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リュウノシン登場の巻
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1.はじまりの歌
雨がふったら、アイツに会えるチャンス!
水たまりを見つけたら、のぞいてごらん。
一度じゃダメだ、二度目はうっすら、三度目の正直、くっきり、あの世界が見えるはず。
リュウノシンが住む魔法の世界。ほらっ、雨の日が楽しみになるだろう。出かけよう、ぴっちゃん、ゴロゴロ~。
2.ルナちゃん、えーん、えーん
たいへん!ルナちゃんが泣いている。パンダのイラストが入ったふわふわのハンカチがどんどんウェット。どーしたの?
もう少しちょっとひいて、アングルを広げてみよう。
ルナちゃんの横に白い箱。その上には、シマシマのネコの写真。もしかして、もしかして。大切なペットのタマコさんが死んじゃった!車にひかれて、死んじゃった!ルナちゃんが見つけたときには、死んだように眠っていた。いや、死んでいたんだ。ルナちゃんの、叫び声を聞きつけたパパがやってきて、タマコさんを毛布でくるんで右肩に、ルナちゃんを左手に、おうちに戻ったのが30分前のこと。ママが急いで、ミカンの入った箱からミカンを出して、タマコさんを入れたんだ。ミカンはゴロゴロ、部屋に散らかって、パパは誰かと電話中。ママはオロオロ、あっちへ、こっちへ。ルナちゃんはまだ泣いている。
3.リュウノシン登場
ルナちゃんの涙はどんどん床にたまっていく。5歳のルナちゃんから出た涙とは思えないくらい。もしかして、おもらしだったりして、と言いたくなるくらい、ルナちゃんの涙はちゅるちゅる集まって、できちゃった水たまり。
もう少し深く、アングルを掘り下げてみよう。ルナちゃんの水たまりから、下に下に深く深くいくと、いたいたリュウノシン。あぐらをかいて、お尻をポリポリ。せんべい、ボリボリ。
「ふぁー、退屈だなあ。何か面白いことねぇかなぁ。おれっち、ヒマはイヤなんだ」
リュウノシン、水たまりができちゃったよ。
「おっ、あっちの世界は雨か?今日はおれっちから行ってやるか」
珍しいこともあるもの、リュウノシン。誰にも呼ばれていないのに、こっちに来るわ。ルナちゃん、気をつけて!
「よっしゃー、ぴっちゃん、ゴロゴロー、ピョン」
4.ルナとリュウノシンとの出会い
泣いているルナちゃんが作った涙の水たまり。突然、どどーんと噴水みたいに盛り上がったと思ったら、忍者のごとく現れた!おれっち、水玉リュウノシン。
びっくりルナちゃん、泣き止んで、あなたは誰と聞きました。繰り返します、おれっち、水玉リュウノシン。
「なんで泣いているんだ?おまえさん」
おまえさんじゃなく、ルナちゃんだよ、とそっと耳打ちしたのはソバを飛んでいたてんとう虫。おっ、サンキューと再び泣いている理由を聞いたリュウノシン。ルナちゃんは大好きなタマコさんが死んでしまったと知りました。
「ガッテンしょうちのリュウノシン。今日は晴れているから、おれっちが未来へ連れていってやる。
5.タマコの未来
タマコさんの未来!ルナちゃん、びっくり。死んだタマコさんに未来なんて、あるんでしょうか?手を引っ張って、水たまりの中に。ルナちゃん、ぐっと息を止めてみた。でも、大丈夫なんだな、これが。リュウノシンとルナちゃんは卵型のカプセルの乗り物に乗るからです。ようこそ、ルナちゃんとプリンセス扱い。
「カボチャの馬車じゃないし、おれっちは王子様じゃないけど、おまえさんを悲しみから救うことはできる。」
ルナちゃんはおまえさんとは呼ばれたくないけれど、タマコさんの未来を知りたくて、ツッコミませんでした。罪な奴、リュウノシン。
七色の光の中を漂って、着いた先は病院の前。いつもルナちゃんが通っているワカバ病院。あれ、タマコさん、病院で助かったの?
「しっ。今から声を出したらダメだぞ!」
リュウノシンに手をひかれて、玄関から向かったのは3階の病室の前。中からパパの声が聞こえます。もしかして、タマコさんがいるの?ルナちゃん、思わず扉を開けて、「タマコさん!?」
踏み込んだ先にはママとその隣に小さな赤ちゃん。そう、タマコさんは生まれ変わって、ルナちゃんの弟になる未来が待っていたのです。でも、ルナちゃん、やってしまった、リュウノシンが言った約束を忘れてしまった。パパとママが扉の先を見ると、ルナちゃんは変わり果てた姿に。
「タマコさんも来てくれたみたい。」
違うのパパ、ママ、ルナなのよ。
「残念だけど、おまえさん。声を出したらダメって言ったろう。未来を変えると変わるんだ。過去が。」
病室の棚に並んでいたのはルナちゃんの写真。でも、ルナちゃん、享年6歳。あーあー、死んじゃったのはタマコさんからルナちゃんになっちゃった。
6.ルナちゃん、リュウノシンの弟子になる
これからルナちゃん、どうするの?またもや泣いているネコのルナちゃんを、リュウノシンは不憫に思い、声をかけた。
「おれっちも、ちゃんと説明しなくて悪かった。おまえさん、おれっちと一緒にいるか?」気づけばニャーとしか言わないルナちゃんを、ひょいと肩に乗せて卵型のカプセルへ。水たまりも乾き出し、そろそろあっちの世界へ帰ろうか。
7.しめの歌
水玉リュウノシンはいい奴なのか?それとも悪い奴?その答えは雨の日に会ったらわかる。自分で確認することが大事なんだ。雨の日を待っていて、雨の日じゃなくても泣いたら会える、リュウノシン。肩にネコのルナをのせて、アイツがやってくる!またなー。
雨がふったら、アイツに会えるチャンス!
水たまりを見つけたら、のぞいてごらん。
一度じゃダメだ、二度目はうっすら、三度目の正直、くっきり、あの世界が見えるはず。
リュウノシンが住む魔法の世界。ほらっ、雨の日が楽しみになるだろう。出かけよう、ぴっちゃん、ゴロゴロ~。
2.ルナちゃん、えーん、えーん
たいへん!ルナちゃんが泣いている。パンダのイラストが入ったふわふわのハンカチがどんどんウェット。どーしたの?
もう少しちょっとひいて、アングルを広げてみよう。
ルナちゃんの横に白い箱。その上には、シマシマのネコの写真。もしかして、もしかして。大切なペットのタマコさんが死んじゃった!車にひかれて、死んじゃった!ルナちゃんが見つけたときには、死んだように眠っていた。いや、死んでいたんだ。ルナちゃんの、叫び声を聞きつけたパパがやってきて、タマコさんを毛布でくるんで右肩に、ルナちゃんを左手に、おうちに戻ったのが30分前のこと。ママが急いで、ミカンの入った箱からミカンを出して、タマコさんを入れたんだ。ミカンはゴロゴロ、部屋に散らかって、パパは誰かと電話中。ママはオロオロ、あっちへ、こっちへ。ルナちゃんはまだ泣いている。
3.リュウノシン登場
ルナちゃんの涙はどんどん床にたまっていく。5歳のルナちゃんから出た涙とは思えないくらい。もしかして、おもらしだったりして、と言いたくなるくらい、ルナちゃんの涙はちゅるちゅる集まって、できちゃった水たまり。
もう少し深く、アングルを掘り下げてみよう。ルナちゃんの水たまりから、下に下に深く深くいくと、いたいたリュウノシン。あぐらをかいて、お尻をポリポリ。せんべい、ボリボリ。
「ふぁー、退屈だなあ。何か面白いことねぇかなぁ。おれっち、ヒマはイヤなんだ」
リュウノシン、水たまりができちゃったよ。
「おっ、あっちの世界は雨か?今日はおれっちから行ってやるか」
珍しいこともあるもの、リュウノシン。誰にも呼ばれていないのに、こっちに来るわ。ルナちゃん、気をつけて!
「よっしゃー、ぴっちゃん、ゴロゴロー、ピョン」
4.ルナとリュウノシンとの出会い
泣いているルナちゃんが作った涙の水たまり。突然、どどーんと噴水みたいに盛り上がったと思ったら、忍者のごとく現れた!おれっち、水玉リュウノシン。
びっくりルナちゃん、泣き止んで、あなたは誰と聞きました。繰り返します、おれっち、水玉リュウノシン。
「なんで泣いているんだ?おまえさん」
おまえさんじゃなく、ルナちゃんだよ、とそっと耳打ちしたのはソバを飛んでいたてんとう虫。おっ、サンキューと再び泣いている理由を聞いたリュウノシン。ルナちゃんは大好きなタマコさんが死んでしまったと知りました。
「ガッテンしょうちのリュウノシン。今日は晴れているから、おれっちが未来へ連れていってやる。
5.タマコの未来
タマコさんの未来!ルナちゃん、びっくり。死んだタマコさんに未来なんて、あるんでしょうか?手を引っ張って、水たまりの中に。ルナちゃん、ぐっと息を止めてみた。でも、大丈夫なんだな、これが。リュウノシンとルナちゃんは卵型のカプセルの乗り物に乗るからです。ようこそ、ルナちゃんとプリンセス扱い。
「カボチャの馬車じゃないし、おれっちは王子様じゃないけど、おまえさんを悲しみから救うことはできる。」
ルナちゃんはおまえさんとは呼ばれたくないけれど、タマコさんの未来を知りたくて、ツッコミませんでした。罪な奴、リュウノシン。
七色の光の中を漂って、着いた先は病院の前。いつもルナちゃんが通っているワカバ病院。あれ、タマコさん、病院で助かったの?
「しっ。今から声を出したらダメだぞ!」
リュウノシンに手をひかれて、玄関から向かったのは3階の病室の前。中からパパの声が聞こえます。もしかして、タマコさんがいるの?ルナちゃん、思わず扉を開けて、「タマコさん!?」
踏み込んだ先にはママとその隣に小さな赤ちゃん。そう、タマコさんは生まれ変わって、ルナちゃんの弟になる未来が待っていたのです。でも、ルナちゃん、やってしまった、リュウノシンが言った約束を忘れてしまった。パパとママが扉の先を見ると、ルナちゃんは変わり果てた姿に。
「タマコさんも来てくれたみたい。」
違うのパパ、ママ、ルナなのよ。
「残念だけど、おまえさん。声を出したらダメって言ったろう。未来を変えると変わるんだ。過去が。」
病室の棚に並んでいたのはルナちゃんの写真。でも、ルナちゃん、享年6歳。あーあー、死んじゃったのはタマコさんからルナちゃんになっちゃった。
6.ルナちゃん、リュウノシンの弟子になる
これからルナちゃん、どうするの?またもや泣いているネコのルナちゃんを、リュウノシンは不憫に思い、声をかけた。
「おれっちも、ちゃんと説明しなくて悪かった。おまえさん、おれっちと一緒にいるか?」気づけばニャーとしか言わないルナちゃんを、ひょいと肩に乗せて卵型のカプセルへ。水たまりも乾き出し、そろそろあっちの世界へ帰ろうか。
7.しめの歌
水玉リュウノシンはいい奴なのか?それとも悪い奴?その答えは雨の日に会ったらわかる。自分で確認することが大事なんだ。雨の日を待っていて、雨の日じゃなくても泣いたら会える、リュウノシン。肩にネコのルナをのせて、アイツがやってくる!またなー。
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