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いや、なんか多くね?
ざっと見ても20人以上・・・。

えっ?リリアーヌ。
どう連絡したら、こんな大勢来るの?えっ?

私が呆れていると、いつもの様にクロヒメが頬を寄せてきた。
私は、条件反射で、クロヒメの頬を撫でた。

「ふふふふん?」
お砂糖は?と聞いてきた。

「ある訳ないでしょ。我慢しなさい。」

「ふん・・・。」

「って、なんであんたがここに?えっ?」

ビックリだ。
何気なく頬を撫でた私にもビックリだけど。

「お嬢様~。」

そう言って、兵士の一団から、馬具屋の姉ちゃんが駆け出してきた。

はい?
何でこの人まで、ここに?

「ちょうど、御用聞きで、お屋敷に居たら、クロヒメが勝手に抜け出す騒動に遭遇しまして。」

「えっ?」

「ここに来る兵士の一団に、勝手について行こうとしたらしく、誰にも止められず、私が対処する事に。」

「えっと・・・、対処した結果、一緒にここに来たと。」

「はい。」

えっと・・・、この人、名前なんだっけ・・・。

「スザンヌさんです。」

リリアーヌが耳元で小さく囁いて教えてくれた。

さすが、出来る側仕えっ!
もう出来る側でいいよね。

「面倒に巻き込んでしまって申し訳ありません、スザンヌさん。」

「お嬢様、私は出入りの業者ですから、さん付けは不要ですよ。」

また、これか。

「あっ、そう・・・。」

グリグリと頬を押し付けてくるクロヒメ。
まるで、褒めて、褒めてと言わんばかりだ。

が、褒める訳ないでしょ?えっ?
むしろ、叱るべきところだと思うが。

まあ、いいや。

「あの、スザンヌ。どうしてクロヒメは、宿の厩舎に入ってないの?」

「一応、隣は牝馬にしてるのですが、どうやら狭くて気にいらない様です。」

勝手についてきて、なんて我儘な・・・。

「クロヒメ、厩舎に行くわよ。」

「ふふん。」

とりあえず、大人しくついてくるクロヒメ。

しかし、厩舎の前につくと、いやいやと首を振る。
まあ、その仕草は可愛いんだけども。

「勝手についてきたのは、あなたでしょ?我慢しなさい。」

「・・・。」

凄く不満そうな顔で、私を見る。

暫くして、ようやく厩舎へとおさまった。

「お嬢様、これを。」

そう言って、リリアーヌが、角砂糖を渡してくれた。

「どうしたの、これ?」

「宿で貰って来ました。」

「そう、ありがとう。」

「はい、クロヒメ。」

私は手のひらの上に、角砂糖をのせて、クロヒメの前に差し出した。

ほむほむ。

美味しそうに、食べるクロヒメ。
これで、少しは、機嫌が直るといいんだけど。




兵士な人達は、3交代で宿の警護をするようだ。
ご苦労様です。

急遽、雇ったヒャッハーなボス達は、今日は宿で休んで、明日、帰るようだ。
まあ、私達もその予定だ。

ドワーフ達は、私たちの出発を見送った後に、ドワーフの国に帰るそうで。
うわっ、ドワーフの国、行ってみたい。

その晩、私は、モソモソと布団に潜り込む。
リリアーヌが堂々と隣で、寝ようとするのは、無視だ、無視。

がっ。

反対側に、ヘスティナが潜り込んできた。

ちょっ、狭いんですけどっ!

そんなこんなでも、私は即、寝れた。
の〇太、ならぬ、のび子か私は・・・。




朝、いつもの様に紅茶の香りで目覚めると、部屋にあるテーブルの席には、ヘスティナが既に着いていた。

ふみゃ、ふみゃ。

「おはよう。」

私は、二人に挨拶した。

「「おはようございます。」」

二人ともにこやかに返してくれた。

「朝の紅茶っていいですね。癖になりそうです。」

「アーリーモーニングティーって、言うのよ。」

私が教えてあげた。

「紅茶の香りも昨日と違いますね。」

「今日のは、ブレンドしております。」

リリアーヌが答えた。

屋敷で紅茶を飲むことが多いのだが、リリアーヌとダリアの紅茶は、毎回違う。
色々と工夫してるのだろう。
マメだなあ。

「ブレンドのコツってありますか?」

「そうですね。ヘスティナさんは、冒険者ということですし、色んな場所へ行かれますよね。」

「はい。」

「では、まずは水に合わせる事でしょうか。」

「はい?」

「水で紅茶の味は変わりますので。」

「そうなんですか?」

ヘスティナは驚いていた。

そう言えば、前世では紅茶で有名なリプトンが、水で味が変わる事に気が付いて、その地域地域で、ブレンドを変えてるってのを何かで聞いた事がある。
日本の水道水と日本人の味覚に合わせてブレンドされてるから、水を変えちゃうとイマイチだった気がする。
それを知らない友人が、購入したお高い水を使って、「やっぱり、水が違うと紅茶も美味しいわ。」なんて、知ったかぶりしてたけど・・・。

私は、二人の会話を聞きながら、アーリーモーニングティーを楽しんだ。

私たちが朝食をとる頃には、ヒャッハーなボス達は、出発した後だった。
荒くれ風なのに、朝が早いのは、さすが冒険者と言うべきか。




私、リリアーヌ、エンリ、ヘスティナの4人は、馬車に乗っての移動となる。

「お嬢ちゃん、エンリの事を頼むな。」

ディグレットさんに、そう言われた。

「はい。」

「ううう、私はまだ、残りたかったのに。」

「お嬢ちゃんに、原石貰ったんだろ?それでいいじゃねえか。」

「それは、そうですが・・・。」

原石の価値は1万ゴールドくらい。
それが、王都の街に戻ると、あら不思議3倍に跳ね上がる。
まあ輸送費がかかるから、そんなもんか。
それを職人がアクセサリーに加工すると、なんと100倍に。
この辺は、職人の腕にかかっているので、誰でも100倍になる訳ではない。

まあ、この辺りは、前世でも変わりはないか。
300万円の指輪の原石って、現地の価値は微々たるもんだったしね。

私が馬車に乗り込む前になって、クロヒメが私に纏わりつく。

乗る?ねえ、乗る?

乗らねえよっ!

なんとかクロヒメを宥め押しのけて、馬車に乗り込む。クロヒメには、スザンヌが騎乗する。

迷惑かけて、本当にすまんっ!

それにしても、アレだ。
周りの人たちが引くくらい大仰だ。

馬車を取り囲むは20名を超える兵士たち。
何、これ、本当・・・。

ドワーフの一団に見送られ、私たちは、帰路についた。

「宝石のデザインは、どうしましょう?」

エンリが聞いてきた。

それ位、自分でやりなさいよ・・・。

石拾いが1日で終わった事は、私の責任だが、賞品の原石をあげたんだから、それで勘弁してほしい。

「お嬢様のお披露目の方ですよ?」

そっちかっ・・・。

「うーん・・・、参考になりそうなのは、レントン商会もアレだけっぽいし・・・。」

「王宮の展示室はどうですか?」

「何それ?」

私はエンリの提案に首を傾げた。

「王宮の展示室は、貴族しか入れません。」

リリアーヌが答えた。

「ふーん、リリアーヌは入れないのね。」

「はい、ですが、飾ってあるのはイミテーションです。」

「デザインの参考にするなら、イミテーションでもいいと思いますよ。」

「確かに・・・、まあ帰ったら、お父様に相談してみるわ。」

「きっと、お嬢様なら、素晴らしいデザインが完成すると思います。」

「デザインってどれ位で、終わらせた方がいいの?」

「師匠なら作るのに1週間もかかりませんから。」

「じゃあ、ゆっくりできるわね。」

「お嬢様、お披露目の衣装は、アクセサリーに併せて作る予定では?」

「うっ・・・。」

そうなってくるとデザインも前倒しになる訳で。
ま、まあ、なんとかなるでしょう。

そうこうしてると、私たち一行は、休憩ポイントで停車した。

さてはて、クロヒメは疲れていないだろうか?

馬車から降りると、私達とは別の兵士の一団があった。ざっと見、30名は居る。

どこの一団だろうか?
王都内だから、野盗というわけではないだろう。
格好も、こっちの兵士たちと同じで、ピシっとしてるし。

一団の長っぽい人が、私の方に向いて歩いて来た。
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