優しい時間

ときのはるか

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第四章 そして天使はまい降りた

そして天使はまい降りた(2)

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【ご注意:放尿シーンがあります】




 瞬の今後の事は慎重に考えなければならなかった。

 当然コミュニティにも報告しなければならなかったし、来るなと言われても葬儀には何らかの形で行かせてやりたかった。
 きちんとお別れをしないと先には進めない想いも瞬にはあるだろうと思う。

 だが明日の事は今考えてもしょうがない。

 今は瞬の溜まったお腹の中のものを出させてやることが第一だった。

 革の下着を取り払ってやりツルンとした瞬の股間が露わになる。

 やはりあれから手を付けられてはいないらしい瞬の股間は子供の時のままだった。

 陰茎に手を添えてやり、ポコンと飛び出した膀胱辺りを手で押してやると、ちょろちょろと黄色い水が押し出されてくる。

 貯め込みすぎたせいか逆に勢いはなく、細い道筋を通りながら長い放尿が続いた。

「そんなに我慢してたら辛かっただろ?」

「このところずっと水も食べ物の喉を通らなかったから、そうでもないです。榊さんの顔を見るまで忘れていたくらいです」

「俺はパブロフの犬か!」

「榊さんの顔を見たらなんかホッとしてトイレに行きたいって思っちゃって。あの…なんか榊さんが『俺』って言うのいいですね。自然で…」

「確かに『私』という呼び方は仕事の時だけだ。だが今はそうじゃない。時間外だし、依頼も受けていないし、特別サービスだ」

 放尿が終った瞬の股間にふと目が行ってしまった。

 包茎気味ではあるがその表皮は簡単に根元まで向ける事も放尿ついでに確認させてもらった。
 そして榊が何度もトレーニングしてやった尿道は放っておかれたのか、またきつく口を閉ざすようになってしまっていた。

 尿道の拡張はオプションだった。

 もともと堂島には扱えない代物だとは思っていたが、あの当時もう瞬に教える事は何もなくなってしまい、榊が尿道ならまだ躾る事も可能だと言いうと、堂島も時間稼ぎにホイホイと飛び付いて来たのだった。

 瞬の身体は手付かず過ぎて呆れてしまう程だった。

 むしろ躾をしていた時以上に天使さが増したようにも感じられる。

 その無垢な身体に、本当に自分が最後まで教えてしまっていいのだろうかとまた思い悩む。

 かといってこのままでは、瞬が言う通り一生この先へは進めないままだった。

 大人にはなれず、かといって子供のままでも居られない。

 瞬の精巣には放出されないままの精子がいっぱい溜まっているのだろう、出したくても出せないその下腹部に溜まったものたちが哀れにも思う。

 いっそ睾丸ごと取り出されているかもしれないと榊は思ったこともある。

 だが、瞬の身体はほとんどあの時のままだった。
 
 何でこんな身体を堂島はただ傍に置いていただけで我慢できたのかと正直信じられなかった。

 普通、少年好みの趣味がある者なら瞬を放ってはおかないだろうと思っていた。
 それくらい非の打ちどころなく榊は瞬を完璧に躾られたと思っていた。

 それなのに手も着けてもらえなかったとは、躾士としてはどこか納得がいかないものがある。

 それは自分の躾が堂島に否定されたと同然だった。

 正直そっちの趣味が無かった榊でさえこんなに瞬に傾いているというのに、堂島はやはりどこか狂っていたのかもしれないと疑いたくもなる。

 すると瞬が先に榊が怪訝に思うだろう事を見越して話してくれた。

「お父様は僕を施設に迎えに来てくれた時には、既に病気と闘っていたのです。だから迎えが遅れたと言っていました」

 堂島があの頃既に病を抱えていたというのは初耳だった。

「それは有栖川は、コミュニティは知っていたのか?」

 思わず瞬を問いただしてしまった。

「いえ、コミュニティには知らせていなかったようです。パソコンは病院でも見られますから、だからずっと健康を装っていたと言っていました。僕を無理言って養子に迎えた事でお父様も責任を感じていました。せっかく二人きりで一緒に暮らせるようになったのに何もしてやれなくてごめんといつも謝ってばかりでした。でも僕はそれでも幸せでしたよ。誰かの役に立てて頼って貰えて嬉しかったです。こんな僕だって介護の世話くらいは出来ましたし、施設にいたからこそ他人の下の世話も嫌だと思った事は一度もありませんでした。だって僕だってこうしていつも榊さんに手助けしてもらっていたからそれが当然だと思えた」

 榊は自分がしてきた事が堂島に取って拷問にも近かっただろう事を感じた。

 そして胸の奥が締め付けられる思いがした。

「だからこれが主人である堂島からの最後の躾の依頼です。僕を榊さんの手で大人にしてください。報酬はコミュニティにもう先に振りこんであると言っていました」

 その言葉に嘘偽りがない正真正銘の堂島の遺した言葉だと、榊にもはっきりと伝わってきた。
 ただの思い付きで瞬がこんな事を言う訳が無い。

 堂島は最初から自分が死んだら瞬を開放してやる事を決めていたのだ。

 そしてその後の事は瞬と榊に一任するする。
 そう言う意味だと思った。






ーーーーーーー

作者です
いつもお読みいただきありがとうございます!

余談ですが
一応お知らせさせていただきます

こちらの『優しい時間』ですが
コミコミスタジオさん、フロマージュブックスさんにて
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