9 / 17
第八話『水紋に弟子入りってこれなんなの?……前編』
しおりを挟む
とある日の放課後、僕は学校の屋上に向かっていた。今時珍しい、生徒のために屋上を開放している学校だ。
ほら、いたずらしたり飛び降りちゃったりで屋上を開けていると問題が結構あるんだよ。だからこそ、普通は閉鎖されているんだけど、この学校は特別。生徒が学校を有意義に使えるように屋上が解放されているらしい。
変なことが起きないために、監視カメラと柵の一番上には電流が流れているという徹底ぶり。みんなからは監獄と呼ばれている場所だ。
そのためか、以外に人は少ない。告白するにもカメラがあると躊躇してしまうってもんだ。だって告白する瞬間を警備の人とかに見られるってことだからね。それに策を乗り越えようとしても、病院に運ばれそうになるぐらいの痛みに襲われる。
誰もそんなこと望んじゃいないのさ。
なぜ、僕がそんな屋上に行くことになったのかっていうと、菜乃華に呼び出されたからだ。朝、下駄箱を開けたら一通の手紙が入っていた。中を開けて見ると、放課後、屋上で待っているという短い文章が書かれた手紙。端っこに小さく菜乃華って書かれていた。
どっからどう見てもラブレターだよね? ってことは告白かな? あの漫画みたいに、あの漫画みたいに!
ちょっとウキウキしている僕がいる。クラスメイトどころか先生にすら女の子扱いされて、トイレも一苦労な僕だよ。女性との縁が一番遠いから彼女とか諦めていたのに。
まさか菜乃華から呼び出されるなんて。
頬がちょっと緩むのを感じながら、屋上の扉を開けると、三人の女子生徒がいた。
真ん中は菜乃華。端の二人は菜乃華とよく一緒にいる、秋山さんと遠野さんだ。
二人共かなり印象が強い性格をしている。
秋山美香さんは他人の恋路を知ってニヤニヤするのが好きらしい。いろんな噂を知っており、彼女に恋愛事情を聞けばなんでも教えてくれるとか。恋愛事情は生徒だけにとどまらず、先生たちのことまで知っている。
たまに女性の先生が秋山さんに恋愛相談しに来たりするんだよね。誰が独身で、誰が彼女持ちで、誰がフリーなのか、彼女にかかれば全てわかってしまう。その情報、一体どこで手に入れているんだろうっていうのが学校の七不思議になるぐらいだ。情報元を聞いても、秋山さんは絶対に答えてくれないだろう。
もう一人の遠野望愛さんは彼氏がいない女子からちょっと嫌われている。愛嬌ある性格とは裏腹に、他人の恋路を邪魔するのが趣味らしい。だけど、彼女の手にかかったカップルはかなり長続きするという。なんでも、邪魔されても絶対に離れないという強い絆が生まれるとか生まれないとか。
彼氏持ちの女子からは感謝されているらしいね。裏では秋山さんと手を組んで仕組んでいるって噂もある。
そんな二人の恋愛事情はというと、何にもない。彼氏がいたなんて噂も聞いたことないし、本人に聞くと、「私らに彼氏なんてできる訳がない」と断言するほど。
もしかしたら二人共同性愛者で、菜乃華を狙っているんじゃないかって噂が流れていたっけか。
「今日呼び出したのは、あんたに聞きたいことがあるのよ、冬雪ちゃん」
「一体どうしたって言うんですか、秋山さん。僕は呼び出されるような噂なんてないですよ。はは、この前別の学校の男子生徒に告白されたぐらいで……」
「なかなか面白そうね。だけど違う。今日こそはっきりさせるんだ!」
「一体何をですか」
「いつも望愛と一緒に聞いているのに、菜乃華がはっきりしてくれないのよ」
「そうそう、菜乃華ったらちょー頑固。はぐらかすばっかでどうしようもないんだから」
「というわけで、あんたに直接聞くことにしたわ。ぶっちゃけ、菜乃華とあんたは付き合ってんの。そこんとこどうなのよ!」
「そうだそうだ! はっきりさせろ!」
よくわからんことを言い出す二人の真ん中で、菜乃華が大きなため息を吐く。あれはかなり尋問されたんだな。それで結果が見えなかったから僕のところに来たのか。告白かと思っていたからかなり残念。
はぁ……彼氏…………じゃなくて彼女欲しいな。
「ちょっと、なんでそんな残念そうなのよ。ウチが呼び出してあげたのに、そんな顔をするなんて失礼じゃない?」
「だって……屋上に呼び出されたから告白かと。あの漫画みたいに。でも結果がこれでしょう。残念な気持ちにもなるよ」
「こ、こくーー馬鹿! あんた馬鹿なの。この女装野郎!」
「僕の女装は趣味じゃない! みんなが勝手にーー」
二人して言い合っていると、ニヤニヤ笑っている秋山さんと遠野さんが近づいて来る。
本当、下品な笑いをするな。このふたりの女子力は一体いくつなんだろう。皆無なんじゃないかな。下ネタが大好きなおじさんの雰囲気を感じ取れるよ。
「んで、実際のところどうなのよ。おじさんに教えてみぃ。ん? ん~」
「ほらほら、白状しちゃいなよ」
「別に付き合ったりとかしていないですよ。僕が菜乃華と付き合える訳ないじゃないですか!」
「ちょっと水紋! それってどういう意味よ。ウチに魅力がないとでも言いたいの。喧嘩売ってくるなんて、水紋のくせに生意気な」
「なんでそうなるんだよ。大体、菜乃華は僕のことを女として見ている感じがするから、菜乃華自身が僕のことを恋愛対象として見れないんじゃないかってことだよ」
「そんなのわかんないじゃない。ウチだってそういうふうに見ているかもしれないじゃない。大体、女の子五人に囲まれて生活しているのに、あんたはなんにも思わない訳?」
「思わないね。リーベルの五人姉妹はみんな家族のようなものだから、どっちかっていうと兄妹とかそんな感じに思っているよ」
「ふ、ふ~ん。そうなんだ。ばーか、ばーか!」
「そんなこと言っていると、今日の夕食にしいたけ入れるよ。好き嫌い少しは減らしてよね。献立考えるのってすっごい大変なんだから」
「う、それはそれ。これはこれよ。いいじゃない、少しぐらい嫌いな食べ物があったって。うう、ごめん、しいたけだけはやめて」
「ったく、最初っからそう言ってくれればいいのに。菜乃華は素直じゃないんだから……はっ!」
気がついた時にはもう遅い。二人に話を聞かれてしまった。秋山さんと遠野さんのニヤニヤが最高潮の状態だ。もう最悪。このあとの展開もなんか読めてきた。きっとおじさん二人は菜乃華の反応をイジって楽しんだあと、変な噂を流されるんだろうな。もういやだ、女の子怖い。
そして僕は…………この学校で大変な目に遭うんだろうな。最低最悪の鬼畜野郎とか、菜乃華たち五人姉妹を手玉にとったクソやろうとか。今の僕は鬱モード全開さ。
「冬雪ちゃんって料理できるの!」
「すごーい、他には、他にはなにができるの?」
……あれ、思ったところと違うツッコミが入ったような?
「菜乃華、白状しなさい。冬雪ちゃんとどういった関係。同棲しているところまでは知っているけど、どこまで進んでいるの! そして、冬雪ちゃんの女子力はどんだけなの!」
「そうよそうよ、五人姉妹の誰と付き合っているの! まさか、真麻ちゃん! 真麻ちゃんなの! ロリコンだ……。そして冬雪ちゃんの女子力はどんだけなの!」
「二人共。女子力って。水紋のお父さんと私のお父さんが知り合いで、住み込みアルバイトとして一緒に暮らしているだけ。だから付き合ったりとかないわよ。真麻は水紋のことをお母さん的な目で見ているし、遠くから見ている感じ、仲のいい親子に見えるよ。あと、水紋の女子力の高さはヤバイ。足が震えてくるレベル。
「「そ、そんなに!」」
「ええ、炊事洗濯はもちろん、裁縫なんかもできて、掃除も完璧。それどころか近所の奥様方と楽しく世間話して、まさに主夫……いや、主婦だよ。カバンの中にはメイクポーチはもちろん、ハンカチにティッシュ、絆創膏なんかもカバンの中に常備。意外にも可愛らしい言葉遣いができて、気配りも……できる。ちょっといたずらするとあどけない仕草とかして、もう女子力の塊って感じなのよ」
「「ゴクリ」」
「あ、なの~もうやめて欲しいな、なんて。小っ恥ずかしい」
「水紋は黙りなさい。それに、やっぱり料理ができる人ってかなり女子力が高いと思うの。かなり大変だけど、朝食はもちろん、お弁当もちゃんと作ってくれるのよ」
「え、菜乃華が食べている美味しそうなお弁当って冬雪ちゃんが作ったの!」
「すっご~い、私はあんなの作れないよ」
「まぁ、望愛はかなり不器用だしね。包丁もたせたくないわぁ」
「それ、ウチもわかる。怖いよね」
「うっさいよ、二人共!」
あははと笑い合う三人の暴走をとめられない。てか、僕は男なんだから女子力なんてあるわけないでしょこんちくしょう!
ほら、いたずらしたり飛び降りちゃったりで屋上を開けていると問題が結構あるんだよ。だからこそ、普通は閉鎖されているんだけど、この学校は特別。生徒が学校を有意義に使えるように屋上が解放されているらしい。
変なことが起きないために、監視カメラと柵の一番上には電流が流れているという徹底ぶり。みんなからは監獄と呼ばれている場所だ。
そのためか、以外に人は少ない。告白するにもカメラがあると躊躇してしまうってもんだ。だって告白する瞬間を警備の人とかに見られるってことだからね。それに策を乗り越えようとしても、病院に運ばれそうになるぐらいの痛みに襲われる。
誰もそんなこと望んじゃいないのさ。
なぜ、僕がそんな屋上に行くことになったのかっていうと、菜乃華に呼び出されたからだ。朝、下駄箱を開けたら一通の手紙が入っていた。中を開けて見ると、放課後、屋上で待っているという短い文章が書かれた手紙。端っこに小さく菜乃華って書かれていた。
どっからどう見てもラブレターだよね? ってことは告白かな? あの漫画みたいに、あの漫画みたいに!
ちょっとウキウキしている僕がいる。クラスメイトどころか先生にすら女の子扱いされて、トイレも一苦労な僕だよ。女性との縁が一番遠いから彼女とか諦めていたのに。
まさか菜乃華から呼び出されるなんて。
頬がちょっと緩むのを感じながら、屋上の扉を開けると、三人の女子生徒がいた。
真ん中は菜乃華。端の二人は菜乃華とよく一緒にいる、秋山さんと遠野さんだ。
二人共かなり印象が強い性格をしている。
秋山美香さんは他人の恋路を知ってニヤニヤするのが好きらしい。いろんな噂を知っており、彼女に恋愛事情を聞けばなんでも教えてくれるとか。恋愛事情は生徒だけにとどまらず、先生たちのことまで知っている。
たまに女性の先生が秋山さんに恋愛相談しに来たりするんだよね。誰が独身で、誰が彼女持ちで、誰がフリーなのか、彼女にかかれば全てわかってしまう。その情報、一体どこで手に入れているんだろうっていうのが学校の七不思議になるぐらいだ。情報元を聞いても、秋山さんは絶対に答えてくれないだろう。
もう一人の遠野望愛さんは彼氏がいない女子からちょっと嫌われている。愛嬌ある性格とは裏腹に、他人の恋路を邪魔するのが趣味らしい。だけど、彼女の手にかかったカップルはかなり長続きするという。なんでも、邪魔されても絶対に離れないという強い絆が生まれるとか生まれないとか。
彼氏持ちの女子からは感謝されているらしいね。裏では秋山さんと手を組んで仕組んでいるって噂もある。
そんな二人の恋愛事情はというと、何にもない。彼氏がいたなんて噂も聞いたことないし、本人に聞くと、「私らに彼氏なんてできる訳がない」と断言するほど。
もしかしたら二人共同性愛者で、菜乃華を狙っているんじゃないかって噂が流れていたっけか。
「今日呼び出したのは、あんたに聞きたいことがあるのよ、冬雪ちゃん」
「一体どうしたって言うんですか、秋山さん。僕は呼び出されるような噂なんてないですよ。はは、この前別の学校の男子生徒に告白されたぐらいで……」
「なかなか面白そうね。だけど違う。今日こそはっきりさせるんだ!」
「一体何をですか」
「いつも望愛と一緒に聞いているのに、菜乃華がはっきりしてくれないのよ」
「そうそう、菜乃華ったらちょー頑固。はぐらかすばっかでどうしようもないんだから」
「というわけで、あんたに直接聞くことにしたわ。ぶっちゃけ、菜乃華とあんたは付き合ってんの。そこんとこどうなのよ!」
「そうだそうだ! はっきりさせろ!」
よくわからんことを言い出す二人の真ん中で、菜乃華が大きなため息を吐く。あれはかなり尋問されたんだな。それで結果が見えなかったから僕のところに来たのか。告白かと思っていたからかなり残念。
はぁ……彼氏…………じゃなくて彼女欲しいな。
「ちょっと、なんでそんな残念そうなのよ。ウチが呼び出してあげたのに、そんな顔をするなんて失礼じゃない?」
「だって……屋上に呼び出されたから告白かと。あの漫画みたいに。でも結果がこれでしょう。残念な気持ちにもなるよ」
「こ、こくーー馬鹿! あんた馬鹿なの。この女装野郎!」
「僕の女装は趣味じゃない! みんなが勝手にーー」
二人して言い合っていると、ニヤニヤ笑っている秋山さんと遠野さんが近づいて来る。
本当、下品な笑いをするな。このふたりの女子力は一体いくつなんだろう。皆無なんじゃないかな。下ネタが大好きなおじさんの雰囲気を感じ取れるよ。
「んで、実際のところどうなのよ。おじさんに教えてみぃ。ん? ん~」
「ほらほら、白状しちゃいなよ」
「別に付き合ったりとかしていないですよ。僕が菜乃華と付き合える訳ないじゃないですか!」
「ちょっと水紋! それってどういう意味よ。ウチに魅力がないとでも言いたいの。喧嘩売ってくるなんて、水紋のくせに生意気な」
「なんでそうなるんだよ。大体、菜乃華は僕のことを女として見ている感じがするから、菜乃華自身が僕のことを恋愛対象として見れないんじゃないかってことだよ」
「そんなのわかんないじゃない。ウチだってそういうふうに見ているかもしれないじゃない。大体、女の子五人に囲まれて生活しているのに、あんたはなんにも思わない訳?」
「思わないね。リーベルの五人姉妹はみんな家族のようなものだから、どっちかっていうと兄妹とかそんな感じに思っているよ」
「ふ、ふ~ん。そうなんだ。ばーか、ばーか!」
「そんなこと言っていると、今日の夕食にしいたけ入れるよ。好き嫌い少しは減らしてよね。献立考えるのってすっごい大変なんだから」
「う、それはそれ。これはこれよ。いいじゃない、少しぐらい嫌いな食べ物があったって。うう、ごめん、しいたけだけはやめて」
「ったく、最初っからそう言ってくれればいいのに。菜乃華は素直じゃないんだから……はっ!」
気がついた時にはもう遅い。二人に話を聞かれてしまった。秋山さんと遠野さんのニヤニヤが最高潮の状態だ。もう最悪。このあとの展開もなんか読めてきた。きっとおじさん二人は菜乃華の反応をイジって楽しんだあと、変な噂を流されるんだろうな。もういやだ、女の子怖い。
そして僕は…………この学校で大変な目に遭うんだろうな。最低最悪の鬼畜野郎とか、菜乃華たち五人姉妹を手玉にとったクソやろうとか。今の僕は鬱モード全開さ。
「冬雪ちゃんって料理できるの!」
「すごーい、他には、他にはなにができるの?」
……あれ、思ったところと違うツッコミが入ったような?
「菜乃華、白状しなさい。冬雪ちゃんとどういった関係。同棲しているところまでは知っているけど、どこまで進んでいるの! そして、冬雪ちゃんの女子力はどんだけなの!」
「そうよそうよ、五人姉妹の誰と付き合っているの! まさか、真麻ちゃん! 真麻ちゃんなの! ロリコンだ……。そして冬雪ちゃんの女子力はどんだけなの!」
「二人共。女子力って。水紋のお父さんと私のお父さんが知り合いで、住み込みアルバイトとして一緒に暮らしているだけ。だから付き合ったりとかないわよ。真麻は水紋のことをお母さん的な目で見ているし、遠くから見ている感じ、仲のいい親子に見えるよ。あと、水紋の女子力の高さはヤバイ。足が震えてくるレベル。
「「そ、そんなに!」」
「ええ、炊事洗濯はもちろん、裁縫なんかもできて、掃除も完璧。それどころか近所の奥様方と楽しく世間話して、まさに主夫……いや、主婦だよ。カバンの中にはメイクポーチはもちろん、ハンカチにティッシュ、絆創膏なんかもカバンの中に常備。意外にも可愛らしい言葉遣いができて、気配りも……できる。ちょっといたずらするとあどけない仕草とかして、もう女子力の塊って感じなのよ」
「「ゴクリ」」
「あ、なの~もうやめて欲しいな、なんて。小っ恥ずかしい」
「水紋は黙りなさい。それに、やっぱり料理ができる人ってかなり女子力が高いと思うの。かなり大変だけど、朝食はもちろん、お弁当もちゃんと作ってくれるのよ」
「え、菜乃華が食べている美味しそうなお弁当って冬雪ちゃんが作ったの!」
「すっご~い、私はあんなの作れないよ」
「まぁ、望愛はかなり不器用だしね。包丁もたせたくないわぁ」
「それ、ウチもわかる。怖いよね」
「うっさいよ、二人共!」
あははと笑い合う三人の暴走をとめられない。てか、僕は男なんだから女子力なんてあるわけないでしょこんちくしょう!
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
おっ☆パラ
うらたきよひこ
キャラ文芸
こんなハーレム展開あり? これがおっさんパラダイスか!?
新米サラリーマンの佐藤一真がなぜかおじさんたちにモテまくる。大学教授やガテン系現場監督、エリートコンサル、老舗料理長、はたまた流浪のバーテンダーまで、個性派ぞろい。どこがそんなに“おじさん心”をくすぐるのか? その天賦の“モテ力”をご覧あれ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
カフェぱんどらの逝けない面々
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
キャラ文芸
奄美の霊媒師であるユタの血筋の小春。霊が見え、話も出来たりするのだが、周囲には胡散臭いと思われるのが嫌で言っていない。ごく普通に生きて行きたいし、母と結託して親族には素質がないアピールで一般企業への就職が叶うことになった。
大学の卒業を間近に控え、就職のため田舎から東京に越し、念願の都会での一人暮らしを始めた小春だが、昨今の不況で就職予定の会社があっさり倒産してしまう。大学時代のバイトの貯金で数カ月は食いつなげるものの、早急に別の就職先を探さなければ詰む。だが、不況は根深いのか別の理由なのか、新卒でも簡単には見つからない。
就活中のある日、コーヒーの香りに誘われて入ったカフェ。おっそろしく美形なオネエ言葉を話すオーナーがいる店の隅に、地縛霊がたむろしているのが見えた。目の保養と、疲れた体に美味しいコーヒーが飲めてリラックスさせて貰ったお礼に、ちょっとした親切心で「悪意はないので大丈夫だと思うが、店の中に霊が複数いるので一応除霊してもらった方がいいですよ」と帰り際に告げたら何故か捕獲され、バイトとして働いて欲しいと懇願される。正社員の仕事が決まるまで、と念押しして働くことになるのだが……。
ジバティーと呼んでくれと言う思ったより明るい地縛霊たちと、彼らが度々店に連れ込む他の霊が巻き起こす騒動に、虎雄と小春もいつしか巻き込まれる羽目になる。ほんのりラブコメ、たまにシリアス。
薔薇の耽血(バラのたんけつ)
碧野葉菜
キャラ文芸
ある朝、萌木穏花は薔薇を吐いた——。
不治の奇病、“棘病(いばらびょう)”。
その病の進行を食い止める方法は、吸血族に血を吸い取ってもらうこと。
クラスメイトに淡い恋心を抱きながらも、冷徹な吸血族、黒川美汪の言いなりになる日々。
その病を、完治させる手段とは?
(どうして私、こんなことしなきゃ、生きられないの)
狂おしく求める美汪の真意と、棘病と吸血族にまつわる闇の歴史とは…?
癒しのあやかしBAR~あなたのお悩み解決します~
じゅん
キャラ文芸
【第6回「ほっこり・じんわり大賞」奨励賞 受賞👑】
ある日、半妖だと判明した女子大生の毬瑠子が、父親である美貌の吸血鬼が経営するバーでアルバイトをすることになり、困っているあやかしを助ける、ハートフルな連作短編。
人として生きてきた主人公が突如、吸血鬼として生きねばならなくなって戸惑うも、あやかしたちと過ごすうちに運命を受け入れる。そして、気づかなかった親との絆も知ることに――。
満月の夜に烏 ~うちひさす京にて、神の妻問いを受くる事
六花
キャラ文芸
第八回キャラ文芸大賞 奨励賞いただきました!
京貴族の茜子(あかねこ)は、幼い頃に罹患した熱病の後遺症で左目が化け物と化し、離れの陋屋に幽閉されていた。一方姉の梓子(あづさこ)は、同じ病にかかり痣が残りながらも森羅万象を操る通力を身につけ、ついには京の鎮護を担う社の若君から求婚される。
己の境遇を嘆くしかない茜子の夢に、ある夜、社の祭神が訪れ、茜子こそが吾が妻、番いとなる者だと告げた。茜子は現実から目を背けるように隻眼の神・千颯(ちはや)との逢瀬を重ねるが、熱心な求愛に、いつしか本気で夢に溺れていく。しかし茜子にも縁談が持ち込まれて……。
「わたしを攫ってよ、この現実(うつつ)から」
戦国姫 (せんごくき)
メマリー
キャラ文芸
戦国最強の武将と謳われた上杉謙信は女の子だった⁈
不思議な力をもって生まれた虎千代(のちの上杉謙信)は鬼の子として忌み嫌われて育った。
虎千代の師である天室光育の勧めにより、虎千代の中に巣食う悪鬼を払わんと妖刀「鬼斬り丸」の力を借りようする。
鬼斬り丸を手に入れるために困難な旅が始まる。
虎千代の旅のお供に選ばれたのが天才忍者と名高い加当段蔵だった。
旅を通して虎千代に魅かれていく段蔵。
天界を揺るがす戦話(いくさばなし)が今ここに降臨せしめん!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる