ではいらないのだな。まだまだ手が焼ける息子だ」

言葉ではそう言ったものの、心の中ではウェブスターの幸せを願う父親だった。





グラディスへ伝えることを最優先したウェブスターは先触れもなくウィンストン公爵邸へと向かった。
突然の訪問に驚いたグラディスだったが、ウェブスターが走り寄ってくる姿から喜びが伝わり、良いことがあったことを察した。

「グラディス! 結婚が認められたぞ! 結婚しよう!」
「はい!」

そのまま抱き合う二人。
遠回りしたが、やっと結婚できることになり、感激のあまりグラディスは涙が溢れてしまった。

「もう離さない。誰にも邪魔させない」
「はい」
「愛している、グラディス」
「私も愛しています、ウェブスター」

二人はキスをした。





二人の結婚式は盛大に執り行われた。
グラディスにとっては二度目の結婚式であるがウェブスターにとっては初めての結婚式であり、王族なのだから盛大にせざるを得なかった。
これはグラディスのことを愛し大切にするというウェブスターの意思表示でもある。

その気持ちに嘘偽りはなく、二人は結婚してからも幸せに過ごし、子宝にも恵まれ、全てが上手くいっていた。
没落が止まらないハンセル公爵家とは対照的に影響力を強めるウィンストン公爵家。
鉱山労働で希望を失っていたマントンにとって聞こえてくる噂は更なる絶望を与えた。

マントンがそのような状況だとは微塵も考えないグラディスとウェブスター。
グラディスとウェブスターは子供たちと幸せに包まれていた。
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