16 / 47
第十六話~不安定な旅人11~
しおりを挟む
っと、ツッコミを入れている場合じゃなかった。
「アンリ! 大丈夫!」
私は倒れたアンリに近づいて、回復スキルを使用した。
吹き飛ばされて、頭を打ったみたいだ。まだ気を失っている。
だけど、そこまで酷い怪我をしているわけではないようで、案外大丈夫そう。
これは、よかったって感じなのかな。
でも、万が一ってことがあるかもしれない。
個人的には頼りたくないんだけど……鑑定さん、おねしゃす!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【アンリエッタ・フォン・エムリア】
種族:神の如き美しい人間(幼女)
性別:処女
【状態】
『恋する乙女』
『一途な心』
『病んでる心』
『気絶(一時効果)』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんか怖い状態異常が増えてるっ!
何、病んでる心って。恋に一途な心にヤンヤンした心が合わさって、ヤンデレになりましたっ! 的な何かですか!?
じゃなくて、今大事なのは、気絶の状態異常。しかも、一時効果って記載されているわけだから……大丈夫ってことだよね?
よかったあああああああああっ!
にしても、あいつは最悪だな、クソイケメン豚野郎! ぶっ殺してやる!
そう思って、アンリを優しく寝かせたあと、立ち上がって、金髪イケメンクソ野郎を探す。
すると、顔がぷくぅーっと腫れた状態で、隅っこに座りガクブルしていた。
あれ、一体何があったのかな?
首をかしげていると、うさ耳がやってくる。
「うわぁ、さっきのエンジェルスプラッシュ! すごかったよ~。ラブラビットパワーをビンビン感じちゃった。もう120パーセント超えててすっごーいと思ったんだよ? ねぇ、もしかして、君も魔女っ子戦士? ラビットキューンの新しい仲間かな? これから、愛と勇気のために、一緒に頑張ろうねっ!」
「おいまてコラ! 人を勝手にゲテモノの仲間にしてんじゃねぇ! 私は普通に女の子よ! 魔女っ子戦士でもなんでもないわ!」
もう嫌だ、こんな10歳児が着ちゃいそうな、可愛らしい魔法少女の衣装がかわいそうだよ!
盛り上がった筋肉と毛深いところとか、いろいろ隠せてませんからね?
そこんところ、分かってんだろうか?
わかってねぇから、平気でそんな格好ができるんだろう。
てか、エンジェルスプラッシュってなんですか! まったく記憶にないんですけど!
ドラゴンでクエストなRPGのばくれつけん的なアレですかね? わたしゃそんな技使えんわ!
だが、やっぱり、それよりも……。
これだけは言わせて欲しい。
「さっきからずっと思っているけど、あんたの声はなんなのさ! え、何? マジでその声なの? 声だけ聞くと10歳児の少女なのに、姿がもじゃもじゃマッチョって、金髪で野太い声のイケメンよりもギャップがはげしいわっ! 謝って! 某作品に登場する女声の男性声優キャラに謝ってよっ!」
かの有名な声優漫画の主人公も、男なのに可愛らしい女声っ! ってギャップがあったけどさ。これほどひどくないよ。むしろ、主人公くんは、女装したら女の子に見えるぐらいスレンダーで、童顔で可愛らしいからねっ!
中身は悪魔みたいに自己中心的っぽいところもあるけど、かっこいいんだよっ!
なのに…………なのにぃ!
この世界で現れたのは、うさ耳で、歴戦の戦士を彷彿とさせる肉体とごつい顔、ぱつんぱつんの魔女っ子っぽい服を着こなす、声が10歳児の少女みたいなおっさん。私の推定では37歳。
そんなお前に需要はねぇんだよっ! そんな格好やめちまえっ!
「うさ? そうなの? なんかごめんね(きゃぴ)」
「ぐはぁ……くそう。私の精神のステータスは表示できないほど低いんだから……もうやめて、お腹いっぱいなの!」
悪夢のような光景に、私は永遠に近い苦しみを感じた気がした。
胸がモヤモヤするというか、吐き気が止まらないというか……。
なにも出ないのに、げぇーとやっている気分になる。
この気持ち悪さと必死に闘っていると、ラビットキューンが、スカートをふわりとさせながら、金髪イケメンのクズ野郎に近づいた。
「さぁ、お仕置きの時間だうさ!」
「ひぃ、や、やめてくださいっ!」
「可愛らしい少女に酷いことをした罪を知るがいい! 愛と勇気でラブラビットパワー充電、150パーセントっ! ラビットキューンの魔法を受けてみよ ひっさ~つーー」
「た、頼む、待ってくれっ! 好みの少年がいただけなんた! 俺が同性愛者なのが悪いっていうのかよっ!」
「ラビットショット!」
「げへぇおーーーーーー」
あっれ~目の錯覚かな?
ショットって、射撃とかボールを打つこととか、そんな意味だよね。
あれ、全然違うよ! あれって瓦割りじゃん!
しかも魔法じゃねぇ! それ、なんて物理ですかぁ!
あの気持ち悪い魔女っ子のおっさん、ネタのオンパレードだ。ネタの宝箱や~。
これダメだ、料理に使わなきゃ、あのグルメリポーターさんに怒られちゃう。
反省、反省っと。
ラビットキューンの華麗なる必殺瓦割り(瓦の代わりにイケメンを使ってます)を決めたあと、足を掴んで、勢いよく振り上げた。
何をするの! と思ったけど、なんか普通に肩に担いだ。なんか、足が曲がっちゃいけない方向に曲がっている気がするんだけど……。
「悪党成敗! 私はこれの処理をしなきゃいけないから行くね。じゃあね、ラビット小雪!」
「私を仲間にしないでよ! ふざけんなおっさん!」
「おっさんじゃないもん、ラビットキューンだよ! とりあえず、頑張ってね。じゃ~ね~」
ラビットキューンなるおっさんは、風の如く去っていった。
あいつ、あのイケメンクズ野郎をどうするのだろうか。
だめだ、犯罪の臭いしかしない。だって、憲兵に渡すイメージができないし?
もう何も見なかったことにしよう。そうしなきゃ精神が持たない。
「うう、小雪お姉ちゃん……」
「アンリ! 目が覚めたの!」
「う、うん。一体何があった……あ、あのクズ野郎はどこに行きましたか! ぶっ飛ばします! 三枚におろしてやるんです。お姉ちゃんに手を出そうとしたあれを許せないです! くふ、くふふふふ、あいつ、どうしてやりましょうか!」
「大丈夫! 問題は全て解決したから! だから目に光を宿してよっ! 何回見ても、ハイライトのない目は怖いって!」
目が覚めてすぐにヤンが発生するのは、もしかしたらアンリらしいのかもしれない。
アンリを立たせて、怪我がないかを確認する。
どうやら本当になんともないようで、安心した。
お騒がせしちゃったし、周りの反応がどうなるか怖い。大丈夫かな?
とりあえず、周りを確認すると……。
「これ……一体どうなってんの?」
「ホ、ホラーなのです……」
周りの人たちは微動だにしない。まるで固まっているようだ。いや、ほんと、まるっきり動かない。時間が止まっているかのようだ。
【システムメッセージ:対象・西条小雪とアンリエッタが名称・傭兵ギルドを出ると、この場のシステムが再稼働されます】
おお、なんてご都合主義なんだ。
トラブルが起こっていろいろと面倒になるから、時間停止的なことをしてくれていたのかな? ついでに記憶改竄とかありそう。そうだったらかなり助かるよ。
あれ、でもなんでうさ耳のおっさんと金髪イケメンクズ野郎は止めてくれなかったの?
【システムメッセージ:だってめんどくさいじゃないですか。はぁ、あんた馬鹿ですねっ!】
世界樹のシステムにディスられた!
てか、お前、絶対に自我があるだろう! 複数ある世界の管理をしているんだから、ちゃんとしろよ!
【システムメッセージ!:そんなことありません。これだから学のない人は……】
なんか馬鹿って言われた、って何システムと話しているんだろう。
こんなところ、人に見られたら、ただぼーっとしている頭のおかしい人にしか見えないよね。普通に死にたくなってくる。
「……小雪お姉ちゃん」
「あ、アンリ、やだ! そんな目で見ないで!」
アンリの瞳は、なんだかかわいそうな人を見るよな目になっていた。ちょっと潤んでいるところが妙にガチっぽい。
私の頭がおかしいのなんて今更でしょうに!
もし、これが演技だったら……かなり怖い。
「くふ、計画通り(ニヤリ)」
「ーー怖っ!」
マジで、演技でした。この子、侮れない……。
◇ ◆ ◇ ◆
さて、あのあと、傭兵ギルドを後にした私たちは、普通に宿に戻った。
入った瞬間に、周りの人達からニヤニヤされていたのが、妙に謎だけど、まあいいや。
それで、食事をとって、すぐにアンリを休ませる。
今日はあんなことがあったからか、すぐにベッドに潜って寝てしまった。
今は小さな寝息が聞こえる。
それにしても、今日は色々とありすぎた。
マッチョな憲兵を装った変態、傭兵ギルドでのヘドロ、突然やってきた魔法少女のコスプレをしたおっさん。
こんだけ一気に来たらネタが尽きるだろうと…………今これを考える時間じゃない。一人でなにやってんだか……。
今考えるべきは、アンリと私のこと。私は元々壊れているわけだから、今更どうこうできないけれど、アンリは日を追うごとにヤンデレ化している気がする。
いつか後ろを刺されるかもしれない。いや、ないな。私にだけデレデレだし。
個人的にはもう少し旅の仲間がいてもいいかなって思うけど、アンリが新しい仲間を刺す可能性があるので怖い。
私たちって不安要素ありすぎだよね!
精神的に不安定な旅人ですか? って聞かれたら頷いちゃうよ。
……今更気にしても仕方がないのかな?
今後の課題が増えるばかりだよ。はぁ~。
明日は、ニートリッヒ方面の仕事でも探そう。
でも、ゾンビがいる可能性があるんだよな。
めんどくさいな、死にたいな~。
ああ、だんだんネガティブな思考になってきた。
もう寝よ。全て忘れてしまえ。という訳で、私もベッドに潜ることにした。
明日は明日の風が吹くって言うし、明日のことは明日考えよう。
「アンリ! 大丈夫!」
私は倒れたアンリに近づいて、回復スキルを使用した。
吹き飛ばされて、頭を打ったみたいだ。まだ気を失っている。
だけど、そこまで酷い怪我をしているわけではないようで、案外大丈夫そう。
これは、よかったって感じなのかな。
でも、万が一ってことがあるかもしれない。
個人的には頼りたくないんだけど……鑑定さん、おねしゃす!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【アンリエッタ・フォン・エムリア】
種族:神の如き美しい人間(幼女)
性別:処女
【状態】
『恋する乙女』
『一途な心』
『病んでる心』
『気絶(一時効果)』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんか怖い状態異常が増えてるっ!
何、病んでる心って。恋に一途な心にヤンヤンした心が合わさって、ヤンデレになりましたっ! 的な何かですか!?
じゃなくて、今大事なのは、気絶の状態異常。しかも、一時効果って記載されているわけだから……大丈夫ってことだよね?
よかったあああああああああっ!
にしても、あいつは最悪だな、クソイケメン豚野郎! ぶっ殺してやる!
そう思って、アンリを優しく寝かせたあと、立ち上がって、金髪イケメンクソ野郎を探す。
すると、顔がぷくぅーっと腫れた状態で、隅っこに座りガクブルしていた。
あれ、一体何があったのかな?
首をかしげていると、うさ耳がやってくる。
「うわぁ、さっきのエンジェルスプラッシュ! すごかったよ~。ラブラビットパワーをビンビン感じちゃった。もう120パーセント超えててすっごーいと思ったんだよ? ねぇ、もしかして、君も魔女っ子戦士? ラビットキューンの新しい仲間かな? これから、愛と勇気のために、一緒に頑張ろうねっ!」
「おいまてコラ! 人を勝手にゲテモノの仲間にしてんじゃねぇ! 私は普通に女の子よ! 魔女っ子戦士でもなんでもないわ!」
もう嫌だ、こんな10歳児が着ちゃいそうな、可愛らしい魔法少女の衣装がかわいそうだよ!
盛り上がった筋肉と毛深いところとか、いろいろ隠せてませんからね?
そこんところ、分かってんだろうか?
わかってねぇから、平気でそんな格好ができるんだろう。
てか、エンジェルスプラッシュってなんですか! まったく記憶にないんですけど!
ドラゴンでクエストなRPGのばくれつけん的なアレですかね? わたしゃそんな技使えんわ!
だが、やっぱり、それよりも……。
これだけは言わせて欲しい。
「さっきからずっと思っているけど、あんたの声はなんなのさ! え、何? マジでその声なの? 声だけ聞くと10歳児の少女なのに、姿がもじゃもじゃマッチョって、金髪で野太い声のイケメンよりもギャップがはげしいわっ! 謝って! 某作品に登場する女声の男性声優キャラに謝ってよっ!」
かの有名な声優漫画の主人公も、男なのに可愛らしい女声っ! ってギャップがあったけどさ。これほどひどくないよ。むしろ、主人公くんは、女装したら女の子に見えるぐらいスレンダーで、童顔で可愛らしいからねっ!
中身は悪魔みたいに自己中心的っぽいところもあるけど、かっこいいんだよっ!
なのに…………なのにぃ!
この世界で現れたのは、うさ耳で、歴戦の戦士を彷彿とさせる肉体とごつい顔、ぱつんぱつんの魔女っ子っぽい服を着こなす、声が10歳児の少女みたいなおっさん。私の推定では37歳。
そんなお前に需要はねぇんだよっ! そんな格好やめちまえっ!
「うさ? そうなの? なんかごめんね(きゃぴ)」
「ぐはぁ……くそう。私の精神のステータスは表示できないほど低いんだから……もうやめて、お腹いっぱいなの!」
悪夢のような光景に、私は永遠に近い苦しみを感じた気がした。
胸がモヤモヤするというか、吐き気が止まらないというか……。
なにも出ないのに、げぇーとやっている気分になる。
この気持ち悪さと必死に闘っていると、ラビットキューンが、スカートをふわりとさせながら、金髪イケメンのクズ野郎に近づいた。
「さぁ、お仕置きの時間だうさ!」
「ひぃ、や、やめてくださいっ!」
「可愛らしい少女に酷いことをした罪を知るがいい! 愛と勇気でラブラビットパワー充電、150パーセントっ! ラビットキューンの魔法を受けてみよ ひっさ~つーー」
「た、頼む、待ってくれっ! 好みの少年がいただけなんた! 俺が同性愛者なのが悪いっていうのかよっ!」
「ラビットショット!」
「げへぇおーーーーーー」
あっれ~目の錯覚かな?
ショットって、射撃とかボールを打つこととか、そんな意味だよね。
あれ、全然違うよ! あれって瓦割りじゃん!
しかも魔法じゃねぇ! それ、なんて物理ですかぁ!
あの気持ち悪い魔女っ子のおっさん、ネタのオンパレードだ。ネタの宝箱や~。
これダメだ、料理に使わなきゃ、あのグルメリポーターさんに怒られちゃう。
反省、反省っと。
ラビットキューンの華麗なる必殺瓦割り(瓦の代わりにイケメンを使ってます)を決めたあと、足を掴んで、勢いよく振り上げた。
何をするの! と思ったけど、なんか普通に肩に担いだ。なんか、足が曲がっちゃいけない方向に曲がっている気がするんだけど……。
「悪党成敗! 私はこれの処理をしなきゃいけないから行くね。じゃあね、ラビット小雪!」
「私を仲間にしないでよ! ふざけんなおっさん!」
「おっさんじゃないもん、ラビットキューンだよ! とりあえず、頑張ってね。じゃ~ね~」
ラビットキューンなるおっさんは、風の如く去っていった。
あいつ、あのイケメンクズ野郎をどうするのだろうか。
だめだ、犯罪の臭いしかしない。だって、憲兵に渡すイメージができないし?
もう何も見なかったことにしよう。そうしなきゃ精神が持たない。
「うう、小雪お姉ちゃん……」
「アンリ! 目が覚めたの!」
「う、うん。一体何があった……あ、あのクズ野郎はどこに行きましたか! ぶっ飛ばします! 三枚におろしてやるんです。お姉ちゃんに手を出そうとしたあれを許せないです! くふ、くふふふふ、あいつ、どうしてやりましょうか!」
「大丈夫! 問題は全て解決したから! だから目に光を宿してよっ! 何回見ても、ハイライトのない目は怖いって!」
目が覚めてすぐにヤンが発生するのは、もしかしたらアンリらしいのかもしれない。
アンリを立たせて、怪我がないかを確認する。
どうやら本当になんともないようで、安心した。
お騒がせしちゃったし、周りの反応がどうなるか怖い。大丈夫かな?
とりあえず、周りを確認すると……。
「これ……一体どうなってんの?」
「ホ、ホラーなのです……」
周りの人たちは微動だにしない。まるで固まっているようだ。いや、ほんと、まるっきり動かない。時間が止まっているかのようだ。
【システムメッセージ:対象・西条小雪とアンリエッタが名称・傭兵ギルドを出ると、この場のシステムが再稼働されます】
おお、なんてご都合主義なんだ。
トラブルが起こっていろいろと面倒になるから、時間停止的なことをしてくれていたのかな? ついでに記憶改竄とかありそう。そうだったらかなり助かるよ。
あれ、でもなんでうさ耳のおっさんと金髪イケメンクズ野郎は止めてくれなかったの?
【システムメッセージ:だってめんどくさいじゃないですか。はぁ、あんた馬鹿ですねっ!】
世界樹のシステムにディスられた!
てか、お前、絶対に自我があるだろう! 複数ある世界の管理をしているんだから、ちゃんとしろよ!
【システムメッセージ!:そんなことありません。これだから学のない人は……】
なんか馬鹿って言われた、って何システムと話しているんだろう。
こんなところ、人に見られたら、ただぼーっとしている頭のおかしい人にしか見えないよね。普通に死にたくなってくる。
「……小雪お姉ちゃん」
「あ、アンリ、やだ! そんな目で見ないで!」
アンリの瞳は、なんだかかわいそうな人を見るよな目になっていた。ちょっと潤んでいるところが妙にガチっぽい。
私の頭がおかしいのなんて今更でしょうに!
もし、これが演技だったら……かなり怖い。
「くふ、計画通り(ニヤリ)」
「ーー怖っ!」
マジで、演技でした。この子、侮れない……。
◇ ◆ ◇ ◆
さて、あのあと、傭兵ギルドを後にした私たちは、普通に宿に戻った。
入った瞬間に、周りの人達からニヤニヤされていたのが、妙に謎だけど、まあいいや。
それで、食事をとって、すぐにアンリを休ませる。
今日はあんなことがあったからか、すぐにベッドに潜って寝てしまった。
今は小さな寝息が聞こえる。
それにしても、今日は色々とありすぎた。
マッチョな憲兵を装った変態、傭兵ギルドでのヘドロ、突然やってきた魔法少女のコスプレをしたおっさん。
こんだけ一気に来たらネタが尽きるだろうと…………今これを考える時間じゃない。一人でなにやってんだか……。
今考えるべきは、アンリと私のこと。私は元々壊れているわけだから、今更どうこうできないけれど、アンリは日を追うごとにヤンデレ化している気がする。
いつか後ろを刺されるかもしれない。いや、ないな。私にだけデレデレだし。
個人的にはもう少し旅の仲間がいてもいいかなって思うけど、アンリが新しい仲間を刺す可能性があるので怖い。
私たちって不安要素ありすぎだよね!
精神的に不安定な旅人ですか? って聞かれたら頷いちゃうよ。
……今更気にしても仕方がないのかな?
今後の課題が増えるばかりだよ。はぁ~。
明日は、ニートリッヒ方面の仕事でも探そう。
でも、ゾンビがいる可能性があるんだよな。
めんどくさいな、死にたいな~。
ああ、だんだんネガティブな思考になってきた。
もう寝よ。全て忘れてしまえ。という訳で、私もベッドに潜ることにした。
明日は明日の風が吹くって言うし、明日のことは明日考えよう。
0
お気に入りに追加
294
あなたにおすすめの小説
【宮廷魔法士のやり直し!】~王宮を追放された天才魔法士は山奥の村の変な野菜娘に拾われたので新たな人生を『なんでも屋』で謳歌したい!~
夕姫
ファンタジー
【私。この『なんでも屋』で高級ラディッシュになります(?)】
「今日であなたはクビです。今までフローレンス王宮の宮廷魔法士としてお勤めご苦労様でした。」
アイリーン=アドネスは宮廷魔法士を束ねている筆頭魔法士のシャーロット=マリーゴールド女史にそう言われる。
理由は国の禁書庫の古代文献を持ち出したという。そんな嘘をエレイナとアストンという2人の貴族出身の宮廷魔法士に告げ口される。この2人は平民出身で王立学院を首席で卒業、そしてフローレンス王国の第一王女クリスティーナの親友という存在のアイリーンのことをよく思っていなかった。
もちろん周りの同僚の魔法士たちも平民出身の魔法士などいても邪魔にしかならない、誰もアイリーンを助けてくれない。
自分は何もしてない、しかも突然辞めろと言われ、挙句の果てにはエレイナに平手で殴られる始末。
王国を追放され、すべてを失ったアイリーンは途方に暮れあてもなく歩いていると森の中へ。そこで悔しさから下を向き泣いていると
「どうしたのお姉さん?そんな収穫3日後のラディッシュみたいな顔しちゃって?」
オレンジ色の髪のおさげの少女エイミーと出会う。彼女は自分の仕事にアイリーンを雇ってあげるといい、山奥の農村ピースフルに連れていく。そのエイミーの仕事とは「なんでも屋」だと言うのだが……
アイリーンは新規一転、自分の魔法能力を使い、エイミーや仲間と共にこの山奥の農村ピースフルの「なんでも屋」で働くことになる。
そして今日も大きなあの声が聞こえる。
「いらっしゃいませ!なんでも屋へようこそ!」
と

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる