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第四章 そして天使はまい降りた

そして天使はまい降りた(5)

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 浅く深く瞬の根元まで絞るようにそこを扱き出す。
 それにとうとう瞬も可愛い嬌声を上げ始めた。

「ひゃっ…あぁっ…ん…」

 控えめではあるが感じている時の素直な瞬の喘ぎ声は何よりも可愛いものだった。
 それを懐かしいと思ってしまう。

 榊がそうして力強くそこを扱くと、何度目かで瞬の亀頭の窄みかねっとりと濃い白濁を溢れ出した。
 それは密室に青臭い匂いを立ち込めさせていく。

 榊は手についたそれを、瞬の目の前にかざしてやった。

「これがお前の初めての精液だ」

 そう言われると恥ずかしさが一気に増し思わず顔を逸らしてしまう。

 さっきまで自分で『大人にしろ』だの『依頼』だのと威勢が良かった瞬が急にまたおとなしくなってしまった。

 さっきまでの瞬が、精一杯の虚勢を張っていた事くらい榊にだって察しはつく。

 だが一回出したくらいで終わりにするつもりは無い。

 榊はその瞬の精液で汚れた手で瞬の顔を掴んで上を向かせた。
 瞬の頬にその残滓が僅かにこびりつく。
 きっとそこからほど近い瞬の鼻腔には、今自分が放ったばかりの生々しい精液の匂いが鼻を突いているだろうと思った。

 瞬の目は羞恥心でいっぱいらしで僅かに涙を浮かべていた。

 榊はその目をじっと見詰めると、瞬の目の前でその指ついた精液をペロリと舐めあげた。
 そしてその唇は更に瞬の頬へと移動してきて頬についた精液も舐め取って行った。

 だがその唇はそれで離れる訳では無かった。

 瞬の頬を支えていた榊の掌にグイッと大きく頭を傾けられてしまう。

 一瞬何が起こったのかも分らなかった。

 急に視界が天井だけになったと思ったら、次の瞬間には目の前に榊の長い睫しか見えなくなっていた。

 榊にキスされていると分るまでに数秒かかっていたらしい。

 驚き飛び上がりそうになる瞬の身体は、ガッチリと壁際に押し付けられていて身動きも出来なかった。

 気付いた時にはそのまま榊の唇と舌で瞬の唇はこじ開けられていたらしく、その青臭い苦い物体が自分の口の中に注ぎ込まれていくのを感じていた。

 だが匂いも苦味も次第に分らなくなっていく、むしろどんどんそれは甘い液体に変わっていくような気さえしていた。

 それが何故だかは分らなかった。

 とにかく何度も榊が舌を挿し入れて来て、その度にその苦さは薄れていく。

 それは榊が口付けをしながら互いの唾液でそれらを緩和させようとしてくれているからだと気付くにもだいぶ時間が掛かってしまった。

 それよりも口移しにどんどんそれらを注ぎ込まれた瞬は、息をしようにも榊の舌に絡み取られ、息継ぎの間合いがわからなくなってしまいバタバタともがき苦しんでいた。

 ようやく榊もそれに気付いてくれたらしく濡れた唇を離してくれた。

「ううう…」

 瞬の口の中は榊が注ぎ込んで来た自分が放った精液と、榊のとも瞬のものともつかない唾液でいっぱいだった。

 榊はそんな瞬の目の前で、自分の口の中に溜まったそれを、瞬にこれでもかと言わんばかりに喉元を鳴らして、コクリと飲み込んだのだった。





(つづく)


いよいよ
次話で完結です。
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