デブ男に犯される男シリーズ

ベイタモ

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Ωの新入社員がαの部長に幸せにしてもらう話

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普通じゃない…。


俺こと源 真幸(みなもと まさき)は満10歳の頃、法律で受けなければならないバース検査で自分の第2性別がΩ(オメガ)であることを知った。当時は何のことだかさっぱりわからなかった。だが、Ωだと診断されてから両親はうなだれ、それ以降両親は俺を異物を扱うかのような態度で接してくるようになった。その時から自分に対してそう思うようになった。


それだけではなく、それから2年後、俺は自分がゲイであることを自覚した。幸い誰かにバレることはなかったが、Ωであり、ゲイであるというのは極めて稀であるということはその段階から理解していた。


普通じゃない…。


自分が稀であることを自覚したときから俺は自分に対してそう思うようになった。そして、両親からの冷遇にも理解をし、中学校を卒業してからは田舎をでて、都会で1人暮らしを始めたーーー。


それからずっと俺は偽りの自分を演じ続けてきた。友人との恋愛話でも自分は異性愛者でβであると言い張ってきた。


そして現在ーーー。

俺は今日から社会人になる。大学に行けるようなお金はなかったため、高校卒業後、職に就くこととなった。俺は今年から入社する会社に行くために電車に乗っているところだ。さすがに緊張しているのか、少し息が漏れた。そんな中、後ろから肩を組まれて、声をかけられた。

「よ!真幸!」

こいつは俺と同じ高校出身で今日から同じ職場で働くことになる草野 駿介(くさの しゅんすけ)だ。

真幸「駿介、おはよ。」

駿介は引っ込み思案な俺とは対照的で積極的に話しかけたりするタイプの犬獣人だ。俺は入社前からこいつの方がうまくやっていくんだろうなと思っていた。

駿介「緊張するよなぁ。」

真幸「まぁな。」

駿介「…、なぁ、俺らなんか注目浴びてね?」

真幸「俺が人間だからじゃない?この辺じゃ珍しいしね。ま、でも慣れっこだよ。」

駿介「たしかに、高校でも人間は真幸くらいだったもんなー。」

そう。俺が田舎からここにきて一番始めに驚いたのが人間の少なさだった。人間に珍しがる獣人がほとんどだったが、それを理由にいじめられたりすることはなかったため、俺が獣人に対するイメージはかなり良い。

今日から就く職場の面接も3度あったが、全員が獣人だった。人間がおそらく誰もいないことに対する不安や、獣人だけのなかでもやっていけるだろうという希望、いろいろな感情を俺は抱えていた。そして、真幸と駿介はそれぞれ希望と不安を抱えながら電車を降り、会社のビルに向かったーーー。


その一方。これから真幸たちが働くことになる職場では…。

今年4年目になるドラゴニュートの佐々木 竜己(ささき りゅうき)は1週間前からずっとソワソワしている様子だ。彼以来、新人が入ってきていなかったことや教育係に指名されているだけにより緊張を際立たせる。

竜己「はぁ~、ヤバい…。緊張する~…。部長、ちょっとトイレに行ってきます!」

部長「全く…、今日何回目だ。もうすぐ来るんだから早く戻ってこい。」

竜己「はい!」

部長「ったく…。」

部長の名前は藤本 泰獅(ふじもと たいし)、獅子獣人であり、職場の中で誰よりもでかく、恐れられている。彼の笑った顔を職場内で誰も見たことがないと言われている程だ。そんな彼はいつものように仕事に取り組んでいたーーー。


そして新入社員の真幸たちが、職場のあるビルに到着した。ビルの受付の人に挨拶を済ませて、会社のある8階にエレベーターで向かった。8階に到着してエレベーターの扉が開くと先輩の佐々木竜己が待っていた。


竜己「お、おはよう!き、君たちがきょ、今日からうちで働く新人…だよね?!」

真幸「あ、はい。」

駿介「はい!草野駿介です!よろしくお願いします!」

真幸「源真幸です。よろしくお願いします。」

竜己「俺は4年目の佐々木竜己って言うんだ。後輩なんてここ入って初めてでさ(笑)。慣れてなくてごめんなー。俺より2人を方が緊張してるのにね。」

駿介「いやいや、全然大丈夫っす!」

そういう会話をしながら竜己は職場の中に2人を案内した。2人は挨拶を済ませて駿介から順に部長の藤本泰獅との面談をすることになった。


20分くらい時間が経った時に駿介が帰ってきた。次は俺かと向かおうとしたら耳元で呟いてきた。

駿介「ヤバいヤバい。あの部長メチャクチャこえぇー。」

真幸「え?」

駿介「機嫌悪くさせないよう気を付けろよ。」

そう言って駿介は教育係の佐々木さんのところへ向かった。

そして俺は部長が待っている応接室へ向かった。


駿介「あの、佐々木さん…。藤本部長なんですけど…。」

竜己「竜己さんとかでいいよ。…、部長怖かった?」

駿介「いやぁ、怖いとかのレベルじゃなかったです(笑)。ずっと震えてましたよ(笑)。今にもチビりそうでした。」

竜己「まあ、俺も今でも怖いしそれはしょうがないよ(笑)。他の先輩もあの人の笑った顔見たことないらしいしね。」

駿介「えぇ~。」

竜己「まぁ、大丈夫。怒鳴り付けたりしたりする人ではないから。ちゃんと名前で呼んでくれる人だしね。」

駿介「そうなんですね。(真幸大丈夫かな…。)」



コンコン。

真幸「失礼します。」

部長「ん。」

真幸は用意されてる椅子に座って良いのかわからず、ずっとオロオロしていた。

部長「遠慮するな。座って良いぞ。」

真幸「あ、はい。(面接はオンラインだったからわからなかったけど…。でっかいな…。)」

部長「俺は藤本泰獅だ。この部署の責任者であり、部長だ。よろしくな。」

真幸「あ、はい。僕は源真幸と言います。面接ではお世話になりました。」

部長「あぁ、覚えてるよ。」

それからしばらく沈黙が続いた。真幸はどうすれば良いのか分からずにただ黙っていた。すると、藤本が口を開いた。

部長「緊張してるか?まぁ、俺がお前の立場なら緊張するが……。まぁ、無理もないな。最初だしな。」

真幸「あ、いえ……。」

部長「まぁ、真幸。今日から頑張ってくれ。俺も出来る限りサポートしていくから。」

真幸「ありがとうございます……。」

部長「今日から1ヶ月くらいは教育係の竜己にいろいろ教えてもらえ。」

真幸「わかりました。」

また、2人の間に沈黙が続いたが、部長が口を開く。

部長「ちょっと聞いていいか?」

真幸「はい。」

部長「面接の時には聞かなかったんだが、中学はだいぶ離れたところに居たみたいだな。何かこっちでやりたいことがあったのか?」

真幸「えっと…。」

部長「いや、答えたくないのならいいんだが…。」

真幸「昔…、両親との関係が悪くなってしまった出来事がありまして…。」

部長「…そうか。…すまない。悪いことを聞いた。」

真幸「いえ…。」

部長は俺をしばらく見ると何かを思い出したように話し始めた。

部長「真幸…、お前もしかして…。」

真幸「…?」

部長「いや、なんでもない。もう行って良いぞ。」

真幸「はい、失礼します。」

部長「頑張れよ、真幸。」

俺は部屋をでる時、部長の方を見て一礼した。その時、俺は部長が少しにこやかにしながら、後ろの尻尾を揺らしているのを見た。


俺は応接室を出て、自分のデスクに戻った。

竜己「お疲れさ~ん。」

駿介「真幸、無事だったか?」

俺は駿介の言ってることがいまいち理解できず適当に「うん。」と返した。後で話を聞くと、高圧的な部長に対して自分が耐えられなくなるんじゃないかと心配してくれていたらしい。俺は全然怖い人に感じなかったと答えたら駿介にドン引かれ、竜己さんには無理をするなと肩を叩かれた。この時俺は普通じゃないと改めて自分で感じていた。


真幸と駿介が入社して3ヶ月が経った頃に歓迎会が開かれた。

その日は俺も新人として参加していた。

竜己「じゃあ、乾杯!」

全員「カンパーイ!!」

真幸は酒を飲みながら周りを見渡した。獣人だけが集まる飲み会は真幸にとって初めての経験だったため、新鮮な気持ちになった。

真幸(これが社会人の飲み会かぁ。みんな楽しそうだなぁ。)

俺は目の前の料理に手をつけ始めた。

しばらく経ってから、竜己さんに話しかけられた。

竜己「おい、真幸!飲んでるかー!」

真幸「あ、はい。頂いてます。コーラを…。」

竜己「そういえばまだ18だったなー。」

真幸「はい……。」

竜己「そんな暗い顔すんなってー。そのうち飲めるようになるって!」

真幸「そ、そうですね……。」

竜己「そういえばさー、駿介と真幸って彼女とかいるのー?」

駿介「え!?いきなりなんっすか?(笑)」

竜己「いいじゃ~ん。気になるしぃ~。」

駿介「俺は付き合って2年の子がいるんっすけど~、真幸は童貞っすよ。」

真幸「駿介が答えないでよ(笑)」

竜己「へぇ~、真幸は彼女いないのかぁ。うちの職場は男だらけだからなぁ~。出会いはないかもな~。」

そうこう楽しんでいたが、端の方で部長が1人で飲んでいるのを見た真幸は部長の方に向かった。

真幸「あの、隣、良いですか?」

部長「ん?あぁ。」

俺は部長の隣に座ってソフトドリンクをチマチマ飲んでいた。すると部長から話しかけてくれた。

部長「楽しんでるみたいだな。」

真幸「あ、はい。皆さん良い方ばかりで楽しいです。」

部長「そうか、それは良かったな。あんまり俺に気を遣わなくて良いからな。俺と話してもつまらんだろう…。」

真幸「いえ、そんなことは……。」

部長「いや、いいんだ。こんな見た目だしな。」

部長は自分の体を指差した。確かにライオンのたてがみのような髪に鋭い目つきをしている。だが、俺は怖くはなかった。

真幸「…?かっこいいと思いますけど…。」

部長「そうか?とはいえ、正直怖いだろう。」

真幸「いえ、僕は怖くないですよ。」

部長「お前は変わってるな。」

真幸「まぁ、自分でも普通じゃないとは自覚してます(笑)」

部長「…そうか。まぁ、俺もお前みたいな奴は初めてだよ。」

真幸「そうなんですか?」

部長「あぁ、お前は優しい目をしてるな。」

真幸「いえ、そんな…。」

部長「やはりお前は…。」

真幸「ん?」

部長「…まぁ、俺の話聞くよりも飯を沢山食えよ。真幸の身体を見てると心配になる。」

真幸「あ、ありがとうございます。いただきます。」

俺はそれから部長と話したりして、食事を楽しんだ。

歓迎会も終わり、俺は帰宅するために駅に向かって歩いていた。

その時、俺はふと部長のことを考えていた。

真幸「(部長…、面談の時も今日も俺に何か言いたげだったよな…。)」

俺が考え事をしていると後ろから声をかけられた。

部長「真幸。」

真幸「あ、部長……。」

部長「帰るところか?」

真幸「あ、はい……。」

部長「話したいことがある。これから少し付き合ってくれるか?」

真幸「あ、はい……。」

部長「じゃあ、行くぞ。」

真幸「はい……。」

そして俺は2件目の居酒屋に連れていかれた。


部長「悪いな。早く帰りたいところを。」

真幸「いえ…。」

部長「今日は楽しかったか?」

真幸「はい……。」

部長「そうか、なら良かったよ。」

部長はビールを一口飲むと話を始めた。

部長「お前が入社してから1ヶ月が経ったが、仕事には慣れたか?」

真幸「あ、はい……。少しずつ……。」

部長「そうか、それを聞いて安心した。」

真幸「はい……。」

部長「お前に少し話がある。」

真幸「話……ですか?」

部長「単刀直入に言う。」

真幸「は、はい……。」

部長「お前、もしかしてΩなんじゃないか?」

俺はその言葉に驚いた。何故バレたんだろうか。俺は焦っていた。

真幸「なんで…、そう思うんですか?」

俺は「はい。」とハッキリと言い出せなかったため、部長に逆質問をした。しかし、その返答によって俺は誤魔化しきれなくなってしまう。

部長「それは…、俺がαだからだ。」

真幸「え!?」

部長「面談の時に微かに甘い匂いがしたから、もしかしたらと思っただけなんだ。気にしないでくれ。」

真幸「そうですか…。」

真幸「はい…、その通りです。僕は本当はΩです。」

俺はβだといつも通り嘘をついて誤魔化そうかとも考えたが、なぜか白状してしまった。

部長「そう…か……。」

真幸「すみません……。」

部長「謝ることじゃないさ。俺が勝手にそう思っただけだしな。」

部長「だからといって誰かに言ったり、襲ったりしないから気にしないでくれ。」

真幸「はい……。」


そして、しばらく無言の時間が続いた。真幸は少し気まずくなり、俯いていた。ただ、部長の前ではもう開き直るしかないと意を決めた真幸はどうせならと部長に聞きたいことを聞くことにした。

真幸「あの…、部長。」

部長「どうした?」

真幸「…、部長はαだとおっしゃってましたけど…、その…、第二性別で困ったこととかなかったんですか?」

真幸は諦め半分で質問をした。αは優れていて困ることなんかなにもない。Ωの自分とは違う。そう思ってしまっていた。しかし、回答は意外なものだった。

部長「あぁ、そうだな……。」

部長は何かを思い出すように天井を見上げた。

部長「やっぱり、あったな……。」

真幸「そう…なんですか?」

部長「あぁ……。」

「争いたくもないのに争いの最前線に立たされたり、『番』目的で襲われたり…、いろいろな。」

真幸は言葉がでなかった。そんなもの俺なんかよりもずっと痛い思いをしてるじゃないかと。


部長「すまんな、こんなおっさんのつまらん話を聞かせてしまって。」

真幸「いえ……。」

部長「だが、俺はこの性のおかげでいろいろと経験できた。もちろん、嫌なことばかりじゃなかったがな……。」

真幸「…。」

部長「それも含めて今の俺だ。俺はαに生まれたことを誇りに思ってる。」

そうハッキリ言う部長がかっこいいとも羨ましいとも思った。それに比べて…。

真幸「僕は……、自分が嫌いです……。」

部長「何を言って…。」

真幸「僕は…僕のせいで家族はバラバラになりました……。それで今まで自分はβだと言い張って…。」

部長「そうか……。」

真幸「でも……、今日改めて思い知らされました。僕のこの性格ではこの先きっと上手くいかないだろうなって……。」

部長「……!」

真幸「俺…、本当に弱くて…。意気地無しで…。」

真幸はお酒を飲んでいるわけではないが、次々と自分に対する嫌気が、口からでてくる。真幸は俯きながら涙を流して話していた。


ポンッ

真幸「…!」

部長が真幸の頭にその大きな手をのせた。そしてその手で真幸の頭を撫でながら言った。

部長「無理しなくていい…。つらかっただろ…。」

真幸「え…。」

部長「お前は強いよ。だって、お前はそうやって自分の運命に立ち向かってきたんだろ?そんな奴が弱いはずがない。むしろ頑張りすぎだ。」

真幸「……。」

部長「もうお互い秘密をさらけだしてるんだ。俺の前ではもっと素直になっていい。」

真幸は涙が止まらなかった。その優しい言葉に甘えてもいいのかと。部長は真幸が落ち着くまで真幸の頭に手を置き続けた。

しばらくして真幸は泣き止み、部長と2人で居酒屋を出た。

部長は真幸と一緒に駅に向かって歩いていた。

真幸は恥ずかしそうにして部長の顔を見ることができなかった。

部長はそんな様子の真幸を見て、また優しく話しかけた。

部長「○○駅の東口でよかったよな?」

真幸は黙ったままコクっと小さくうなずいた。

部長は少し微笑みながら、駅まで真幸を送った。電車に乗った真幸を照れながら手を振っていた。真幸も恥ずかしながら手を振った。この時の二人は明らかに職場でのお互いのイメージとはかけ離れていた。


ドクン…。


なんだ…、この胸の高鳴りは…。


なんだ…、この感情は…。


なんなんだ…、あの人は…。


真幸は家に着くとベッドに倒れこんだ。

顔は火が出そうなほど熱く、心臓は破裂しそうなくらい脈打っていた。

真幸「(なんで……、なんで……、なんで……)」

真幸は、これが『恋』だということを自覚していた。

しかし、相手は上司で、しかも男である。

普通に考えてありえないことである。そんなもの男の部長が受け入れてくれるわけがない。真幸は自分の気持ちを必死に抑えようとしていた。しかし、一度意識してしまうとなかなか頭から離れない。そして、Ωである真幸にあの時期が訪れてしまう…。


真幸「はぁ……、はぁ……。」

身体中が熱い。下半身が疼いて仕方がなかった。

真幸は無意識のうちに右手が股間に伸びていた。

真幸「んっ……。あっ……。」

俺はズボンを脱ぎ、パンツの中に手を入れ、自身のモノを握っていた。

真幸「あぁ……。ダメ……。」

真幸の手の動きはどんどん激しくなっていく。

真幸「やめ……、ないと……。」

そう言いながらも真幸は手を止められなくなっていた。

真幸「あぁぁぁぁぁ!!!!!」

そして、真幸は絶頂を迎えてしまった。

真幸「ふぅ……。」

これで少し落ち着けると真幸は思っていた。

しかし、それは間違いだった。

ドクン……。

真幸「はぁ……、はぁ……。」

また、あの感覚が真幸を襲う。

真幸「まだ……、収まらない……。」

真幸は我慢できずにまた自慰を始めようとしたその時、携帯が鳴った。

画面を見ると酔っ払った佐々木さんからLINEがきていた。普段なら起こされて腹が立つのだろうが、今回に限っては感謝ものである。真幸は落ち着いている今のうちに発情抑制剤を口にした。


気持ち悪いとわかってる…。


それでも…。


藤本部長は俺の運命の人だ…。


だから…。


藤本部長を俺のものにしたい…。


藤本部長と『番』の関係になりたい…。


そう思いながら真幸はベッドに横たわった。



翌日ーーー


駿介「おいおい、真幸どうしたんだよ。その目の隈。」

真幸は結局あれから眠りにつくことができず、ほぼ一睡もせずに今日を迎えていた。

真幸「昨日……、眠れなくて……。」

駿介「大丈夫か?あんまり無理するなよ?」

真幸「あ、うん……。」

駿介「じゃ、今日も頑張ろうぜ。」


無理するなよ…、その言葉を聞くと昨日のことを思い出してしまう。真幸は溢れでそうになるフェロモンを抑えるためにトイレに向かい、薬を口に含んだ。

真幸「(こんなんじゃ、仕事にならない……。)」

真幸は重い足取りで自分のデスクに戻った。

真幸が席に戻ると、すでに出勤していた部長が真幸に声をかけてきた。

部長「体調、悪いのか?」

真幸「いえ……。」

部長「そうか……。」

部長は心配そうに見つめていたが、それ以上は何も言わなかった。真幸はこれ以上部長を不安にさせたくなかったので笑顔で返した。

しかし、部長にはそれが作り笑いだとすぐにバレてしまっていた。

部長「無理すんなよ。」

真幸「はい……。」

部長は真幸の頭をポンッと軽く叩くと自分の作業に戻っていった。

真幸は部長の優しさが嬉しかったが、同時に申し訳なく感じた。

結局、この日の真幸は何度もミスをし、散々な1日になった。集中力を欠き、定時までに仕事が終わらず残業をしていた。

部長「お疲れさん。」

真幸「あっ…、部長。すみません、すぐ帰ります。」

真幸は部長から逃げるように帰ろうとした。しかし、部長に腕を掴まれた。

部長「待て。」

真幸「え……。」

部長「今日これから予定あるか?」

真幸「え……、いえ……。」

部長「ちょっと付き合え。明日休みだし良いだろ?」

真幸「…はぁ。」

真幸は部長に手を引かれ、部長の車に乗せられた。車内ではお互い無言で、着いた先は大きめなマンションだった。部長は駐車場に車を停めて、真幸を連れてエレベーターに乗り込んだ。

部長「俺の家だ。遠慮せずあがってくれ。」

真幸「お、お邪魔します…。」

部長「まぁ、上がれよ。」

真幸は部長の家に上がり、リビングに向かった。部長はベッドに腰掛け、真幸も隣に座った。

部長「…、発情期か…。」

真幸「…!どうしてそれを…。」

部長「昨日も言ったが、俺はαだ。匂いでわかる。何度もトイレに行っては抑制剤でも飲んでいたんだろ?」

そこまでバレているのかと真幸は思った。今までαの獣人とは幾多と会っているがうまいこと隠せていた。なのに…、この人はなんなんだ……。

真幸「はい……。」

部長「……、辛かったら俺に言っていいぞ。昨日の今日だ、仕事休みたかったら休んでもらっても構わない。」

真幸「……!」

この人はどこまで優しいんだ……。

でも、この優しさに甘えてしまったら今まで包み隠してきた頑張りが無駄になってしまう。それに、この人に迷惑をかけたくない。

真幸は部長の目を見て答えた。

真幸「ありがとうございます。僕は大丈夫です。」

部長「そうか……。」

そう言う部長の顔は少し寂しそうにも見えた。俺はそれを見て俯いた。


ドンッ!


真幸が気付いたときには部長に押し倒されていた。真幸は困惑していた。

部長「どうしてそんなに無理をする…。どうして俺を頼ってくれない。」

真幸「何を…言って……。」

部長「お前はいつもそうだ。周りに心配かけないように大丈夫だと言って、迷惑をかけないようにと自分を正当化して、自分を押し殺す。」

真幸「…。」

部長「もっと頼れよ……。そんなに俺は頼りないか?」

真幸「そ、そういうわけじゃ……。」

部長「じゃあ、どういうわけだよ……。」

真幸「俺は……、俺は……。」

俺はあなたのことが好きなんです。

俺はあなたと番になりたいと思っている。

そう言いたい。

しかし、口に出せなかった。

真幸「……っ。」

部長「……、もういい。」

部長は真幸から離れていった。

部長「すまなかったな……。」

真幸「いえ……。」

部長「すこし頭を冷やしに行く……。」

真幸「……。」

真幸は立ち上がり、玄関まで部長を見送った。部長は靴を履き終えるとこちらを振り返り、俺を見つめてきた。

部長「……、やっぱり無理だ……。」

真幸「……?」

部長「ごめんな……。」

部長はそう呟くと俺を抱き締めてきた。

真幸「……!?」

真幸は突然の出来事に頭が追いつかなかった。

部長「好きだ……。」

真幸「……!!」

部長「ずっと好きだった……。」

真幸「え……。」

部長「上司として失格だよな…。軽蔑するよな…。気持ち悪いよな……。」

真幸は困惑していた。頭の整理ができなかった。それでも部長は続ける。

部長「だけど、我慢できない……。お前が愛おしくて仕方がない……。」

真幸「……!!ちょ……。」

部長「頼む……、嫌なら抵抗してくれ……。」

真幸は部長の腕から逃れようとしたが、身体に力が入らなかった。

部長「……、はぁ……。」

真幸「んぅ……。」

部長は真幸の唇を奪った。

真幸は初めてのキスに何も考えられなくなっていた。

部長「……、すまない……。」

真幸「……。」

部長「嫌だったなら警察にでも、社長にでも言ってくれ…。」

部長は真幸を離すと、急いで自宅から出ていこうとした。しかし、真幸は部長の腕を両手で捕まえていた。

部長「真幸…?」

真幸「待ってください……。」

部長「……?」

真幸「行かないで……。」

真幸はそう言って部長に抱きついた。

部長は驚きを隠せない様子だったが、真幸を優しく抱きしめた。

真幸「好きです……。」

部長「……!?」

真幸「僕も……、部長が好き…だから…、行かないで……。」

部長「……、真幸……。」

部長は真幸の頭を撫でた。

部長「本当に良いのか……?後悔しないか?」

真幸「はい……。」

部長「わかった……。」

部長は真幸をベッドに連れていき押し倒した。そして、再び真幸に覆い被さりキスをした。

真幸「ん……、ふぅ……。」

部長「はぁ……、可愛いな……。」

部長は何度も何度も真幸の口を塞いだ。

部長「服、脱がせるぞ……。」

真幸「あっ……。」

部長は真幸のワイシャツのボタンに手をかけた。一つ一つ丁寧に外していき、全て取り払うと真幸の胸の突起に触れた。

真幸「やぁ……。」

部長「凄いな……。こんなに固くなってるぞ……。」

真幸「恥ずかしぃ……。」

部長「綺麗だ……。」

部長は真幸の胸に吸い付いた。真幸はビクッと反応した。

真幸「ひゃあん!」

チュパチュパ…。

部長「うまいな……。」

真幸「あぁ……、だめぇ……。」

部長「ダメじゃないだろ……?」

真幸「うっ……、うん……。」

部長「こっちも触ってほしいだろ……?」

部長は真幸のズボンを脱がせた。すると、すでに大きくなった真幸のものが露わになった。

真幸「見ないで……。」

部長「はは、元気だな……。」

真幸「恥ずかし……。」

部長「可愛すぎだろ……。」

部長は真幸のものを口に含んだ。

真幸「んん……!」

部長「はぁ……、気持ちいいか……?」

真幸「きもちいい……、もっとぉ……。」

部長「素直になってくれて嬉しいよ……。」

真幸「うぅ……。」

部長「もう限界か……?」

真幸「イっちゃいそう……。」

部長「まだダメだぞ(笑)?」

真幸「えっ……?」

部長は真幸の後ろに指を入れた。

真幸「痛い……!そんなとこ……、汚いから……!」

部長「真幸の身体が汚いわけないだろう。」

真幸「でも……、ああぁん……!」

部長「ここか……、気持ちいいんだな……。」

部長は真幸の中のある一点を集中的に刺激してきた。

真幸「そこばっかりだめぇ……、おかしくなる……。」

部長「おかしくなれよ……。」

真幸「あぁ……、もう出ちゃう……!」

部長「あぁ……、いっぱい出せ……。」

真幸「あぁあぁぁあ……!!」

真幸は絶頂を迎え、勢いよく出たものを部長は全て飲み込んだ。

真幸「はぁ……、はぁ……。」

部長「たくさん出したな……。」

真幸「……。」

部長「次は俺の番だな……。」

部長は自分のものを取り出し、真幸の顔の前に突き出した。獅子獣人の部長のモノは見たこともないくらい大きく膨張していた。

真幸「おっきい……。」

部長「舐めてくれ……。」

真幸は言われるまま、部長のものに舌を這わせた。

真幸「んん……。」

部長「上手だな……。」

真幸「はむっ……。」

部長「くっ……、出る……!」

真幸「……!?」

部長は真幸の口の中に大量の精子を出した。人間のそれとは比べ物にならない量が真幸の口に注がれていく。

真幸「ごくっ……。」

部長「はぁ……、はぁ……。大丈夫か……?」

真幸「はい……。」

部長「ちゃんと飲んでくれて嬉しいぞ。」

真幸「はい……。」

部長「そろそろいいか……?」

真幸はこの言葉の意味を瞬時に理解した。

真幸「お願いします……。」

部長「力抜いていろよ……。」

真幸「はい……。」

部長は真幸の後ろの穴に自分のモノをあてがい、ゆっくりと挿入していった。

真幸「くぅ……。」

部長「痛いか……?」

真幸「痛い……。でも、大丈夫です……。」

部長「そうやって無理をするのは悪い癖だな。…だが、今回は躊躇しないぞ?」

真幸「はい……。」

部長は腰を動かしはじめた。

真幸「あっ、あっ、あっ、あっ……。」

部長「はぁ……、はぁ……、はぁ……。」

真幸「部長……、好き……、大好き……。」

部長「愛してるぞ……、真幸……!」

真幸「僕も……、僕も……!」

部長「出すぞ……!」

真幸「出して……、中にください……!」

部長「ぐぅっ……!」

真幸「あぁっ……!」

二人は同時に果てた。

部長「はぁ……、はぁ……。」

真幸「はぁ……、はぁ……。」

部長「大丈夫か……?」

真幸「はい……。」

部長「抜くぞ……。」

真幸「んっ……。」

部長は真幸の中から抜き出し、真幸の隣に寝転がった。

部長「真幸…、ありがとう…。」

真幸「こちらこそ……。」

そして、真幸と部長は眠りに着いた。


翌日

午前中に部長の家を出た真幸は、自宅で休日をゴロゴロと過ごした。昨日の行為もあり疲れを感じていた真幸は夕方までずっと寝ていた。真幸が目を覚まして携帯を見ると部長から複数件電話がきていた。真幸は急いで折り返し電話をかけた。

部長『真幸か?』

真幸「はい……。すみません、寝てたもので……。」

部長『悪いな何度もかけて。』

真幸「いえ、何かありましたか……?」

部長『伝えたいことがあるんだ。迎えに行くから俺の家まで来てくれるか?』

真幸「…?…わかりました。」


数十分後、部長が迎えに来てくれ、車で部長の家に着きインターホンを押すとすぐにドアが開かれた。

部長「わざわざすまんな。」

真幸「いえ……。」

部長「入って座ってくれ。」

真幸はリビングにあるソファーに座り、部長はコーヒーを入れてくれた。テーブルにはお菓子やケーキなどが用意されていた。

真幸「あの…、お話というのは…。」

部長「あぁ、そのことなんだが……。」

部長は急にもじもじし始めた。

部長「俺はお前のことを好きだと言ったよな?」

真幸「はい……。」

部長は自分の後ろに隠していた指輪を取り出して言った。

部長「俺と…、結婚してくれ…。」

真幸「えっ……?」

部長「俺の妻になってほしい……。」

真幸は驚いた。突然すぎるプロポーズだった。

真幸「ちょっ……、ちょっと待って下さい……。いきなりそんなこと言われても……。」

部長「ダメ…か?」

真幸は首を横に振った。

真幸「いえ、好きな部長にそう言ってもらえて嬉しいです。でも…。」

部長「でも……?」

真幸「人間と獣人の結婚なんて前例も少ないですし…、男同士の結婚も本当に稀…。世間体が怖いんです。」

部長「そんなことは気にするな。その事でお前のことを痛めつけたりするようなやつは俺が絶対に許さない。」

「俺は真幸を俺だけのものにしたい…。誰にも渡したくないんだ……。」

真幸「部長……。」

部長「俺が真幸を愛してやるから真幸も俺を愛してくれないか…?」

真幸「……。」

部長「ダメか?」

真幸「いえ…。でも、俺なんかで…。」

部長「お前じゃなきゃ嫌だ。」

真幸の目からは涙が流れた。

真幸「部長、こんな俺ですけど……、よろしくお願いします。」

部長「真幸……!」

部長は真幸を抱きしめた。

部長「良かった……。断られたらどうしようと思って不安だったんだ。」

真幸「部長でも不安になることあるんですね(笑)」

部長「当たり前だろう。あと、職場以外では俺のこと名前で呼んでくれよ(笑)?もう上司と部下じゃないんだ。夫と妻になるんだからな。」

真幸「えっと…。じゃあ…。泰獅さん…。」

俺がそう呼ぶと分かりやすく尻尾を揺らしていた。

泰獅「ふっ……。いいな、それ。」

真幸「恥ずかしいですよ……。」

泰獅「これからはずっと一緒だ。」

真幸「はい……。」

泰獅「よし、じゃあ早速休み明けに籍入れないとな。残業は許さんぞ?(笑)」

真幸「はーい。」

こうして二人は結婚した。



それから数ヶ月後ーーー。


泰獅「いいのか?」

真幸「うん…。」

泰獅「前みたいに手加減はしないぞ?」

真幸「大丈夫だよ……。」

泰獅「わかった。」

泰獅は真幸を押し倒した。

泰獅「挿れるぞ……?」

真幸「うん……。」

泰獅「ぐぅ……!きつ……!真幸…、そんなに俺のチンコを放したくないのか…。」

真幸「ああぁ……!!」

泰獅のモノは真幸の中へと入っていく。

真幸「んん……!」

泰獅「大丈夫か……?」

真幸「大丈夫だから……、もっと奥まで来て……。」

泰獅「強情な…ヤツだ……!」

さらに深く挿入された。

真幸「あぁっ……!」

泰獅「動くぞ……!」

真幸「うぅ……!」

泰獅は激しく腰を動かした。

真幸「あぁっ……!」

泰獅「くっ……!」

真幸「気持ち良い……?」

泰獅「あぁ……。」

真幸「俺も……、すごく……、イイ……よ……。」

泰獅「そろそろ限界だ……。出すぞ……!」

真幸「出してぇ……!」

泰獅「ぐうっ……!」

真幸「あぁっ……!」

泰獅の精液が真幸の中にどんどん流れていく、だが、泰獅はお構い無しとばかりに再び腰を振りだした。

真幸「泰獅…さん…。」

泰獅「俺が一発で満足するわけがないだろう。まだまだ夜は長いからな?」

真幸「あんっ……、あっ……、あっ……、激しすぎぃ……!」

泰獅「真幸が悪いんだからな……?俺を煽るから……。」

真幸「そんなつもりは………!」

泰獅「俺がお前を愛せば愛するほどお前の身体の中が変化していくのを感じるだろう?(笑)」

真幸「そんなこと……、言わないで……、恥ずか……しい……よぉ……!」

泰獅「ははは、可愛い奴め……。」

真幸「ひゃう……!?」

泰獅は真幸のものを握った。

泰獅「ほれ、ここが弱いんだろう?俺だけ真幸のナカで気持ち良くなるのも悪いからなぁ。真幸もいっぱいだしていいからな?」

真幸「あぁ……、だめ……そこばっかり……攻められたら……出ちゃうよ……!」

泰獅「いいぞ、出せ。」

真幸「あぁっ……!」

泰獅「お、出たな。」

真幸「はぁ……、はぁ……。」

泰獅「まだまだ…。発情しろ…。俺の子を孕め…。」

真幸「あぁっ……!あぁっ……!あぁっ……!やめて……、これ以上は壊れちゃう……!」

泰獅「壊すんだよ……。」

真幸「そんな……!あぁっ……!あぁっ……!あぁっ……!あぁっ……!あぁっ……!」

泰獅「ふっ……。」

泰獅は更に腰を振るスピードを速めた。

真幸「もうダメェ……!おかしくなるぅ……!」

泰獅「おかしくなってしまえ……。」

真幸「あぁっ……!」

泰獅「ふっ……。」

真幸「あぁっ……!」

泰獅「ふふ……、俺に抱かれている時の真幸の顔は本当に可愛いな……。」

真幸「そんなに……見つめないで……、恥ずかしい……。」

泰獅「俺にしか見せられない顔だな……。」

真幸「んっ……!」

泰獅はキスをした。

泰獅「はむ……。」

真幸「ちゅぱ……、はぁ……、はぁ……。」

泰獅「真幸……。」

真幸「何……?」

泰獅「好きだ……。」

真幸「俺も……、大好きだよ……。」

泰獅「もうすぐでまた出る……。全部受け止めてくれ……。」

真幸「きて……。」

泰獅「ぐぅ……!」

真幸「あぁぁぁぁぁ!!」

泰獅の射精と同時に真幸は果てた。

真幸「あ……、あ……。」

泰獅「まだだ……。もっと……。」

真幸「あぅ……。」

泰獅「真幸、愛している……。」

真幸「俺も……。」



真幸が目を覚ますとスーツ姿の泰獅がいた。

泰獅「目を覚ましたか…、真幸。」

真幸「あれ……。もう出勤ですか……?」

泰獅「いや…、今帰ってきたところだ。」

真幸「……え?」

真幸は時計を見た。時計の針は7時を示していた。

真幸「えっと……。もしかして…、夜の7時?ヤバい…、仕事…。」

泰獅「仕事については心配するな。それよりもお前の身体の方は大丈夫か?」

真幸は痛みなどはあまり感じられなかったため、起き上がろうとしたが、あまりのお腹の重さに起き上がれなかった。真幸がお腹を確認すると自分のお腹が元々とは比べ物にならないくらい膨れ上がっているのを見て驚愕した。

真幸「えっ……!?どうなっているんですかこれ……。」

泰獅「全部…俺の精子だ…。おそらく…。」

真幸「え……。」

泰獅「出してやらないとな。」

泰獅は真幸をお姫様抱っこしてお風呂場に向かった。そして浴槽に向かい、浴槽の中に真幸を寝かせた。

泰獅「少し痛いかもしれんが我慢してくれ。」

泰獅は真幸のお腹をゆっくりと押した。すると真幸の穴から大量の精子が吹き出した。

真幸「くっ……!」

泰獅は真幸のお尻から垂れている精子をシャワーで洗い流した。

真幸「うぅ……。」

泰獅「これでよし……。」

真幸「泰獅さん、俺…、ほぼ1日中寝てたんですか?」

泰獅「あぁ……。丸一日な。朝4時くらいまでヤってたからな…。」

真幸「え……。」

泰獅「途中意識とんでたのか?覚えてないのか?」

真幸「はい…。」

泰獅「悪いな…。」

真幸「いえ、こちらこそごめんなさい。…俺が寝てる間、泰獅さんはずっと仕事をしていたんですよね?」

泰獅「まぁな。」

真幸「なんか俺っていつも泰獅さんに助けられっぱなしですね……。」

泰獅「夫婦はそういうもんだろ?それに俺は好きでやってるんだ。気にするな。」

真幸「ありがとうございます……。でも、やっぱり申し訳ないです……。」

泰獅「真幸はもう少し頼ることを覚えないとな……。妊娠したり子供ができたら当たり前のようにできていたこともできなくなる…。」

真幸「確かにそうかも……。」

泰獅「だから今の内に甘えてこい。」

真幸「じゃあ……。」

泰獅「ん?」

真幸「もう一回エッチを…。」

泰獅「おい(笑)、今は無理だ。」

真幸「ケチ……。」

泰獅「その分休み明けたら死ぬほど愛してやるよ。覚悟しておけよ?」

真幸「はい……。」


そして2年後、真幸は無事出産を迎えた。泰獅の多量の精子のせいか、真幸は3つ子を授かった。産声をあげた我が子を見ると、そこには自分と同じ髪色、瞳の色をした男の子がいた。見た目は3つ子とも獅子獣人の見た目をしており、泰獅の遺伝子が強いなぁなんて思いながらも、自分に似ているところも残っていることもあり、本当に泰獅との間に生まれた子供なのだと感動していた。真幸は生まれたばかりの子供たちを優しく撫でていた。

泰獅「よく頑張ったなぁ……。偉いなぁ……。」

真幸「ありがとう……。」

泰獅「真幸に似て可愛い顔つきをしているな……。」

真幸「泰獅さんにも似ていますよ。」

泰獅「はは、それは嬉しいな……。」

真幸「ふふっ……。」

泰獅「これからも大変だな…。」

真幸「うん……。頑張ろうね……。」

泰獅「そうだな……。」

その後、泰獅と真幸は子育てに奮闘しながらも幸せな日々を送った…。



普通じゃない…。

自分のことをずっとそう思ってきた。

普通じゃない自分を包み隠してきた。

自分をさらけ出すのが怖かった。

普通じゃない自分が嫌いだった。

だけど、そんな私を受け入れてくれる人が現われた。

そんな人と出会ってしまった。

自分はそんな彼と付き合いたいと思った。

彼のことが大好きだった。

彼が自分の全てになった。

自分が彼の全てになった。

彼と出会うまで『真幸』という名前とはかけ離れた人生を送ってきた。

この名前をくれた両親にすらそれを望まれなかった。

もう幸せに生きることなんてとうの昔に諦めていた。

普通じゃないから。

でも、彼は自分を導いてくれた。真の幸せに。

この先もずっと一緒にいたい。

今の真幸は普通じゃないことをもう後ろめたくなんて思っていない。


普通じゃない俺を愛してくれてありがとう泰獅さん…。

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