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第一章 聖王都追放
越境と山越え
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アンガス率いるノートン商会の用心棒を退けたエレノアは、太陽の沈む方角を頼りに、逢魔が時の山岳地帯を北上していた。
目指すは山岳中心部にあるノーラスと呼ばれる集落。アンガスも言っていたが、エレノアもその村の名に聞き覚えがあった。
『魔法照明』
エレノアはレベル1光魔法、魔法照明により巨大な照明を作り出して空高く放り投げると、山道が薄ぼんやりと照らされ始めた。手元に明かりを置かないのは、眩しいからではなく怪物に居場所を気取られる可能性が高い為である。
整備の届かない荒れた山道の途中で、急に神聖さが失われる感覚をエレノアは身体に感じた。目を凝らすと七色に輝く薄いカーテンのような光の壁が確認出来た。極光と呼ばれる聖結界の外殻である。
(……聖結界の外殻。カレンは上手くやっているようで良かったわ)
それはカレンの聖域化が上手く発動しているという証左であり、彼女が聖女として立派に務めを果たした事の証明とも言える。
チャールズ司教はカレンでは務まらないと言っていたが彼女がそんなやわな人間じゃない事をエレノアは知っていた。
そして今、ようやく聖王国領を踏み出して、本当の意味で聖王国から追放された形となった。護送の一連の出来事に腹立たしさはあったが、今それを気にする事に意味は無いので止めにした。
現在地は聖王都エリングラード北部にある山岳地帯の聖結界外殻。ここから先は国外の中立地帯である。魔法力の残りが心許ないエレノアはさらに警戒心を強めた。まだ燐天翼を展開して戦うだけの余裕はあるが、消耗すればするほど疲労が強まり、思考能力や運動能力が鈍る。必要以上に魔法を使いたい局面ではなかった。
エレノアは緊張した面持ちで、暗がりの山道をゆっくりと歩き始めた。
◇
(──それにしても誤算だっだわ。……山登りが、こんなに大変なんて……私、知らなかった)
今のエレノアに決定的に欠けるものがあった。野外活動の経験である。数時間ほど歩いただけで肩で息をしつつ、大きく溜息をついた。手には落ちていた手ごろな杖代わりの太い枝を手にしていた。
幸い光術師であるエレノアは魔法照明により視界は確保できていたが、吹き下ろす風の冷たさは光魔法では対応出来ない。
寒さに震えるエレノアの耳に何処かから夜鳥と思わしき鳴き声が聞こえていた。ホーホーと鳴く鳥の声は、都暮らしのエレノアにとって聞き馴染みのないものだった。
聖女の為の英才教育を受け、聖王国の聖女として一生を捧げる。エレノアはただそれだけを想定をし、これまで生きてきた。
よって、聖王都エリングラードを離れる機会は多くなかった。山や森の知識は全て学問を通じて得た本の中の話。
このような大自然を相手にしたのは初めてである。特に聖王国に移ってからは、光魔法学を中心としたインドアな生活に傾倒していた。
つまりは運動不足。長時間の勉強や儀式に耐える為の体力とは別の体力が作られていない。それに加えて魔法力も大きく消耗している。
(──なんでも出来る自信があったけど。まだまだ……これから新しい経験が積めそうね)
エレノアは不敵に笑った。このような夜の山道に一人追いやられ、楽しいのか悔しいのか、よくわからない不思議な感情。
旅の荷物を再確認する。革製の手提げ鞄が一つ。残り三日分の食料と毛布、水筒と着替え用の下着。あまり食料に余裕はない。
エレノアは最高魔力の持ち主とはいえ飲まず食わずで生きていける訳では無い。
疲労を緩和する光魔法は存在するが、それを使う事により残り少ない魔法力を削っては元も子もないし、食欲や睡眠を不要にする魔法は光魔法ではなく闇魔法の分野だった。
エレノアは光魔法以外を知らない。聖女にとって必要なのは光魔法の一点のみなので、学習の機会を与えられなかったというのが正しい。もし火魔法や水魔法が使えれば、今みたいに火や水で困る事はなかっただろう。
(……もう、そろそろ限界。……はあ、大変な一日だったわ)
天文学をかじっていたエレノアは、星の配列から既に深夜の時間になっている事を推測できた。聖王国から一刻も早く遠ざかりたいという気持ちと、妙なテンションの高ぶりもあって、歩けるだけ歩いてきたが、流石に休むべきかもしれない。
もう少し歩いた処で、視界が開け、背を置くのに丁度良さそうな大岩を見つけ休息をとる事にした。大岩を背に毛布にくるまって暖を取ると、エレノアは溜息をつきながら、魔法照明の光源を絞り、煌めく夜空の星を見上げていた。
(あっ……流れ星。それも二つ同時)
じっと夜空を見つめていれば、幾つもの流星を容易に見つける事が出来た。魔法照明が夜でも街中に輝いている、聖王都エリングラードとは全く違う景観である。
夜空の星とはこんなに美しいものだった。聖王国では一生その事に気付くことは無かったかもしれない。
◇
翌日、エレノアはさらに山道を北に向けて歩き続けた。
この荒れ放題の、かつて道だったものから察するに、聖王国からの往来は殆どないと考えて間違いない。そして、往来がないと確信が持てる状況に出くわした。
(……吊り橋。まあ、誰も直さないわよね)
渓谷の吊り橋は壊れていた。それは既に聖王国との往来に使う山道として機能を果たしていない事を意味している。
道なき道をかき分けて渓谷を回り込むとしたら、どれくらい時間がかかるのかはわからないが、エレノアにとって、この事は好都合でしかない。
『熾天翼』
エレノアは光翼を背に谷底に降り立つと、川の水をすくって飲んだ。
冷たい水を口に含むことによって脳が活性化するのを感じる。そして周囲に気配がない事を確認しつつ、ほんの短い間、水浴びを行った。
水筒の古い水を廃棄し、新しい水に入れ替えると、再び光翼を背に飛翔をして向こう側に辿り着いた。これで、聖王国側から万が一の追手が来る可能性が格段に減ったと言える。後は無事、山岳地帯にある集落に辿り着くだけである。
◇
──そして、聖王都エリングラードを発って五日目の昼頃の事。エレノアはついに集落の痕跡を目の当たりにした。
蓄積する疲労により、国境を越えたばかりの頃こそ強気だったエレノアも精神的に堪えていた。途中で幸運にも泉を見つけたお陰で、水分補給と身体の汚れこそ落とせたが、食料がちょうど底を尽き焦りを感じ始めた頃の事である。
(煙だわ……あれがノーラス村かしら?)
少なくとも火を起こせる者が居る可能性が高く、ようやく、ゆっくりと身体を休める事が出来るかもしれない。後は受け入れてくれるか否かである。
エレノアは強い疲労を感じつつも、心を躍らせ、気力を振り絞った。
目指すは山岳中心部にあるノーラスと呼ばれる集落。アンガスも言っていたが、エレノアもその村の名に聞き覚えがあった。
『魔法照明』
エレノアはレベル1光魔法、魔法照明により巨大な照明を作り出して空高く放り投げると、山道が薄ぼんやりと照らされ始めた。手元に明かりを置かないのは、眩しいからではなく怪物に居場所を気取られる可能性が高い為である。
整備の届かない荒れた山道の途中で、急に神聖さが失われる感覚をエレノアは身体に感じた。目を凝らすと七色に輝く薄いカーテンのような光の壁が確認出来た。極光と呼ばれる聖結界の外殻である。
(……聖結界の外殻。カレンは上手くやっているようで良かったわ)
それはカレンの聖域化が上手く発動しているという証左であり、彼女が聖女として立派に務めを果たした事の証明とも言える。
チャールズ司教はカレンでは務まらないと言っていたが彼女がそんなやわな人間じゃない事をエレノアは知っていた。
そして今、ようやく聖王国領を踏み出して、本当の意味で聖王国から追放された形となった。護送の一連の出来事に腹立たしさはあったが、今それを気にする事に意味は無いので止めにした。
現在地は聖王都エリングラード北部にある山岳地帯の聖結界外殻。ここから先は国外の中立地帯である。魔法力の残りが心許ないエレノアはさらに警戒心を強めた。まだ燐天翼を展開して戦うだけの余裕はあるが、消耗すればするほど疲労が強まり、思考能力や運動能力が鈍る。必要以上に魔法を使いたい局面ではなかった。
エレノアは緊張した面持ちで、暗がりの山道をゆっくりと歩き始めた。
◇
(──それにしても誤算だっだわ。……山登りが、こんなに大変なんて……私、知らなかった)
今のエレノアに決定的に欠けるものがあった。野外活動の経験である。数時間ほど歩いただけで肩で息をしつつ、大きく溜息をついた。手には落ちていた手ごろな杖代わりの太い枝を手にしていた。
幸い光術師であるエレノアは魔法照明により視界は確保できていたが、吹き下ろす風の冷たさは光魔法では対応出来ない。
寒さに震えるエレノアの耳に何処かから夜鳥と思わしき鳴き声が聞こえていた。ホーホーと鳴く鳥の声は、都暮らしのエレノアにとって聞き馴染みのないものだった。
聖女の為の英才教育を受け、聖王国の聖女として一生を捧げる。エレノアはただそれだけを想定をし、これまで生きてきた。
よって、聖王都エリングラードを離れる機会は多くなかった。山や森の知識は全て学問を通じて得た本の中の話。
このような大自然を相手にしたのは初めてである。特に聖王国に移ってからは、光魔法学を中心としたインドアな生活に傾倒していた。
つまりは運動不足。長時間の勉強や儀式に耐える為の体力とは別の体力が作られていない。それに加えて魔法力も大きく消耗している。
(──なんでも出来る自信があったけど。まだまだ……これから新しい経験が積めそうね)
エレノアは不敵に笑った。このような夜の山道に一人追いやられ、楽しいのか悔しいのか、よくわからない不思議な感情。
旅の荷物を再確認する。革製の手提げ鞄が一つ。残り三日分の食料と毛布、水筒と着替え用の下着。あまり食料に余裕はない。
エレノアは最高魔力の持ち主とはいえ飲まず食わずで生きていける訳では無い。
疲労を緩和する光魔法は存在するが、それを使う事により残り少ない魔法力を削っては元も子もないし、食欲や睡眠を不要にする魔法は光魔法ではなく闇魔法の分野だった。
エレノアは光魔法以外を知らない。聖女にとって必要なのは光魔法の一点のみなので、学習の機会を与えられなかったというのが正しい。もし火魔法や水魔法が使えれば、今みたいに火や水で困る事はなかっただろう。
(……もう、そろそろ限界。……はあ、大変な一日だったわ)
天文学をかじっていたエレノアは、星の配列から既に深夜の時間になっている事を推測できた。聖王国から一刻も早く遠ざかりたいという気持ちと、妙なテンションの高ぶりもあって、歩けるだけ歩いてきたが、流石に休むべきかもしれない。
もう少し歩いた処で、視界が開け、背を置くのに丁度良さそうな大岩を見つけ休息をとる事にした。大岩を背に毛布にくるまって暖を取ると、エレノアは溜息をつきながら、魔法照明の光源を絞り、煌めく夜空の星を見上げていた。
(あっ……流れ星。それも二つ同時)
じっと夜空を見つめていれば、幾つもの流星を容易に見つける事が出来た。魔法照明が夜でも街中に輝いている、聖王都エリングラードとは全く違う景観である。
夜空の星とはこんなに美しいものだった。聖王国では一生その事に気付くことは無かったかもしれない。
◇
翌日、エレノアはさらに山道を北に向けて歩き続けた。
この荒れ放題の、かつて道だったものから察するに、聖王国からの往来は殆どないと考えて間違いない。そして、往来がないと確信が持てる状況に出くわした。
(……吊り橋。まあ、誰も直さないわよね)
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『熾天翼』
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冷たい水を口に含むことによって脳が活性化するのを感じる。そして周囲に気配がない事を確認しつつ、ほんの短い間、水浴びを行った。
水筒の古い水を廃棄し、新しい水に入れ替えると、再び光翼を背に飛翔をして向こう側に辿り着いた。これで、聖王国側から万が一の追手が来る可能性が格段に減ったと言える。後は無事、山岳地帯にある集落に辿り着くだけである。
◇
──そして、聖王都エリングラードを発って五日目の昼頃の事。エレノアはついに集落の痕跡を目の当たりにした。
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(煙だわ……あれがノーラス村かしら?)
少なくとも火を起こせる者が居る可能性が高く、ようやく、ゆっくりと身体を休める事が出来るかもしれない。後は受け入れてくれるか否かである。
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