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7つのくてくてと放浪の賢者
借金と盗賊キラー時々ジャスティスっ!_4
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「まあまあ落ち着けって、ここには俺以外誰にもいないから。ほら、さっさとやれよ。借金返せなくてやるかもしれないだろう」
「借金はちゃんと返すわよ、それに私は女神なんだからそんなことできるわけないでしょうっ!」
突然ストリップショーをやれと言われたアティーラは当然怒る。そんなアティーラの言葉を無視してヴィスはやれと言い張った。それにはちょっとした理由がある。
(早く脱げよ。こんな場所で痴女が出れば盗賊なんて群がるように出てくるのがなんで分からないかね?)
ヴィスのイメージする盗賊は、とにかく女に飢えている狼のような男達だった。
盗賊ともなれば当然男所帯になるだろう。まれに女盗賊と言うのもいるらしいが、屈教過ぎるガサツな女を盗賊が抱きたいと思うだろうかと考えると、ヴィスは首を傾げてしまう。冒険者だって同じパーティーの女と関係を持つよりも、普通の村娘を選ぶ時代なのだ。盗賊も同じだろう。
だからこそ物語などに登場する盗賊は、襲った馬車にいる女を味見してから奴隷として売り払うのだろうと理解していた。
実際そういう訳ではないのだが、変な方向に思考が進んだ結果、盗賊という奴らに対して、とにかく変態すぎる集団という認識がヴィスの中にはあったのだ。
そういう訳で、アティーラをとりあえず脱がせれば盗賊がわらわらとやってくるのではと、本気で思っている。
「いいからさっさと脱げよ。女神なんだろう。その自慢の体をさらけ出せっ!」
「いやよっ! 女神なのになんで……」
「借金……返したくないか?」
嫌がるアティーラに悪魔のささやきをする。借金女神であるアティーラに一番効果的な言葉は、やっぱり借金に関することだった。
一刻も早く借金を返済したい。そんな心理を見事に突いてくる鬼畜の所業。
ゲス顔を浮かべるヴィスのささやきに、アティーラは耳を傾けてしまった。
「…………少しでも脱いだら、借金が返済できるの?」
「少なくとも、すぐに返さなければならない8万ギリはどうにかなるぞ。後は…………」
ヴィスは何かを考えるように顎に手を当てる。その仕草一つ一つをアティーラがじっくりと観察していた。
どうもヴィスが本当のことを言っているに違いないと思い始めているようだ。借金まみれになる女神は頭の中も残念なようだ。
「美味しいご飯が食べれるな。それぐらいは稼げるさ」
「やるっ!」
8万ギリに美味しいごはんと聞いたアティーラは急にやる気を見せる。いそいそと自分の服に手をかけて、少しづつ脱ぎ始め、そして止まった。
「おい、女神なんだからもうちょっと色気出せよ……。んで、どうして急に止まっちゃったの?」
「えっと、その……」
言い淀むアティーラの表情はほんのりと赤い。金に苦しむ女神でも、一定の羞恥心はあるようだ。世の中には金のために体を売る女なんてたくさんいるわけだが、アティーラはまだその一線を越えていないようだ。
「その、やっぱり恥ずかしいからほかの方法で……」
「馬鹿野郎っ!」
もじもじしながら恥ずかしがるアティーラは怒鳴りつけた。屑男はどこまでも理不尽なようだ。
アティーラが人気がないにしても外で突然脱ぐなどできるはずがない。それなのにやれと言うのは鬼畜野郎。
アティーラの態度こそが正解で、ヴィスは間違いだらけだった。
でも、ヴィスの話の内容はーー
「お前、本当にお金を返済したいのかよ。これが最後のチャンスかもしんないだろう。どうして脱がない。まさか、仕事なめてんの?」
「ひぃーーっ!」
脅しと言う名の説得力があった。
二人して脱ぐ、脱ぎたくないのやり取りを小一時間ほど続けたが、結局アティーラな脱がない選択肢を決めたようだ。
ヴィスは「はぁ」とため息をはいた後、アティーラを持ち上げて肩に担いだ。
「じゃあお前、今から盗賊に売り込みに行くわ」
「はぁ? ちょ、ま、待ってよっ! なんでそういう話になるのよっ!」
「だって、盗賊をおびき寄せるためにお前にストリップショーをやってもらおうとしていたのに、お前が脱がないから……餌にするしかないじゃん」
「もっと他の方法考えてよっ! うわぁぁぁぁぁん、鬼畜、人でなし、この悪魔っ!」
「ふっふっふ、最高の誉め言葉だよ」
笑顔になったヴィスはアティーラを担ぎ、盗賊が現れそうな場所を闊歩する。
「あー、若い娘、若い娘はいらんかねぇ」
やる気なさそうな声を出しながら、ヴィスは盗賊を探す。そんな状態でもアティーラは必死に抵抗した。
手足をじたばたしたり、途中足をばたつかせるとスカートがめくれてしまうことに気が付いて赤くなったり、ヴィスの腕をガシガシと噛みついたり、それはもういろんな抵抗をしたのだ。
しかし、万力のようにがっちりと握られれたヴィスの手を、アティーラどうにかすることが出来なかった。
がっちりとし過ぎて、もうどうしようもない。
「ほら、諦めて盗賊のえさになれ。金ならやる」
「こんなのお金の問題じゃない! 欲しいけど、お金とっても欲しいけどっ!」
(まあ、借金している身だし、お金は欲しいと思うだろうな……)
憐みの視線に気が付いたアティーラはちょっとだけムッとしたが、ムッとしたところでどうすることもできないので項垂れた。
そんな時だった。
茂みの奥が揺れ、底からごつい男が顔を出す。これがもし小動物などであれば可愛らしい光景に見えるかもしれないが、ごつい男だと地獄絵図にしかならない。この草むらから現れた男は、どうやら指名手配されている盗賊のようだった。
「女だ、女のにおいがする」
一人の盗賊がそんなことを呟いた。すると周りの盗賊たちも「本当だ、女のにおいがする」や「どこだ、どこにいる、女はどこだ」なんてことを言い始めた。
現れた盗賊たちは誰一人として焦点があっておらず、周りをきょろきょろとしている。そして、ヴィスに担がれたアティーラを見つけると、その動きが終わった。
「……………女だ」
「女、女がいるぞ」
「けけ、けけけけけけ、女だぁぁぁぁあ」
盗賊たちが狂ったような雄たけびを上げ、ケタケタと笑う。そんな光景を目の当たりにしてアティーラは思う。
(私の知っている盗賊と違うっ! これで本当にお金貰えるの? 身の危険しか感じないんだけどっ)
盗賊たちにおびえるアティーラは、この後自分はどうなってしまうんだろうと不安を感じた。
今回ヴィスたちの前に現れた盗賊は、ちょっと特殊な集団だった。まあ、特殊であるがゆえにかなり高額な賞金がかけられているのだが……。
そんなことは一切知らないアティーラは、とにかく怯えた。
そんな怯えたアティーラを……
「ほらお前たち、念願の女だぞっ!」
「「「ヒャーハー、女だぜぇぇぇぇぇぇえ」」」
容赦なく生贄に差し出したのだ。盗賊に女を献上するヴィスは、どっからどう見ても最低最悪の屑野郎だった。
もしかしたら、「おい、ちょっとその淫乱な体を売って俺の酒代稼いで来いよ」と言っちゃう系ダメ男よりも最低かもしれない。
「ちょちょちょ、なんで私を差し出そうとするの? ねえ、私無事だよね、何にもならないよね!」
慌てるアティーラに向かってヴィスはにこやかな笑みを向けた。向けただけで何も言わない。そんなヴィスを見て、アティーラがさらに不安を感じた。
「ちょ、何か言ってよ。てかこっち来るんだけど、あの変態どもがこっち来るんですけどっ!」
本気でやばいと感じたアティーラは、即座に逃げようと手足をばたつかせるが、どうやったって動けない。アティーラが「あ、コレ詰んだわ」と呟いて、その瞳にハイライトがなくなった、そんな時だった。
「待ちなさいっ!」
どっからともなく声が聞こえて来た。その声の主を探そうとして、盗賊たちは辺りを見回す。アティーラも探したが、ふとヴィスを見ると、ある一点を見つめていることに気が付いた。ヴィスの視線を追っていくと、木の上に一人の少女が立っていた。
「秩序を見出し、可憐な女性を襲う外道共。あなた達の悪事もこれまでよ。たとえ天があなた方の外道な行いを許そうとも、私の正義が許さない」
木の上にいた少女が「とう」と掛け声を言いながら、木の上から飛び降りた。
そして…………。
「あ、ダメだありゃ」
ヴィスがそんなことを呟いた後、木の上から飛び降りた少女が顔面着地をしたのだった。
それはそれはとても痛そうな、そんな音が響いてしまい、当たりが静まり返ってしまった。
「借金はちゃんと返すわよ、それに私は女神なんだからそんなことできるわけないでしょうっ!」
突然ストリップショーをやれと言われたアティーラは当然怒る。そんなアティーラの言葉を無視してヴィスはやれと言い張った。それにはちょっとした理由がある。
(早く脱げよ。こんな場所で痴女が出れば盗賊なんて群がるように出てくるのがなんで分からないかね?)
ヴィスのイメージする盗賊は、とにかく女に飢えている狼のような男達だった。
盗賊ともなれば当然男所帯になるだろう。まれに女盗賊と言うのもいるらしいが、屈教過ぎるガサツな女を盗賊が抱きたいと思うだろうかと考えると、ヴィスは首を傾げてしまう。冒険者だって同じパーティーの女と関係を持つよりも、普通の村娘を選ぶ時代なのだ。盗賊も同じだろう。
だからこそ物語などに登場する盗賊は、襲った馬車にいる女を味見してから奴隷として売り払うのだろうと理解していた。
実際そういう訳ではないのだが、変な方向に思考が進んだ結果、盗賊という奴らに対して、とにかく変態すぎる集団という認識がヴィスの中にはあったのだ。
そういう訳で、アティーラをとりあえず脱がせれば盗賊がわらわらとやってくるのではと、本気で思っている。
「いいからさっさと脱げよ。女神なんだろう。その自慢の体をさらけ出せっ!」
「いやよっ! 女神なのになんで……」
「借金……返したくないか?」
嫌がるアティーラに悪魔のささやきをする。借金女神であるアティーラに一番効果的な言葉は、やっぱり借金に関することだった。
一刻も早く借金を返済したい。そんな心理を見事に突いてくる鬼畜の所業。
ゲス顔を浮かべるヴィスのささやきに、アティーラは耳を傾けてしまった。
「…………少しでも脱いだら、借金が返済できるの?」
「少なくとも、すぐに返さなければならない8万ギリはどうにかなるぞ。後は…………」
ヴィスは何かを考えるように顎に手を当てる。その仕草一つ一つをアティーラがじっくりと観察していた。
どうもヴィスが本当のことを言っているに違いないと思い始めているようだ。借金まみれになる女神は頭の中も残念なようだ。
「美味しいご飯が食べれるな。それぐらいは稼げるさ」
「やるっ!」
8万ギリに美味しいごはんと聞いたアティーラは急にやる気を見せる。いそいそと自分の服に手をかけて、少しづつ脱ぎ始め、そして止まった。
「おい、女神なんだからもうちょっと色気出せよ……。んで、どうして急に止まっちゃったの?」
「えっと、その……」
言い淀むアティーラの表情はほんのりと赤い。金に苦しむ女神でも、一定の羞恥心はあるようだ。世の中には金のために体を売る女なんてたくさんいるわけだが、アティーラはまだその一線を越えていないようだ。
「その、やっぱり恥ずかしいからほかの方法で……」
「馬鹿野郎っ!」
もじもじしながら恥ずかしがるアティーラは怒鳴りつけた。屑男はどこまでも理不尽なようだ。
アティーラが人気がないにしても外で突然脱ぐなどできるはずがない。それなのにやれと言うのは鬼畜野郎。
アティーラの態度こそが正解で、ヴィスは間違いだらけだった。
でも、ヴィスの話の内容はーー
「お前、本当にお金を返済したいのかよ。これが最後のチャンスかもしんないだろう。どうして脱がない。まさか、仕事なめてんの?」
「ひぃーーっ!」
脅しと言う名の説得力があった。
二人して脱ぐ、脱ぎたくないのやり取りを小一時間ほど続けたが、結局アティーラな脱がない選択肢を決めたようだ。
ヴィスは「はぁ」とため息をはいた後、アティーラを持ち上げて肩に担いだ。
「じゃあお前、今から盗賊に売り込みに行くわ」
「はぁ? ちょ、ま、待ってよっ! なんでそういう話になるのよっ!」
「だって、盗賊をおびき寄せるためにお前にストリップショーをやってもらおうとしていたのに、お前が脱がないから……餌にするしかないじゃん」
「もっと他の方法考えてよっ! うわぁぁぁぁぁん、鬼畜、人でなし、この悪魔っ!」
「ふっふっふ、最高の誉め言葉だよ」
笑顔になったヴィスはアティーラを担ぎ、盗賊が現れそうな場所を闊歩する。
「あー、若い娘、若い娘はいらんかねぇ」
やる気なさそうな声を出しながら、ヴィスは盗賊を探す。そんな状態でもアティーラは必死に抵抗した。
手足をじたばたしたり、途中足をばたつかせるとスカートがめくれてしまうことに気が付いて赤くなったり、ヴィスの腕をガシガシと噛みついたり、それはもういろんな抵抗をしたのだ。
しかし、万力のようにがっちりと握られれたヴィスの手を、アティーラどうにかすることが出来なかった。
がっちりとし過ぎて、もうどうしようもない。
「ほら、諦めて盗賊のえさになれ。金ならやる」
「こんなのお金の問題じゃない! 欲しいけど、お金とっても欲しいけどっ!」
(まあ、借金している身だし、お金は欲しいと思うだろうな……)
憐みの視線に気が付いたアティーラはちょっとだけムッとしたが、ムッとしたところでどうすることもできないので項垂れた。
そんな時だった。
茂みの奥が揺れ、底からごつい男が顔を出す。これがもし小動物などであれば可愛らしい光景に見えるかもしれないが、ごつい男だと地獄絵図にしかならない。この草むらから現れた男は、どうやら指名手配されている盗賊のようだった。
「女だ、女のにおいがする」
一人の盗賊がそんなことを呟いた。すると周りの盗賊たちも「本当だ、女のにおいがする」や「どこだ、どこにいる、女はどこだ」なんてことを言い始めた。
現れた盗賊たちは誰一人として焦点があっておらず、周りをきょろきょろとしている。そして、ヴィスに担がれたアティーラを見つけると、その動きが終わった。
「……………女だ」
「女、女がいるぞ」
「けけ、けけけけけけ、女だぁぁぁぁあ」
盗賊たちが狂ったような雄たけびを上げ、ケタケタと笑う。そんな光景を目の当たりにしてアティーラは思う。
(私の知っている盗賊と違うっ! これで本当にお金貰えるの? 身の危険しか感じないんだけどっ)
盗賊たちにおびえるアティーラは、この後自分はどうなってしまうんだろうと不安を感じた。
今回ヴィスたちの前に現れた盗賊は、ちょっと特殊な集団だった。まあ、特殊であるがゆえにかなり高額な賞金がかけられているのだが……。
そんなことは一切知らないアティーラは、とにかく怯えた。
そんな怯えたアティーラを……
「ほらお前たち、念願の女だぞっ!」
「「「ヒャーハー、女だぜぇぇぇぇぇぇえ」」」
容赦なく生贄に差し出したのだ。盗賊に女を献上するヴィスは、どっからどう見ても最低最悪の屑野郎だった。
もしかしたら、「おい、ちょっとその淫乱な体を売って俺の酒代稼いで来いよ」と言っちゃう系ダメ男よりも最低かもしれない。
「ちょちょちょ、なんで私を差し出そうとするの? ねえ、私無事だよね、何にもならないよね!」
慌てるアティーラに向かってヴィスはにこやかな笑みを向けた。向けただけで何も言わない。そんなヴィスを見て、アティーラがさらに不安を感じた。
「ちょ、何か言ってよ。てかこっち来るんだけど、あの変態どもがこっち来るんですけどっ!」
本気でやばいと感じたアティーラは、即座に逃げようと手足をばたつかせるが、どうやったって動けない。アティーラが「あ、コレ詰んだわ」と呟いて、その瞳にハイライトがなくなった、そんな時だった。
「待ちなさいっ!」
どっからともなく声が聞こえて来た。その声の主を探そうとして、盗賊たちは辺りを見回す。アティーラも探したが、ふとヴィスを見ると、ある一点を見つめていることに気が付いた。ヴィスの視線を追っていくと、木の上に一人の少女が立っていた。
「秩序を見出し、可憐な女性を襲う外道共。あなた達の悪事もこれまでよ。たとえ天があなた方の外道な行いを許そうとも、私の正義が許さない」
木の上にいた少女が「とう」と掛け声を言いながら、木の上から飛び降りた。
そして…………。
「あ、ダメだありゃ」
ヴィスがそんなことを呟いた後、木の上から飛び降りた少女が顔面着地をしたのだった。
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